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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16B
管理番号 1001290
審判番号 審判1998-7570  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-05-07 
確定日 1999-08-04 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第47426号「ねじ」拒絶査定に対する審判事件(平成7年3月31日出願公開、実開平7-18016)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯
本願は、平成5年8月31日の出願であって、平成10年4月7日(発送日)に拒絶査定がなされ、その後平成10年5月7日に審判請求がなされたものである。
2.本願考案
本願の請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成10年5月27日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
【請求項1】一端に頭部と他端に尖端を有する軸部の外周に所要数条のねじ山を設けたねじにおいて、連続するねじ山は、軸部の軸方向に略同じピッチで形成され、頭部側のねじ山の直径が尖端側のテーパ部と軸部の境界部分のねじ山の直径よりも大径であり、それぞれのねじ山とねじ山間には平滑な谷部を設け、この谷部の軸方向の幅が頭部側において尖端側より狭幅となるように、頭部側のねじ山の肉厚を尖端側のねじ山の肉厚よりも厚く形成したことを特徴とするねじ。
3.引用例記載の考案
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭58-4433号(実開昭59-110410号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という)には、
「雄ネジの各山断面形状をピッチを替えずにネジ先とネジ元では相違変形させ、先は其の儘で元に従い大きく角度を変え、ネジ谷面積の小変化にて雌ネジ側の山を元部に入り込む程強力に挟み接着を強め」る点(引用例に係る明細書第1頁末行?第2頁第4行)、及び、
「第2図に示した如く雄ネジ山断面の両角度で拡大形成する」点(引用例に係る明細書第2頁第14行?第15行)、及び第2図、第5図には、「引用例に係るねじにおいて、そのネジ先1がテーパ状とされている」点が記載されている。
これらの記載からみて、引用例には、次の考案が記載されているものと認められる。
「一端に頭部と他端にネジ先1を有する軸部の外周に所要数条のネジ山を設けたネジにおいて、連続するネジ山は、軸部の軸方向に略同じピッチで形成され、それぞれのネジ山とネジ山間には平滑な谷部を設け、この谷部の軸方向の幅が頭部側においてネジ先1側より狭幅となるように、頭部側のネジ山の肉厚をネジ先1側のネジ山の肉厚よりも厚く形成したネジ。」
4.引用例との対比、当審の判断
そこで本願考案と引用例記載の考案とを対比するに、引用例記載の考案における「ネジ先1」は、本願考案の「尖端」に相当するから、本願考案と引用例記載の考案とは、本願考案が、「頭部側のねじ山の直径が尖端側のテーパ部と軸部の境界部分のねじ山の直径よりも大径」であるのに対し、引用例記載の考案では、頭部側のねじ山の直径と尖端側のテーパ部と軸部の境界部分のねじ山の直径との大小関係が不明である点で一応相違し、その余の点では一致している。
しかしながら、引用例にはその第2図、第5図からみて、ねじの先端部を漸次細くしてテーパ部とすることが開示してあり、しかも、テーパ部にも「ネジ先1」としてねじ部を設けることが示唆されているから、ねじの先端部のテーパ部分にもねじ山を設けることは、当業者であれば必要に応じて採用できる設計事項にすぎない。
そして、先端に行くに従い漸次細くなるテーパ部にねじを設ければ、少なくともテーパ部と軸部の境界部分のうちのテーパ部とされている部分のねじ山の直径に関しては、「頭部側のねじ山の直径が尖端側のテーパ部と軸部の境界部分のねじ山の直径よりも大径」となることは自明の事項である。
したがって、上記相違点は、当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことである。
さらに、上記相違点に基づく、本願考案の徐々にねじ込みトルクを増大する旨の効果も、引用例記載の「山断面を変化して雌ネジ山を挟圧し・・・・圧着保持する」(引用例に係る明細書第3頁第12?14行参照。)という効果に較べて格別のものとは認められない。
5.むすび
したがって、本願考案は引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-04 
結審通知日 1999-06-18 
審決日 1999-06-21 
出願番号 実願平5-47426 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F16B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 山下 喜代治  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 池田 佳弘
和田 雄二
考案の名称 ねじ  
代理人 鎌田 文二  
代理人 鳥居 和久  
代理人 東尾 正博  

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