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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24H
管理番号 1001279
審判番号 審判1997-5340  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-04-03 
確定日 1999-08-04 
事件の表示 平成3年実用新案登録願第30870号「電気温水器」拒絶査定に対する審判事件(平成4年11月16日出願公開、実開平 4-125158)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 本件出願は、平成3年5月2日の実用新案登録出願であって、本件出願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、明細書及び図面(平成8年9月2日付け手続補正、平成9年4月22日付け手続補正、及び、平成10年12月24日付け手続補正により補正されている。)の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次の通りのものにあると認められる。
「貯湯タンクの下部に設けた給水口と、電気ヒータが内装された加熱管の他端とを下部管で連通させ、前記貯湯タンク上部に設けた給湯口と前記加熱管の一端とを上部管で連通させ、前記加熱管内に給水された水を電気ヒータで加熱し、この加熱された温水が上部管を介して貯湯タンクへ送り込まれるとともに、貯湯タンク内の水が下部管を介して加熱管へ送られていくことにより所定温度の湯が貯湯タンクの上部から下部へ満たされていく電気温水器であって、前記加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成して所定温度以上の湯のみを吐出する温度流量制御弁を前記加熱管の一端に設け、前記加熱管を前記貯湯タンクの底部下方に寝かした状態に設置し、前記温度流量制御弁から吐出される所定温度以上の湯のみを前記上部管を介して貯湯タンクへ送り込むことを特徴とする電気温水器。」
これに対して、当審において、平成10年10月23日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開昭55-160253号公報(以下、第1引用例という。)には、「貯湯タンクの底部に一端を接続し、他端を前記貯湯タンク上部に位置させた循環パイプに熱交換器を介装して、前記熱交換器により加熱された湯を前記貯湯タンクの上部から貯湯する自然循環形貯湯式給湯機において、前記循環パイプの熱交換器より下流側に湯温が高くなると開口面積が拡がり湯温が低くなると開口面積が狭くなるサーモバルブを設け、前記循環パイプから流出する湯量を略一定にするよう構成したことを特徴とする自然循環形貯湯式給湯機。」が記載されており、この「自然循環形貯湯式給湯機」に関して、上記第1引用例には、「本発明の目的は、このような従来の自然循環形貯湯式給湯機における欠点を解消せんとするものであり、… … … タンク内の沸き上り温度分布をタンク全体について同一温度にして有効貯湯量を増大させ、また給湯時に湯温変動のない自然循環形貯湯式給湯機を提供するものである。」(第2頁右上欄第11?19行)こと、「第4図において、1は給水口、2は給湯口、3は貯湯タンク、4は第1循環パイプ、5は熱交換器、6は燃焼器、7は第2循環パイプである。そして本発明の特徴は、循環経路Aに介装した熱交換器5の下流側の第2循環パイプ7内に湯温が高くなると開口面積が拡がり湯温が低くなると開口面積が狭くなるよう動作するサーモバルブ8を設けたことである。」(第2頁左下欄第2?9行)こと、及び、「第4図ないし第6図において、まず、貯湯時の場合、燃焼器6がONして熱交換器5から出た湯が第2循環パイプ7を経て貯湯タンク3の上部に溜まり始める。そして、タンク上部に少量の湯が溜まっている時には従来では循環力Fが大きいため循環流量wが大きく熱交換器5の出口温度が低くなってしまうが、本発明では前記出口温度が低くなろうとすれば、サーモバルブ8の感温部12がそれを感知して流通路面積を小さくし湯の流量を低下させるように動作する。また、貯湯タンク3内に多量の湯が貯湯されたときには、従来では循環力Fが小さく流量wが小さく出口温度が高くなってしまうが、本発明では前記出口温度が高くなるとすればサーモバルブ8が感知して湯の流量を増大させるよう動作する。このため、貯湯タンク3内の貯湯量とは無関係に循環流量が略一定になる。このようなサーモバルブ8の作用により、熱交換器5の出口の湯温T_(OUT)を略一定に制御している。」(第2頁右下欄第17行?第3頁左上欄第14行)ことが記載されている。
