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審決分類 審判 全部申し立て   H04Q
管理番号 1004063
異議申立番号 異議1998-74135  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-18 
確定日 1999-06-25 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2563553号「リモートコントロール送信機」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2563553号の実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続きの経緯
本件実用新案登録第2563553号の考案は、平成3年12月20日に出願されたものであって、平成9年11月14日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、平成10年8月18日付けで実用新案登録異議申立人・丸山正から実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内に実用新案登録異議意見書が提出されたものである。
II.本件考案
本件請求項1に係る考案は、その実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるものである。
「受信機を内蔵した複数の電子機器に対して制御コードを送信することにより、各電子機器のモードを変更設定するリモートコントロール送信機において、スイッチ操作により制御コードの送信を指示する操作部と、前記の各電子機器について各種モードを設定するための異なる制御コードを記憶した記憶手段と、前記操作部から特定の同一スイッチによる指示入力がある度に、前記記憶手段から前記の各電子機器が連携動作を行う際に必要となる前記各制御コードを組合せた制御コード群を順次切り換えて読出す読出し手段と、前記読出し手段が読出した制御コードを送信する送信部を具備したことを特徴とするリモートコントロール送信機」
III.実用新案登録異議の申立てについて
本件実用新案登録異議申立人・丸山正による異議申立ての理由の概要は、甲第1号証(特開昭63-67974号公報:引用例1)、甲第2号証(特開昭62-176293号公報:引用例2)、甲第3号証(実願平1-42916号[実開平2一133085号]のマイクロフィルム:引用例3)を提出し、本件請求項1に記載された考案は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、旧実用新案法第3第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである、としている。
IV.取消理由通知
取消理由の概要は、前記III項に記載した異議申立ての理由と同旨である。
V.当審の判断
(1)本件考案
本件請求項1に係る考案は、前記II項に記載したとおりのものである。
(2)引用例記載の考案
取消理由に引用した引用例1及び2には、いずれも、システム側の各電子機器を連携させて同時に制御するリモコン送信機に関するものであって、スイッチ操作の煩雑さを解消して操作性が優れたものとすることを目的、課題として、受信機を内蔵した、TV、VTR、CDプレイヤー等の複数の電子機器に対して制御コードを送信することにより、各電子機器のモードを変更設定するリモートコントロール送信機、が開示されている。
そして、引用例1(引用例2にあっても同様構成である)には、図面と共に以下の構成を有するリモートコントロール送信機であるリモートコマンダーが記載されている。
▲1▼プログラマブルコマンドスイッチ(20?22[SW1、SW2、SW3])を操作することにより制御コードの送信を指示するプログラマブルコマンド部4、
▲2▼前記TV等の各電子機器について各種モードを設定するための異なる制御コードを記憶した記憶手段27、
▲3▼前記プログラマブルコマンド部4から特定の前記プログラマブルコマンドスイッチ(20?22)による指示入力がある度に、前記記憶手段27から前記の各電子機器が連携動作を行う際に必要となる前記各制御コードを組合せた制御コード群を切り換えて読出す読出し手段24、
▲4▼前記読出し手段24が読出した制御コードを送信する発光ダイオード32、
(3)対比・判断
本件請求項1に係る考案と上記引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1記載の考案における「プログラマブルコマンド部4」「プログラマブルコマンドスイッチ(20?22)」「発光ダイオード32」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における「操作部」「スイッチ」「送信部」に相当するものであるから、両者は、
「受信機を内蔵した複数の電子機器に対して制御コードを送信することにより、各電子機器のモードを変更設定するリモートコントロール送信機において、スイッチ操作により制御コードの送信を指示する操作部と、前記の各電子機器について各種モードを設定するための異なる制御コードを記憶した記憶手段と、前記操作部から特定のスイッチによる指示入力がある度に、前記記憶手段から前記の各電子機器が連携動作を行う際に必要となる前記各制御コードを組合せた制御コード群を切り換えて読出す読出し手段と、前記読出し手段が読出した制御コードを送信する送信部を具備したことを特徴とするリモートコントロール送信機」である点、で一致し、
本件請求項1に係る考案は、操作部からの指示入力が特定の「同一スイッチ」により行なわれて、制御コード群を「順次切り換えて読出す」ものであるのに対し、上記引用例1記載の考案は、操作部からの指示入力が特定の「プログラマブルコマンドスイッチ(20?22)」により行なわれて、制御コード群を「切り換えて読出す」ものである点、
で相違しているものである。
しかしながら、この相違点について、同一スイッチを指示操作することにより、その指示内容(コマンド)を順次切り換えることは、例えば携帯型ヘッドホンステレオにおけるリモコン操作部などに見られるように技術常識(この点について、異議申立人・丸山正は、その異議申立書第6頁において、トグルタイプの電源モード選択キーとして主張している。また、実用新案権者は、異議答弁書において「同一スイッチに対する繰返し操作だけで順次切り換えて実行させることができる」「一つのスイッチによる指示入力のみで切り換えて実行させることができる」等主張しているが、これらは当然の作用効果にすぎないものであってその構成も例えば特開昭63-300697公報[特に第3図の従来例及びその問題点の記載、参照]に見られるものであるから、採用することができない。)である。
そして、引用例1に記載された考案においてもスイッチ操作の煩雑さを解消するものであること、及びスイッチ釦の構成は通常その配置や操作性・機能性等を考慮することにより定められること、などを斟酌すると、引用例1のように同一スイッチによる指示操作では単独指令(連携制御コマンド)のみとしてその他の指令(連携制御コマンド)はその他のスイッチを指示操作により切り換えるようにするか、あるいは同一スイッチの指示操作により複数指令(複数の連携制御コマンド)の中から所望の指令(連携制御コマンド)を順次選択して切り換えるようにするかは、当業者が適宜に選択し得る設計上の事項(なお、必要で有れば上記例示の特開昭63-300697号公報参照)にすぎないものと認められる。
したがって、前記引用例1における操作部からの指示入力を特定のプログラマブルコマンドスイッチ(20?22)で行ない、記憶手段から制御コード群を切り換えて読出すことに代えて、操作部からの指示入力を特定の「同一スイッチ」により行ない、制御コード群を「順次切り換えて読出す」ものとすることにより、本件請求項1に係る考案である「操作部から特定の同一スイッチによる指示入力がある度に、前記記憶手段から前記の各電子機器が連携動作を行う際に必要となる前記各制御コードを組合せた制御コード群を順次切り換えて読出す」読出し手段とする構成は当業者がきわめて容易になし得ることと認められる。
また、このこれにより格別の作用効果を奏するものとも認められない。
(4)まとめ
したがって、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案は、実用新案登録異議申立の理由及び証拠に基づいてなされた取消理由通知により引用された上記引用例1及び2に記載された考案に基づいて、当業者が容易に考案をすることができたものである。
VI.むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案の実用新案登録は、実用新案登録法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-04-27 
出願番号 実願平3-111228 
審決分類 U 1 651・ 121- Z (H04Q)
最終処分 取消    
前審関与審査官 江畠 博  
特許庁審判長 田邊 寿二
特許庁審判官 東 次男
吉村 宅衛
登録日 1997-11-14 
登録番号 実用登録第2563553号(U2563553) 
権利者 日本ビクター株式会社
神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番地
考案の名称 リモ-トコントロ-ル送信機  

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