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審決分類 審判 全部申し立て   G11B
管理番号 1004121
異議申立番号 異議1998-76078  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-17 
確定日 1999-08-02 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2574837号「磁気テープ用ガイドローラ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2574837号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
本件実用新案登録第2574837号(平成2年11月22日出願、平成10年4月3日設定登録。)に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。(以下、「本件考案」という。)
「【請求項1】内周面にリング状の溝11を有し、焼結成形されたステンレススチール製のスリーブと、このスリーブ内へ圧入された低摩擦合成樹脂製のローラポストとを含むことを特徴とする、磁気テープ用ガイドローラ。」
2.申立ての理由の概要
異議申立人日本ケミコン株式会社は、本件考案は、甲第1号証(特開平2-49250号公報)、甲第2号証(特開昭56-3248号公報)、及び甲第3号証(実願昭61-88837号(実開昭62-202683号)のマイクロフィルム)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、旧実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件考案の実用新案登録は取り消されるべき旨を主張している。
3.甲各号証に記載された考案
甲各号証には、それぞれ次の考案が記載されている。
甲第1号証
▲1▼内周面に径小部33、34及び径大部35からなるリング状の係止溝38を有し、ステンレススチールで形成されるローラー本体2と、このローラー本体2の内部へ射出成形によって設置された樹脂層40とを備えたローラー。(第1図?第3図)
▲2▼ローラー本体2の透孔4の内部に圧入された軸受9を備えたローラー。(第4図(B))
甲第2号証
焼結合金で形成された磁気テープガイド。
甲第3号証
内周面に軸方向の凹溝16を有し、ステンレス等の金属からなる外部円筒体13と、外周面に上記凹溝と係合する軸方向の凸条17を有し上記外部円筒体の内側に圧入されたポリアセタール樹脂等の樹脂からなる内部円筒体14とを備えたテープガイド。
4.対比・判断
そこで、本件考案と甲各号証に記載された考案とを対比する。
甲第1号証に記載された考案▲1▼における「ローラー本体」は、本件考案における「スリーブ」に対応するものであり、内周面にリング状の溝を有し、ステンレススチールで形成される点では本件考案と共通するが、本件考案のように焼結成形されるものではない。甲第1号証に記載された考案▲1▼における「ローラー本体の内部へ設置される樹脂層」は、本件考案における「ローラポスト」に一応対応するものであり、樹脂である点では本件考案と共通するが、本件考案のように低摩擦合成樹脂を用いるものではなく、また射出成形によってローラー本体内に設置するものであって、本件考案のようにスリーブ内に圧入するものでもない。また、甲第1号証に記載された考案▲2▼における「ローラー本体」及び「軸受」は、それぞれ本件考案における「スリーブ」及び「ローラポスト」に一応対応するものであり、スリーブ内にローラポストを圧入する点では本件考案と共通するが、上記ローラー本体(スリーブ)は本件考案のように焼結成形されるものではなく、軸受は低摩擦合成樹脂製のものではない。
甲第2号証に記載された考案は、テープガイドを焼結合金で形成するものであるが、このテープガイドは、本件考案のガイドローラのように、スリーブと、スリーブ内に圧入されるローラーポストを備えるものではない。
甲第3号証に記載された考案における、「外部円筒体」及び「内部円筒体」は、それぞれ本件考案における「スリーブ」及び「ローラポスト」に対応するものであるが、外部円筒体内周に形成される溝は、内外円筒体の相対的回転を防止するために回転軸方向に形成されるものであって、本件考案のようにガタツキ、ずれ下がりを防止するためにリング状に形成されるものではなく、また上記外部円筒体(スリーブ)は焼結成形されるものでもない。
次に、甲各号証の組み合わせについて検討する。
甲第2号証には、テープガイドを焼結合金で形成する目的については何ら言及されておらず、また、スリーブとその内側に設置されるローラポストからなるものでもないので、ローラ本体(スリーブ)とローラ本体内周に設置される樹脂層や軸受(ローラポスト)を備える甲第1号証に記載された考案において、ローラ本体を甲第2号証に記載された考案のように焼結合金で形成することは、当業者がきわめて容易に想到できたものとすることはできない。また、甲第3号証に記載された考案は、外部円筒体(スリーブ)内に圧入される内部円筒体(ローラポスト)をポリアセタール樹脂(低摩擦合成樹脂)で形成するものであり、内周面に溝が形成されたローラ本体(スリーブ)とその内部に射出成型により設置される樹脂層(ローラポスト)を備える甲第1号証に記載された考案▲1▼と組合わせることはできない。甲第3号証に記載された考案における外部円筒体(スリーブ)内周に形成される溝は内外円筒体の相対的回転を防止するために回転軸方向に形成されるものであり、甲第1号証に記載された考案▲2▼に甲第3号証に記載された考案を組み合わせても、本件考案におけるガタツキ、ずれ下がりを防止するためのスリーブ内周面のリング状の溝を導くことはできない。
そして、本件考案に係る磁気テープ用ガイドローラは、スリーブを焼結成形したので、従来のこの種のガイドローラと比べ、回転振れが非常に小さくなって製品精度がはるかに向上し、生産性も高くなり、また、スリーブの内周面にはリング状の溝が形成されているので、スリーブ内へのローラポストの圧入の際に、ローラポストの外周部がスリーブ内周面に形成されている溝へくい込み、ローラポストが環境温度の変化によって収縮してもスリーブとローラポストとの結合関係が保たれ、ローラポストの収縮によるスリーブのガタツキや記録再生時における雑音の発生などを防止できるという効果を奏するものである。
したがって、本件考案は、甲第1号証?甲第3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
なお、異議申立人は、本件登録前に行われた本件明細書の作用、効果の補正は要旨を変更するものである旨も併せて主張しているが、スリーブ内へのローラポストの圧入の際に、ローラポストの外周部がスリーブ内周面に形成されている溝へくい込む点は、内周面に溝が形成されているステンレススチール製のスリーブ内にスリーブより軟質の合成樹脂製のローラポストを圧入する際当業者に十分に予測される事項であり、明細書又は図面の要旨を変更するものとはいえない。
5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-07-05 
出願番号 実願平2-122850 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (G11B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 卓哉  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 今井 義男
犬飼 宏
登録日 1998-04-03 
登録番号 実用登録第2574837号(U2574837) 
権利者 株式会社水木精密
東京都大田区仲池上2丁目26番6号
考案の名称 磁気テープ用ガイドローラ  
代理人 畝本 正一  
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