そして、上記第1引用例の第4図には、本発明による自然循環形貯湯式給湯機の一実施例の全体縦断概略正面図が記載されており、この第4図の記載からみて、熱交換器5を貯湯タンク3の底部下方に寝かせた状態で設置すると共に、サーモバルブ8を熱交換器5の一端に取り付けていることが窺える。
次に、同じく、当審において、平成10年10月23日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開昭58-136934号公報(以下、第2引用例という。)には、「給湯管が接続された貯湯槽と、前記貯湯槽と往管および復管を介して接続し前記貯湯槽からの水を加熱する熱交換装置とを備え、前記往管と熱交換装置との接続部は前記貯湯槽の下底面よりも下位に設けるとともに前記復管と貯湯槽との接続部は前記往管と貯湯槽との接続部より高位に設けてなる貯湯式温水器。」が記載されており、この「貯湯式温水器」に関して、「熱交換装置の形状は水平方向が垂直方向よりも長い横長形状」 (第1頁左下欄第12?13行)であること、及び、「熱交換装置2は貯湯槽1の下底面よりも低い位置に設け、往管3は貯湯槽1の下部と熱交換装置2の下部とを接続し、復管4は貯湯槽1の上部と熱交換装置2の上部とを接続する。この熱交換装置2の中には電気ヒータ5が内設され貯湯槽1から往管3を介して流入する水を加熱し湯として復管4で貯湯槽1の上部へ帰す。」(第2頁左上欄第7?13行)ことが記載されている。
そこで、本件出願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたもの(前者)と上記第1引用例に記載されたもの(後者)とを対比する。
上記第1引用例の記載からみて、後者の「自然循環形貯湯式給湯機」はいわゆる温水器と言われるものであると言うことができる。
そして、上記第1引用例の記載からみて、後者の「燃焼器6」により加熱される「熱交換器5」は加熱管に当たるものであると解される。
また、上記第1引用例の記載からみて、後者の「サーモバルブ8」は、所定温度以上の湯のみを吐出する温度流量制御弁に当たるものであると解される。
そうすると、両者は、貯湯タンクの下部と加熱管の他端とを下部管で連通させ、貯湯タンク上部と加熱管の一端とを上部管で連通させ、加熱管内に給水された水を加熱し、この加熱された温水が上部管を介して貯湯タンクへ送り込まれるとともに、貯湯タンク内の水が下部管を介して加熱管へ送られていくことにより所定温度の湯が貯湯タンクの上部から下部へ満たされていく電気温水器であって、所定温度以上の湯のみを吐出する温度流量制御弁を加熱管の一端に設け、加熱管を貯湯タンクの底部下方に寝かした状態に設置し、温度流量制御弁から吐出される所定温度以上の湯のみを上部管を介して貯湯タンクへ送り込む電気温水器である点において一致し、(1)前者が、貯湯タンク下部に設けた給水口と加熱管の他端とを下部管で接続し、貯湯タンク上部に設けた給湯口と加熱管の一端とを上部管で接続しているのに対して、後者は、貯湯タンクの底部と加熱管に当たる熱交換器5の他端とを第1循環パイプ4で接続し、加熱管に当たる熱交換器5の一端に連通した第2循環パイプ7の他端を前記貯湯タンク内上部に位置させている点、(2)前者が、加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成する温度流量制御弁を用いているのに対して、後者は、加熱管に当たる熱交換器5の湯温が低くなると開口面積が狭くなるよう動作するサーモバルブ8を用いている点、及び、(3)前者が、加熱管に電気ヒータを内装し、加熱管内に給水された水を電気ヒータで加熱する電気温水器であるのに対して、後者は、加熱管の外部に燃焼器を備え、加熱管内に給水された水を燃焼器により加熱する温水器である点で相違していると言うことができる。
よって、先ず、上記相違点(1)について検討する。
本件出願の明細書の記載、就中、第32、33段の記載からみて、前者が、貯湯タンク下部に設けた給水口と加熱管の他端とを下部管で接続し、貯湯タンク上部に設けた給湯口と加熱管の一端とを上部管で接続しているのは、加熱管内の高温の湯を貯湯タンク内の上層部に送り出し、同時に加熱管内に貯湯タンク内の未加熱状態の水を満たすためであると解される。
これに対して、上記第1引用例の記載からみて、後者が、貯湯タンクの底部と加熱管の他端とを第1循環パイプ4で接続し、加熱管の一端に連通した第2循環パイプ7の他端を前記貯湯タンク内上部に位置させるようにしているのも、加熱管内の高温の湯を貯湯タンク内の上層部に送り出し、同時に加熱管内に貯湯タンク内の未加熱状態の水を満たすためであると解される。
