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審決分類 審判 全部申し立て   E01C
管理番号 1004059
異議申立番号 異議1998-71253  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-03-06 
確定日 1999-06-11 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2547206号「アスファルトリサイクルプラントの脱臭装置」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2547206号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 【1】手続の経緯
本件実用新案登録第2547206号は、平成5年5月12日に出願され、平成9年5月16日に実用新案権の設定登録がなされ、その後、日工株式会社より、実用新案登録異議の申立てがなされ、次いで、平成10年7月31日に実用新案登録取消の理由が通知され、その指定期間内に異議意見書の提出がなされたものである。
【2】本件請求項1及び請求項2に係る考案
本件請求項1及び請求項2にに係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項によって構成される以下のとおりのものである。
「【請求項1】燃焼室と連通するアスファルト舗装廃材加熱用のドライヤと、該ドライヤに連接する集塵装置とを備え、かつ該集塵装置からの排ガスの一部を上記燃焼室に環流し、残りの排ガスを直接脱臭炉から外部へ排出するアスファルトリサイクルプラントにおいて、
上記脱臭炉へに至る排気ダクトに、風量調整用のダンパを備えた排風機を配設するとともに、上記脱臭炉に、測温器からの排ガス温度情報をもとに燃焼温度を排ガスの酸化分解に必要な温度に維持するバーナを配設したことを特徴とするアスファルトリサイクルプラントの脱臭装置。
【請求項2】上記脱臭炉に至る排気管路の一部に、熱交換器を配設したことを特徴とする請求項1記載のアスファルトリサイクルプラントの脱臭装置。」
【3】取消理由の概要
当審で通知した取消理由の概要は、以下のものである。
本件請求項1及び請求項2に係る考案は、刊行物1(特開平4-202903号公報)、刊行物2(実願平1-139326号(実開平3-79031号)のマイクロフィルム)及び刊行物3(特開昭60-73209号公報)に記載の事項及び周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。
【4】引用刊行物に記載の事項
<刊行物1>
『本発明は・・・排気煙道下流に触媒を充填した脱臭装置を配設して脱臭可能としたアスファルト舗装廃材再生装置を提供することを目的とするものである。』(第1頁右下欄第14行乃至第17行)
『1は廃材を加熱再生するドライヤであって、・・・円筒状のドラム3を・・・回転駆動させている。6はドラム3の一端部に配設したホットホッパであって、該ホットホッパ6側にはバーナ7が配設してあり、バーナ7の前方には・・・燃焼室を備えている。9はドラム3の他端部に配設したコールドホッパであって、、該コールドホッパ9にはドラム3の排ガスを導出させる排気煙道10が連結してある。該排気煙道10にはドラム3から導出する排ガス中の粉塵の内、粗粒分を捕集する乾式サイクロン11や、微粒分を捕集するバグフィルタ12が配設してあり、更にバグフィルタ12の下流には排ガス中の悪臭成分を300℃?350℃程度の温度により酸化分解を促進させる触媒を充填した脱臭装置13及び排ガスを吸引して適正なガス流を維持させる排風機14が配設してある。そして脱臭装置13を通過して排風機14により吸引された清浄な排ガスは煙突15から大気中に放出される。・・・16は前記乾式サイクロン11の下流側の排気煙道10を分岐して設けた循環煙道であり、該循環煙道16途中に風量調整用ダンパ17と共に循環排風機18を配設し、その末端部を燃焼室8に連結してドラム3より導出する排ガスを燃焼室8へと還元し、排ガス中の悪臭の一部を直接燃焼させている。・・・コールドホッパ9から排出される加熱廃材』(第2頁右上欄14行乃至右下欄第8行及び第1図)
上記記載及び第1図の記載からみて、
