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審決分類 |
審判 全部申し立て G02B |
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管理番号 | 1004110 |
異議申立番号 | 異議1998-76271 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-12-24 |
確定日 | 1999-07-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2575570号「光走査装置」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2575570号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 実用新案登録第2575570号の請求項1、2に係る考案についての出願は、平成4年7月28日に実用新案登録出願され、平成10年4月10日にその実用新案登録の設定がなされ、その後、進藤 敬司より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年5月12日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否 ア.訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に係る考案 「【請求項1】ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、 フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、 上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、 上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。 【請求項2】保持部材は、その傾斜部の反射ミラーによって反射された光がポリゴンミラーによって反射された走査光に対し交差する向きに進むように設けた請求項1記載の光走査装置。」 イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 イー1.訂正の概要 実用新案登録権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光を受光してスタート位置を検出するセンサ」を「上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサ」と訂正する。 訂正事項b 実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。」を「上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。」と訂正する。 訂正事項c 明細書の段落【0008】の「ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光を受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたことを特徴とする。」を「ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたことを特徴とする。」と訂正する。 訂正事項d 明細書の段落【0018】における「光ビームを従来通り水平に走らせ、菱形の受光面をもつセンサに入射させるようにしてもよいし、円形の受光面を有するセンサに入力させるようにしてもよい。もっとも、本考案の目的はセンサの検出出力を最大にすることではないから、図10のようにセンサの四角形の受光面上において受光面の一辺と平行な方向を走査するようにしてもよい。」を「光ビームを従来通り水平に走らせ、菱形の受光面をもつセンサに入射させるようにしてもよい。」と訂正する。 訂正事項e 明細書の段落【0211】の末尾に「また、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置されているため、センサの検出出力を最大にすることができる。」という記載を加入する。 イー2.判断 訂正事項a、bについて 上記訂正事項a.bは、実用新案登録請求の範囲の減縮、若しくは明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 訂正事項c、d、eについて 上記訂正事項c、d、eは、上記a、bの訂正により実用新案登録請求の範囲が訂正されたのに応じて、登録明細書の考案の詳細な説明を訂正し、実用新案登録請求の範囲と考案の詳細な説明との整合を図るものであるので、明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 ウ.独立して実用新案登録を受けることができるための要件 (引用刊行物) 当審が取消理由通知で引用した刊行物1(特開平1-164913号公報)には、走査光学装置に関し、「走査手段3は図示しないモータによって回転駆動されるポリゴンミラー31と、レーザービームLを感光体ドラム4上に結像させるレンズ系32とから構成されている。また5は上記レーザービームLの走査線Lo内の一部をミラー6により反射させて折り返し、該反射ビームL′を受光部7により受光して水平同期信号として検出する検出手段である。上記受光部7は本実施例では集光レンズ71と反射ビームLを図示しない検知素子に導く光ファイバー72により構成されている。