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審決分類 審判 全部申し立て   F23D
審判 全部申し立て   F23D
管理番号 1004049
異議申立番号 異議1998-72214  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-28 
確定日 1999-05-12 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2554361号「燃焼装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2554361号の実用新案登録を取り消す。
理由 【1】 手続きの経緯
実用新案登録出願 平成4年1月22日(1992.1.22)
登録実用新案権設定登録平成9年7月25日(1997.7.25)
登録異議の申立て 平成10年4月28日(1998.4.28)
取消理由通知 平成10年7月30日(1998.7.30)
訂正請求 平成10年10月2日(1998.10.2)
訂正拒絶理由通知 平成10年11月13日(1998.11.13)
【2】 訂正の適否
[1] 本件訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案の構成に欠くことができない事項は、訂正明細書及び図面の記載からみて、次のとおりのものと認める。
「噴出口5が形成されたノズルホルダー2の先端部と、中央にリターン穴3が形成されたディストリビュータ24の先端との間に、周壁の旋回溝6から続く旋回室7を有する燃料噴射ノズル1と、該燃料噴射ノズル1に燃料を供給する燃料ポンプ11を備えた燃料供給路8と、油比例弁13を備え前記燃料噴射ノズル1内のリターン穴3と燃料タンク9とを連通したリターン流路12とを備え、油比例弁13による燃料タンク9に戻る燃料のリターン量制御によって燃焼量を制御するものに於いて、前記リターン流路12途中で油比例弁13より燃料噴射ノズル1側には、圧力緩衝用のダイヤフラムから成るアキュムレータ14と逆止弁15とを、該逆止弁15が燃料噴射ノズル1側となるようにして備えた事を特徴とする燃焼制御装置。」
[2] 平成10年11月13日付け訂正拒絶理由通知において引用した本件登録実用新案に係る実用新案登録出願前に日本国内において頒布した刊行物である特開平3-274314号公報(以下、引用刊行物という)には次の考案が記載されている。
先端ノズル開口部が形成された部材の先端部と、中央に戻り流路が形成された部材の先端との間に、噴出流路を有する戻り式圧力噴霧ノズルと、該戻り式圧力噴霧ノズルに燃料を供給するポンプを備えた往き油管と、流量調整弁を備え前記戻り式圧力噴霧ノズル内の戻り流路と貯油タンクとを連通した戻り油管とを備え、流量調整弁による貯油タンクに戻る燃料のリターン量制御によって燃焼量を制御するものにおいて、流量調整弁の上流側に圧力緩衝用のアキュムレータを設けたものとし、さらに、その上流に逆止弁を設けた燃焼制御装置。
そして、引用刊行物に記載された考案における先端ノズル開口部は、噴出口と、以下同じく、先端ノズル開口部が形成された部材は、ノズルホルダーと、戻り流路は、リターン穴と、戻り流路が形成された部材は、ディストリビュータと、戻り式圧力噴霧ノズルは、燃料噴射ノズルと、ポンプは、燃料ポンプと、流量調整弁は、油比例弁と、戻り油管は、リターン流路と、貯油タンクは、燃料タンクと、往き油管は、燃料供給路と、燃焼量可変装置は、燃焼制御装置と、それぞれ表現し得るものと認める。
また、引用刊行物に記載された考案は、油比例弁を上流側にアキュムレータを設けたものとし、さらに、その上流に逆止弁を設けていることからして、リターン流路途中で油比例弁より燃料噴射ノズル側には、アキュムレータと逆止弁とを、該逆止弁が燃料噴射ノズル側となるようにして備えいるものとすることができる。
[3] 本件訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案と引用刊行物に記載された考案とを比較すると、噴出口が形成されたノズルホルダーの先端部と、中央にリターン穴が形成されたディストリビュータの先端との間に、噴出流路を有する燃料噴射ノズルと、該燃料噴射ノズルに燃料を供給する燃料ポンプを備えた燃料供給路と、油比例弁を備え前記燃料噴射ノズル内のリターン穴と燃料タンクとを連通したリターン流路とを備え、油比例弁による燃料タンクに戻る燃料のリターン量制御によって燃焼量を制御するものにおいて、前記リターン流路途中で油比例弁より燃料噴射ノズル側には、圧力緩衝用のアキュムレータと逆止弁とを、該逆止弁が燃料噴射ノズル側となるようにして備えた燃焼制御装置である点で一致し、次の点においてのみ相違する。
相違点1:燃料噴射ノズルの噴出流路について、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案においては、周壁の旋回溝から続く旋回室を有するものとしているのに対して、引用刊行物に記載された考案においては、特定のものとされていない点。