刊行物1には、「燃焼室8と連通するアスファルト舗装廃材加熱用のドライヤ1と、該ドライヤ1に連設し加熱廃材を排出するコールドホッパ9、及び、該コールドホッパ9に排気煙道10を介して接続される、排ガス中の粉塵の内、粗粒分を捕集する乾式サイクロン11とを備え、かつ該乾式サイクロン11からの排ガスの一部を上記燃焼室8に還元し、残りの排ガスを触媒を充填した脱臭装置13から排風機14を介して外部へ排出するアスファルト舗装廃材再生装置において、脱臭装置13からの排気煙道10に排風機14を配設した」点について記載されていると認められる。
<刊行物2>
『アスファルト廃材加熱用排ガス脱臭装置1の近傍には再生アスファルト製造装置2が配設されている。再生アスファルト製造装置2には、入口側にバーナ3が設けられ、更に燃焼室4,ドライヤ5,ノックアウトボックス(又は乾式サイクロン)6が連設されている。アスファルト廃材はドライヤ5に搬入されて乾燥され、再生アスファルト合材として利用される。アスファルト廃材加熱用排ガス脱臭装置1として、ノックアウトボックス6が配設されている。更に、再燃焼バーナ9,再燃焼室10,熱交換器11及び冷却室12等が設けられている。13は再燃焼バーナ10の燃焼状態をコントロールするためのバーナコントローラであり、14は排ガスを循環させるための送風機である。』(第4頁第20行乃至第5頁第14行及び第1図)
『ノックアウトボックス6から排出された悪臭及び塵等を含んだ排ガスは熱交換器11に入り、一次加熱され、・・・熱交換器11により一次加熱及び脱塵の行われた排ガスは、・・・再燃焼室10に送り込まれる。再燃焼室10に送られた排ガスはバーナ9でタール分を燃焼させ、脱臭を行う。』(第5頁第20行乃至第6頁第8行及び第1図)
『本考案のアスファルト廃材加熱用排ガス脱臭装置によれば、再生アスファルト製造装置から排出される排ガスを再燃焼させ、従来処理が不可能であったブルースモークを肉眼で確認できない程度にまで処理できた。また、臭気指数も従来30?35であったものが26?27にまで低下した。更に、従来のように薬品やフィルタを使用しないので、ランニングコストが安い。』(第7頁第9行乃至第16行)
上記記載及び第1図の記載からみて、刊行物2には、「再生アスファルト製造装置2から排出される排ガスは、アスファルト廃材加熱用排ガス脱臭装置1の再燃焼室10に送られ、該再燃焼室10に配設した燃焼状態をコントロールされる再燃焼バーナ9で燃焼させ、脱臭を行う」点、及び、「排ガスは、熱交換器11によって加熱されてから、再燃焼室10に送られる」点が記載されていると認められる。
<刊行物3>
『炉内雰囲気ガスは送風機2によりダクトを介して脱臭装置4に至り、ここでバーナ5によりその含有溶剤を焼却され、無臭化された排ガスはダクト6を経て煙突7から大気に排出される。なお、8は前記ダクト6に設けた熱交換器で、脱臭装置4への排ガスを予熱するものである。・・・・・計算機10からの指示設定値にもとずきダクト3に設けた制御弁12が開閉されて排ガス流量が制御されるようになっている。前記脱臭装置4の出口側と入口側とにはそれぞれ温度検出器13,14が設けられ、各検出温度は計算機10に入力される。・・・バーナ5への燃料流量は、温度指示計15により流量調節弁16が開閉し、脱臭装置4の出口側温度が所定温度になるように制御される。」(第2頁左上欄第9行乃至右上欄第7行及び第1図)
上記記載及び第1図の記載からみて、
刊行物3には、「脱臭装置4に至るダクト3に、排ガス流量を制御する制御弁12と送風機2が配設され、無臭化された排ガスを直接脱臭装置4から外部へ排出する」点、「脱臭装置4に至るダクトの一部に、排ガスを予熱する熱交換器8を配設した」点、及び、「排ガスが無臭化される脱臭装置4内の温度検出器13からの検出温度をもとに、バーナ5の流量調節弁16を調節して、脱臭装置4内の温度を所定温度になるように制御する」点が記載されていると認められる。
【5】対比・判断
《本件請求項1に係る考案に関して》
本件請求項1に係る考案と上記刊行物1に記載の事項とを対比すると、
本件請求項1に係る考案における「集塵装置」は、本件実用新案登録明細書及び図面にその具体的構成が記載されていないが、上記刊行物1に記載の事項における「排ガス中の粉塵の内、粗粒分を捕集する乾式サイクロン11」を包含する概念のものと認められ、
