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審決分類 |
審判 訂正 訂正しない A01G 審判 訂正 旧特126条1項1号 請求の範囲の減縮 訂正しない A01G 審判 訂正 訂正しない A01G |
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管理番号 | 1002327 |
審判番号 | 審判1998-39030 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-03-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 1998-04-15 |
確定日 | 1999-08-27 |
事件の表示 | 登録第2147985号実用新案「樹木移植用の梱包資材」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本件審判の請求の要旨は、実用新案登録請求の範囲の明りょうでない記載の釈明を目的として、実用新案登録第2147985号(平成4年11月2日実用新案登録出願、平成9年2月26日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。 その訂正の内容は、次の通りである。 (a)実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の 「【請求項1】黄麻を原料として、製織および製縄時に植物油を含浸させ、植物油を含浸させた黄麻を15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄若しくは目の隙間を2?3ミリメートルのヘシアンクロスを製織したことを特徴とする樹木移植用の梱包資材。」を 「【請求項1】黄麻を原料とした黄麻糸で目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織し、若しくは黄麻を原料とする15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄し、製織および製縄時に植物油を含浸させたことを特徴とする樹木移植用の梱包資材。」と訂正する。 (b)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明中の 「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本考案による樹木移植用の梱包資材は、黄麻を原料として、製織および製縄時に植物油を含浸させ、植物油を含浸させた黄麻を15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄若しくは目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織したことを特徴とするものである。」を 「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本考案による樹木移植用の梱包資材は、黄麻を原料とした黄麻糸で目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織し、若しくは黄麻を原料とする15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄し、製織および製縄時に植物油を含浸させたことを特徴とするものである。」と訂正する。 (c)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明中の 「【考案の効果】以上のように構成したので、本考案による樹木移植用の梱包資材は、植物油を含浸させた黄麻を15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄若しくは目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織してあり、ある程度の丈夫さと取扱いの容易さおよび価格の安さを備えるとともに、鉱物油が含浸させられていないので、樹木の根を包んだままの状態で移植しても、従来のへシアンクロスや麻縄のように移植後の樹木の根の成長を妨げることがなく、移植先の土壌を汚染することもなく、さらに、樹木の幹に巻き付けても木肌を傷めることがないなど、樹木移植の際に根や幹を保護するために、極めて好適に実施できるものである。」を 「【考案の効果】以上のように構成したので、本考案による樹木移植用の梱包資材は、黄麻を原料とした黄麻糸で目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織し、若しくは黄麻を原料とする15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄し、製織および製縄時に植物油を含浸させるようにしてあり、ある程度の丈夫さと取扱いの容易さおよび価格の安さを備えるとともに、鉱物油が含浸させられていないので、樹木の根を包んだままの状態で移植しても、従来のへシアンクロスや麻縄のように移植後の樹木の根の成長を妨げることがなく、移植先の土壌を汚染することもなく、さらに、樹木の幹に巻き付けても木肌を傷めることがないなど、樹木移植の際に根や幹を保護するために、極めて好適に実施できるものである。」と訂正する。 2.一方、平成11年2月12日付けで通知した訂正の拒絶の理由の概要は、『上記(a)?(c)の訂正は、「明りょうでない記載の釈明」に該当せず、また「実用新案登録請求の範囲の減縮」及び「誤記の訂正」にも該当しない。したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号の規定に適合しない。』というものである。 3.そこで、上記(a)?(c)の訂正が認められるか否かについて検討する。 実用新案登録明細書の段落【0008】には、「上記目的を達成するため、本考案による樹木移植用の梱包資材は、黄麻を原料として、製織および製縄時に植物油を含浸させ、植物油を含浸させた黄麻を15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄若しくは目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織したことを特徴とするものである。」、同じく段落【0009】には、「本考案による樹木移植用の梱包資材は、製織および製縄時に植物油を添加したりして製作する。」と記載されており、同じく段落【0010】に実施例として「原料の黄麻に含まれる不純物を除去し、かつ、粗硬な原料を柔らかくするため、ひまし油と水および界面活性剤のエマルジョンからなる軟繊剤を必要最小限の量だけ添加した。そして、この原料をカードにかけ、20番手(黄麻糸番手、以下同様)の太さに紡績した。次いで、この黄麻糸を縦糸および横糸として、………ヘシアンクロス1を織った。」と記載されている。 これらの記載からみて、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載の「…製織および製縄時に…」は、黄麻糸からヘシアンクロス及び縄を製造する工程を含むだけでなく、黄麻の繊維原料から黄麻糸を製造する製糸工程をも包含するものと認められる。 かかる前提にたって、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載をみると、「黄麻を原料として、製織および製縄時に植物油を含浸させ…」(構成A)は、黄麻原料から黄麻糸を経てヘシアンクロス及び縄を製造するに際し、植物油を含浸させる」ことを意味し、またその後に続く「植物油を含浸させた黄麻を15?50番手の黄麻糸を形成し、該黄麻糸で製縄若しくは目の隙間を2?3ミリメートルのへシアンクロスを製織した」(構成B)は、前記上位概念で示された事項(構成A)をより技術的に具体化したものと理解するのが妥当である。 そうすると、訂正前の請求項1に記載の考案は、上記構成Aと構成Bとからなるとしても、技術的に具体化された構成Bにより特定される技術的事項を意味していることは明らかであり、黄麻糸からヘシアンクロス及び縄を製造する時に植物油を含浸させることを包含すると解する余地はない。 訂正前の実用新案登録明細書の考案の詳細な説明の記載からみても、上記のとおり理解するのが自然である。 してみると、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載は、それ自体意味が不明りょうであるということはできず、また実用新案登録明細書の他の記載との関係で不合理が生じているとも認められないので、上記訂正(a)は、「明りょうでない記載の釈明」に該当しない。 また、訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、「15?50番手」で特定される黄麻糸以外の黄麻糸を用いてヘシアンクロスを製織することを包含するものであるから、上記訂正(a)は、「実用新案登録請求の範囲の減縮」にも該当しない。 さらに、上記訂正(a)は、「誤記の訂正」にも該当しない。 したがって、上記(b)及び(c)の訂正が認められるか否かを検討するまでもなく、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号の規定に適合しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-07 |
結審通知日 | 1999-06-18 |
審決日 | 1999-06-25 |
出願番号 | 実願平4-75925 |
審決分類 |
U
1
41・
812-
Z
(A01G)
U 1 41・ 811- Z (A01G) U 1 41・ 813- Z (A01G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 三成、鈴木 紀子、前田 建男 |
特許庁審判長 |
徳廣 正道 |
特許庁審判官 |
田中 久直 佐藤 昭喜 |
登録日 | 1997-02-26 |
登録番号 | 実用登録第2147985号(U2147985) |
考案の名称 | 樹木移植用の梱包資材 |
代理人 | 杉本 勝徳 |