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審決分類 審判 全部申し立て   G04C
管理番号 1004071
異議申立番号 異議1998-73224  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-06-22 
確定日 1999-10-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2558515号「アナログ時計の帰零機構」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2558515号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2558515号の請求項1乃至請求項3に係る考案は、平成4年9月29日に出願され、平成9年9月5日にその設定登録がなされ、その後、セイコークロック株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年8月6日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
2-(1).訂正の内容
訂正事項a;明細書の実用新案登録請求の範囲請求項3記載の「前記モータを回転制御して、前記反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、」を、『前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、』と訂正する。
訂正事項b;平成9年6月3日付け提出の手続補正書添付明細書第6頁第1行目乃至同第3行目(実用新案登録公報第4欄第22行乃至同第26行目)の「前記モータを回転制御して、前記反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、」を、『前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、』と訂正する。
訂正事項c;平成9年6月3日付け提出の手続補正書添付明細書第6頁第12行目乃至同第14行目(実用新案登録公報第4欄第34行目乃至同第37行目)の「また、前記制御は、反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路によって行われる。」を、『前記制御は、反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路によって行われる。』と訂正する。
2-(2).訂正の目的の適否、拡張・変更の判断
上記(1)の訂正事項aの訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものであって、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでない。
また、上記(1)の訂正事項b及びcの訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。
そして、上記(1)の訂正事項a乃至cの訂正は、願書に添付した明細書または図面の記載事項の範囲内の訂正と認められる。
2-(3).独立特許要件
2-(3)-1.訂正明細書の考案
訂正明細書の請求項1乃至請求項3に係る考案は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲請求項1乃至請求項3に記載された次の事項により特定されるものである。
『【請求項1】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、同心状に且つ互いに平行に対面するように配設された分針車及び時針車の側方に配置され、光軸が時針車と分針車の回転軸心の方向に向くように設置されている1つの反射型光センサと、この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、前記反射板と遮蔽板とが光軸上で重なり合うよう前記モータを回転制御する制御部と、を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。
【請求項2】前記反射板と遮蔽板が、互いに対面し且つ同心状に配設された時針駆動用の時針車と分針駆動用の分針車に突片状に設けられ、前記反射型光センサが、前記分針車と時針車との間の側方に設けられた請求項1記載のアナログ時計の帰零機構。
【請求項3】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、1つの反射型光センサと、この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。』
2-(3)-2.刊行物の記載事項
・取消理由通知に引用された刊行物1(ドイツ特許3513961明細書)には以下の事項が記載されている。
(ア)「電子時計特には無線制御式時計における歯車位置検出装置」(発明の名称)
(イ)「一方、本発明は、伝動ラインが複数である場合も唯一つの光電検知器を使用するだけでよいという利点を有する。更に、反射式光電検知器を使用できる。」(2欄61?64行)
(ウ)「例えば、幅の異なる3つのマークを設ければ、基本的に遥かに短い時間で針位置を検知して、時刻の調節を開始できる。」(3欄5?8行)
(エ)「第1図は、ムーブメントの配置を示している。マーク付き歯車7を含む透明な時表示用伝動ライン5はモータ1で駆動される。マーク付き透明な歯車8および、鏡面を設けたマーク付き歯車9を含む分・秒表示器4用の伝動ライン6はモータ2で駆動される。光電検知器10は不透明なハウジング3に取付けてあり、反射式光電検知器として構成されている。」(3欄29?37行)
