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審決分類 審判 全部申し立て   F16C
管理番号 1004035
異議申立番号 異議1998-71828  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-15 
確定日 1999-05-12 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2550534号「ころ軸受用保持器」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2550534号の実用新案登録を取り消す。
理由 1、手続の経緯
本件実用新案登録第2550534号の考案は、平成3年7月4日に出願され、平成9年6月20日に設定登録され、その後、登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年8月27日に訂正請求がなされ、さらに、訂正拒絶理由通知がなされたところ、その指定期間内に何ら応答がなかったものである。
2、訂正の適否
(1)訂正明細書請求項1に係る考案
訂正明細書請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲請求項1に記載される次の事項により特定されるとおりのものである。
「円筒形の保持器に備える円周数箇所のポケットそれぞれに針状ころを収納してなる内外輪無しの針状ころ軸受であって、前記保持器の周方向に隣り合うポケット間の柱部において、軸方向中央部が、ポケットの軸方向長さよりも短い幅でかつポケットに収容されるころのピッチ円径よりも外周側にまで達する内周溝により径方向厚みが軸方向両端部分に比べて薄肉に形成されているとともに、この軸方向中央部の周方向幅が軸方向両端部分に比べて幅狭に設定されかつポケットの最小周方向幅がポケットに収容されるころの径よりも大きく設定されていて、ポケット内でころが径方向内外へ抜け出し自由とされており、かつ、前記針状ころの端面の曲率半径を、ころ直径の60?80%に設定していることを特徴とする針状ころ軸受。」
(2)引用刊行物記載の考案
刊行物1:NTN TECHNICAL REVIEW No.55「ニードルローラベアリング特集号」(1989年3月号 エヌ・テー・エヌ東洋ベアリング株式会社発行、第118頁、国立国会図書館平成1年4月7日受入)
刊行物2:実願昭51-33608号(実開昭52-124353号)のマイクロフィルム。
刊行物3:ベアリング、社団法人日本ベアリング工業会、昭和58年10月25日発行、第26巻第10号第20頁。
刊行物2には、内外輪無しのローラベアリングのケージにおいて、円筒形のケージに備える円周数箇所の窓それぞれにローラを収納し、ケージの周方向に隣り合う窓間に柱部が形成されていることが、記載されており、このようなことは周知の事項と認められる。
そして、このような周知の事項を踏まえて刊行物1に記載されたコンロッド大端用保持器付針状ころ門形Hタイプを示す図2-bとこれの上方の分解斜視図及び当該タイプの説明をみると、刊行物1には、「円筒形の保持器に備える円周数箇所のポケットそれぞれに針状ころを収納してなる内外輪無しの針状ころ軸受であって、前記保持器の周方向に隣り合うポケット間の柱部において、軸方向中央部が、ポケットの軸方向長さよりも短い幅でかつポケットに収容されるころのピッチ円径よりも外周側にまで達する内周溝により径方向厚みが軸方向両端部分に比べて薄肉に形成されているとともに、この軸方向中央部の周方向幅が軸方向両端部分に比べて幅狭に設定されかつポケットの最小周方向幅がポケットに収容されるころの径よりも大きく設定されていて、ポケット内でころが径方向内外へ抜け出し自由とされている針状ころ軸受」が記載されているものと認められる。
刊行物3には、転がり軸受に関する国際規格において、針状ころの推奨寸法として、針状ころの呼び直径をDw、針状ころの呼び長さをLwとしたとき、丸面形針状ころの端部半径の許容限界は最小端部半径RminはDw/2であり、最大端部半径RmaxはLw/2であるとし、「3.寸法」の表中に丸面針状ころの具体的な寸法が記載されている。この具体的な寸法の記載された丸面針状ころについて、Rmin、RmaxをDwに対する値に計算し、丸面針状ころの端面半径Rを表すと、Rmin=0.5Dw≦R≦4.98Dwとなって、結局刊行物3には、丸面針状ころの端面半径がころ直径の50?498%の範囲にあるものが記載されている。
(3)対比・判断
訂正明細書請求項1に係る考案と前記刊行物1に記載の考案とを対比すると、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
