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審決分類 審判 全部申し立て   G11B
管理番号 1004065
異議申立番号 異議1997-74381  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-09-18 
確定日 1999-06-11 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2531508号「テープカセット」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2531508号の実用新案登録を取り消す。
理由 (1)本件考案
本件実用新案登録第2531508号(平成3年9月20日出願)請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。
「磁気テープを収納したカセット本体の下ハーフを覆ってスライド可能に設けられるスライダ、上記下ハーフ面に突没可能に設けられる該スライダのロック片及び該ロック片を押圧するスライダロック用コイルスプリングを具備したテープカセットにおいて、
上記コイルスプリングを大ピッチ部領域と小ピッチ部領域ができるように形成し、該小ピッチ部領域を少なくともスプリングの両端に形成し、且つ該小ピッチ部領域の幅を上記大ピッチ部領域における隣接するスプリング線材間の隙間より大きくすると共に、小ピッチ部領域における隣接するスプリング線材間の隙間を上記スプリング線材の径より小さくしたことを特徴とするテープカセット」
(2)引用刊行物記載の考案
先の取消理由通知において引用した刊行物1(特開昭62-189687号公報)には、
磁気テープを収納した本体ケース1の下ケース1bを覆って摺動可能に設けられるシャッタ10、該下ケース面に突没可能に設けられる該シャッタ10のロック片19、及び該ロック片19を押圧するシャッタロック用のコイルばね22を具備したテープカートリッジが記載されている(第1ページ右下欄12行目?第2ページ左上欄15行目、第4?6図)。
また、刊行物2[実願平1-71265号(実開平3-11143号公報)のマイクロフィルム]には、
「両端部に密着巻部又は線径の2倍より小なるピッチの巻同部を有する・・・・・コイルばね」(実用新案登録請求の範囲)、
「第1図に示すように、本考案のコイルばね1aは、・・・・両端部に・・・・・・密着巻部2a、3aを有すると共に、中間部にも・・・・・・密着巻部4aが設けられている。該密着巻部2a、4a、3a間には、粗巻部5a、6aを有する。該密着巻部2a、4a、3aの幅1は、粗巻部5a、6aのコイル間の間隔Pより大きく形成されている。・・・・・・・第2図に示すように、・・・・・・・・コイルばね1a、1bは互いに絡みにくい。」(第4ページ5?19行目)
と記載されている。
(3)対比・判断
本件考案を刊行物1に記載された考案と対比すると、両者は、「磁気テープを収納したカセット本体の下ハーフを覆ってスライド可能に設けられるスライダ、上記下ハーフ面に突没可能に設けられる該スライダのロック片及び該ロック片を押圧するスライダロック用コイルスプリングを具備したテープカセット」である点で共通しているが、唯、刊行物1に記載されたテープカセット(テープカートリッジ)に用いられているコイルスプリング(コイルばね)は、本件考案がその構成の一部としている「上記コイルスプリングを大ピッチ部領域と小ピッチ部領域ができるように形成し、該小ピッチ部領域を少なくともスプリングの両端に形成し、且つ該小ピッチ部領域の幅を上記大ピッチ部領域における隣接するスプリング線材間の隙間より大きくすると共に、小ピッチ部領域における隣接するスプリング線材間の隙間を上記スプリング線材の径より小さくしたこと」(以下、「要件α」という)を満足するものではない点において相違している。
そこで、上記相違点について検討するに、要件αを満足する構造をしたコイルスプリング(コイルばね)が、刊行物2に記載されており、しかも、このコイルスプリングは互いに絡みにくいことも記載されている。
刊行物1には、コイルスプリングの絡み合いの問題についての記載はないが、微細なコイルスプリングを用いる装置の組み立て時には、コイルスプリングの絡み合いが発生し、生産能率の低下につながるから、コイルスプリングの絡み合いをできるだけ少なくすることは、テープカセットの組み立て時に当然配慮されるべき課題である。
刊行物2には、上記コイルスプリングをテープカセットに使用することは記載されていないが、上記コイルスプリングは、各種の用途に使用できるものであることが明らかである。また、同刊行物には、上記コイルスプリングは、運搬の際に絡みにくい旨、記載されており、運搬時に絡みにくいコイルスプリングであれば、組み立て時にも絡みにくいことは十分予測される。
したがって、刊行物1に記載されたテープカセットのコイルスプリングとして、刊行物2に記載された絡みにくい構造をしたものを用いる程度のことは、当業者がきわめて容易に考えつくことにすぎない。しかも、本件考案は、刊行物1及び刊行物2に記載された考案からは予測し得ない格別の作用効果を奏するものであるとも認められない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件考案は、刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであると認められ、、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものであると認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-03-26 
出願番号 実願平3-75921 
審決分類 U 1 651・ 121- Z (G11B)
最終処分 取消    
前審関与審査官 相馬 多美子  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 矢崎 賀子
三友 英二
登録日 1997-01-10 
登録番号 実用登録第2531508号(U2531508) 
権利者 花王株式会社
東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
考案の名称 テ-プカセット  
代理人 風間 弘志  
代理人 倉内 基弘  
代理人 羽鳥 修  

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