(オ)「歯車装置のすべての不透明なマークが対向しているときは光電検知器は閉じられる。」(3欄45?46行)
(カ)「この場合、伝動ラインを含む各モータは、不透明なマークを光の通過を阻止するまで順次に進行し、次いで、例えば再び光を通過させるために更に1ステップだけ進行する。このとき歯車位置は電子的に記憶される。別のすべての伝動ラインは正確に処理される。…既知の歯車位置と所要の数値を比較することによって計算し、所要の切換ステップを実施する。」(3欄51?61行)
・取消理由通知に引用された刊行物2(特開平3-160393号公報)には以下の点が記載されている。
(キ)「アナログ表示式クオーツ時計における時計針の零点位置検出方法と装置および該装置を具えた時計」(発明の名称)
(ク)「このためこの発明の方法においては、光線を放射して弱反射域と強反射域とを具えてかつ時計針を支持する可動部と一体の面に指向せしめ、この光線を何れかの反射域により反射させて一連の光電セルを具えた検知子に受けせしめ、検知子の出力信号が最大となる位置を算出して、これを時計の組立て中の時計針の零点位置に対応せしめることを要旨とする。」(4頁左上欄7行?14行)
(ケ)「制御回路25は3個のモーターのいずれかを駆動する。これらのモーターの回転方向は単複いずれでもよい…」(4頁右下欄10行?12行)
(コ)「第3図の検出装置は光線2を放射する赤外線発光ダイオードなどの光線1と、光電セルなどから構成される受光子3とからなり、この受光子は強反射域5による反射光線4を受ける。この強反射域5は時計針特に秒針を支持する歯車などの可動部6と一体であり、歯車の位置に応じて図中2通りの位置5、5′をとる。」(5頁左上欄6行?12行)
(サ)「これらの8個のスイッチ44は制御回路45により個々に制御される。」(5頁右下欄5行?7行)
(シ)「以上の説明では装置を秒針に連結したが他の可動部に連結してもよい。」(8頁左欄18?19行)
2-(3)-3.対比・判断
取消理由通知の対象となった請求項3に係る考案と上記刊行物1及び刊行物2記載のものとを比較すると、刊行物1及び刊行物2には請求項3に係る考案の必須の構成要件である「モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路」が記載されていない。
刊行物1記載のものは、記載事項(エ)及びFig.1に示されているように、一つの光電検知器と、秒針歯車9に設けられた光を反射する鏡面マークと、分針及び時針歯車に設けられた光を遮蔽するマークにより、時針と分針を帰零する技術的事項が記載されている。
しかしながら、刊行物1記載のものは、Fig.1に示されているように、分針歯車が歯車伝動により秒針歯車の回転と連動して駆動されるものである。
そして、秒針歯車の鏡面マークからの反射光を分針歯車上のマークにより遮蔽するためには、鏡面マークが、秒針歯車の広範囲に設けられていることが必要であるから、刊行物1の鏡面マークと請求項3に係る考案の反射板とは大きさの点で相違するものと認められる。また、刊行物1では、鏡面マークからの反射光を分針歯車上のマークにより遮蔽を行い分針の位置合わせを行った後に、時針の位置合わせを行うときには、その記載事項(カ)に示されているように、分針歯車を「再び光を通過させるために更に1ステップだけ進行する。」の過程が必要であるから、刊行物1記載のものは、請求項3に係る考案の「モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路」の構成とは明らかに相違するものである。
また、刊行物2は「正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させる」技術の公知例を示したものにすぎず、センサ一つで時針と分針を帰零する技術的思想もなく、「モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路」を有する点の開示もない。
そして、請求項3に係る考案は、上記構成により、一つの反射型光センサを設ける構造で、かつ、容易に時針と分針を帰零させるという効果を奏するものである。
よって、請求項3に係る考案は刊行物1及び刊行物2の記載事項からきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。
したがって、本件考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-(4).むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定に基づき準用する特許法第120条の4第3項の規定により更に準用する特許法第126条第2項乃至第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議申立についての判断
3-(1).申立ての理由の概要
申立人セイコークロック株式会社は、本件請求項1乃至請求項3に係る考案は、甲第1号証(前記取消理由通知に引用した刊行物1)、甲第2号証(前記取消理由通知に引用した刊行物2)に記載された考案に基づいて、その考案が属する技術の分野における通常の知識を有するものがきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条2項の規定に違反し、取り消されるべきものである。
3-(2).甲各号証の記載事項
甲各号証の記載事項は、前述の「(3)-2-1、刊行物の記載事項」で述べたとおりである。(刊行物1、刊行物2はそれぞれ甲第1号証、甲第2号証と読み替える。)
3-(3).対比・判断
請求項1に係る考案と甲第1号証及び甲第2号証記載のものと比較すると、甲第1号証及び甲第2号証には、請求項1に係る考案の必須の構成要件である「同心状に且つ互いに平行に対面するように配設された分針車及び時針車の側方に配置され、光軸が時針車と分針車の回転軸心の方向に向くように設置されている1つの反射型光センサ」の構成が記載されていない。
