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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60L
管理番号 1005262
審判番号 審判1997-10877  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-06-27 
確定日 1999-12-20 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第65836号「鉄道車両用高電圧大電流配線の電磁波シールド装置」拒絶査定に対する審判事件(平成7年6月6日出願公開、実開平7-30501)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本件考案
本願は、平成5年11月5日の出願であって、請求項1に係る考案(以下、本件考案という。)は明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「車体接地方式又はコネクタ接地方式による鉄道車輌用高電圧大電流配線の電磁波シールド装置に於いて、鉄道車輌と鉄道車輌の空間部分に電磁遮蔽を施すために、車間渡り線である電力ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けた遮蔽体つまり遮蔽付ケーブル1の非磁性シールド体2を接続金具3により直接又はコネクタ体7を介して車体の端部5に接続して非磁性シールド材と連結コネクタ又は車体との間を同電位に接地せしめてなる鉄道車輌用高電圧大電流配線の電磁波シールド装置。」
II.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭64-39201号公報(以下、引用例という。)の、「筺体そのものを車体にアースしたり、バッテリとチョッパ装置とを結ぶ電源ケーブルを遮へいすることについては何ら配慮されれていなかった。このため、チョッパ装置のチョッピング制御によって電源ケーブルに断続電流が流れると、チョッパ装置及び電源ケーブルから電磁雑音が発生することがあった。特に電源ケーブルがエンジンルームや車室内に亘って配線されているときには、電源ケーブルから発生する電磁雑音によって車載用ラジオ等に電波障害が生じるという不都合があった。本発明は、車載用電気機器の電波雑音の発生を抑制することができる車載用電気機器の電波雑音発生抑制方式を提供することにある。」(1頁右欄14行乃至2頁左欄7行)との記載、「前記目的を達成するために、本発明は、バッテリと車載用電気機器とを結ぶ電源ケーブルの周囲をシールドケーブルで覆うと共に、車載用電気機器の周囲を磁気遮へい用の筺体で覆い、前記シールドケーブル及び前記筺体を高周波インピーダンスの低いアース部材を介して車体に接地してなる車載用電気機器の電波雑音発生抑制方式を採用したものである。」(2頁左上欄9行乃至16行)との記載、「シールドケーブル及び筺体がそれぞれアース部材を介して車体に接地されているので、シールドケーブル及び筺体がそれぞれ高周波的に同電位となり、電源ケーブル及び車載用電気機器から発生する電波雑音を抑制することができる。」(2頁左上欄18行乃至右上欄2行)との記載、「各シールドケーブル28,30は編組線32,34を介して車体に接地されている。」(2頁右上欄17行乃至18行)との記載によれば、引用例は自動車の電源ケーブルから発生する電磁波による障害を防止するという技術的課題を解決するための、「電源ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けたシールドケーブルのシールド体を編組線を介して車体に接続してシールド材と車体との間を同電位に接地せしめた電磁波シールド装置」の構成を開示するものと認めることができる。
III.対比・判断
本願考案と引用例考案とを対比するに、まず、両者に使用されている用語につきそれらの技術的意味乃至機能の観点から考えると、引用例の「電源ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けたシールドケーブル」は本願考案の「電力ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けた遮蔽体つまり遮蔽付ケーブル」に相当するといえ、また、引用例はシールドケーブルの材質について記載するところはないが、実願昭60-147002号(実願昭62-55398号)のマイクロフィルムにも記載されているように、艤装線の磁束の洩れによる誘導障害を回避するために使用する磁気シールド材料として非磁性体を用いることは極普通のことであるから、引用例のシールドケーブルも非磁性材料を使用していると解するのが自然である。
そうすると、両者は、「電力ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けた遮蔽体つまり遮蔽付ケーブルのシールド体を接続金具により直接車体に接続してシールド材と車体との間を同電位に接地せしめてなる電磁波シールド装置。」の点で一致し、
本願考案が鉄道車輌と鉄道車輌の空間部分の車間渡り線に前記電磁波シールド装置による電磁遮蔽を施し車体接地方式による鉄道車輌用高電圧大電流配線の電磁波シールド装置を構成したのに対し、引用例が自動車における車体接地方式の電磁波シールド装置である点、
で相違する。
そこで、前記相違点について検討するに、本願明細書の、「鉄道車輌で、車体内部における遮蔽対策は既に種々公開されており、電線の周囲を遮蔽することにより、遮蔽効果を発生させることは広く使用されているところである。而して鉄道車輌間の場合は、連結運転の際に連結面がら発生するノイズ障害を防止するには、従来の筺体等をそのまま遮蔽物として使用することはできず、つまり車輌が直線レールから曲線レールに入る場合やその逆に曲線レールから直線レールに入る場合に、偏倚により車間渡り線の曲げRが変わり渡り線が揺動するので、従来の技術をそのまま簡単に適用することはできない。」(【0002】段落)との記載、「このような点を考慮して、本考案人は種々試作や実験を試みた結果、鉄道車輌用高電圧大電流配線のための車間渡り線である電力ケーブルの周囲に直接取り付けた遮蔽体つまり遮蔽付ケーブルの非磁性体2を接続金具3により直接又はコネクタ体7を介して車体の端部5に接地して、そのシールド材と連結コネクタ間又は車体間の電位をなくしてアースに落とし、シールド材と連結用コネクタ、又は車体を同電位にすることが解決のいとぐちとなることがわかった。」(【0004】段落1行乃至6行)との記載によれば、本願考案は鉄道車両においてインバータ制御等の高調波を含む動力回路用高電圧大電流引通し線の車間わたり部分からの漏洩電磁波が発生信号通信用地上設備及び車両制御回路等に与える誘導障害を防止するため、車間わたり線に非磁性シールド材で遮蔽した電力ケーブルを使用し、シールド材と車体間の電位差を同電位にするというものであるが、しかし、実願平1-54890号(実開平2-146901号)のマイクロフィルムにも記載されているように、鉄道車両の引通し線の車間わたり部分、すなわち、渡り線に高調波電流が集中して流れ漏洩電磁波が地上設備等に悪影響を及ぼすものであることは当業者が周知の事項として認識し、また、これを防止するための対策を施していたものである。
しかるところ、前示のとおり引用例には、電源ケーブルから発生する電磁波による障害を防止するという観点では本願考案と同じ技術的課題を解決するための、電力ケーブルの周囲に直接一体化してシールド材を施すように取り付けた遮蔽体つまり遮蔽付ケーブルのシールド体を接続金具により直接車体に接続してシールド材と車体との間を同電位に接地せしめてなる電磁波シールド装置が示されており、そして、引用例の係る装置が自動車の電源ケーブルを対象とするものであるとしても、これを、前記周知の鉄道車両の引通し線の車間わたり部分の電力ケーブルの漏洩電磁波による障害の防止に適用できないとする理由は見当たらず、また、これを適用するのに、接続金具を車体の端部に接続して足りるといえる。
そうすると、本願考案の前記相違点に係る構成は当業者がきわめて容易に想到できたものというべきである。
そして、本願考案が奏する作用効果は、引用例及び周知技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
上記検討によれば、本願考案は引用例及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
IV.むすび
以上のとおり、本願考案は実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-09-10 
結審通知日 1999-09-24 
審決日 1999-10-27 
出願番号 実願平5-65836 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B60L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西村 泰英渋谷 善弘  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 西川 一
岩本 正義
考案の名称 鉄道車両用高電圧大電流配線の電磁波シールド装置  
代理人 堀江 秀巳  
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