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審決分類 |
審判 全部申し立て F25D |
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管理番号 | 1004116 |
異議申立番号 | 異議1998-74986 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-10-02 |
確定日 | 1999-07-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2567202号「冷却貯蔵庫」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2567202号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
I 手続きの経緯 実用新案登録第2567202号は、平成4年12月29日に実用新案登録出願され、平成9年12月26日に設定登録され、これに対して、平成10年10月2日に実用新案登録異議申立人椿喜久雄より実用新案登録異議の申立てがされ、平成11年1月29日付けで当審より取消理由が通知され、その指定期間内である平成11年4月7日に訂正請求されたものである。 II 訂正の要旨 1.訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の減縮および明瞭でない記載の釈明を目的として、実用新案登録明細書の「実用新案登録請求の範囲」について 「【請求項1】本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、 前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、該冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。」を、 「【請求項1】本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、 前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、前記保冷容器は前記冷気循環ダクト内に臨んでいると共に、前記冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。」と訂正する。 2.訂正事項b 実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、不明瞭な記載の釈明を目的として、実用新案登録明細書の考案の詳細な説明を訂正する。 III 訂正の適否についての判断 1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、 (ア)請求項1に係る考案の保冷容器に関して、「本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ」を「本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、前記保冷容器は前記冷気循環ダクト内に臨んでいる」と配置についての構成をより限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、 (イ)願書に添付した明細書には「冷気は保冷容器に直接的に当たり、保冷容器は均一に冷却される。また、冷気は冷気循環ダクトで保冷容器に導かれるので、保冷容器に当たり、冷気の流れに乱れが生じる。したがって、保冷容器が複数個設けられている場合でも、後流側の保冷容器にも冷気がムラなく当たり、均一に冷却される。」(【考案の効果】の欄)と記載されていること、また同明細書に添付した図面の第1乃至第3図には保冷容器が冷気循環ダクト内に臨んでいる構成が示されていること、から同明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。 上記訂正事項bは、 (ア)実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い実用新案登録明細書の考案の詳細な説明を訂正するものであるから、不明瞭な記載の釈明を目的とするものであり、 上記訂正事項aの(イ)において検討したとおりであるから、 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものでも変更するものでもない。 2.独立実用新案登録要件 (1)引用刊行物 当審が通知した取消理由において引用した特開平1-263481号公報(以下「刊行物1」という。)には、「冷却貯蔵庫」に関し、「本発明は冷却室を画成する断熱箱体の天壁の一部に開口部を形成した冷却貯蔵庫に関するものである。」(第1頁右欄第6乃至8行)、「(1)は第1冷却室(2)を画成する横長の断熱箱体で、ステンレス製の内箱(3)及び外箱(4)と両箱間に発泡充填された断熱材(5) によって構成されている。