「一致点」
「円筒形の保持器に備える円周数箇所のポケットそれぞれに針状ころを収納してなる内外輪無しの針状ころ軸受であって、前記保持器の周方向に隣り合うポケット間の柱部において、軸方向中央部が、ポケットの軸方向長さよりも短い幅でかつポケットに収容されるころのピッチ円径よりも外周側にまで達する内周溝により径方向厚みが軸方向両端部分に比べて薄肉に形成されているとともに、この軸方向中央部の周方向幅が軸方向両端部に比べて幅狭に設定されかつポケットの最小周方向幅がポケットに収容されるころの径よりも大きく設定されていて、ポケット内でころが径方向内外へ抜け出し自由とされている針状ころ軸受」である点。
「相違点」
訂正明細書請求項1に係る考案は、針状ころの端面の曲率半径を、ころ直径の60?80%に設定しているのに対し、前記刊行物1に記載の考案は針状ころの端面の曲率半径をどれ位に設定したか不明な点。
前記相違点について検討する、
針状ころの端面の曲率半径をころ直径の60?80%と設定したものは、前記刊行物3に記載の転がり軸受の針状ころの国際規格における推奨寸法の範囲内にあるように、針状ころとして通常のものと認められるから、針状ころの端面の曲率半径を、前記寸法に設定することは、当業者がきわめて容易になし得る設計事項である。また、権利者は前記寸法に設定したことにより、潤滑油が流れ込み易くなる旨主張しているが、当該流れ込み易さは、針状ころの端面の曲率半径とポケットの四隅形状との関係できまることであるから、この主張は認められない。
なお、針状ころの接触線が長い程針状ころの負荷容量が大きくなることは、当業者にとってきわめて容易に推測できることにすぎない。
(4)むすび
したがって、訂正明細書請求項1に係る考案は、前記刊行物1及び3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項によって準用する特許法第120条の4第3項において準用する同第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3、実用新案登録異議申立てについての判断
(1)本件考案
本件請求項1に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された次の事項によって特定されるとおりのものと認める。
「円筒形状をなし、円周数箇所にころ収容用ポケットが形成されたころ軸受用保持器であって、保持器の周方向に隣り合うポケット間の柱部において、軸方向中央部が、ポケットの軸方向長さよりも短い幅でかつポケットに収容されるころのピッチ円径よりも外周側にまで達する内周溝により経方向厚みが軸方向両端部分に比べて薄肉に形成されているとともに、この軸方向中央部の周方向幅が軸方向両端部分に比べて幅狭に設定されかつポケットの最小周方向幅がポケットに収容されるころの径よりも大きく設定されていて、ポケット内でころが径方向内外へ抜け出し自由とされている、ことを特徴とするころ軸受用保持器。」
(2)刊行物1に記載の考案
刊行物1には、上記2、(2)で説示したとおりの針状ころ軸受に係る考案が記載されている。
(3)本件考案と刊行物1に記載された考案との対比・判断
本件請求項1に係る考案と刊行物1に記載された考案とを対比すると、両者に異なるところがないから、両者は同一の考案と認めることができる。
したがって、本件請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。
4、むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る実用新案登録は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項によって準用する特許法第113条第2号に該当する。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-02-26 
出願番号 実願平3-51749 
審決分類 U 1 651・ 113- ZB (F16C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 秋月 均  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 神 悦彦
新海 栄
登録日 1997-06-20 
登録番号 実用登録第2550534号(U2550534) 
権利者 光洋精工株式会社
大阪府大阪市中央区南船場3丁目5番8号
考案の名称 ころ軸受用保持器  
代理人 岡田 和秀  
代理人 和田 成則  
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