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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1003980
審判番号 審判1998-4056  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-03-18 
確定日 1999-10-29 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第80299号「内容物を絵模様で表示した合成樹脂製容器」拒絶査定に対する審判事件(平成6年5月27日出願公開、実開平6-39730)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年10月27日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成9年11月11日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「内容物を示すフルーツに加え、その茎,葉などを極めて実物に近いように写実的に着色印刷した絵模様を表示した熱成形可能なプラスチックシートで熱成形され、絞り比が1:0.3?1.15の範囲の容器であって、該容器の外周表面における目視面積内に、絵模様のない20?70%の空隙部分をもち、且つ容器の高さ方向においてその高さに対して40?90%の比率で前記絵模様の1ユニットの大きさが設定され、さらに、該絵模様は少なくとも1ユニット以上の内容物を目視面積内に表示したものであることを特徴とする内容物を絵模様で表示した合成樹脂製容器。」(以下、「本願考案」という。)」
2.引用例
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された、実願昭59-127696号(実開昭61-43189号)のマイクロフイルム(以下「引用例」という。)には、「表面に印刷が施された透明プラスチックシートを材料として真空又は圧空成形された容器において、印刷によって表現された動物、植物、乗物等の図形を容器表面に膨出せしめ、該膨出図形には、その図形要表を構成する透明部を設け、該透明部から透視される内容物自体が図形要素に適合した色彩を色どるように構成された粘性食品の容器。」(実用新案登録請求の範囲)、及び、「本案の技術的課題は容器の全表面に印刷を施し意匠の強力な表現力をえながら同時に内部を消費者にみせ購買意欲を起こさせるような粘性食品の容器を提供しようとするものである。」(明細書第3頁14行?18行)が記載されている。
3.対比
そこで、本願考案と引用例に記載された考案とを対比すると、引用例記載の考案の「真空又は圧空成形された容器」は本願考案の「熱成形された容器」に、また、引用例記載の考案の「表面に植物の図形の印刷が施された透明部を設けた図形要素」は、本願考案の「内容物を示す食品の実物に近いように写実的に着色印刷した絵模様」に、それぞれ相当するものと認められるから、両者は、「内容物を示す食品の実物に近いように写実的に着色印刷した絵模様を表示した熱成形可能なプラスチックシートで熱成形された容器であって、該容器の外周表面における目視面積内に、絵模様のない空隙部分をもち、且つ容器の高さ方向においてその高さに対してある比率で前記絵模様が設定され、さらに、該絵模様は内容物を目視面積内に表示したものであることを特徴とする内容物を絵模様で表示した合成樹脂製容器。」である点で一致し、本願考案が次の、▲1▼?▲5▼の点を有するのに対し、引用例記載の考案はそのような構成を有していない点で相違する。
▲1▼.食品であるフルーツの「該フルーツに加え、その茎,葉などを極めて」実物に近いような絵とする点。
▲2▼.容器の「絞り比が1:0.3?1.15の範囲」とする点。
▲3▼.絵模様のない空隙部分を「20?70%の」範囲とする点。
▲4▼.容器の高さ方向においてその高さに対して「40?90%の」比率として、フルーツの模様の「1ユニットの大きさ」が描かれるように設定する点。
▲5▼.該絵模様は「少なくとも1ユニット以上の」内容物を目視面積内に表示したものであるようにする点。
4.当審の判断
前記各相違点について検討する。
引用例の課題を示す記載「本案の技術的課題は容器の全表面に印刷を施し意匠の強力な表現力をえながら同時に内部を消費者にみせ購買意欲を起こさせるような粘性食品の容器を提供しようとするものである。」は、当業者において容器の内容物を審美性を重視して販売するように工夫していることを十分に示唆しているものと認められる。
そして、
▲1▼.の点については、食品をフルーツとすることは当業者において従来周知・慣用の事項であり、また、そのフルーツに加え、その茎、葉などを極めて実物に近いような絵とすることも、引用考案記載の上記技術的課題に照らして考察すれば、当業者がきわめて容易に想到し得る事項であると認められる。
▲2▼.の点については、食品容器の形状およびバランスを考慮すれば、容器の絞り比は本願考案の絞り比の範囲にあるものが通常の範囲であると認められ、かつ、容器の絞り加工する技術において、本願考案の絞り比の範囲に設定することが当業者の技術として特殊な工夫を要するものとも認めがたいことから、▲2▼.の点も当業者がきわめて容易になし得る事項であると認められる。
▲3▼.の点については、絵模様のない空隙部分の範囲は、容器に描かれた絵画のバランスや審美性を考慮するならば、全体に対するフルーツの絵の部分とその他の部分との比を、この程度の範囲に設定するのが妥当なことであると考察される。さらに、本願考案の空隙部分をこの範囲に設定することが、当業者の審美性を考慮する上で、特別な工夫を要したものとも認めがたいので、この▲3▼.の点も当業者がきわめて容易になし得る事項であると認められる。
▲4▼.の点については、これも上記▲3▼.と同様な理由でバランスを考慮し、全体に対する妥当な高さの範囲でもって、1ユニットの大きさを表示することが、当然のことと考察されるから、当業者がきわめて容易になし得る事項であると認められる。
▲5▼.の点については、これも上記▲3▼.▲4▼.と同様な理由で、バランスや審美性から判断しても、少なくとも1ユニット以上の絵を描くことは当然のことと考察されるから、当業者がきわめて容易になし得る事項であると認められる。
5.むすび
したがって、本願考案は、本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である引用例に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-08-18 
結審通知日 1999-08-24 
審決日 1999-08-18 
出願番号 実願平4-80299 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 原 慧  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 市野 要助
祖山 忠彦
考案の名称 内容物を絵模様で表示した合成樹脂製容器  
代理人 有原 幸一  
代理人 奥山 尚一  
代理人 秋山 暢利  
代理人 奥山 尚男  
代理人 武田 正男  

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