すなわち、甲第1号証の光電検知器は、時針歯車の上部に配置されており、それゆえ、各歯車を透明な部材で形成するといった構成が必要となっており、したがって、光センサの分だけムーブメントが厚くなるものである。
請求項1に係る考案は、上記構成により、「ムーブメントが厚くならず、構造が簡素化し、コストの低減を図ることができる。」という効果を奏するものである。
請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案を更に減縮したものであるから上記請求項1に係る考案と甲第1号証及び甲第2号証の対比判断と同様の理由により甲第1号証及び甲第2号証の記載事項からきわめて容易に導き出すことはできない。
請求項3に係る考案と甲第1号証及び甲第2号証との対比・判断は前述の「(3)-2-2、対比・判断」で述べたとおりである。
よって、請求項1乃至請求項3に係る考案は甲第1号及び甲第2号証の記載事項からきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立書の理由及び証拠によっては本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に請求項1乃至請求項3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
アナログ時計の帰零機構
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、
同心状に且つ互いに平行に対面するように配設された分針車及び時針車の側方に配置され、光軸が時針車と分針車の回転軸心の方向に向くように設置されている1つの反射型光センサと、
この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、
前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、
前記反射板と遮蔽板とが光軸上で重なり合うよう前記モータを回転制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。
【請求項2】前記反射板と遮蔽板が、互いに対面し且つ同心状に配設された時針駆動用の時針車と分針駆動用の分針車に突片状に設けられ、前記反射型光センサが、前記分針車と時針車との間の側方に設けられた請求項1記載のアナログ時計の帰零機構。
【請求項3】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、
1つの反射型光センサと、
この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、
前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、
前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、
を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、時刻を設定する際に、時針と分針とが独立的に所定位置に帰零するアナログ時計の帰零機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
アナログ時計の多機能化に伴い、正逆転回転可能なモータにより、時針と分針とを独立的に動作させて、各国都市の時刻や、現時刻とアラーム時刻を、スイッチにより自動的に切換表示する等の種々の機能をもった時計が作られている。
【0003】
この種の時計では、マイクロコンピュータ等の時計制御回路に、時針、分針の位置を記憶させるために、時針車、分針車の位置を検出するセンサーをそれぞれ個別に設け、センサーによる位置検出によって、時・分針を所定の位置に停止させる帰零機構が設けられている。
【0004】
この種の帰零機構において、時刻設定時には、帰零機構により時・分針を、所定位置に移動させた後、制御回路からの信号によりモータを駆動し、その信号をカウントすることにより、制御回路が指針の位置を記憶するように設けられている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来のアナログ時計においては、帰零機構に時針と分針との帰零時の位置を検出するセンサが2個必要となり、従って、コストが嵩むとともに、ムーブメントの寸法が厚くなり構造も複雑となる不都合があった。
【0006】
そこで、本考案は、簡単な操作により時間設定ができるとともに、ムーブメントが厚くならず、構造が簡素化するアナログ時計の帰零機構を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願第1請求項に記載した考案は、正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、
同心状に且つ互いに平行に対面するように配設された分針車及び時針車の側方に配置され、光軸が時針車と分針車の回転軸心の方向に向くように設置されている1つの反射型光センサと、
この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、
前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、
前記反射板と遮蔽板とが光軸上で重なり合うよう前記モータを回転制御する制御部と、
を備えた構成のアナログ時計の帰零機構である。
【0008】
本願第2請求項に記載した考案は、前記第1請求項の考案において、前記反射板と遮蔽板が、互いに対面し且つ同心状に配設された時針駆動用の時針車と分針駆動用の分針車に突片状に設けられ、前記反射型光センサが、前記分針車と時針車との間の側方に設けられた構成のアナログ時計の帰零機構である。
【0009】
