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審決分類 審判 全部申し立て   B60T
管理番号 1004083
異議申立番号 異議1998-72212  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-30 
確定日 1999-11-01 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2553862号「自動車用ブレーキチャンバ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2553862号の実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件登録第2553862号実用新案(平成2年11月15日出願、同9年7月18日設定登録。)の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。「自動車のブレーキチャンバのエア吸入排気口に対し、ブレーキ力を制御するブレーキバルブと前記ブレーキチャンバとの間に設けられブレーキ動作後のエアを直ちに大気へ解放するクイックリリースバルブのエア供給口を直接に連通させ、かつ両者のハウジングを一体に形成したことを特徴とする自動車用ブレーキチャンバ。」
2.申立の理由の概要
実用新案登録異議申立人高橋 満は、甲第1号証(米国特許第4,221,158号明細書)、甲第2号証(米国特許第3,401,606号明細書)、甲第3号証(米国特許第3,502,003号明細書)、及び甲第4号証(実願昭第52-109895号(実開昭54-35981号)のマイクロフィルム)を提出し、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべきである旨主張している。
3.引用刊行物記載の考案
当審が通知した取消しの理由において引用した刊行物1ないし4には、以下の事項が記載されている。
(1)刊行物1(米国特許第4,221,158号明細書)
スプリングブレーキアクチュエータ10のエア吸入排気口132に対し、外部圧力源とスプリングブレーキアクチュエータ10との間に設けられスプリングブレーキ作動時にチャンバ36内のエアを通路132、120及び160、そして空洞162、通路190を介してスプリング72を収容したチャンバ70に解放するクイックリリースバルブのエア供給口138を直接に連通させ、かつスプリングブレーキアクチュエータ10のハウジング14とボス109(本件考案のクイックリリースバルブのハウジングに相当する)を一体に形成したこと。(第3欄第53行?第58行、第4欄第20行?第24行、及び第5欄第23行?第31行並びに図1参照)
ブレーキ作動時に、エアはチャンバ36からチャンバ70へ移動し、そしてチャンバ70内で実質的に正圧(大気圧を越える)を生じるような余分なエアは通路100を介して大気へ排出されること。(第5欄第40行?第44行)
(2)刊行物2(米国特許第3,401,606号明細書)
車両のスプリングブレーキアクチュエータ10のエア吸入排気口64に対し.非常ブレーキ制御バルブとスプリングブレーキアクチュエータ10との間に設けられスプリングブレーキ作動時にエアチャンバ34内のエアを通路44を介してスプリングチャンバ24に解放するクイックリリースバルブ36のエア供給口を直接連通させ、かつ両者のハウジング12、56を一体に形成したこと。(第4欄第5行?第23行及び同第57行?第63行、並びに図1及び図7A参照)
ブレーキ作動時に、通路44を介してスプリングチャンバ24に入るエアの幾分かは、ピストン14の下降中にスプリングチャンバ24の膨張のために要求される量に対して超過し、この余分なエアは通路26及び開口部28を介して外部に排出されること。(第4欄第24行?第31行)
非常ブレーキ制御レバーを動かして入り口58の圧力を変えることによりスプリングブレーキアクチュエータをサービスブレーキシステムを用いるのと同様な方法で車両の動きを制御するのに使用可能であること。(第4欄第57行?第63行)
(3)刊行物3(米国特許第3,502,003号明細書)
車両のスプリングブレーキアクチュエータの供給口21にバルブ24のポートを直接に連通させたこと。(第1図参照)
(4)刊行物4(実願昭第52-109895号(実開昭54-35981号)のマイクロフィルム)
車両のエアシリンダ装置のシリンダ室11a(本件考案のエアチャンバに相当する)のエア吸入排気口に対し、ブレーキ力を制御するブレーキバルブと前記エアシリンダ室11aとの間に設けられブレーキ動作後のエアを大気へ解放するクイックリリースバルブ16の出口32(同エア供給口に相当する)をコントロール・チューブ25及び接続ニップ24を介して接続し、前記クイックリリースバルブ16をエアシリンダ装置のシリンダ11の端部のフランジ18に固定したこと。(第6頁第5行?第17行及び図参照)
4.対比・判断
そこで、本件考案と刊行物1?4に記載された事項とについて、以下に検討する。