該断熱箱体(1)は前面及び天壁(1A)の後部に横長矩形状の開口部(6)及び(7)が夫々形成されており、前面開口部(6)は観音扉(8)にて開閉自在に閉塞され、側方にはコンデンシングユニット(図示せず)を収納する機械室(9)が並設されている。一方、断熱箱体(1)とは別構成にて断熱突出壁体(10)が製作される。この突出壁体(10)は断熱箱体(1)の天壁(1A)に形成した前記開口部(7)の上方に第1冷却室(2)と連通する第2冷却室(11)を画成するもので、ステンレス製の内板(12)及び外板(13)と両板間に発泡充填された断熱材(14)によって構成されており、前壁(10A)は後壁(10B)より低く形成されている。また、突出壁体(10)は上下面が夫々開口(15)及び(16)しており、このうち、下面開口部(16)は天壁(1A)に形成した開口部(7)に対応するものである。」(第2頁左下欄第10行乃至右下欄第9行)、「次に、断熱箱体(1)の内部構造について説明する。第1冷却室(2)の側部には、上部に吹出口(21A)を形成すると共に下部に吸込口(21B)を形成した冷却カバー(22)、該カバー(22)に覆われた冷却器(23)及び冷気循環送風機(24)を配設して、強制循環式の冷却ユニット(25)を構成している。また、冷却ユニット(25)の前方に、入口開口(26A)を有して吹出口(21A)からの吐出冷気の一部を第2冷却室(11)に導くと共に、流入する冷気量に対して絞られた出口開口(26B)を有する案内部材としてのダクト(26)が、第1冷却室(2)の上部に配設されている。(27)は複数段に配設された棚である。一方、突出壁体(10)の内部構造において、(28)は内板(12)と外板(13)を連結する樹脂製のブレーカで、内板(12)から外板(13)への熱伝導を防止するものである。また、ブレーカ(28)の上位には、突出壁体(10)の開口面より若干下に位置して載置部材が取付けられる。該載置部材は、開□面より若干下において開口部(15)を閉塞するように、第2冷却室(11)に配設される上面を開口した食材容器(29)を取出し自在に支持するもので、第2冷却室(11)内に位置する突出壁体(10)の外板(13)全周囲に開口面と平行に固定した載置枠体(30A)及び該枠体(30A)の前枠と後枠間に着脱自在に架設した複数の平行した載置辺(30B)とにより成っている。これによると、大きな容器(29)は枠体(30A)の前後に支持され、小さな容器(29)は載置辺(30B)間に支持される。」(第3頁右上欄第18行乃至右下欄第6行)、「食材容器(29)をその大小に応じて載置枠体(30A)若しくは載置辺(30B)に載置して、第2冷却室(11)に収納配置する。而して、冷却動作によって吹出口(21A)から吐出した冷気は、第4図に示すように、第1冷却室(2)を冷却すると共に、一部の冷気がダクト(26)によって第2冷却室(11)に導かれ、ここに収納された食材容器(29)を冷却する。」(第4頁左上欄第4行乃至第11行)と記載されている。 (2)対比 そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案(以下「訂正考案」という。)と上記刊行物1に記載されたものとを対比する。 刊行物1に記載された「突出壁体(10)の開口(15)」、「食材容器(29)」、「ダクト(26)」は、その機能に照らして、それぞれ訂正考案の「本体天井部の開口部」、「保冷容器」、「冷気循環ダクト」に相当することは明らかであるから、両者は「本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられている」点において一致し、以下の点で相違する。 (ア)保冷容器について、訂正考案においては、当該保冷容器が冷気循環ダクト内に臨んでいるのに対し、刊行物1に記載されたものにおいては当該保冷容器が冷気循環ダクト内に臨んでいない点 (イ)冷気循環ダクトについて、訂正考案においては、冷気循環ダクトの長手方向に所定の間隔をおいて庫内に開口した複数個の透孔が設けられているのに対し、刊行物1に記載されたものにおいては透孔が設けられていない点 (3)判断 まず、相違点(ア)について検討する。 刊行物1には、保冷容器が冷気循環ダクト内に臨んでいる構成とされる点について示唆する記載は認められない。 また、当審が通知した取消理由において引用した特開平1-181073号公報(以下「刊行物2」という。)には、冷気を強制循環させる冷却貯蔵庫について記載されているものの、保冷容器に相当するものについての記載がないから、相違点(ア)について示唆があるものとすることはできない。 したがって、相違点(ア)に係る構成は刊行物1乃至2に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に想到することができたものとすることはできない。 そして、訂正考案は、相違点(ア)に係る構成を有することにより、「冷気は保冷容器に直接的に当たり、保冷容器は均一に冷却される。また、冷気は冷気循環ダクトで保冷容器に導かれるので、保冷容器に当たり、冷気の流れに乱れが生じる。したがって、保冷容器が複数個設けられている場合でも、後流側の保冷容器にも冷気がムラなく当たり、均一に冷却される。」(【考案の効果】の欄)という作用効果を奏するものである。 (4)まとめ 以上のとおり、相違点(イ)について検討するまでもなく、訂正考案は刊行物1乃至2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできないので、訂正考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項において準用する第126条第2乃至4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 IV 実用新案登録異議の申立てについて 1.本件考案 上述のとおり、訂正は認められた。 したがって、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、前記訂正考案である。 2.申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立人椿喜久雄は、甲第1号証(特開平1-263481号公報)、甲第2号証(特開平1-181073号公報)、甲第3号証(実公平3-30793号公報)を提出して、本件請求項1に係る考案は、甲第1乃至第3号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、本件請求項1に係る考案は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであって取り消されるべきである、と主張している。 3.判断 (1)甲各号証に記載された考案 甲第1乃至2号証はそれぞれ上記「III 3.独立実用新案登録要件」の欄に記載した刊行物1乃至2に対応するものであって、当該各号証に記載された考案は当該欄に記載したとおりである。 また、甲第3号証(以下「刊行物3」という。)には、冷蔵庫本体の天面板の開口に着脱自在に設けられる保冷容器が、冷蔵庫本体の冷却貯蔵庫を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷蔵庫についての考案が記載されている。 (2)対比・判断 刊行物3に記載された冷蔵庫は、訂正考案の冷気循環ダクトに相当するものを有していないから、上記「3.独立実用新案登録要件 (2)対比」に挙げた「保冷容器が冷気循環ダクト内に臨んでいる」構成(相違点(ア)に係る構成)についての記載も示唆もないものである。 したがって、上記「3.独立実用新案登録要件(3)判断」に記載したとおりの理由により、訂正考案は、甲第1乃至3号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。 4.まとめ 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、訂正考案についての本件実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に訂正考案についての本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 冷却貯蔵庫 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、 前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、前記保冷容器は前記冷気循環ダクト内に臨んでいると共に、前記冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 保冷容器すなわちホテルパンを有する台下冷却貯蔵庫は、例えば実公平3ー30793号に記載されているように、本体は断熱箱体から構成され、内部の庫内は冷凍機により適宜冷却されるようになっている。そして、本体の天井面の開口部にホテルパンが着脱自在に載置されている。したがって、ホテルパンに調理する食材例えばゼリー類を収容すると、ホテルパンが庫内の冷気により冷却され、収納されている食材は低温状態に保たれる。そこで、本体のホテルパンが設けられていない天井面を作業台として食材を加工することができる。また、ホテルパンの下方に、冷気をホテルパンの方に導くための冷気循環ダクトが設けられている冷却貯蔵庫も、例えば特開平1ー263479号により提案されている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 上記のような従来の台下冷却貯蔵庫も、ホテルパンの下方部は、本体の庫内に臨んでいるの、調理する食材あるいは食品を保冷状態に保って加工することはできる。しかしながら、前述の公報に記載されているように、従来の台下冷却貯蔵庫のホテルパンは、単に庫内に臨んだ構造になっているので、庫内に突き出た部分は冷えるが、冷気は比重が大きいので上方の蔭の部分は冷気が充分に当たらず、冷却ムラが生じることがある。例えばシロップ類、ゼリー類、イチゴジャム等の複種類の食品を保冷するには、複数個のホテルパンを必要とするが、このように複数個のホテルパンが設けられているときには、冷気の蔭になる部分が生じ、特に冷却ムラが大きくなる。これに対し、特開平1ー263479号により提案されている冷却貯蔵庫には、冷気循環ダクトが設けられているので、ホテルパンは比較的均一に冷却される利点は認められる。