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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42C
管理番号 1001293
審判番号 審判1998-16967  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-23 
確定日 1999-08-16 
事件の表示 昭和63年実用新案登録願第 13306号「書籍等の姿勢判定装置」拒絶査定に対する審判事件(平成 7年12月25日出願公告、実公平 7- 56210)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続きの経緯・本願考案
本願は、昭和63年2月3日の出願であって、その請求項1に係る考案は、出願公告後の平成10年3月16日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。「被検出物の搬送路に被検出物の通過を検知する同期センサーを配置し、該センサーからの信号によって、撮影を開始する図形情報と濃度情報の両方を検出可能な検出用カメラが被検出物に設けた被検出マークに向けて設置されており、該カメラによって撮影された被検出マークの画像を処理する画像処理回路を備え、該画像処理回路は基準画像と入力画像の明るさを比較し被検出マークの有無を判断可能な回路であることを特徴とする書籍等の姿勢判定装置。」
2.引用例の記載
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特公昭59-48757号公報(以下、引用例という。)には、下記の事項が記載されている。「本発明は製本過程において発生する書籍等の落丁、乱丁等を生産ライン中において自動的に検出する背標検査機に関するものである。
通常書籍はいわゆる折(おり)と言われる。印刷物を折り重ね合わせたものを、数折から多いものでは数十折丁合して一冊の本とするが、この折の背の部分に主に墨インキで長方形のマーク、いわゆる背標を各折毎に異なった部分に印刷する。」(第2欄第5行?第12行)
「以下本発明の一実施例について図面を参照して説明する。・・・
丁合後の書籍折丁束1はベルト12,12´によって挟まれガラス板17の上を走行する。・・・25は丁合後の書籍折丁束1の位置検出器であり、」(第3欄第7行?第21行)
「第1図に示す如く丁合後の書籍折丁束1において第1折8にはスタートマークエリア2、第1ビットマークエリア3及びエンドマークエリア7に黒マークを印刷し、第2折9にはスタートマークエリア2、第2ビットマークエリア4、及びエンドマークエリア7に黒マークを印刷し、第4折10には・・・黒マークを印刷し、同様に各折にはスタートマークエリア2、エンドマークエリア7と共に、折番号を2進数に変換して得られた数において「1」が立ったビットに該当するビットマークエリアに黒マークを印刷し、背標パターンを得る。」(第4欄第1行?第13行)「このようにしてガラス板17上を走行してくる丁合後の書籍折丁束1の背標パターンを第3図に示す如くストロボ光源18,18´で照明し、T.Vカメラ19で走査し画像信号に変換する。この際、ストロボ光源18、18´の発光のタイミング及びT.Vカメラ19の走査開始のタイミングは位置検出器25より得る。このようにして、T.Vカメラ19により得られた画像信号は、・・・信号処理ユニット21へ入力される。・・・
シエーデイング補正、γ一補正等を受けた画像信号の例として、第4図に第2折9を走査した時の補正画像信号28をあげる。・・・
次に信号処理ユニット21に関し、第4図を使って説明する。上述した補正画像信号28は信号処理ユニット21で、適値に設定したスレッシュホールドレベルにより2値化され背標パターン中、上述した黒マークを印刷してある部分はローレベル、それ以外の部分はハイレベルとなる。
補正画像信号28を上述の如くにして2値化した信号が2値化信号29である。・・・すなわち2値化信号29の反転信号とクロック信号30の論理積をとり、クロック信号30のタイミングによりシフトレジスタにこの論理積信号31を入力すると、このシフトレジスタには、2進数で0010とメモリーされ、この2進数の符号化信号は順次判定ユニット22へ入力する。」(第5欄第1行?第6欄第3行)
「従って、この代表値が1ビットきざみで増加するか否かを監視すれば、落丁、乱丁を検出できる。」(第7欄第4行?第6行)
3.対比・判断
本願の請求項1に係る考案(以下、前者という)と上記引用例記載のもの(以下、後者という)を比較する。
両者は、背標検査機であって、後者の「書籍折丁束1」、「位置検出器25」、「T.Vカメラ19」、「エリア2?7に印刷した黒マーク」、「補正画像信号28」は、前者の「被検出物」、「同期センサー」、「検出用カメラ」、「被検出マーク」、「入カ画像の明るさ」にそれぞれ対応している。
後者の処理ユニット21は、適値に設定したスレッシュホールドレベル、即ち基準値である明るさと補正画像信号28、即ち入力画像の明るさとを比較することにより補正画像信号28を2値化し、背標パターン中の黒マークを印刷してある部分はローレベル、それ以外はハイレベルとなるように動作するものであり、後者の判定ユニット22は、2進数の符号化信号を監視して落丁、乱丁を検出するものであるから、後者の「処理ユニット21、判定ユニット22」は前者の「画像処理回路」に対応している。
したがって、両者は、「被検出物の搬送路に被検出物の通過を検知する同期センサーを配置し、該センサーからの信号によって、撮影を開始する図形情報と濃度情報の両方を検出可能な検出用カメラが被検出物に設けた被検出マークに向けて設置されており、該カメラによって撮影された被検出マークの画像を処理する画像処理回路を備え、該画像処理回路は基準値と入力画像の明るさを比較し被検出マークの有無を判断可能な回路であることを特徴とする背標検査機。」である点で一致し、
(1)前者が書籍等の姿勢判定装置であるのに対して、後者が背標検査機である点、
(2)基準値が、前者は、「基準画像の明るさ」であるのに対して、後者は、「適値に設定したスレッシュホールドレベル」である点で相違している。
そこで、上記相違点について検討する。
相違点(1)について
後者は、書籍の背標として印刷された黒マークを検出することによって、書籍の落丁、乱丁等を検出するものであり、書籍が指定の姿勢通りにあるかどうかを判定することも可能であるから、後者の検査機を書籍等の姿勢判定装置に用いてみることに格別困難性は認められない。
相違点(2)について
後者において、補正画像信号28のレベルは黒マークの濃度に応じた明るさとなることは明らかであって、その信号を2値化するために用いられる「適値に設定したスレッシュホールドレベル」は、撮影された補正画像信号のレベルに応じて適値に設定されるものであり、前者の「基準画像の明るさ」は、基準画像の画像信号レベルであるから、後者において、「適値に設定したスレッシュホールドレベル」を「基準画像の明るさ」としてみることは当業者がきわめて容易に推考し得ることである。
なお、請求人は、審判請求書で、『引用例は、本考案の解決課題である「ミシン目によって被検出マークが打ち抜かれるため、被検出マークが半減し、フォトセンサーの起電圧は白地と黒字の中間的なものになる。一方、被検出マークが印刷されていない白地の部分も、ミシン目によって光りが乱反射するので完全な白地より起電圧は小さくなる」の如く、黒と白地が明確に識別できない場合を想定していない。』旨主張している。
しかしながら、被検出物が被検出マークをミシン目によって打ち抜かれているようなものの被検出マークを、上述したようにスレッシュホールドレベルが設定された引用例ものにおいて判定しようとする場合、正常に判定動作できることは明らかであるから、請求人のこの主張は採用できない。
また、本願考案の効果についてみても、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
4.むすび
したがって、本願の請求項1に係る考案は、上記引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-10 
結審通知日 1999-06-22 
審決日 1999-07-01 
出願番号 実願昭63-13306 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B42C)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 砂川 克赤木 啓二  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 白樫 泰子
村山 隆
考案の名称 書籍等の姿勢判定装置  

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