もっとも受光部7としてはファイバー72を用いずにPinフォトダイオード等の検知素子を直接配置してもよい。また8はハウジングであり、上記光源部2、走査手段3、検出手段5等が収容されている。 また、ミラー6は第1図に示すように支持部材9を介してハウジング8に固定されており、支持部材9は板金等の金属或いはプラスチック等の剛体より略L字状に形成され、ミラー6が垂直部92aに嵌込まれる。 一方水平片部92bは上記ミラー6の反射面6aの略延長面上においてハウジング8に立設した枢支点を構成するピン11に回動自在に係止されると共に、ピン11を中心にして水平片部92bの回転方向に延びる長孔12を介してビス13によってハウジング8に固定されている。 17は水平片部92bを上記ピン11を中心に回動させる回動手段としてのレバーである。レバー17は一端にハウジング8に穿設されたピボット孔18に回動自在に係止される枢支ピン17aが突設され、他端に上記水平片部92bのビス止め用の長孔12より先端部分に穿設される係止孔19に係止されるピン17bが突設されている。上記レバー17が係止される係止孔19は水平片部92bの回動力向に対して直交する方向に延びる長穴となっている。 上記構成の走査光学装置にあっては、受光部7への反射ビームL′の集光位置調整はレーザービームLを受光部7のファイバ72に入射するために、走査面の直交方向Xと走査面内で方向Xに対して直交する方向Yにミラー6をそれぞれ回転させてミラー6の反射面6aの角度調整を行なう。」(公報3頁左上欄10行?同頁左下欄12行)という記載がある。 同じく刊行物2(特開平4-56819号公報)には走査光学装置内に取り付け、水平同期信号を発生する光検出装置に関し、「第5図は走査光学装置の構成図を示し、半導体レーザー光源を内蔵する光源装置1から出射した光ビームLは、駆動モータにより矢印方向に高速回転している回転多面鏡2によって走査光とされ、f・θ特性を有する結像レンズ群3を通過して感光体ドラム4の表面上に集光し、矢印の方向に記録画像を形成する。フレーム5はこれらの各部材を精度良く位置決め固定していて、このフレーム5内には光検出手段6と反射ミラー7が具備されている。この反射ミラー7は非画像領域でかつ画像の書き出し側の光ビームL′を反射し光検出手段6に導くためのものであり、保持部材8に圧入又は接着剤などにより固定されている。 この反射ミラー7によって反射された光ビームL′を検出する光検出手段6は、光ビームL′を受光して電気信号を発生する光電変換素子9と、この素子9の前に配設されたスリット10と、反射ミラー7の取付誤差による検出不良を防止するための補正レンズ11とから構成されている。この光検出手段6によって記録画像の水平同期信号を得ることになるが、更に所望の位置に画像を形成するための調整機構が保持部材8に備えられている。即ち、第6図(a)に示すように反射ミラー7の略下方に配設されたピン12が光学フレーム5に係合され、このピン12を支点として保持部材8つまりは反射ミラー7を、第6図(b)に示すように矢印で示す水平方向に回動可能としている。これによって、スリット10を通過して光電変換素子9に達する光ビームL′の方向を変え、画像を記録するタイミングを調整することができる。」(公報1頁右下欄4行?2頁左上欄14行)という記載がある。 同じく刊行物3((実願昭63-79015号(実開平2-1719号))のマイクロフィルム)には、走査光学装置に関し、「第4図は、本考案の他の実施例の基本的な構成を示す断面図である。本実施例は前述の第1実施例に類似するため、対応する部分には同一の参照符を付して示す。本実施例においては、底部52cに形成される透孔100の下方側の配線基板91上に受光素子102が取付けられる。透孔100に関連して集光レンズ103が取付けられており、さらにこの集光レンズ103よりも上方側にはハウジング52の底部52cに取付けられる支持部材104によって支持される反射鏡105が配置されている。光経路L3(第2図参照)を介する光ビームは反射鏡105によって集光レンズ103に導かれ、この集光レンズ103によって受光素子102の受光面102aに結像される。このような構成によれば、受光素子102をこの受光素子102に関連する電気回路にさらに近接させることができるようになり、外乱ノイズの影響を確実に排除することができるようになる。 なお、本実施例において、反射鏡105は第2図示の反射鏡73の位置に取付けられてもよく、この場合には、そのような反射鏡105の取付け位置に対応して、透孔100および受光素子102などの位置、ならびに集光レンズ103の焦点距離などが選ばれる。 前述の第1および第2実施例では、受光手段82を回転多面鏡55とfθレンズ56との間に配置するようにしてハウジング52の小形化を図る」(明細書18頁14行?19頁20行)と記載されているとともに、図4には、「光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定された斜めに立ち上がった傾斜部とからなる支持部材を設け、走査光を反射させて受光素子に導く反射鏡を前記傾斜部に固定し、前記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射鏡によって反射される走査光を受光素子に導くような傾斜角度に設定されたもの」が図示されている。 同じく刊行物4(特開平4-199018号公報)には、光ビーム走査装置に関し、「また、本実施例では感光材料32の一端部にセンサ38をブラケツト40を介して取付けたが、第6図に示される如く、ブラケツト44へ反射ミラー46を取付け、この反射ミラー46による反射方向へセンサ38を取付けてもよい。」