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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1004081
異議申立番号 異議1999-72510  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-24 
確定日 1999-11-03 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2587944号「防水型ケース」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2587944号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
実用新案登録第2587944号(平成3年5月31日出願、平成10年10月23日設定登録)の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「第1のケースと第2のケースとの接合部となる受面間に弾性材料からなるパッキンを介在させ、且つこのパッキンが前記両ケースにて隠蔽されるよう前記両ケースを密封固定した防水型ケースにおいて、前記パッキンの一部に前記受面間を前記両ケースの外側に向けて延びる舌片を突出形成し、前記両ケースの少なくとも一方側のケースにしてこれの前記舌片に対応する前記受面位置に前記舌片を外部から目視可能とする切り欠き部を部分形成し、この切り欠き部以外からは前記パッキンが目視不可能となるように前記両ケースを密封固定したことを特徴とする防水型ケース。」
2.実用新案登録異議の申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人株式会社共立は、
(1)甲第1号証として、実願昭53-152762号(実開昭55-69427号公報)のマイクロフィルム、
(2)甲第2号証として、米国特許第3,933,949号明細書(1976年)及び
(3)甲第3号証として、米国特許第3,031,172号明細書(1962年)
を提示し、本件考案は、甲第1号証ないし甲第3号証の各刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案登録を受けることができないものであると主張している。同申立人は、本件考案が実用新案登録を受けることができないものであることの根拠となる法条を示していないが、その主張から見て、実用新案法第3条第2項の規定を根拠とするものであり、さらに、準用する特許法第113条第2号の規定により本件実用新案登録の取り消しを求めているものと認める。
3.対比及び判断
(1)甲第1号証には、本体を分割し、相対する分割面のいずれか一方の面、あるいは両方の面に溝を設け、この溝に防水部材を介装して本体内への水の侵入を防止するものにおいて、相対する分割面で防水部材を圧接固定したとき、本体の外部から防水部材の存在を目視できるように相対する分割面の外側に段差を設けてなる、防水部材の介装し忘れが防止できて安全性が高いハンドポリッシャーが図面とともに記載されている。
甲第2号証には、内燃機関のキャブレター等において、主ボディ12と副ボディ14との接合部となる受面間に、合成ゴム等からなるプレート部材16をその端縁が外部から目視される状態で介在させ、両ボディを密封固定した構造のものが図面とともに記載されている。また、その図16には、一辺に外側に向けて延びる部分、つまり舌片が突出形成されたプレート部材16が示されている。
甲第3号証には、同じく内燃機関のキャブレター等において、ボディ2とカップ型燃料ボウル46との接合部となる受面間の溝44にガスケット49を介在させ、ボディ2とカップ型燃料ボウル46とを密封固定した構造のものが図面(図4?5)とともに記載されている。また、その図2?3には、前記接合部付近のボディ2側に切り欠き部を部分形成した形態のものが示されている。
(2)しかし、甲第1号証には、本件考案を特定する事項である「前記パッキンの一部に前記受面間を前記両ケースの外側に向けて延びる舌片を突出形成し、前記両ケースの少なくとも一方側のケースにしてこれの前記舌片に対応する前記受面位置に前記舌片を外部から目視可能とする切り欠き部を部分形成し、この切り欠き部以外からは前記パッキンが目視不可能となるように前記両ケースを密封固定した」点(以下「要件ア」という。)が記載されていないし、これを示唆する記載もない。
甲第2号証記載のものでは、合成ゴム等からなるプレート部材16がパッキンに相当するとしても、このプレート部材16は、主ボディ12と副ボディ14とによって隠蔽されてはおらず、外部からその端縁の全周が目視可能である。また、同号証にはプレート部材16の一辺に突出形成された舌片についての説明は一切なされていないから、その役割も明らかでなく、しかも、プレート部材16が隠蔽されていないことから見て、この舌片が、外部からプレート部材16の一部が目視可能となるために突出形成されているものであるとも認められない。
甲第3号証記載のものでは、ガスケット49は溝44中にあって隠蔽されているようではあるものの、そのガスケット49に舌片は形成されていない。また、同号証には接合部付近のボディ2側に部分形成された切り欠き部についての説明は一切なされておらず、その切り欠き部の役割も、そこからガスケット49が目視可能かどうかも全く不明である。
したがって、甲第2号証及び甲第3号証にも要件アが記載されていないことは明らかであり、また、両号証の記載を総合したところで、この要件は到底導かれるものではない。
そして、本件考案は、要件アを採用することによって、防水型ケースの組み付け後であっても、パッキンの取り付け忘れ等の組み付け不良を容易に確認可能にするばかりでなく、組み付け時においても、作業者がケース外部からの手感によりパッキンの取り付け忘れを確認可能にし、しかもシール性が高くかつ外観が優美なものにするという顕著な作用効果を奏するものである。
よって、本件考案が、甲第1号証ないし甲第3号証にそれぞれ記載された考案に基づいてその出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは言えない。
(3)してみると、本件考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない考案に該当しないから、実用新案登録異議申立人の前記主張は失当である。
4.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-09-29 
出願番号 実願平3-49622 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B65D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 森林 克郎  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 杉原 進
祖山 忠彦
登録日 1998-10-23 
登録番号 実用登録第2587944号(U2587944) 
権利者 日本精機株式会社
新潟県長岡市東蔵王2丁目2番34号
考案の名称 防水型ケース  

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