上記刊行物1に記載の事項における「還元」、「大気中」、「アスファルト舗装廃材再生装置」、「排気煙道10」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における「環流」、「外部」、「アスファルトリサイクルプラント」、「排気ダクト」に相当するものと認められるから、両者は、「燃焼室と連通するアスファルト舗装廃材加熱用のドライヤと、集塵装置とを備え、かつ該集塵装置からの排ガスの一部を上記燃焼室に環流し、残りの排ガスを脱臭装置から外部へ排出するアスファルトリサイクルプラントにおいて、排気ダクトに排風機を配設した」点で一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点>
(1)本件請求項1に係る考案では、集塵装置をドライヤに連接しているのに対して、上記刊行物1に記載の事項においては、乾式サイクロンの集塵装置を、ドライヤ1に連設し加熱廃材が排出されるコールドホッパ9に、排気煙道10を介して接続している点。
(2)本件請求項1に係る考案では、「残りの排ガスを直接脱臭炉から外部へ排出する」構成とし、「脱臭炉に至る排気ダクトに、風量調整用のダンパを備えた排風機を配設する」のに対して、
上記刊行物1に記載の事項においては、「残りの排ガスを排風機14を介して脱臭装置から外部へ排出する」構成とし、「循環排風機18は風量調整ダンパ17と共に燃焼室8に至る循環煙道16に配設する」点。
(3)本件請求項1に係る考案では、脱臭装置として「脱臭炉」を採用し、「脱臭炉に、測温器からの排ガス温度情報をもとに燃焼温度を排ガスの酸化分解に必要な温度に維持するバーナを配設した」構成であるのに対して、
上記刊行物1に記載の脱臭装置13は触媒を充填したものであり、脱臭装置13の上流にバグフィルタ12が配設してある点。
上記各相違点について検討する。
<相違点(1)について>
本件請求項1に係る考案の「集塵装置」は、下部から加熱された廃材が排出されるものであるから(本件実用新案登録明細書の段落【0010】の「加熱された廃材は集塵装置9下部に設けられたスキップコンベヤ10(又は、ホットエレベータ)によって廃材貯蔵ビン11まで搬送され、貯蔵される。」なる記載参照。)、上記刊行物1に記載の「加熱廃材が排出されるコールドホッパ9」の機能を備えているものと認められる。そして、上記刊行物1に記載の事項では、「集塵装置」と「コールドホッパ」をそれぞれ別体のものとし「排気煙道10」で接続しているが、小型化を目的として、それぞれ別体のものを一体化して複数の機能を有するように構成することは、従来より周知の技術であるから、上記刊行物1に記載の事項において、ドライヤに連接している「コールドホッパ」に「集塵装置」の機能を付加して一体化し、上記相違点1における本件請求項1に係る考案の構成とする点に格別の困難性は認められない。
<相違点(2)について>
上記刊行物3には、「排ガスを直接脱臭装置4から外部へ排出する」点、及び、「脱臭装置4に至るダクト3に、排ガス流量を制御する制御弁12と送風機2が配設されている」点が記載されており、
上記刊行物3に記載のそれぞれ別体の「排ガス流量を制御する制御弁12」と「送風機2」は、本件請求項1に係る考案における「風量調整用のダンパを備えた排風機」と同様の作用をするものであり、
上記刊行物3に記載の「脱臭装置4」、「ダクト3」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における「脱臭炉」、「排気ダクト」に相当するものと認められ、
上記刊行物3に記載の事項は、本件請求項1に係る考案の構成要件のうちの排ガスの脱臭装置に関する技術と同一の技術分野に属する技術を含むものであるから、
上記相違点(2)における本件請求項1に係る考案の構成は、上記刊行物1に記載の事項に上記刊行物3に記載の事項を適用して、当業者がきわめて容易に想到し得ることと認められる。
<相違点(3)について>
上記刊行物2には、「再生アスファルト製造装置2から排出される排ガスは、アスファルト廃材加熱用排ガス脱臭装置1の再燃焼室10に送られ、該再燃焼室10に配設した燃焼状態をコントロールされる再燃焼バーナ9で燃焼させ、脱臭を行う」点が記載され、該記載において、排ガスを燃焼させ脱臭を行うことは、すなわち排ガスを酸化分解することであり、