(5頁左上欄911?13行)と記載されているとともに、図6には、「光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定の傾斜角度に設定された斜めに立ち上がった傾斜部とからなるブラケツトを設け、走査光を反射させてセンサに導く反射ミラーを前記傾斜部に固定し、前記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定されたもの」が図示されている。 (対比・判断) 訂正明細書の請求項1、2に係る考案(以下、「本件考案1、2」という。)と取消理由通知で引用した刊行物1?4に記載の考案とを対比すると、取消理由通知で引用したものには、本件考案1、2の構成要件である「上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され」ることが記載されていないし、示唆されてもいない。 しかも上記の点は、当該技術分野において周知でもなく、また自明でもない。 そして、本件考案1、2は上記構成要件を具備することにより、登録明細書記載の本件考案1、2に特有な作用効果を奏すると認められる。 したがって、本件考案1、2は、取消理由通知で引用した刊行物1?4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも認められない。 (むすび) よって、本件考案1、2は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 エ.むすび 以上のとおり、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.実用新案登録異議申立てについて ア.本件考案 実用新案登録第2575570号の請求項1、2係る考案は、平成11年5月12日付け訂正請求により訂正された登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのもの(「本件考案1、21)である。 イ.申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立人・進藤 敬司は、甲第1号証(特開平1-164913号公報)、甲第2号証(特開平4-56819号公報)、甲第3号証(実願昭63-79015号(実開平2-1719号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開平4-199018号公報)を提出し、本件考案1、2は、甲第1?4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないので、本件考案1、2の実用新案登録は取り消されるべきである旨主張している。 ウ.対比・判断 実用新案登録異議申立人の提出した甲第1号証は、取消理由通知で引用した刊行物1であり、以下同様にそれぞれ甲第2号証は刊行物2、甲第3号証は刊行物3、甲第4号証は刊行物4であるので、甲第1?4号証には、各々上記2.訂正の適否ウ.独立特許要件(引用刊行物)において示した考案が記載されている。 そして、上記2.訂正の適否ウ.独立特許要件(対比・判断)において判断したとおり、本件考案1、2は、甲第1?4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも認められない。 したがって、実用新案登録異議申立人の主張を採用することはできない。 エ.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1、2に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 光走査装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、 フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、 上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、 上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。 【請求項2】 保持部材は、その傾斜部の反射ミラーによって反射された光がポリゴンミラーによって反射された走査光に対し交差する向きに進むように設けた請求項1記載の光走査装置。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、光走査装置に関するもので、特にそのスタート位置検出用光学系に用いられる反射ミラー保持部材の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】 光走査装置では、レーザービームの走査スタート位置を受光素子で検出し、受光素子による検出信号出力時点から一定時間後に同期信号を発生させ、この同期信号に同期してレーザー光源を被記録情報信号により駆動開始するようになっている。レーザービームは上記被記録情報信号に応じて変調されると共に、上記のようにレーザー光源の駆動開始位置の同期がとられることにより、感光体の感光面上にジッターのない良好な潜象が形成される。 【0003】 図8、図9は、従来の光走査装置の例を示すもので、レーザー光源41から出射されるレーザービームは、シリンドリカルレンズ42を経ることにより、ポリゴンミラー43の鏡面上に線状に集束するようになっている。ポリゴンミラー43は一定速度で回転駆動され、その鏡面によって上記レーザービームを一定の角度範囲で偏向する。偏向されたレーザービームはfθレンズ44を通り、斜設ミラー45で反射されて感光体ドラム46の表面上に結像するようになっている。感光体ドラム46上での実質的なレーザービームの走査範囲をWとすると、レーザービームの走査スタート位置は上記走査範囲wの範囲外にある。