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審決分類 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G01V
管理番号 1002350
審判番号 審判1998-4392  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-03-20 
確定日 1999-09-10 
事件の表示 平成2年実用新案登録願第403385号「金属センサ」拒絶査定に対する審判事件(平成4年8月7日出願公開、実開平4-90989)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成2年12月15日の出願であって、当審における平成10年11月18日付けの補正却下の決定により、平成9年3月24日付け手続補正書及び平成10年4月20日付け手続補正書が却下され、この決定が確定し、その後平成11年3月8日付けで拒絶理由通知が通知され、これに対して平成11年5月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
2.本願明細書及び図面の記載事項
「鋼球径が9?12mmの鋼球用の金属センサであって、所定の直径Dを有するコアと、該コアに埋設された検知用コイルと、該検知用コイルに磁束を発生させる信号回路とを有し、前記コアから所定距離Sを離間して通過する前記鋼球に、前記磁束を交差させて、前記コイルのインピーダンスの変化を検出する金属センサにおいて、前記所定距離Sを実質的に直径D×1/6とし、前記鋼球の中心位置と前記金属センサの中心位置とが略一致したところで前記鋼球を感知することを特徴とする金属センサ。」(実用新案登録請求の範囲)
「前記所定距離Sを実質的に直径D×1/6とし、前記鋼球の中心位置を前記金属センサの中心位置とが略一致したところで前記鋼球を感知すること」(【0004】欄、課題を解決するための手段の項)
「次に本考案の実施例について図面を参照して説明する。図1に示すとおり、コア1に埋設された検知用コイル2を含むセンサ部は、ケーブル4を介して、発信回路5と接続され、発信振幅の発振、停止に基づき、発振回路5の出力部にてON,OFF駆動する。本実施例によるセンサ部と鋼球3との位置関係をD/6mmに設定した時の動作位置を図2に示し、この時使用したセンサ径はDmmの場合である。図2(a),(b)及び(c)が示すように、鋼球3とセンサとの間がD/6位置関係以外の場合、即ち、D/6より小さい場合(図2(a))、鋼球中心位置より内側で鋼球3をとらえ、センサでとらえた位置と鋼球3の実際の位置とがずれている。またD/6より大きい場合(図2(c))、鋼球中心位置より外側または鋼球をとらえることが出来ない。一方、センサ径とセンサと鋼球との位置関係をD/6に設定すること(図2(b))により鋼球検知位置の精度が向上したことが判る。」(【0005】欄、実施例の項)
「金属センサと鋼球との間の距離をコアの直径の1/6とすることにより鋼球の中心位置と金属センサの中心位置とが一致した所で鋼球を感知するようにしたので、鋼球の有無の検知を極めて高い精度で行うことができ、更に本考案は、鋼球の有無の検知のみならず、鋼球の位置を精度良く検知することができる。」(【0006】欄、考案の効果の項)
そして、図1には、コア1にDとの距離表示があり、該コアに検知用コイル2を埋設し、1個の鋼球3とコアとの距離表示をD/6とし、該距離D/6間に検知用コイルからの磁力線が描かれ、鋼球3はコア1の中心線上に位置し、コア1はケーブル4を介し、発振器、レベル弁別器、出力部からなる発振回路5に接続された様子が描かれている。
図2の(a)乃至(c)には、いずれも縦軸の下方にOff(発振停止(鋼球検知時))、上方にOn(発振)と記載され、また、横軸にOとOが所定の間隔を置いて記載されている。そして図2(a)には、Gap D/13mmと記載され、その往路及び復路において、右側のO寄りに矩形状にOn領域に至り、その他はOff領域を矢印線がほぼ直線状に描かれている。
図2(b)には、Gap D/6mmと記載され、左側のOを若干越えた位置においてOffからOn領域に直線的に立ち上がり、そのまま右側のO点を越えた位置まで横軸と平行にOn領域にあり、右側のO点を越えた位置からOff領域に直線的に下がりそのままOff領域を横軸と平行に進む矢印の付された線が往路と復路において描かれている。
図2(c)には、Gap D/3mmと記載され、矢印の付された線の往路がOff領域からはじまり、縦軸と横軸が交差する基準点と右側のOとの中心よりやや右側のOよりの位置からOn領域に立ち上がり、そのまま左側のOを越えて横軸に平行に延び、復路はOn領域をそのまま横軸と平行に直線で描かれている。
2.当審の拒絶理由
これに対して、当審において平成11年3月8日付けで通知された拒絶理由の理由1の内容は、以下のとおりである。
本願考案の【0006】の考案の効果において、
「金属センサと鋼球との間の距離をコアの直径の1/6とすることにより鋼球の中心位置と金属センサの中心位置とが一致した所で鋼球を感知するようにしたので、鋼球の有無の検知を極めて高い精度で行うことができ、更に本考案は、鋼球の有無の検知のみならず、鋼球の位置を精度良く検知することができる。」と記載されているがその技術的根拠が以下の点において不明瞭であるから、本願考案は、明細書及び図面の記載が不備のため実用新案登録法第5条第4項に規定する要件を満たしていない。
(ア)図2の横軸の二力所に0の表示がされ、また、発振・発振停止の変化を表す線に矢印が付されているが、考案の詳細な説明において、それらの説明がなく何を表しているものか不明瞭である。
(イ)【0005】の第9行目乃至13行目において