しかしながら、改良すべき点も認められる。例えば、本体の庫内にも食材が貯蔵されているので、庫内もムラなく冷気により冷却されることが望ましいが、冷気循環ダクトが設けられ、冷気の一部が冷気循環ダクトの方へ流れるので、庫内の冷気の流れが単純になり、冷却が不十分になることがある。これは、冷気送風ファンを2台設け、一方の冷気送風ファンを冷気循環ダクト用に、そして他の冷気送風ファンを庫内専用にして、庫内の冷気を撹拌するようにすると、冷却の問題は解決できるが、冷気送風ファンを2台設けると、コスト高になるという、別の問題が生じる。 また、前述のように、台下冷却貯蔵庫の天井面には、ホテルパンを入れる開口部が設けられているので、この開口部から例えば加工する食材が庫内へ落下すると、取り出すのが難しいという、問題もある。落下物をそのままにしておくと、腐敗することもあり、不衛生でもある。 したがって、本考案は、保冷容器の冷却ムラがなく、また庫内もムラなく冷気により冷却され、そして落下物も容易に取り出すことができる冷却貯蔵庫を安価に提供することを目的としている。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本考案は、上記目的を達成するために、本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、前記保冷容器は前記冷気循環ダクト内に臨んでいると共に、前記冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられている。 【0005】 【作用】 本体天井部の開口部に保冷容器を載置し、必要な食材を収納する。本体内の冷気の一部は、冷気循環ダクトにより保冷容器の下方部に案内され、保冷容器に万遍なく当たる。万遍なく当たるので、保冷容器は均一に冷却される。保冷されている食材を必要に応じて加工する。冷気循環ダクトにより導かれている冷気は、保冷容器の底部あるいは側部に当たって乱流となり、複数個の透孔を通って適宜庫内へ短絡する。これにより庫内の冷気は撹拌され、庫内も略均一に冷気により冷却される。保冷容器と庫内とを冷却した冷気は、例えば蒸発器の方へ還流する。そして、再び保冷容器と庫内とが同様にして冷却される。 開口部から本体内へ落下した物例えば食材は、保冷容器の下方の冷気循環ダクト上に乗っているので、保冷容器を外して開口部から取り出す。 【0006】 【実施例】 本考案の実施に際しては、保冷容器が本体の天井面に対して斜め、すなわち、手前側が低くなるように、本体天井部の開口部に着脱自在に設けることもできる。このように手前側が低くなっていると、保冷容器内の食品の取扱いが容易になる。 本考案によると、冷気循環ダクトには本体内を冷却する冷気の一部が導かれるが、途中から庫内へ分流するように、実施することもできる。しかしながら、添付図面には、冷気は当初から冷却ダクトと庫内とに分流され、そして冷却ダクトから庫内へ適宜短絡するようにした例のみが示されている。 【0007】 以下、本考案の実施例を説明する。図1は本考案の実施例を断面にして模式的に示す側面図であるが、同図に示されているように、本実施例に係わる冷却貯蔵庫本体1は、複数個のホテルパン2、2、…を備えている。すなわち、冷却貯蔵庫本体1は断熱性の天井板10、側板11、13、後板12および底板14とか ら箱型に形成され、前方には図2の(イ)に示されているように、ドア15が開 閉自在に設けられている。そして、図1において左方に機械室20が配置されている。機械室20には冷凍機の圧縮機21、凝縮器等が収納され、これらは蒸発器22に接続され冷凍サイクルを構成している。 【0008】 冷却貯蔵庫本体1の天井板10には、開口部16が明けられている。この開口部16の周縁には、例えば樹脂から形成されている支持枠17が設けられている。ホテルパン2、2、…は、底壁3、左右の側壁4、5および前後の側壁から容器状に形成されている。そしてその上方円周部には外側に延びたフランジ6が形成されている。したがって、支持枠17にフランジ6を乗せることにより、ホテルパン2、2、…を冷却貯蔵庫本体1の天井板10の開口部16に載置することができる。載置すると、下方部分は庫内7に臨む。 【0009】 このように載置されるホテルパン2、2、…の下方には、ホテルパン2、2、…の底壁3と所定の間隔になるように、冷却ダクト30が設けられている。冷却ダクト30は、全てのホテルパン2、2、…をカバーする長さを有し、右方端30’は側板11に近くまで延びている。そして、詳しくは後述する冷却貯蔵庫本 体1に対して着脱自在に設けられている。 蒸発器22にも、蒸発器22を取り囲むようにしてダクト45が設けられ、このダクト45と、冷却ダクト30の左方端は連絡ダクト46で接続されている。蒸発器22を取り囲んでいるダクト45は、上下の両端は開口され、そして連絡ダクト46との接続部には送風ファン48が設けられている。 【0010】 冷却ダクト30の第1実施例は、ホテルパン2、2、…が前後方向に1列に配置された冷却貯蔵庫本体1に適用されるもので、図2に示されているように、第1、2の水平部31、33と、第1、2の立上部32、34とを有するように板材から一体的に、側面から見て階段状になるように形成されている。