そこで、上記走査範囲Wの範囲外にセンサ50を配置してレーザービームの走査スタート位置を検出し、センサ50による検出信号出力時点から一定時間後に同期信号を発生させ、この同期信号に同期してレーザー光源を被記録情報信号により駆動開始し、これによって上記走査範囲Wに画像を形成するようになっている。 【0004】 図10は、上記スタート位置を検出するセンサ50の例を示す。図中符号40はレーザービームによる走査線を示しており、この走査線40は、センサ50の四角形の受光面50a上において受光面50aの一辺と平行な方向を走査するようになっている。図11は上記センサ50によるレーザービームの検出出力を示すもので、受光面50aの走査線40方向の寸法に対応した大きさ(時間幅)の検出出力aが得られる。 【0005】 光走査装置では、上記のようにレーザービームの走査スタート位置を検出し、センサ50による検出信号出力時点から一定時間後に同期信号を発生させ、この同期信号に同期してレーザー光源を被記録情報信号により駆動開始することによって所期の像を形成するため、センサ50が正確かつ確実にレーザービームの走査スタート位置を検出する必要がある。そこで、センサ50が正確かつ確実にレーザービームの走査スタート位置を検出することができるように、ポリゴンミラー43からセンサ50に至るレーザービームの光路上に調整機構を介してセンサ用のミラーを配置し.、このミラーの傾斜角度や回転角度位置などを上記調整機構によって調整するようにしている。 【0006】 【考案が解決しようとする課題】 上記従来の光走査装置における走査スタート位置検出用センサのミラーの調整機構によれば、ミラーの傾斜角度や回転角度位置などを調整可能にする必要があるため、機構が複雑で部品点数が多くなるという難点があり、また、傾斜角度調整のためにはばねによる付勢が必要なため、ばね付勢によるストレスでミラーが剥がれたり、調整位置が経時的にずれたりするという難点があった。 【0007】 本考案は、このような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、走査スタート位置検出用センサの反射ミラーの調整機構が簡単で部品点数が少なく、また、ミラーの剥がれや調整位置の経時的なずれの原因となるばね付勢を不要にして信頼性を高めた光走査装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本考案は、ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、走査光を反射させてセンサに導く反射ミラーを保持部材の傾斜部に固定し、所定傾斜角度は傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたことを特徴とする。保持部材は、その傾斜部の反射ミラーによって反射された光がポリゴンミラーによって反射された走査光に対し交差する向きに進むように設けてもよい。 【0009】 【作用】 保持部材の取付け部をフレームに対して回転させると、走査光のセンサによる検出タイミングが変わる。従って、保持部材の取付け部のフレームに対する回転位置を調整することにより走査光のセンサによる検出タイミングを調整することができる。 【0010】 【実施例】 以下、図面を参照しながら本考案にかかる光走査装置の実施例について説明する。 図1、図2において、周壁を有するフレーム11の一側部には半導体レーザー等でなるレーザー光源12が固定されており、レーザー光源12から出射したレーザービームの進路にはシリンドリカルレンズ13が配置されると共に、さらにその先方にモータ14によって回転駆動されるポリゴンミラー15が配置されている。ポリゴンミラー15の回転により、レーザー光源12からのレーザービームが一定の角度範囲で偏向される。ポリゴンミラー15によって偏向されたレーザービームは、ポリゴンミラー15の近傍に配置されたfθレンズ16を通り、図1においてフレーム11の上縁部に配置された第1の走査用反射ミラー17で反射される。第1の走査用反射ミラー17は図2に示すようにレーザービームを鋭角的に折り返し状に反射するものであり、この反射光はさらにフレーム11の内方底部に配置された第2の走査用反射ミラー18でフレーム11の外方に向かい反射される。 【0011】 図5にも示すように、第2の走査用反射ミラー18による反射光の進路上には感光体(図示されず)などがあり、この感光体などの感光面上で走査線21を描く。図5において走査線21の走査方向を矢印で示すように右から左に向かう方向とすると、走査開始側である右側に、第2の走査用反射ミラー18による反射ビームの一部を反射するための反射ミラー19が配置されている。反射ミラー19による反射ビームは、ポリゴンミラー15によって反射された走査光に対し交差する向きに進むように上記反射ミラー19が配設されている。反射ミラー19による反射ビームの進路上にはセンサ20が配置されている。センサ20は、図1に示すように、fθレンズ16と第2の走査用反射ミラー18との間において、fθレンズ16を通ったレーザービームの進行に支障とならないようにフレーム11に固定されている。このセンサ20にレーザービームの一部を導くために、図5に示すように反射ミラー19は所定の傾き角度をもって取付けられている。 【0012】 上に述べた反射ミラー19とセンサ20及び第2の走査用反射ミラー18の配置関係からわかるように、センサ20はレーザービームの走査スタート位置を検出する。そこで、センサ20による検出信号出力時点から一定時間後に同期信号を発生させ、この同期信号に同期してレーザー光源12を被記録情報信号により駆動開始すると、この被記録情報信号に応じてレーザービームが変調され、前記感光体の感光面上にジッターのない良好な潜象が形成される。 