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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F |
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管理番号 | 1002371 |
審判番号 | 審判1997-18033 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-10-27 |
確定日 | 1999-09-03 |
事件の表示 | 平成3年実用新案登録願第54817号「洗濯機用ホース」拒絶査定に対する審判事件(平成6年10月19日出願公告、実公平6-39665)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願は、平成3年6月19日に実用新案登録出願されたものであって、出願公告の後実用新案登録異議の申立ての理由により、原審において拒絶査定されたものである。 そして、その考案は、平成9年11月25日提出の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のものにあるものと認める。 「洗濯機(A)内に位置する部分と洗濯機(A)の外部に位置させて使用する部分とを一体的に形成したホースであって、一端側に洗濯機の排水筒(a)に接続する受水口部(1)と、これに続く中央側部分にL字形曲げ形成部(2)を有し、他端側に排、水口部(3)を有し、これらの各部(1)、(2)、(3)を除く中間部分(4)の大部分が凹凸波形壁に形成されている洗濯機用ホースにおいて、前記洗濯機(A)の外部に位置させて使用する部分(4b)のみの凹凸波形が、一方の傾斜壁(5)の長さが他方の傾斜壁(6)の長さに比して短尺に形成されている不等辺三角波形状に形成され、短尺の傾斜壁(5)が長尺の傾斜壁(6)に対して略々平行な縮小姿勢に容易に変化できかつその姿勢を自己保持できる構造とされ、ホース本体(H)の全長が略直線状に形成され、ホース形成後にL字形曲げ形成部(2)がL字状に曲げ加工されてなる洗濯機用ホース。」 そして本件考案は、明細書の考案の詳細な説明の記載からみて、 ▲1▼一端側に洗濯機の排水筒に接続する受水口部と、これに続く中央側部分にL字形曲げ形成部とを有し、他端側に排水口部を有し、これらの各部を除く中間部分の大部分を凹凸波形状壁とし、このうち洗濯機の外部に位置させて使用する部分の凹凸波形を、一方の傾斜壁の長さが他方の傾斜壁の長さに比して短尺となっている不等辺三角波形状に形成し、短尺の傾斜壁が長尺の傾斜壁に対して略々平行な縮小姿勢に容易に変化でき、これら伸縮両姿勢を自己保持できる構造としたものであるから、一端側の受水口部を洗濯機における排水筒に接続し、L字形曲げ形成部と、中間部分のうちの洗濯機内部に配置する部分とを洗濯機内に装着させ、中間部分のうちの洗濯機の外部に位置させて使用する部分と排水口部とを洗濯機の外部に位置させて洗濯機への装着姿勢とし、この外部で使用する部分を伸長姿勢と縮小姿勢とに大きく変更することができるので、洗濯機の外部においてホースの長さを大幅に変化させることができ、かつ、縮小姿勢から伸長姿勢に順次引き伸ばし、または、伸長姿勢から縮小姿勢に順次圧縮変化させることによって、この外部使用部分の全長を縮小姿勢とした長さと伸長姿勢とした長さとの間の任意の長さに伸縮させ、その長さを常に自己保持させた状態として使用することができる。 ▲2▼ホースの成形に際して、ホースの全長を成形が簡単で容易な直線状のホースに形成した後にL字形曲げ形成部を曲げ加工したものであるから、低コストの曲げ形成部付きホースを得ることができる。 という効果を奏するというものであると認められる。 2.これに対して、原審の実用新案登録異議申立人タイガースポリマー株式会社が実用新案登録異議申立ての理由に、甲第1号証として引用した本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である実願平1-37574号(実開平2-126587号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、脱水兼用洗濯機用排水ホースに関し、第1?4図とともに、下記の事項が記載されている。 ▲1▼「第1図において、1は脱水兼用洗濯機の外箱で、この外箱1内に弾性吊持機構2を介して水受槽3を配設している。4は水受槽3内に配設された洗濯及び脱水兼用の回転槽、5は回転槽4内に配設された容器状の攪拌体である。6は水受槽3の外底部に機構部7と共に設けられた洗濯モータ、8は水受槽3の排水口部分に設けられた排水弁、9はこの排水弁8を駆動するソレノイドである。」(明細書第5頁第5?13行) ▲2▼「10は蛇腹形状の筒体よりなる脱水兼用洗濯機用排水ホースで、これは、その一端部を排水弁8の排水口部分に接続し、外箱1の下部に形成された貫通孔を貫通して外箱1外へ導出されており、外箱1に固定具11を利用して取付けられている。これにより、排水ホース10は水受槽3内の水を外箱1を貫通するように導出して外へ排出する。」(明細書第5頁第14行?第6頁第1行) ▲3▼「第2図において、12は外箱1内に配置される内部筒体部、13は外箱1外に配置される外部筒体部であり、これらは樹脂のブロー成形により一体に形成されている。」