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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1002387
審判番号 審判1997-13071  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-07-31 
確定日 1999-09-08 
事件の表示 平成 3年実用新案登録願第 66113号「モールドモータ」拒絶査定に対する審判事件(平成 5年 3月 5日出願公開、実開平 5- 18248)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年8月21日の出願であって、その考案(以下、「本願考案」という。)は、平成9年4月25日付け及び平成9年8月8日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「ステータと、固定子巻線を巻装するとともに巻付用端子を圧入して突設し前記固定子巻線の線端を前記巻付用端子に半田付け接続してなるボビンと、プリント基板を備え、前記ボビンの上端部に爪を有する複数の突起を設け、前記プリント基板の端子挿入孔に前記巻付用端子を嵌入させるとともに、プリント基板に前記複数の突起の爪を係り合わせて固定することによりボビンとプリント基板を結合し、巻付用端子とプリント基板を半田付け接続し、全体を樹脂でモールドしてなるモールドモータ。」
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶理由で引用された特開昭62-64235号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次のとおりの記載が認められる。
▲1▼刊行物1
「本発明は、プリント基板を有し、固定子とプリント基板とを樹脂等によりモールドした電動機に関するものである。」(第1頁左欄第13?15行目)
「第1図?第3図において、1は電動機の固定子であり、この固定子1は環状の固定子コア2に絶縁用スプール3を介してコイル4がトロイダル状に巻回されたものである。固定子コア2は、その内周に内方へ突出する複数の歯部5を有している。前記絶縁用スプール3には鍔部6が設けられており、所定の鍔部6の上端には突起部7が設けられている。8はプリント基板であり、このプリント基板8には絶縁用スプール3の鍔部6の突起部7が嵌合する孔9が所定の箇所に設けられており、この孔9に前記鍔部6の突起部7を嵌合させることによって固定子1に取り付けられている。なお、この電動機においては、固定子1とプリント基板8とを樹脂10等によってモールドするものであるが、第1図および第2図においてはモールド前の状態を、第3図においてはモールドした状態を示している。」(第2頁左上欄第18行目?右上欄第15行目)
「一方の保持部材15aにおいて、溝16が形成されていない側の面には、この保持部材15aの長手方向に延びる係合突部20が立設されている。この係合突部20の上端には長手方向に延びる係止部21が設けられている。
また、プリント基板8において、口出線11の接続部12の近傍には、前記ブッシング14の係合突部20が係合する係合孔部22が設けられている。
したがって、ブッシング14の係合突部20をプリント基板8の係合孔部22に挿入し、係合突部20の係止部21を係合孔部22の縁に係合させることにより、ブッシング14がプリント基板8に対して固定される。」(第2頁左下欄第17行目?右下欄第10行目)
上記の記載を参酌すれば、刊行物1には、固定子コア2と、固定子巻線を巻装してなる絶縁用スプール3と、プリント基板8を備え、前記絶縁用スプール3の上端部に複数の突起部7を設け、プリント基板8の孔9に前記複数の突起部7を係り合わせて固定することにより絶縁用スプール3とプリント基板8を結合し、全体を樹脂でモールドしてなるモールドモータが記載されているものと認められる。
3.対比
そこで、本願発明と刊行物1に記載されたものとを対比する。
刊行物1における「固定子コア2」、「絶縁用スプール3」及び「突起部7」は、本願考案における「ステータ」、「ボビン」及び「突起」に相当するものと認められる。
したがって、両者は「ステータと、固定子巻線を巻装してなるボビンと、プリント基板を備え、前記ボビンの上端部に複数の突起を設け、プリント基板8に前記複数の突起を係り合わせて固定することによりボビンとプリント基板を結合し、全体を樹脂でモールドしてなるモールドモータ」である点で一致しており、次の点で相違している。
相違点1
本願考案のボビンは巻付用端子を圧入して突設し固定子巻線の線端を前記巻付用端子に半田付け接続してなり、プリント基板の端子挿入孔には前記巻付用端子を嵌入させ両者を半田付け接続するのに対し、刊行物1に記載されたものではその点が明らかでない。
相違点2
ボビンとプリント基板の結合について、本願考案では、ボビンの上端部に設けられた複数の突起が爪を有し、プリント基板にボビンに設けられた前記爪を係り合わせて固定するのに対し、刊行物1に記載されたものでは、プリント基板の孔に複数の突起を係り合わせて固定している点。
4.判断
そこで、上記各相違点について検討する。
相違点1について、ボビンに巻付用端子を圧入して突設し、固定子巻線の線端を前記巻付用端子に半田付け接続し、プリント基板の端子挿入孔に前記巻付用端子を嵌入させ両者を半田付け接続するものは、従来周知の技術的事項である(必要であれば、原査定の拒絶の理由で引用した、実願昭63-93511号(実開平2-17948号)のマイクロフィルム(第2頁第14行目?第3頁第4行目及び第4図)、実願昭60-164740号(実開昭62-73288号)のマイクロフィルム(第4頁第15行目?第5頁第7行目及び第1?2図)、実願昭59-20099号(実開昭60-132159号)のマイクロフィルム(第1頁第15行目?第2頁第8行目及び第1?2図)及び実願昭61-157774号(実開昭63-66083号)のマイクロフィルム(第4頁第12行目?第5頁第2行目及び第1?4図)参照)。
したがって、刊行物1に記載されたものにおいて、固定子巻線の線端とプリント基板との接続関係について明らかではないが、従来周知の接続手段を用いて本願考案のように構成する程度のことは当業者であればきわめて容易に想定し得るものと認められる。
相違点2について、ボビンとプリント基板の結合手段としてボビンの端部に爪を設けプリント基板に前記爪を係り合わせて固定するものは、従来周知の技術的事項である(必要であれば、実願昭63-93511号(実開平2-17948号)のマイクロフィルム(第2頁第7?13行目及び第4図)、実願昭57-149962号(実開昭59-116885号)のマイクロフィルム(第2頁第5?9行目及び第1図(a))及び実願昭53-123542号(実開昭55-40663号)のマイクロフィルム(第4頁第19行目?第5頁第3行目及び第3図)参照)。
したがって、刊行物1に記載されたものにおいて、ボビンとプリント基板とを結合するにあたり、ボビンの上端部に設けられた複数の突起に爪を設け、プリント基板の孔に係り合わせて固定する程度のことは従来周知の技術的事項から当業者ならばきわめて容易になし得るものと認められる。
よって、刊行物1に記載されたものにおいて、固定子巻線の線端とプリント基板との接続手段として、ボビンに巻付用端子を圧入して突設し、固定子巻線の線端を前記巻付用端子に半田付け接続し、プリント基板の端子挿入孔に前記巻付用端子を嵌入させ両者を半田付け接続するものを採用し、また、ボビンの上端部に設けられた複数の突起に爪を設け、プリント基板の孔に係り合わせて固定して、本願考案のように構成する程度のことは、従来周知の技術的事項から当業者ならばきわめて容易になし得たことと認められる。そして、本願考案は、上記構成を採ることにより格別の効果を奏しているものとも認められない。
5.むすび
したがって、本願考案は、刊行物1に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-30 
結審通知日 1999-07-13 
審決日 1999-07-23 
出願番号 実願平3-66113 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 小川 恭司平田 信勝  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 岩本 正義
石川 好文
考案の名称 モールドモータ  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  

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