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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B23B
管理番号 1001286
審判番号 審判1997-7435  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-05-01 
確定日 1999-08-18 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第34714号「締付装置付チャック」拒絶査定に対する審判事件(平成5年12月3日出願公開、実開平5-88810)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 【1】 本件出願は、平成4年5月25日に出願されたものであって、その実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項は、平成9年5月30日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 チャック本体の一方にテーパーシャンクを、他方にコレット及びコレット締付用締付けリングから成るホルダー部を有する締付装置付チャックにおいて、コレット締付用締付けリングの後端部側にコレット締付用締付けリングに配したギヤと噛合するウオームギヤを配設すると共に、該ウオームギヤを支持しているホルダーを前記チャック本体に固定することを特徴とする締付装置付チャック。」
【2】 原審の拒絶理由において引用した本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である各引用例には、それぞれ次の考案が記載されている。
1 実願昭62-35888号(実開昭63-144104号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和63年9月22日特許庁発行、以下、第1引用例という)
チャック本体の一方に円錐台状シャンクを、他方にコレットと、コレットを締付ける手段であるところの操作環を具備した保持筒締付け回動筒とからなるホルダー部を有する締付装置付チャックにおいて、保持筒締付け回動筒に該回動筒に対して軸方向には移動可能で回動方向には移動不可能に嵌合した操作環に配したかさ歯車と噛合するかさ歯車を該操作環の後端側に配設すると共に、該かさ歯車を配設するにあたり、かさ歯車を駆動ハンドルに支持し、該駆動ハンドルをチャック本体に設けられた軸孔に着脱可能に支障された締付装置付チャック。
そして、第1引用例に記載された考案における円錐台状シャンクは、テーパーシャンクと、以下同じく、保持筒は、コレットと、回動筒は、リングと、それぞれ表現し得るものと認める。
2 実願昭55-22981号(実開昭56-126303号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和56年9月25日特許庁発行、以下、第2引用例という)
チャック本体の一方にテーパーシャンクを、他方にコレットを収納する部分及び該コレットを締め付ける手段であるところの締付けリングを備えたホルダー部を有する工具の掴み装置において、締付けリングにウオームホイル歯車を配し、これと噛合するウオーム歯車を締付けリングに対向する部分に固定した工具の掴み装置。
そして、第2引用例に記載された考案におけるウオームホイル歯車はウオームホイルギヤと、以下同じく、ウオーム歯車は、ウオームギヤと、工具の掴み装置は、締付装置付チャックと、それぞれ表現し得るものと認める。
【3】 本件出願の請求項1に係る考案と第1引用例に記載された考案とを比較すると、チャック本体の一方にテーパーシャンクを、他方にコレット及びコレットを締付用締付ける手段から成るホルダー部を有する締付装置付チャックにおいて、コレットを締付ける手段に配した歯車と噛合する歯車をコレットを締付ける手段の後端側に配設すると共に、該歯車を配設するにあたり、歯車を支持手段に支持し、該支持手段をさらにチャック本体にて支承した締付装置付チャックである点で一致し、次の点においてのみ相違する。
相違点1:本件出願の請求項1に係る考案が、コレットを締付ける手段を一体のものとし、コレットを締付ける手段に配した歯車をウオームホイルギヤとし、該ウオームホイルギヤと噛合する歯車をウオームギヤとしたのに対して、第1引用例に記載された考案が、コレットを締付ける手段をリングと該リングに対して軸方向には移動可能で回動方向には移動不可能に嵌合した操作環を備えたものとし、コレットを締付ける手段に配した歯車をかさ歯車とし、該かさ歯車と噛合する歯車をこれと対応するかさ歯車とした点。
相違点2:歯車を支持する支持手段をチャック本体にて支承するにあたり、本件出願の請求項1に係る考案においては、支持手段をチャック本体に固定したのに対して、第1引用例に記載された考案においては、支持手段をチャック本体に設けられた軸孔に着脱可能に支障した点。
そこで、前記相違点1について検討する。
第2引用例に記載された考案における締付けリングに配したウオームホイルギヤは、締付けリングを軸方向に移動させてコレットを締め付けるために該締付けリングを回動させる手段として第1引用例に記載された考案における操作環に配したかさ歯車と共通する機能を奏するものである。
また、ウオームホイルギヤとウオームギヤとの噛合においては、ウオームギヤに対してウオームホイルギヤが相対的にその軸方向に移動してもその噛合は継続されるが、かさ歯車どうしの噛合においては、相対的にその軸方向に移動した場合には噛合を継続させることができないことは、歯車の噛合における技術常識である。
したがって、第1引用例に記載された考案において、かさ歯車どうしの噛合に換えて、ウオームホイルギヤとウオームギヤとの噛合とした場合には、噛合を継続されるさせるために設けた、リングに対して軸方向には移動可能で回動方向には移動不可能に嵌合した操作環は不要なものとして省略することができることは明白である。
よって、第1引用例に記載された考案におけるかさ歯車どうしを噛合するごとくした構成に換えて、第2引用例に記載された考案におけるウオームホイルギヤとウオームギヤとを噛合するごとくした構成して、この相違点において掲げた本件出願の請求項1に係る考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものである。
つぎに、前記相違点2について検討する。
歯車を支持する支持手段をチャック本体にて支承するにあたり、かさ歯車どうしを噛合するごとく構成した場合においても、支持手段を着脱可能に支障したものとしなければ目的を達成できないものではなく、支持手段を固定したものとしても目的を達成することができる。
そして、ウオームギヤを締付けリングに対向する部分に固定したものとした点については第2引用例に記載されいることからして、この相違点において掲げた本件出願の請求項1に係る考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものである。
そして、本件出願の請求項1に係る考案を全体としてみても、第1引用例及び第2引用例に記載された考案の有する効果の総和以上の新たな効果を奏するものとも認められない。
【4】 以上のとおりであるから、本件出願の請求項1に係る考案は、第1引用例及び第2引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-08 
結審通知日 1999-06-22 
審決日 1999-06-29 
出願番号 実願平4-34714 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B23B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 鈴木 孝幸
桐本 勲
考案の名称 締付装置付チャック  
代理人 斎下 和彦  
代理人 野口 賢照  
代理人 小川 信一  

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