「D/6より小さい場合(図2(a))、鋼球中心位置より内側で鋼球3をとらえ、センサでとらえた位置と鋼球3の実際の位置とがずれている。またD/6より大きい場合(図2(c))、鋼球中心位置より外側または鋼球をとらえることが出来ない。一方、センサ径とセンサと鋼球との位置関係をD/6に設定すること(図2(b))により鋼球検知位置の精度が向上したことが判る。」と記載されているが、「鋼球中心位置より内側」及び「鋼球中心位置より外側」とは、鋼球中心位置に対して何れの方向を表しているものか定義されておらず不明であると共に、図2の(a)乃至(c)において、「鋼球3の実際の位置」も不明であるので、鋼球3との位置関係をD/6mmに設定することにより鋼球の位置を精度良く検知できる根拠が不明瞭である。
3.請求人の主張
これに対して、請求人は平成11年5月18日付け意見書において、
「図2は、参考図に示すように、2個の鋼球を並べておいて、センサの方を移動させて実験を行った時の実験結果を示しています(センサと鋼球の間の運動は、相対的ですので、実験としては、どちらを動かしても、結果は同じです)。 尚、図において、0は鋼球の中心点を示し、0の位置が2つあることの説明に成ります。図2(b)の場合は、0の位置で鋼球を検知しますが、0から離れた位置(2個の鋼球の中心と鋼球の中心の間)では、検知しません。図2(a)の場合は、鋼球の中心を外れた位置でも鋼球を検知しています(offのままです)。図2(c)の場合、鋼球を検知しません。鋼球の中心のみで鋼球を検知しないと、2個の鋼球が続けて通過しても、1個の通過としか関知できないことになり、センサとして不適当です。正確には、上記の実験では、各回路定数を変更して鋼球を検知するように設定しています。
イ)鋼球がセンサの近くを通る場合(例えば、S=D/13とした場合)は、鋼球の中心位置のみで鋼球を検知するように調整できず、図2(a)の様に、鋼球の中心位置と、鋼球の内側(鋼球がある範囲)で検知します。
ロ)鋼球がセンサの遠くを通る場合(例えば、S=D/3とした場合)は、鋼球を検知できないか、或いは鋼球を検知できるようにすると(感度を上げると)、鋼球がセンサに近付く前から(鋼球の外側から)、鋼球を検知し続けるように成ってしまいます。
ハ)本願考案の場合(S=D/6とした場合)は、鋼球の中心位置近傍でのみ鋼球を検知できるように調整することが可能です。」と述べている。
4、当審の判断
まず、図2(a)、(b)、(c)の縦軸のOn、Offについては発振と発振停止を意味するものと理解できるが、横軸の2つの0について、図2中には何らの説明もなされていない。
明細書の発明の詳細な説明の実施例における図2に関する説明においても、「2つの0」について記載がなく、その意味を示唆する記載もない。
よって、図2の2つの0が何を意味するのか不明である。
しかも、上記2つの0の意味が不明であるため、図2の矢印の付された線が発振・発振停止の変化を表すとしても、そのことだけでは矢印の付された線が鋼球及びセンサとどのような関係にあるのか不明であり、結局、矢印の付された線が何を意味するのか不明である。
このことに関し、請求人は、0は鋼球の中心点を意味し、2つの鋼球を並べることにより2つの0が存在する旨主張しているが、第1図に1個の鋼球と金属センサの配置関係が示されているだけであって、その他の配置関係は示されておらず、0が鋼球の中心点であること、及び2つの鋼球が並べられていることを示唆する記載が明細書及び図面に存在しないから、図2の記載を請求人主張のように解釈することができない。
次に、【0005】欄の実施例の記載に於いて、
「鋼球中心位置より内側」及び「鋼球中心位置より外側」との記載があるが、「内側」及び「外側」とは鋼球中心位置に対していずれの方向を表しているものか不明であり、図2の記載をみても、鋼球中心位置を明示しておらず、しかもどちらが鋼球中心位置よりみて「内側」あるいは「外側」なのか不明である。
よって、鋼球とセンサとの位置関係をD/6より小さい場合と、D/6の場合と、D/6より大きくした場合とでどのように鋼球検知位置の精度が異なるのか把握することができない。
結局、【0005】欄に「一方、センサ径とセンサと鋼球との位置関係をD/6に設定すること(図2(b))により鋼球検知位置の精度が向上したことが判る。」と記載されているが、その根拠が不明瞭なものとなっている。
したがって、本願明細書の考案の詳細な説明に記載されている、「金属センサと鋼球との間の距離をコアの直径の1/6とすることにより鋼球の中心位置と金属センサの中心位置とが一致した所で鋼球を感知するようにしたので、鋼球の有無の検知を極めて高い精度で行うことができ、更に本考案は、鋼球の有無の検知のみならず、鋼球の位置を精度良く検知することができる。」(【0006】の第2行目乃至6行目)という効果は考案の詳細な説明全体を通してみてもその根拠が裏付けられているものでないので、当業者が容易に本願考案を実施できる程度に考案の効果が記載されているものとはいえない。
5.むすび
以上検討したように、本願考案は、明細書及び図面の記載が不備のため実用新案登録法第5条第4項に規定する要件を満たしていないので拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-21 
結審通知日 1999-07-02 
審決日 1999-07-07 
出願番号 実願平2-403385 
審決分類 U 1 8・ 531- Z (G01V)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊井 広行  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 渡邊 聡
島田 信一
考案の名称 金属センサ  
代理人 後藤 洋介  
代理人 池田 憲保  
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