刊行物1に記載のものは、チャンバのエア吸入排気口に対しクイックレリリースバルブのエア供給口を直接に連通させ、かつ両者のハウジングを一体に成形した点で本件考案と一部共通するものの、ブレーキ作動時に、チャンバからエアが排出されてブレーキ動作するスプリングブレーキアクチュエータであり、しかもブレーキ作動時に、チャンバ内のエアはクイックリリースバルブを開弁ずることにより通路120、160、及び162を介してスプリングを収容したチャンバに入り、該スプリングを収容したチャンバから通路100を介して最終的に大気に解放されるので、エアは前記通路内を通る間は大気中に排出されず、管路抵抗を受けるものである。従って、本件考案の構成要件である「ブレーキ動作後のエアを直ちに大気へ解放する」事項(以下、「構成要件A」という。)を備えていない。
また、刊行物2に記載のものも、チャンバのエア吸入排気口に対しクイックレリリースバルブのエア供給口を直接に連通させ、かつ両者のハウジングを一体に成形した点で本件考案と一部共通し、また、非常ブレーキ制御レバーを動かしてサービスブレーキブレーキシステムを用いるのと同様な方法で車両の動きを制御するのに使用可能であるものの、ブレーキ作動時に、チャンバからエアが排出されてブレーキ動作するスプリングブレーキアクチュエータであり、しかもブレーキ作動時に、エアチャンバ内のエアは通路44を介してスプリングチャンバ内に入り、該スプリングチャンバから通路26及び開口部28を介して大気中へ解放される。すなわち、エアチャンバ34から排出されたエアは、クイックリリースバルブ36から直ちに大気に解放されるのではなく、通路44を介してスプリングチャンバ24に入り、スプリングチャンバ24のピストン14を下降させ、余分のエアが通路26を介して最終的に開口部28から大気へ排出されるので、エアは、前記通路内を通る間は大気中に排出されず、管路抵抗を受けるものである。従って、本件考案の前記構成要件Aを備えていない。
また、刊行物3には、スプリンギブレーキアクチュエータの供給口にバルブを配設したことが示されているにすぎず、チャンバからのエアの排出経路についての記載はない。従って、刊行物3記載のものも、本件考案の前記構成要件Aを備えていない。
さらに、刊行物4に記載のものは、クイックリリースバルブをエアシリンダ装置のシリンダ11の端部のフランジ18に単に固定し、クイックリリースバルブとシリンダ室11aとを配管25及びジョイント24を介して接続したものである。すなわち、クイックリリースバルブとシリンダ室11aとの間には配管が介在しており、「ブレーキチャンバ(刊行物4におけるシリンダ室11aに相当する)のエア吸入排気口に対し、クイックリリースバルブのエア供給口を直接に連通させ」たものでなく、配管の管路抵抗を受けるものである。従って、本件考案の前記構成要件Aを備えていない。
なお、実用新案登録異議申立人は、刊行物4とともに本件実用新案登録掲載公報第3欄第6行?第8行の記載及び第3図に基づいて、ブレーキチャンバにクイックリリースバルブを設けたときに当該クイックリリースバルブが「ブレーキ動作後のエアを直ちに大気に解放する」という構成は公知である旨主張している。しかしながら、同公報第3欄第25行?第29行には、「しかしながら、クイックリリースバルブ11とブレーキチャンバ9の間は接続パイプ27によって連通されているので、ブレーキチャンバ9からの逆流したエアはこの接続パイプ27を通る間は大気中に排出されず、すみやかなエアの排出が妨げられている。」としてクイックリリースバルブを接続パイプを介してブレーキチャンバに連通した従来から公知の技術(刊行物4に記載のものも上記したように同様に従来技術のものと本質的に同じである。)に対する課題が明記されている。従って、クイックリリースバルブ自体がエアを直ちに大気に解放するものであって、該クイックリリースバルブのエア供給口を、エアが供給されてブレーキが動作するブレーキチャンバのエア吸入排気口に接続パイプを介することなく直接連通するように設けることによって初めて「ブレーキ動作後のエアを直ちに大気に解放する」ことがいえるので、申立人の主張は失当である。
一方、本件考案は、前記構成要件Aを備えることにより、「ブレーキチャンバからの排出が迅速に行われ、更には次のブレーキ動作も迅速に行なうことが可能となる。」という本件明細書に記載の作用効果を奏するものである。
したがって、本件考案が、刊行物1ないし4に記載のものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと言うことはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-10-15 
出願番号 実願平2-119568 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B60T)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山下 喜代治  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 鈴木 孝幸
播 博
登録日 1997-07-18 
登録番号 実用登録第2553862号(U2553862) 
権利者 日野自動車工業株式会社
東京都日野市日野台3丁目1番地1
考案の名称 自動車用ブレーキチャンバ  
代理人 増井 忠弐  
代理人 今井 庄亮  
代理人 栗田 忠彦  
代理人 小林 泰  
代理人 内田 博  
代理人 社本 一夫  
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