本願第3請求項に記載した考案は、正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、
1つの反射型光センサと、
この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、
前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、
前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、
を備えた構成のアナログ時計の帰零機構である。
【0010】
【作用】
所定の帰零操作を行うと、制御部により、まず、反射光を受光する反射型光センサの前に反射板が位置するようにモータが制御され、次に、反射光を遮断する遮蔽板がセンサと反射板との間に位置するようにモータが制御され、時針と分針とが所定位置に帰零する。
【0011】
また、前記制御は、反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路によって行われる。
【0012】
従って、アラーム時刻など、時刻の設定が容易となる。また、1つの反射型光センサで帰零動作が可能であるために、従来の如く2つのセンサを用いた場合に対してムーブメントが厚くならず、構造が簡素化する。
【0013】
【実施例】
以下に本考案の一実施例を図面に基づき説明する。本実施例に係るアナログ時計の駆動構造(帰零機構)は、図1および図2に示すように、分針と時針を独立に駆動し、正逆回転可能な時針用モータ1と分針用モータ15を備えている。尚、図中、3,17はステータ、4,18はコイル、5,19はロータをそれぞれ示す。
【0014】
時針用モータ1の駆動軸には5番歯車7が軸着され、5番歯車7は4番歯車9、3番歯車11を介して、時針車13に順次連結されている。そして、時針車13により時針が駆動される。同様に、分針用モータ15の駆動軸には5番歯車21が軸着され、5番歯車21は4番歯車23、3番歯車25を介して、分針車27に順次連結されている。そして、分針車27により分針が駆動される。
【0015】
前記時針車13と分針車27とは、同心状に且つ互いに平行に対面するように配設されており、時針車13と分針車27との間の側方には、反射型光センサ31が配設されており、この反射型光センサ31は、光を発し、後述する反射板からの反射光を検出し、反射型光センサ31から発せられる光の光軸が前記時針車13と分針車27の回転軸心に向くように設置されている。
【0016】
また、時針車13の対面側には遮蔽板35が突片状に突設され、分針車27の対面側には反射板33が突片状に突設されている。前記反射板33は遮蔽板35の回動軌跡の内側に配設され、分針車27と時針車13の側方から見て互いに重なるように突設され、反射板33および遮蔽板35ともに前記反射型光センサ31の光軸を通過するように設置されている。尚、遮蔽板35の面積は反射板33よりも広く形成されている。従って、反射型光センサ31の前に反射板33が位置したときには、反射型光センサ31に反射光が受光され、反射型光センサ31の前に遮蔽板35が位置したときには、反射光が遮蔽される。
【0017】
更に、反射型光センサ31は、図3に示すように、フォトダイオード37とフォトトランジスタ39とからなり、フォトダイオード37は、マイクロコンピュータ(制御部)41のセンサ出力Soutに接続された駆動用トランジスタ39に接続されている。前記フォトトランジスタ39の出力側は、マイクロコンピュータの反射型光センサ31人力Sinに接続されている。
【0018】
また、マイクロコンピュータ41の時針用モータM2用の端子O3,O4にはステータコイル4が、分針用モータMl用の端子O1,O2にはステータコイル18が接続され、各モータの回転制御が行われるように構成されている。
【0019】
モータ制御は、例えば、図4(a)に示すように、512Hzでチョッパーされた31.25mSの駆動信号Plと、図4(b)(c)に示すような、6mSの駆動信号P2により構成され、通常運針(時刻表示)時は、Plがモータ出力端子O1,O2およびO3,O4へ一定の間隔で出力される。実施例では、O1,O2には10秒、O3,O4へは120秒間隔で出力される。また、帰零時や、指針の早送り時には、P2が図4(b)(c)のように短い間隔で、O1,O2およびO3,O4に出力される。図4(b)は正回転時、図4(c)は逆回転時の駆動信号を示す。更に、反射型光センサ31駆動信号Soutは図5に示すように出力され、反射型光センサ31の検出信号Sinは図5に示すように入力される。
【0020】
次に、前記構成のアナログ時計の帰零制御について図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0021】
まず、所定のリセットスイッチを操作すると、反射型光センサ31から発せれた光による反射光が受光されたかが判別される(ステップS1)。反射光の受光がある場合には、帰零箇所(12時)の反射型光センサ31の前に反射板33があるとして、モータ15の駆動により分針車27を例えば90°逆回転させる(S2)。反射光の受光がない場合には、例えば、図7(a)、(b)の状態であるため、モータ15の駆動により分針車27を正回転方向へ1ステップ(例えば5°)回転させ(S3)、反射光が受光されたかどうかが判別され(S4)、次に分針車27が1回転以上回転したかどうかが判別される(S5)。
【0022】
分針車27が1回転以上回転していない場合には、ステップS3に戻り、1回転以上回転するまで、ステップS3?S5を繰返す。分針車27が1回転以上回転しても反射光の受光がない場合には、反射型光センサ31の前に遮蔽板35があるとして、分針車27を停止し(S6)、時針車13を例えば90°逆転し(S7)、ステップS3に戻り、やり直す。
【0023】
