ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て B62D |
---|---|
管理番号 | 1002410 |
異議申立番号 | 異議1998-73911 |
総通号数 | 3 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-03-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-08-05 |
確定日 | 1999-06-30 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2562421号「車両用パワーステアリング装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2562421号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
(1)本件考案 本件実用新案登録第2562421号(平成2年8月27日出願、平成9年10月31日設定登録。)の請求項1に係る考案は、明細書と図面の記載からみて、その明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 (2)申立ての理由の概要 登録異議申立人豊田工機株式会社は、証拠として甲第1号証(特開昭58-188752号公報)、甲第2号証(特開昭58-224856号公報)を提出し、請求項1に係る考案は、甲号各証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであると主張している。 (3)甲号各証に記載の考案 甲第1号証には、「モータ18を利用して操舵力を補助する車両用パワーステアリング装置であって、操舵速度を検出する操舵センサ21と、車速センサ19と、該モータ18の出力を、車両の走行速度の増大に応じて減少させ且つ操舵速度の増大に応じて増大するように制御する制御手段を備えた車両用パワーステアリング装置」を構成とする考案が記載されている。 甲第2号証には、「車速の増大とともにモータ13に通電する電流値を減少してモータ13の回転数を低下させ」(公報第7頁右上欄第19行?第20行)という記載事項からみて、実質的に、低車速時ほどモータ13の回転数を高くするように制御することが開示されているものと認められると共に、「モータ13の負荷が増大した場合、電流制御回路16は、モータ13に通電する電流値を増大してモータ13の出力トルクを増大させ、車速に対して設定された回転数を維持する。」(公報第8頁右上欄第17行?第20行)という技術事項、及び「モータ13の負荷を検出するための電流値検出手段32が設けられている。」(公報第5頁右上欄第5行?第6行)という技術事項が記載されている。 (4)対比・判断 本件請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)と甲第1号証に記載された考案とを対比すると、両者は、「電動モータを利用して操舵力をアシストする車両用パワーステアリング装置であって、操舵速度を検出する操舵速度センサと、車速センサと、該電動モータの出力を、車速の増大に応じて減少させ且つ操舵速度の増大に応じて増大するように制御する制御手段とを備える車両用パワーステアリング装置」の点で一致するが、本件考案が、「前記電動モータの負荷を検出する負荷センサを設け、該制御手段を、該モータの負荷が所定値以上で且つ所定の車速以下のとき該モータの出力を増大させるように構成した」という技術事項を構成要件として付加しているのに対し、甲第1号証に記載された考案は、このような技術事項を有していない点で、両者は相違している。 そこで、この相違点について検討するに、甲第2号証を精査するも、同号証には、モータ13の負荷を検出するための電流値検出手段32が設けらるていることが記載されているとはいえ、この検出手段32によって得られる情報が、本件考案と同じ技術的意味において「モータの出力を増大させる」ためのパラメータの役割をしておらず、また、同号証には、低車速時ほどモータ13の回転数を高くするように制御すると共に、モータ13の負荷が増大した場合、電流制御回路16は、モータ13に通電する電流値を増大してモータ13の出力トルクを増大させ、車速に対して設定された回転数を維持することも記載されていると認められるが、これは、本件考案の、請求項1に記載された「?おいて」までの前段の構成及び甲第1号証に記載の構成により得られる技術的意味と概略変わらぬものであって、本件考案の、前記の前段でいう構成に、更に、「前記電動モータの負荷を検出する負荷センサを設け、該制御手段を、該モータの負荷が所定値以上で且つ所定の車速以下のとき該モータの出力を増大させるように構成した」という技術事項を付加することまで開示するものではない。 本件考案は、前記した甲号各証には記載されていない構成によって、乗員を含む積載荷重が変化した場合に操舵反力の変化が大きくなる極低車速時を含めた停車時において操舵反力の変化を抑制でき、操作フィーリングを良好にできる、という本件考案に特有の効果を奏するものと認められるので、本件考案のこの構成について甲号各証に記載されたものから当業者がきわめて容易に想到することができたとはいうことができない。 (5)むすび したがって、本件考案は、甲号各証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認めることはできない。 また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-06-17 |
出願番号 | 実願平2-88328 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(B62D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山内 康明 |
特許庁審判長 |
玉城 信一 |
特許庁審判官 |
井口 嘉和 黒瀬 雅一 |
登録日 | 1997-10-31 |
登録番号 | 実用登録第2562421号(U2562421) |
権利者 |
本田技研工業 株式会社 東京都港区南青山2丁目1番1号 |
考案の名称 | 車両用パワーステアリング装置 |