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審決分類 |
審判 補正却下不服 B65D |
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管理番号 | 1003967 |
審判番号 | 審判1997-50198 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-04-28 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 1997-12-24 |
確定日 | 1999-10-13 |
事件の表示 | 平成5年実用新案登録願第23358号「液体保存用管状容器とその新包装形態」において、平成9年4月22日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
I.本願は、平成5年3月27日の出願であって、平成9年4月22日付手続補正書により補正がなされたところ、平成9年11月10日に原審において該手続補正について補正の却下の決定がなされたものである。 II.原審における補正の却下の決定の理由は次のとおりのである。 「補正された明細書では、管状容器内に注入された液体を第1開口端から流れ出さないようにするための手段として、中空管体の内径又は液体の容量もしくは比重等を適宜調整することが追加された。 しかし、この補正は、明細書の実用新案登録請求の範囲に記載した技術的事項の裏付けをなす部分についての管状容器に係る補正であり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつ同明細書又は図面の記載からみて自明のこととも認められない。 従って、上記補正によって、考案の構成に関する技術的事項は、出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内でないものとなる。 以上、上記補正は明細書の要旨を変更したものと認められ、実用新案法第13条の規定によって準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。」 III.上記補正却下の決定の理由の是非について検討する。 (1)中空管体の内径を適宜調整する旨の記載について 出願当初の明細書には、【考案の詳細な説明】の【作用】の項に「本考案の一本の細い中空の管状容器」、「開口端を下方に向けたときにも、・・・・・溶液が、開口端から溢れ出るのを確実に防ぐためである。」と記載されており、中空管体が細い(径が小さい)こと及び溶液が下方に向いた開口端から流出しないことが記載されているものと認められる。この場合の中空管体の細さ(径の小ささ)は溶液が下方に向いた開口端から流出しない程の細さであることが必要であることは、技術常識から考えて当然のことであるから、該技術常識を勘案すれば、出願当初明細書には、中空管体の径を下方に向いた開口端から溶液が流出しない程度の細さにする(すなわち、適宜調整する)ことが記載されていたに等しいものと認められる。 (2)液体の容量もしくは比重等を適宜調整する旨の記載について 出願当初の明細書には、【考案の詳細な説明】の【課題を解決するための手段】の項に「大容量あるいは比重の大きい液体を貯蔵する場合には、中空管体は、かならず両方の開口端をともに密封する。」と記載されている。これは、「大容量あるいは比重の大きい液体を貯蔵する場合」でない場合は必ずしも開口端をともに密封する必要がないケースが生ずることを前提にしている。したがって、上記記載は、開口端の一方を密封しない場合は、液体の容量を小さくし、かつ、比重を小さくする必要があることと等価な記載であり、その小ささの程度は、技術常識から考えて、密封していない開口端から液体が流出しない程度であることは当然である。すなわち、該技術常識を勘案すれば、出願当初明細書には、液体が流出しない程度に、液体の容量を小さくし、かつ、比重を小さくする(すなわち、適宜調整する)ことが記載されていたに等しいものと認められる。 よって、上記手続補正書によって補正された事項は、出願当初の明細書または図面に記載された範囲内の事項と認められ、明細書の要旨を変更するものではない。 IV.以上のとおりであるから、上記手続補正が明細書の要旨を変更するものと判断して、これを却下した原決定は失当である。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 1999-08-31 |
出願番号 | 実願平5-23358 |
審決分類 |
U
1
7・
2-
W
(B65D)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 種子 浩明 |
特許庁審判長 |
佐藤 雪枝 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 西村 綾子 |
考案の名称 | 液体保存用管状容器とその新包装形態 |
代理人 | 高島 一 |