前記ステップS4で反射光の受光があった場合には、図7(c)、(d)に示すように、反射型光センサ31の前に反射板33があったとして、分針車27を停止させ(S8)、図5に示すように反射板33が検出される。次に、時針車13を正回転方向へ1ステップ回転させ(S9)、反射光の受光がまだあるかが判断され(S10)、反射光がなくなるまでステップS9?S10を繰返す。ステップS10で反射光の受光がない場合には、時針車13が、図7(e)、(f)のように反射板33と反射型光センサ31との間に遮蔽板35が位置したとして、時針車13を停止し(S11)、分針、時針ともに帰零位置に帰零したとして帰零処理を終了する。遮蔽板35が検出された場合の反射型光センサ31出力は図5のようになる。
【0024】
このように本実施例においては、リセットボタンを押すだけで時針と分針とが帰零するので、簡単に時間設定ができる。また、1つの反射型光センサで帰零動作が可能であるために、従来の如く2つのセンサを用いた場合に対してムーブメントが厚くならず、構造が簡素化する。尚、本実施例では分針車および時針車に反射板、遮蔽板を設けたが、これに限らず、分針や時針に連動して動作する部材に設けるようにしてもよい。
【0025】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、所定の操作により、時針と分針とが帰零するので、アラーム時刻などのように時間設定を容易に行うことができる。また、1つの反射型光センサで帰零動作が可能であるので、ムーブメントが厚くならず、構造が簡素化し、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例に係り、時針および分針の駆動機構を示す概略平面図。
【図2】
図1中のII-II矢視断面図。
【図3】
制御部の構成図。
【図4】
アナログ時計の各駆動信号を示す図。
【図5】
帰零制御に用いられる駆動信号を示す図。
【図6】
帰零制御処理を示すフローチャート。
【図7】
(a),(c),(e)および(b),(d),(f)は帰零制御時の反射板、遮蔽板の動作を説明する平面図および側面図。
【符号の説明】
1,15 モータ
13 時針車
27 分針車
31 反射型光センサ
33 反射板
35 遮蔽板
41 制御部
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項1
特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項3の
「【請求項3】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、1つの反射型光センサと、この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、前記モータを回転制御して、前記反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。」を
「【請求項3】正逆回転可能なモータにより時針と分針とを独立的に動作させて時刻を表示し、所定の操作により時針と分針を所定位置に帰零させるアナログ時計の帰零機構において、1つの反射型光センサと、この反射型光センサから発せられる光の光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか一方に伴って移動する反射板と、前記反射型光センサと反射板との間で前記光軸上を通過し前記時針と分針のうちどちらか他方に伴って移動する遮蔽板と、前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、を備えたことを特徴とするアナログ時計の帰零機構。」と訂正する。
訂正事項2
明りょうでない記載の釈明を目的として、平成9年6月3日付け提出の手続補正書添付明細書第6頁第1行目乃至同第3行目(実用新案登録公報第4欄第22行乃至同第26行目)の「前記モータを回転制御して、前記反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、」を、「前記モータを回転制御して、前記反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路と、」と訂正する。
訂正事項3
誤記の訂正を目的として、平成9年6月3日付け提出の手続補正書添付明細書第6頁第12行目乃至同第14行目(実用新案登録公報第4欄第34行目乃至同第37行目)の「また、前記制御は、反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させるとともに、前記遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路によって行われる。」を、「前記制御は、反射板を移動し該反射板からの反射光を検出したときに該反射板を停止させ、その後に前記遮蔽板を移動して該遮蔽板により当該検出した反射光が遮断されたときに当該遮蔽板を停止させる制御回路によって行われる。」と訂正する。
異議決定日 1999-09-09 
出願番号 実願平4-67805 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (G04C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 上野 信  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 島田 信一
森 雅之
登録日 1997-09-05 
登録番号 実用登録第2558515号(U2558515) 
権利者 リズム時計工業株式会社
東京都墨田区錦糸1丁目2番1号
考案の名称 アナログ時計の帰零機構  
代理人 森 正澄  
代理人 松田 和子  
代理人 森 正澄  
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