燃焼状態をコントロールされる再燃焼バーナ9は、排ガスを酸化分解するに必要な燃焼温度に維持するようにコントロールされるバーナ9を意味するものと解せられ、
「再燃焼室10」は本件請求項1に係る考案における「脱臭炉」に相当すると認められるから、
上記刊行物2には、上記相違点(3)における本件請求項1に係る考案の構成要件のうち、「脱臭炉に、燃焼温度を排ガスの酸化分解に必要な温度に維持するバーナを配設した」点が記載されているものと認められる。
また、燃焼温度を排ガスの酸化分解に必要な温度に維持するバーナとするのに、「測温器からの排ガス温度情報をもとに」するという、上記相違点(3)における本件請求項1に係る考案の構成要件は、
排ガスの脱臭装置に関する技術分野において、排ガスを酸化分解をするための脱臭炉内の測温器からの温度情報をもとに、バーナの調節弁(バルブ)を調節して、脱臭炉内の温度を所定温度に維持する技術が周知であり(上記刊行物3の他に、特開昭57-87526号公報 第3頁左上欄第12行乃至第19行参照)、該周知の技術において、脱臭炉内の測温器からの温度情報は、脱臭炉内の排ガスを酸化分解するに必要な温度情報でなければならないから、排ガス温度情報と同じであるということができるものであり、
上記周知の技術に相当するものと認められる。
そして、脱臭装置として「脱臭炉」を採用し、「脱臭炉に、燃焼温度を排ガスの酸化分解に必要な温度に維持するバーナを配設した」構成とすることにより、バグフィルタは必要のないものとなる。
したがって、上記相違点(3)における本件請求項1に係る考案の構成要件とすることは、上記刊行物1に記載の事項において、触媒を充填した脱臭装置13に代えて、上記刊行物2に記載の再燃焼室10の構成を採用すると共に、上記排ガスの脱臭装置に関する技術分野において周知の技術を採用することにより、当業者がきわめて容易に想到し得ることと認められる。
そして、上記各相違点における本件請求項1に係る考案によって奏せられる効果は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載された事項及び上記周知の技術によって奏せられる効果と比較して格別のものとも認められない。
したがって、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載の事項及び周知の技術に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
《本件請求項2に係る考案に関して》
本件請求項2に係る考案は、本件請求項1に係る考案に「脱臭炉に至る排気管路の一部に、熱交換器を配設した」構成要件を付加したものであるが、該構成要件は、上記刊行物2及び刊行物3に記載されているように周知の技術であり、その効果も周知のものである。
したがって、本件請求項2に係る考案は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載の事項及び上記周知の技術に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである
【6】むすび
以上のとおり、本件請求項1及び請求項2に係る考案は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載の事項及び上記周知の技術に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-04-12 
出願番号 実願平5-29884 
審決分類 U 1 651・ 121- Z (E01C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 森口 良子  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 外山 邦昭
白樫 泰子
登録日 1997-05-16 
登録番号 実用登録第2547206号(U2547206) 
権利者 株式会社新潟鉄工所
東京都大田区蒲田本町一丁目10番1号
考案の名称 アスファルトリサイクルプラントの脱臭装置  
代理人 森本 邦章  
代理人 西川 慶治  
代理人 木村 勝彦  
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