(明細書第6頁第3?6行) 3.これを本願考案と対比すると、両者は、「洗濯機内に位置する部分と洗濯機の外部に位置させて使用する部分とを一体的に形成したホースであって、一端側に洗濯機の排水筒に接続する受水口部と、これに続く中央側部分にL字形曲げ部を有し、他端側に排水口部を有し、これらの各部を除く中間部分の大部分が凹凸波形壁に形成されている洗濯機用ホース」である点で共通するものと認められる。一方、以下の点で相違する。 (相違点) (1)本願考案は、洗濯機の外部に位置させて使用する部分のみの凹凸波形が一方の傾斜壁の長さが他方の傾斜壁の長さに比して短尺に形成されている不等辺三角波形状に形成され、短尺の傾斜壁が長尺の傾斜壁に対して略々平行な縮小姿勢に容易に変化できかつその姿勢を自己保持できる構造であるのに対して、引用例1のものは第4図に示されるような蛇腹形状である点。 (2)本願考案では、ホース本体の全長が略直線状に形成され、ホース形成後にL字形曲げ形成部がL字状に曲げ加工して製造されたものであるのに対して、引用例1には、外箱内に配置される内部筒体部と外箱外に配置される外部筒体部を樹脂のブロー成形により一体に形成すること、および、内部筒体部の一部が外箱内においてL字状に曲折した形状を呈していること(第1図)は示されているも、ホース本体の全長を略直線状に形成しホース形成後にL字形曲げ形成部をL字状に曲げ加工して製造するものであることの明示はない点。 4.そこで、以下これら相違点について検討する。 (1)同じく原審の実用新案登録異議申立人が甲第5号証として提出した本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である特開昭62-204087号公報には、本願考案と同様の、凹凸波形が一方の傾斜壁の長さが他方の傾斜壁の長さに比して短尺に形成されている不等辺三角波形状に形成され、短尺の傾斜壁が長尺の傾斜壁に対して略々平行な縮小姿勢に容易に変化できかつその姿勢を自己保持できる構造の伸縮自在螺旋ホースが記載され、かつ電気洗濯機用排水ホースとして用いられるものであることが記載されており(第2頁左上欄第20行?同右上欄第11行および第3頁右下欄第7?12行参照)、本願考案の洗濯機の外部に位置させて使用する排水ホースの構造は、本願出願前すでに公知の構造であると認められる。 そして、洗濯機外部の排水ホースを引き伸ばして使用することは、引用例1のもののほか、同じく異議申立人が甲第4号証として提出した本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である実願平1-61318号(実開平3-988号)のマイクロフイルム(以下「引用例2」という。)にも示されているように本願出願前広く行われていることであるから、伸縮して使用する洗濯機外部の排水ホース(のみ)にこの構造のものを使用することは当業者が適宜なし得ることというべきである。 そうすると、相違点1は、当業者がきわめて容易になし得ることとするのが相当である。 (2)次に、同じく異議申立人が甲第3号証として提出した本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である実公昭57-9589号公報(以下「引用例3」という。)には、洗濯機排水部等に使用する蛇腹状のホースが記載されており、このものは、ホース本体を略直線状に形成した後曲げ加工によりL字形曲げ部を形成するものであると認められる(実用新案登録請求の範囲、第1?3図ほか参照)。 そうすると、相違点2も、当業者がきわめて容易になし得ることとするのが相当である。 (3)そして、前掲の本願考案の効果のうち、「外部で使用する部分を伸長姿勢と縮小姿勢とに大きく変更することができるので、洗濯機の外部においてホースの長さを大幅に変化させることができ、かつ、縮小姿勢から伸長姿勢に順次引き伸ばし、または、伸長姿勢から縮小姿勢に順次圧縮変化させることによって、この外部使用部分の全長を縮小姿勢とした長さと伸長姿勢とした長さとの間の任意の長さに伸縮させ、その長さを常に自己保持させた状態として使用することができる。」点は、引用例1記載の排水ホースが有する作用効果と変わらず、「低コストの曲げ形成部付きホースを得ることができる。」点も、引用例3に示されている。その他、本願考案を全体としてみても、当業者が予測できないような顕著な効果を奏するものであるとは認められない。 5.以上によれば、本願考案は、引用例1乃至引用例3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとするのが相当であって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-06-17 |
結審通知日 | 1999-06-29 |
審決日 | 1999-07-06 |
出願番号 | 実願平3-54817 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(D06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅田 幸秀、平瀬 博通 |
特許庁審判長 |
青山 紘一 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 和泉 等 |
考案の名称 | 洗濯機用ホース |