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審決分類 審判 全部申し立て   G04B
管理番号 1004107
異議申立番号 異議1998-72689  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-25 
確定日 1999-07-26 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2555865号「電子時計」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2555865号の請求項1乃至3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
実用新案登録第2555865号(平成2年9月28日出願、平成9年8月8日設定登録。)の請求項1乃至請求項3に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至請求項3に記載された下記の事項により特定されるものである。
【請求項1】プラスチック材よりなる地板を用いた電子時計において、前記プラスチック地板には、該地板の平板方向に対して垂直方向にセルフタップネジの下穴を設け、該下穴の全周部分には、前記地板の平板部から前記下穴を取り囲む如く肉付けされたパイプ形状部を設け、該パイプ形状部には前記地板の平板方向と略平行となる平行面が形成されると共に、該平行面に平面的に重合する部材を対向させて設け、該平行面と該部材との間の隙を、100μm以下と設定することにより前記パイプ形状部の軸方向に発生する引き上げ力の変形を抑えることを特徴とする電子時計。(以下本件考案1という。)
【請求項2】前記パイプ形状部に形成された前記平行面は、前記パイプ形状部の上端面であることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の電子時計。(以下本件考案2という。)
【請求項3】前記パイプ形状部に、根本付近は径大、先端部付近は径小となる段差部を設け、該段差部の上面を前記平行面と成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の電子時計。(以下本件考案3という。)
2.申立て理由の概要
申立人セイコークロック株式会社は、「本件請求項1、2、3に係る登録考案は、甲第1号証?甲第4号証に記載された考案に基づいて、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有するものがきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである。」旨主張している。
3.甲各号証記載の考案
・甲第1号証(実開昭59-79607号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)実用新案登録請求の範囲
「プラスチツク材料より成る地板を有し、該地板に他の構成部材をセルフタツピングネジにて固定する構造のアナログ表示式腕時計において、上記地板のセルフタツピングネジのネジ穴周辺にリング状の突起部を形成し、前記リング状の突起部外周にて、他の構成部材の平面方向の位置決めを行ない、かつ前記リング状の突起部内径は前記セルフタツピングネジ外径と隙間を有する事を特徴とするセルフタツピングネジ締め部構造。」
(イ)「明細書第1頁第17行目乃至第2頁第1行目「セルフタッピングネジ締め部構造は、第1図に示す如くプラスチック材料から成る地板1」
(ウ)明細書第2頁第11行目乃至12行目「地板1上に設けたリング状突起部5」
(エ)明細書第2頁第17行目乃至19行目「セルフタツピングネジ締め時、リング状突起部5に外力が加わる事が無い為、リング状突起部5の変形が無く、」
・甲第2号証(特開昭63-134992号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(オ)第2頁左上欄第8行目乃至9行目
「合成樹脂等の地板2に植え立てられたピン25・26に案内され」
(カ)第2頁左上欄第18行目乃至20行目
「回路基板6は地板2に植え立てられたピン18・26に案内され、回路押え板10を介しネジにより固定されている。」
(キ)第2頁右上欄第6行目乃至9行目
「第2図より、地板2の上部にステータ3・コイルブロック4は断面的に位置し、ピン26をコイルリード基板4b・回路基板6・回路押え板10を介しそれぞれねじにより固定される。」
・甲第3号証(実開昭62-62280号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ク)明細書第2頁第6行目
「時計基台1に植設した受足1a,1bに案内され」
(ケ)第2頁第10行目乃至12行目
「4bは磁心,5はステータであり,第4図に示すように,ねじ7により時計基台1と受部材2によりねじ締め固定される。」
(コ)第5頁第6行目乃至7行目
「時計基台1に植設した受足1c,1d」
(サ)第5頁第9行目
「ねじ70」
・甲第4号証(実開昭62-155387号明細書)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(シ)明細書第5頁第1行目
「合成樹脂製の中間受3」
(ス)第5頁第12行目乃至16行目
「ネジ10はネジ部10aが直接的に時計基板1のネジ穴1bと係合するとともに、中胴部10bの肩が時計基板1に当接し、ネジ10に過重なネジ締めトルクが加わった時の合成樹脂製中受の変形しすぎを防止する。」
4.対比・判断
甲第1号証には記載事項(ア)乃至(エ)により「プラスチック材よりなる地板を用いた電子時計において、前記プラスチック地板には、該地板の平板方向に対して垂直方向にセルフタップネジの下穴を設け、該下穴の全周部分には、前記地板の平板部から前記下穴を取り囲む如く肉付けされたリング状の突起部を設ける。」事項が記載されている。