相違点2:アキュムレータについて、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案においては、ダイヤフラムからなるものとしているのに対して、引用刊行物に記載された考案には、ダイヤフラムを用いたものではない点。
そこで、前記相違点1について検討する。
ノズルホルダーの先端部とディストリビュータの先端との間に周壁の旋回溝から続く旋回室を有する燃料噴射ノズルは、本件登録実用新案に係る実用新案登録出願の出願前において周知慣用のものである。
そして、このような燃料噴射ノズルを引用刊行物に記載された考案における燃料噴射ノズルに換えて用いても、その燃料噴射ノズルが有する固有の機能を奏するにすぎないから、この相違点において掲げた訂正明細書の新案登録請求の範囲に係る考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものである。
つぎに、前記相違点2について検討する。
ダイヤフラムからなるアキュムレータは、本件登録実用新案に係る実用新案登録出願の出願前において周知慣用のものである。
そして、このようなアキュムレータを引用刊行物に記載された考案におけるアキュムレータに換えて用いても、そのアキュムレータが有する固有の機能を奏するにすぎないから、この相違点において掲げた訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案の構成のごとくすることは、当業者がきわめて容易に考えることができたものである。
さらに、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案を全体としてみても、引用刊行物に記載された考案及び本件登録実用新案に係る実用新案登録出願の出願前において周知慣用の技術手段の有する効果の総和以上の新たな効果を奏するものとも認めることができない。
以上のとおりであるから、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案は、引用刊行物に記載された考案及び本件登録実用新案に係る実用新案登録出願の出願前における周知慣用の技術手段に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
[4] よって、本件訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第3項においてさらに準用する特許法第126条第4項の規定に違反するので、当該訂正請求は認められない。
【3】 登録異議申立てについて
[1] 本件登録実用新案に係る考案の構成に欠くことができない事項は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「燃料噴射ノズル1に燃料を供給する燃料ポンプ11を備えた燃料供給路8と、油比例弁13を備え前記燃料噴射ノズル1内のリターン穴3に連通したリターン流路12とを備え、油比例弁13による燃料のリターン量制御によって燃焼量を制御するものに於いて、前記リターン流路12途中で油比例弁13より燃料噴射ノズル1側には、圧力緩衝用のアキュムレータ14と逆止弁15とを、該逆止弁15が燃料噴射ノズル1側となるようにして備えた事を特徴とする燃焼装置。」
[2] 本件登録実用新案に係る考案は、本件訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された考案と比較して、前記本件訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に係る考案と引用刊行物に記載された考案との比較において掲げた前記相違点1及び相違点2においてのみ相違する。
したがって、本件登録実用新案に係る考案は、引用刊行物に記載された考案と同一の考案である。
[3] 以上のとおりであるから、本件登録実用新案に係る考案は、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、同法同条同項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
したがって、本件実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-03-19 
出願番号 実願平4-6651 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (F23D)
U 1 651・ 113- ZB (F23D)
最終処分 取消    
前審関与審査官 東 勝之  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 鈴木 孝幸
桐本 勲
登録日 1997-07-25 
登録番号 実用登録第2554361号(U2554361) 
権利者 株式会社コロナ
新潟県三条市東新保7番7号
考案の名称 燃焼装置  

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