そして、自然循環形の温水器において、貯湯タンク下部に設けた給水口と加熱管の他端とを下部管で接続し、貯湯タンク上部に設けた給湯口と加熱管の一端とを上部管で接続するようなことは、この出願前、よく行われることであり (この点、必要ならば、例えば、実願昭50-112803号(実開昭52-26261号公報)のマイクロフィルム、実願昭54-41557号(実開昭55-140964号公報)のマイクロフィルム(特に、第7図に示す他の実施例参照。)等、参照。)、この配管接続によっても、加熱管内の高温の湯は貯湯タンク内の上層部に送り出され、同時に加熱管内に貯湯タンク内の未加熱状態の水を満たすことができることは明らかである。
そうすると、後者の第1循環パイプ4及び第2循環パイプ7を、それぞれ、前者の如く、貯湯タンク下部に設けた給水口と加熱管の他端とを接続するもの及び貯湯タンク上部に設けた給湯口と加熱管の一端とを接続するものとするようなことは、当業者が極めて容易になし得る程度の変更であると言うことができる。
次に、上記相違点(2)について検討する。
本件出願の明細書の記載からみて、前者が、加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成する温度流量制御弁を用いているのは、所定温度以下の水が加熱管から吐出するのを阻止し、所定温度以上の湯のみを加熱管から吐出するためであると解される。
これに対して、上記第1引用例の記載からみて、後者が、加熱管に当たる熱交換器5の湯温が低くなると開口面積が狭くなるよう動作するサーモバルブ8を用いているのも、加熱管に当たる熱交換器5の出口の湯温を略一定に制御するためであると解される。
そして、自然循環形の温水器において、所定温度以下の水が加熱管から吐出するのを阻止し、所定温度以上の湯のみを加熱管から吐出するために、加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成する温度流量制御弁を用いたり、加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成しその後の通路面積を変えるようにした温度流量制御弁を用いるようなことは、この出願前、周知のことである(この点、必要ならば、例えば、実願昭50-112803号(実開昭52-26261号公報)のマイクロフィルム、実願昭54-41557号(実開昭55-140964号公報)のマイクロフィルム、実願昭55-152034号(実開昭57-75270号公報)のマイクロフィルム等、参照。)。
そうすると、後者の温度流量制御弁に当たるサーモバルブを、前者の如く、加熱管の湯が所定温度以上になったとき開成する温度流量制御弁に変更するようなことも、当業者が極めて容易になし得る程度のことであると言うことができる。
続いて、上記相違点(3)について検討する。
上記第2引用例に記載された貯湯式温水器は、上記の第2引用例の記載からみて、自然循環形の電気温水器であると言うことができる。
そして、上記第2引用例に記載されたものの熱交換装置2は、上記の第2引用例の記載からみて、貯湯槽1の下底面よりも低い位置に設け、この熱交換装置2の中には電気ヒータ5が内設され貯湯槽1から往管3を介して流入する水を加熱し湯として復管4で貯湯槽1の上部へ帰すものであるから、上記第2引用例には、加熱管に電気ヒータを内装し、加熱管内に給水された水を電気ヒータで加熱する電気温水器が示されていると言うことができる。
一方、上記第1引用例の記載からみて、後者の加熱管は、熱交換器であれば良いものであり、それが燃焼器により加熱するものに限定されなければならないものであるとは解することができない。
そうすると、後者の加熱管の外部に燃焼器を備え、加熱管内に給水された水を燃焼器により加熱することにかえて、前者の如く、加熱管に電気ヒータを内装し、加熱管内に給水された水を電気ヒータで加熱するような上記相違点(2)も、また、当業者が極めて容易になし得る程度の変更であると言うことができる。
従って、本願考案は、上記第1引用例に記載されたもの、及び、上記第2引用例に記載されたものに基づいて、当業者が極めて容易に考案できたものと認められる。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-04-27 
結審通知日 1999-05-14 
審決日 1999-06-17 
出願番号 実願平3-30870 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (F24H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 哲夫  
特許庁審判長 寺尾 俊
特許庁審判官 歌門 恵
高木 彰
考案の名称 電気温水器  
代理人 西脇 民雄  
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