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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1001278 |
審判番号 | 審判1998-8300 |
総通号数 | 2 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-05-27 |
確定日 | 1999-08-23 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第1830号「チャンネル付き内視鏡カバー方式の内視鏡」拒絶査定に対する審判事件(平成6年8月9日出願公開、実開平6-57308)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない |
理由 |
1.手続の経緯・本願請求項1の考案 本願は、平成5年1月27日の出願であって、平成5年5月31日付け、平成5年7月2日付け、平成10年2月13日付け及び平成10年6月19日付けの各手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。「【請求項1】処置具挿入口を有するチャンネル付き内視鏡カバーと、前記チャンネル付き内視鏡カバーにより被覆されるチャンネル付き内視鏡カバー用内視鏡とからなるチャンネル付き内視鏡カバー方式の内視鏡において、 前記処置具挿入口の開口に設けられ、前記チャンネル付き内視鏡カバーと接着または溶着により一体成形されることで、該チャンネル付き内視鏡カバーに着脱不能に装着される処置具栓を具備することを特徴とするチャンネル付き内視鏡カバー方式の内視鏡。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、この出願の日前に頒布された特開平3-29634号公報(以下、「引用例」という。)には、 基端部付近に鉗子挿入口(28)を有し、内部に鉗子挿入口に連通するチャンネル(24)を挿通された、内視鏡を着脱自在に被覆する内視鏡用シース(20)において、鉗子挿入口に鉗子栓(36)が嵌め込まれた内視鏡用シースを備える内視鏡 が記載されていると認められる。 3.対比 本願請求項1に係る考案と引用例記載の考案とを対比すると、引用例記載の「内視鏡用シース」、「鉗子挿入口」、及び「鉗子栓」は、それぞれ本願請求項1に係る考案の「内視鏡カバー」、「処置具挿入口」、及び「処置具栓」に相当しているから、 本願請求項1に係る考案と引用例記載の考案とは、 「処置具挿入口を有するチャンネル付き内視鏡カバーと、前記チャンネル付き内視鏡カバーにより被覆されるチャンネル付き内視鏡カバー用内視鏡とからなり、前記処置具挿入口に処置具栓を具備しているチャンネル付き内視鏡カバー方式の内視鏡。」 である点で一致するが、以下の点で相違する。 (相違点) 本願請求項1に係る考案においては、処置具栓が内視鏡カバーと接着または熱溶着により一体成形されて、前記カバーに着脱不能に装着されているのに対して、引用例記載の考案においては、処置具栓が内視鏡カバーの処置具挿入口に嵌め込まれている点。 4.当審の判断 そこで、上記相違点について検討すると、引用例には、その[産業上の利用分野]の項に、 「本発明は、内視鏡の挿入管を被覆して、患者の体腔内の汚物や体腔内壁等に接触する部分を一回の使用毎に使い捨てにすることができるようにした、内視鏡用シースに関するものである。」(第1頁右下欄末行?第2頁左上欄第3行)、 また、その[従来の技術]の項に、 「内視鏡検査を受ける患者から患者への感染等を防ぐためには、内視鏡が患者の体腔内の汚物や体腔内壁等に接触した部分を、一回の使用毎に使い捨てにするのが最も安全な方策である。」(第2頁第5行?第8行) と記載されていて、処置具栓は鉗子等の処置具を挿入するものであり、通常患者の体腔内の汚物が付着することを考慮すると、処置具栓を使用毎に廃棄しようとすることは、当業者ならば当然に想到しうることである。 そして、処置具栓は処置具を挿通して処置した後処置具を抜き取るまで、内視鏡カバーに設けられた処置具挿入口に取り付けた状態に保持されるものであり、内視鏡カバーは、使用毎に廃棄されるものであるから、処置具栓を内視鏡カバーと一体とするようなことは、廃棄の便を考慮して当業者がごく普通に採用しうることと認められ、一体化のための手段として接着又は熱溶着は周知であるから、引用例記載の考案の処置具栓を接着又は熱溶着により一体成形することにより着脱不能に装着して本願請求項1に係る考案とすることは、当業者がきわめて容易になしうるものである。 なお、請求人は、引用例に記載の内視鏡は、使用済みの内視鏡カバーを廃棄する前に処置具栓のみを取り外して、その処置具栓を洗浄・消毒した後に再度使用するというもので、技術的思想を異にすると主張するが、たとえ引用例に記載の内視鏡の処置具栓が再度使用されるものであるとしても、引用例に患者の体腔内の汚物等に接触汚染する部分を使用毎に廃棄するという技術思想が開示されているから、汚物等に接触汚染された処置具栓を廃棄しようとすることも当然の発想というべきである。 5.むすび したがって、本願請求項1に係る考案は、上記引用例記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-05-24 |
結審通知日 | 1999-06-15 |
審決日 | 1999-06-22 |
出願番号 | 実願平5-1830 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(A61B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小田倉 直人 |
特許庁審判長 |
伊坪 公一 |
特許庁審判官 |
阿部 綽勝 志村 博 |
考案の名称 | チャンネル付き内視鏡カバー方式の内視鏡 |