【0013】 このように、反射ミラー19は同期信号を検出するためのセンサ20に走査スタート位置のレーザービームを導くためのものであるから、そのフレーム11に対する回転位置は精度よく調整されている必要がある。反射ミラー19の回転位置調整精度がよくない場合はセンサ20に入射する走査光のタイミングがずれ、被記録情報信号の同期がずれて画像が正しく形成されないことになる。そこで、図示の実施例では、反射ミラー19のフレーム11に対する回転角度位置を調整することによってセンサ20による走査光のスタート位置を正確に検出することができるようになっている。図3ないし図7はミラー角度調整装置の具体例を示す。 【0014】 図3、図4において、反射ミラー19は保持部材30の傾斜部31の表面に取付けられている。保持部材30は、フレーム11への取付け部32とこの取付け部32の一側端部から鈍角的に斜めに立ち上がった上記傾斜部31とを有してなる。上記取付け部32は平坦に形成されていて、この取付け部32には丸孔29とこの丸孔29を中心とする円弧の接線方向の長孔27が形成されている。上記丸孔29および長孔27にはそれぞれ図1に示すように締め付けねじ39,37が挿通されてフレーム11のねじ孔に螺入され締め付けられる。保持部材30は上記締め付けねじ39を中心として長孔27の範囲内で回転位置を調整可能であり、調整後締め付けねじ39,37を締め付けることにより保持部材30をフレーム11に固定することができる。 【0015】 鈍角的に立ち上がった上記傾斜部31の斜め下方を向いた側の面に上記反射ミラー19が固定されている。上記傾斜部31の3方から折曲片33,34,35が延びており、この折曲片33,34,35に反射ミラー19の3片を押し当てて位置決めした状態で複数個所を接着剤36で接着することにより、反射ミラー19が保持部材30の傾斜部31に取付けられている。フレーム11に対する保持部材30の回転位置を上記のように調整することにより反射ミラー19が回転し、走査光がセンサ20で検出されるタイミングを調整することができるようになっている。 【0016】 反射ミラー19によって反射された走査光はセンサ20に導かれるが、図5に示すように反射ミラー19は光ビームの入射方向に対して傾けて、かつ、反射ミラー19の面上において光ビームが反射ミラー19を対角線方向に横切るように配置されている。これに対してセンサ20は、反射ミラー19からの光ビームに正対するように、かつ、図5、図6に詳細に示すように、反射ミラー19からの光ビームのセンサ20上における走査線40がセンサ20の受光面20aの中心を対角線方向に横切るように配置されている。 【0017】 このように、センサ20上における光ビームの走査線40が受光面20aの中心を対角線方向に横切るようにセンサ20を配置し、保持部材30を回動調整することによって、図6に示すように受光面20aにおける光ビームの受光範囲が最大の範囲1となってセンサ20による光ビームの検出出力幅は最大となる。この最大の検出出力幅を図7(a)に波形Aで示すものとすると、受光面20aの対角線上から走査線40が外れるに従って、図7(b)に波形Bで示すように検出出力幅は順次小さくなるので、保持部材30を回動調整することによって、センサ20の検出出力幅が最大となるようにする。 【0018】 なお、上記実施例においては、光ビームの走査線40を斜めにするようにしていたが、光ビームを従来通り水平に走らせ、菱形の受光面をもつセンサに入射させるようにしてもよい。 【0019】 以上説明した実施例によれば、フレーム11への取付け部32とこの取付け部32から斜めに立ち上がった傾斜部31とからなる保持部材30を設け、ポリゴンミラーによる走査光を反射させてスタート位置検出用センサ20に導く反射ミラー19を上記保持部材30の傾斜部31に固定し、保持部材30はその取付け部32をフレーム11に対して回転位置調整可能に設けたため、センサ20によるスタート位置信号の検出タイミングを保持部材30の回転位置調整のみで行うことができる。従って、走査スタート位置検出用センサ20に走査光を導く反射ミラー19の調整機構を簡単な構成でかつ少ない部品点数で得ることができるし、反射ミラー19の剥がれや調整位置の経時的なずれの原因となるばね付勢を不要にすることができ、信頼性の高い光走査装置を得ることができる。 【0020】 また、図示の実施例のように、反射ミラー19の保持部材30を、その傾斜部31の反射ミラー19によって反射された光がポリゴンミラー15によって反射された走査光に対し交差する向きに進むように設けると、反射ミラー19で反射された走査光を検出するセンサ20をポリゴンミラー15によるビームの走査面に重ねて配置することができ、光走査装置が横方向に嵩張るのを防止することができる。 【0021】 【考案の効果】 請求項1記載の本考案によれば、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、ポリゴンミラーによる走査光を反射させてスタート位置検出用センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、所定傾斜角度は傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたため、センサによるスタート位置信号の検出タイミングを保持部材の回転位置調整のみで行うことができる。従って、走査スタート位置検出用センサに走査光を導く反射ミラーの調整機構を簡単な構成でかつ少ない部品点数で得ることができるし、反射ミラーの剥がれや調整位置の経時的なずれの原因となるばね付勢を不要にすることができ、信頼性の高い光走査装置を得ることができる。