この冷却ダクト30は、後述するように、冷却貯蔵庫本体1の後板12と天井板10と協働して冷気通路を構成している。 第1水平部31の奥行き寸方あるいは幅は、冷却貯蔵庫本体1の奥行きの略半分で、ホテルパン2、2、…を完全にカバーしている。そして、図2の(イ)において右の方に位置する右端部にはフランジが形成され、このフランジが複数本のネジ35で後壁12に取り付けられている。 第2水平部33は、第1水平部31の約半分の奥行きで、その左端から形成されている第2立上部34は、連絡ダクト46を奥行き方向を約2分している。そして、第2立上部34の上端に形成されているフランジ36はネジ35により、天井板10に取り付けられている。このように冷却ダクト30は、ネジ35、35により後板12と、天井板10とに取り付けられているので、簡単に取り外すことができる。取り外しをさらに簡単にするために、天井板10および後板12にブラケットを設け、これらのブラケットに乗せる構造にすることもできる。 【0011】 連絡ダクト46は、図2の(ロ)に示されているように、上方部は庫内7の方へ張り出している。一方、冷却ダクト30の第1水平部31の左方端には、第1、2の立上部32、34の合計の高さを有する仕切板38が設けられている。冷却ダクト30は、第2水平部33において連絡ダクト46の張り出し部分に接続されている。したがって、蒸発器22で冷却された冷気の約半分が、冷却ダクト30に送風されることになる。 なお、連絡ダクト46の側壁47を取り去り、鎖線で示すように斜めの仕切板38’を設け、冷気の流れ抵抗を小さくすることもできる。 このように、冷却ダクト30には、蒸発器22で冷却される冷気の約半分が分流されるが、冷却ダクト30中の冷気を庫内7に随時還流させるために、冷却ダクト30の第2水平部33には、パンチング孔39、39、…が略全長にわたって明けられている。 【0012】 次に、上記実施例の作用を説明する。図1に示されているように、冷却貯蔵庫本体1の開口部16の支持枠17にホテルパン2、2、…のフランジ部6を乗せる。そうすると、開口部16は密封される。必要なホテルパン2、2、…に加工する食材を入れる。 通常の方法により、冷凍サイクルを運転すると共に、送風ファン48を起動する。そうすると、庫内7の空気は蒸発器22のダクト45の下端開口から吸引され、蒸発器22で冷却されて連絡ダクト46へ圧送される。冷却ダクト30は、図2の(ロ)に示されているように、第2の水平部33と第2の立上部34とで形成されるL字型の半空間が連絡ダクト46に接続されているので、冷気は冷却ダクト30と、庫内7とに分流する。冷却ダクト30内へ流れる冷気は点線の矢印で、また庫内7へ流れる冷気は実線の矢印で示されている。 庫内7へ流れる冷気は、従来のように庫内7を循環する。冷却ダクト30へ送風された冷気は、冷却ダクト30を側板11の方へ流れる間に、冷却ダクト30内に臨んでいるホテルパン2、2、…に当たり冷却する。ホテルパン2、2、…に当たった冷気は、流れに乱れが生じるので、第2の水平部のパンチング孔39、39、…から庫内7へ適宜短絡する。残りの冷気は、冷却ダクト30の右方端と側板11との隙間から庫内7へ流れる。そして、これらの冷気は庫内7を通ってダクト45の下端開口から吸引される。以下同様にして循環する。 【0013】 本実施例によると、冷気が冷却ダクト30によって直接ホテルパン2、2、…に当てられるので、冷えムラがなくなる。すなわち、送風ファン48により強制的に送風されるので、冷却ダクト30内で乱流が生じ、ホテルパン2、2、…の後ろ側にも、さらには上方にも冷気が回り、ホテルパン2、2、…は均一に冷却される。したがって、傷み易い食材もホテルパン2、2、…に入れることもできる。 また、本実施例によると、第2水平部33にはパンチング孔39、39、…が明けられ、冷気の一部が庫内7へ短絡するので、庫内7の冷気は撹拌され、冷却ダクト30が設けられているにも拘らず、庫内もムラなく冷却される。さらには、天井板10の開口部16から落下する例えば食材は、冷却ダクト30の第1水平部31上に乗るので、開口部16から手を差し入れ簡単に取り出すこともできる。特に、第1実施例によると、第1立上部32が設けられているので、落下物は第1立上部32より広くは散らばらない。すなわち、開口部16から手の届く範囲に落下するので、取り出しやすい。なお、第1立上部32がなく、第2水平部33が第1水平部31と同じレベルでも略同様な作用・効果が得られる。 また、冷却ダクト30は、ネジ35、35で天井板10と後板12とに取り付けられているので、これらのネジ35、35を外して簡単に取り外し掃除することができる。 【0014】 図3により、本考案の第2実施例を説明する。第2実施例の冷却ダクト50は、ホテルパン2、2、…が前後方向に2列に配置された冷却貯蔵庫本体1に適用されるもので、図3に示されているように、水平部51と立上部52とから、側面から見て略L字形に形成されている。水平部51の奥行き寸法は、第1実施例の第1、2水平部31、33の合計の奥行きと略等しく、前後2列に配置されたホテルパン2、2、…を略完全にカバーしている。 