甲第1号証記載の「セルフタップネジ」、「リング状の突起部」は本件考案1の「セルフタップネジ」、「パイプ形状部」に相当し、また、甲第1号証の第2図を参照するとリング状の突起部5の頂部が地板の平板方向と略平行となる平行面で形成されている点及び該平行面がセルフタップネジの頭部下面と対向して配置されている点が開示されているので、本件考案1と甲第1号証に記載された考案とを対比すると、「プラスチック材よりなる地板を用いた電子時計において、前記プラスチック地板には、該地板の平板方向に対して垂直方向にセルフタップネジの下穴を設け、該下穴の全周部分には、前記地板の平板部から前記下穴を取り囲む如く肉付けされたパイプ形状部を設け、該パイプ形状部には前記地板の平板方向と略平行となる平行面が形成されると共に、該平行面に平面的に重合する部材を対向させて設ける電子時計。」である点で一致し次の点で相違している。
(相違点)
本件考案1が平行面と該平行面に平面的に重合する部材との間の隙を、100μm以下と設定しているのに対して、甲第1号証記載の考案ではその点が明示されていない点。
まず、本件考案1の「平行面と該平行面に平面的に重合する部材との間の隙を、100μm以下と設定する」技術的意義を検討すると、本件実用新案登録公報の[考案が解決しようとする課題]に記載されている、時計構成要素のネジ締め固定の際にネジチューブを用いると組立コストが必要になる点、そして、プラスチック材よりなる地板の平板部から前記下穴を取り囲む如くされたパイプ形状部を肉付けし、セルフタップネジを用いて締結する場合には、組立コストは不要であるが、パイプ形状部の軸方向に発生する引き上げ力によりパイプ形状部が根元から破断する問題が生じてしまうという課題に対して、該平行面と該部材との間の隙を、100μm以下と設定することにより、「コイル止めネジ7のネジ締めにより地板ネジ部1aが引張り上げられる力が加わっても、隙11の量だけ地板ネジ部1aが変形して隙11がつまり地板ネジ部1aがスペーサ8の下面に突き当った後はネジ部1aの上端がスペーサ8の下面によって押さえられる」(第3頁右欄第11行目乃至15行目に記載)という作用により、パイプ形状部の変形を抑え、根元からの破断を防止することにある。
また、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1には、パイプ形状部の内側にネジが存在しているかの点について明記はされていないが、同請求項1には「前記パイプ形状部の軸方向に発生する引き上げ力の変形を抑える」との記載が有り、軸方向に発生する引き上げ力が生じるのはネジ締め時に発生するものと考えられるから、パイプ形状部の内側にネジが切られていることは自明なものと判断できる。
以上のことを踏まえて上記相違点について判断すると、甲第1号証の考案(第2図)では、地板1の厚肉部分にのみネジが切られており、リング状の突起部5の内側には記載事項(ア)に「リング状の突起部内径はは前記セルフタツピングネジ外径と隙間を有する」と明記されているようにネジは切られていないため、リング状の突起部には軸方向に発生する引き上げ力は発生せず、ネジ締めによる引き上げ力によるリング状の突起部の根元からの破断を防止するという技術的課題は存在しない。
また、甲第2号証及び甲第3号証では、ピン及び受足が地板とは別部材であるから、パイプ形状部の構成があるとしても、その強度についてはピン及び受足自体の材質、形状により独立的に対処できるもであり、プラスチック材よりなる地板に肉付けされたパイプ形状部の破損を防止するという技術的課題は存在しない。
また、甲第4号証の時計基板と中間受とは別部材であり、本件考案1の「プラスチック材よりなる地板に肉付けされたパイプ形状部」自体の構成が存在しないので、本件考案1の技術的課題は存在しない。
そして、甲第1号証乃至甲第4号証にはそもそも本件考案1の前提となる上記技術的課題の示唆がないので、当業者といえども甲第1号証乃至甲第4号証の発明に基づき上記技術的課題の解決手段たる「平行面と該平行面に平面的に重合する部材との間の隙を、100μm以下と設定する」構成を容易に導き出すことはできない。
したがって、本件考案1は、実用新案登録異議申立人が提出した甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に推考しうるものでない。
また、本件考案2及び本件考案3は、上記本件考案1の構成が全て含まれれているものであるから、同様の理由により、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に推考しうるものでない。
5.むすび
したがって、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1乃至請求項3に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1乃至請求項3に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-25 
出願番号 実願平2-101861 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (G04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 森 雅之
島田 信一
登録日 1997-08-08 
登録番号 実用登録第2555865号(U2555865) 
権利者 シチズン時計株式会社
東京都新宿区西新宿2丁目1番1号
考案の名称 電子時計  
代理人 松田 和子  
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