また、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置されているため、センサの検出出力幅を最大にすることができる。 【0022】 また、請求項2記載の考案のように、反射ミラーの保持部材を、その傾斜部の反射ミラーによって反射された光がポリゴンミラーによって反射された走査光に対し交差する向きに進むように設けると、反射ミラーで反射された走査光を検出するセンサをポリゴンミラーによるビームの走査面に重ねて配置することができ、光走査装置が横方向に嵩張るのを防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案にかかる光走査装置の実施例を示す平面図。 【図2】 同上断面側面図。 【図3】 同上実施例中の反射ミラー保持機構を示す平面図。 【図4】 同上反射ミラー保持機構の側面図。 【図5】 上記実施例中の反射ミラー及びセンサの部分の配置関係を示す斜視図。 【図6】 上記実施例中のセンサと走査光との関係を示す斜視図。 【図7】 同上センサの検出出力を示す波形図。 【図8】 従来の光走査装置の例を示す平面図。 【図9】 同上側面図。 【図10】 上記従来の光走査装置中のセンサと走査光との関係を示す斜視図。 【図11】 同上センサの検出出力を示す波形図。 【符号の説明】 11 フレーム 12 光源 15 ポリゴンミラー 19 反射ミラー 20 センサ 30 保持部材 31 傾斜部 32 取付け部 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1.実用新案登録請求の範囲の訂正 ▲1▼実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光を受光してスタート位置を検出するセンサ」を実用新案登録請求の範囲の減縮、若しくは明りょうでない記載の釈明を旧的として「上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサ」と訂正する。 ▲2▼実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。」を実用新案登録請求の範囲の減縮、若しくは明りょうでない記載の釈明を目的として「上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、 上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、 上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けられた光走査装置。」と訂正する。 2.考案の詳細な説明の訂正 ▲3▼明細書の段落【0008】の「ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光を受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたことを特徴とする。」を明りょうでない記載の釈明を目的として「ポリゴンミラーをその鏡面が光源からの光の光軸上に位置するように配置し、上記ポリゴンミラーの鏡面によって反射された走査光をfθレンズを介し受光してスタート位置を検出するセンサを設けてなる光走査装置において、フレームへの取付け部とこの取付け部から所定傾斜角度に設定され斜めに立ち上がった傾斜部とからなる保持部材を設け、上記走査光を反射させて上記センサに導く反射ミラーを上記保持部材の傾斜部に固定し、上記所定傾斜角度は上記傾斜部に固定された反射ミラーによって反射される走査光をセンサに導くような傾斜角度に設定され、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置され、上記保持部材はその取付け部をフレームに対して回転位置調整可能に設けたことを特徴とする。」と訂正する。 ▲4▼明細書の段落【0018】における「光ビームを従来通り水平に走らせ、菱形の受光面をもつセンサに入射させるようにしてもよいし、円形の受光面を有するセンサに入力させるようにしてもよい。もっとも、本考案の目的はセンサの検出出力を最大にすることではないから、図10のようにセンサの四角形の受光面上において受光面の一辺と平行な方向を走査するようにしてもよい。」を明りょうでない記載の釈明を目的として「光ビームを従来通り水平に走らせ、菱形の受光面をもつセンサに入射させるようにしてもよい。」と訂正する。 ▲5▼明細書の段落【0021】の末尾に明りょうでない記載の釈明を目的として「また、上記反射ミラーからの光ビームが上記センサの受光面を対角線方向に横切るように上記センサが配置されているため、センサの検出出力を最大にすることができる。」という記載を加入する。 |
異議決定日 | 1999-06-29 |
出願番号 | 実願平4-58390 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(G02B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田部 元史 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
東森 秀朋 横林 秀治郎 |
登録日 | 1998-04-10 |
登録番号 | 実用登録第2575570号(U2575570) |
権利者 |
株式会社三協精機製作所 長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 |
考案の名称 | 光走査装置 |
代理人 | 石橋 佳之夫 |
代理人 | 石橋 佳之夫 |