本実施例によると、立上部52にパンチング孔54、54、…が図3の(ロ)に示されているように、明けられている。他の構成要素は、前述した第1実施例と略同様であるので、詳しくは説明はしないが、冷却ダクト50の水平部51の左方端には、仕切板55が設けられている。冷却ダクト50は、水平部51において連絡ダクト46の張り出し部分に接続されている。したがって、蒸発器22で冷却された冷気の約半分が、冷却ダクト50に送風されることになる。 なお、連絡ダクト46の側壁47を取り去り、鎖線で示すように斜めの仕切板55′を設け、冷気の流れ抵抗を小さくすることもできる。 本実施例によっても、冷却ダクト50は、図3の(ロ)に示されているように、水平部51の約半分と立上部52とで形成される空間が連絡ダクト46に接続されているので、冷却ダクト50内へ流れる冷気は点線の矢印で、また庫内7へ流れる冷気は実線の矢印で示されているように、分流する。また、冷却ダクト50内へ圧送された冷気の一部は、立上部52のパンチング孔54、54、…から庫内7へ短絡もする。第2実施例も前述した第1実施例と同様な作用・効果を奏することは明らかであるので、これ以上の重複説明はしない。 【0015】 【考案の効果】 以上のように、本考案によると、本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、保冷容器は冷気循環ダクト内に臨んでいるので、冷気は保冷容器に直接的に当たり、保冷容器は均一に冷却される。また、冷気は冷気循環ダクトで保冷容器に導かれるので、保冷容器に当たり、冷気の流れに乱れが生じる。したがって、保冷容器が複数個設けられている場合でも、後流側の保冷容器にも冷気がムラなく当たり、均一に冷却される。さらには、本考案によると、冷気循環ダクトには庫内に開口した複数個の透孔が長手方向に所定の間隔をおいて設けられているので、保冷容器に当たり乱流となった冷気の一部は、透孔を通って庫内へ適宜短絡する。これにより、庫内の冷気は撹拌され、冷却ダクトが設けられているにも拘らず、庫内もムラなく冷却される。このように、乱流となった冷気の一部が庫内へ適宜短絡するので、冷気循環ダクトの方へ計画値よりも多く冷気が送られても、庫内の冷却不足が生じるようなことはない。したがって、冷気の送風制御が簡単になる効果も得られる。さらには、冷気循環ダクトから庫内へ短絡する冷気により庫内の冷気が撹拌されるので、庫内専用の冷気送風ファンを設ける必要がなく、コストアップになるようなこともない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の実施例を断面にして模式的に示す側面図である。 【図2】 本考案の第1実施例を示す図で、(イ)はその側断面図、(ロ)はその斜視図である。 【図3】 本考案の第2実施例を示す図で、(イ)はその側断面図、(ロ)はその斜視図である。 【符号の説明】 1 冷却貯蔵庫本体 2 ホテルパン 10 天井板 16 開口部 22 蒸発器 30、50 冷却ダクト |
訂正の要旨 |
実用新案登録請求の範囲の減縮および明瞭でない記載の釈明を目的として、実用新案登録明細書の「実用新案登録請求の範囲」について 「【請求項1】本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、 前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、該冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。」を、 「【請求項1】本体天井部の開口部に着脱自在に設けられる保冷容器が、本体内部の庫内を冷却する冷気により冷却されるようになっている冷却貯蔵庫であって、 前記保冷容器の下方には所定の間隔をおいて、本体内を冷却する冷気を前記保冷容器の方に導くための冷気循環ダクトが設けられ、前記保冷容器は前記冷気循環ダクト内に臨んでいると共に、前記冷気循環ダクトの長手方向には所定の間隔をおいて前記庫内に開口した複数個の透孔が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。」と訂正し、 実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、不明瞭な記載の釈明を目的として、実用新案登録明細書の考案の詳細な説明を訂正する。 |
異議決定日 | 1999-07-05 |
出願番号 | 実願平4-93520 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(F25D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小関 峰夫 |
特許庁審判長 |
滝本 静雄 |
特許庁審判官 |
歌門 恵 高木 彰 |
登録日 | 1997-12-26 |
登録番号 | 実用登録第2567202号(U2567202) |
権利者 |
ホシザキ電機株式会社 愛知県豊明市栄町南館3番の16 |
考案の名称 | 冷却貯蔵庫 |
代理人 | 杉谷 嘉昭 |
代理人 | 杉谷 嘉昭 |