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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1005265
審判番号 審判1997-13543  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-08-14 
確定日 1999-12-22 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第23915号「多出力速度発電機」拒絶査定に対する審判事件(平成5年10月22日出願公開、実開平5-78181)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本願考案
本願は平成4年3月23日の出願であって、その考案は実用新案登録請求の範囲の第1項乃至第5項に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る考案(以下、本願考案という。)は実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「所定の直径を有し、円周全縁に所定ピッチと寸法で凹凸を形成した円盤を回転自在に軸支した誘導子の外縁に沿って上記誘導子に設けた凹凸のピッチと寸法に対応した所定の寸法の永久磁石を所定位置に配設し、該永久磁石の両側にコイルを嵌合した磁極片を該コイルを前記誘導子に向けて装着し、該コイル出力信号によって前記円盤の回転速度を検出するようにした多出カ速度発電機において、前記各磁極片は誘導子に設けた凹凸のピッチと寸法に対応して所定の形状と寸法で夫々にコイルを嵌合した2本の磁極を設け、上記永久磁石左右夫々の各磁極片の磁極に嵌合装着する各2個のコイルのうち所定の1個から上記誘導子を回転することによって誘導出力する交流信号の位相を基準にして、他の1個のコイルから誘導出力される交流信号を90度の位相差を有するように誘導子の凹凸部と該コイルを嵌合する磁極との位置関係を形成し、かつ、永久磁石左右計2個の磁極片の夫々永久磁石に対する対称位置の磁極に嵌合する各コイル同士から上記誘導子を回転することによって誘導出力する交流信号が夫々同一で90度の位相差を有するように、各磁極の位置寸法を形成したことを特徴とする多出力速度発電機。」
II.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭54-86715号公報(以下、引用例という。)の、「この発明は、例えば電機車の歯車装置に装着し、歯の移動速度を電圧に変換して電機車の速度を検出する場合などに使用される速度発電機の改良に関するものである。」(1頁左欄19行乃至右欄2行)との記載、「以下、図について説明する。第4図において、(1)は矢印(2)の方向へ移動する歯車であって、所定の間隔をあけて設けられた歯、すなわち磁性体(1a)(1b)・・・を有する。(3)は図示左方がS極、右方がN極となるように配設され起点磁力Fの永久磁石、(4)(5)は一端が上記磁石(3)と当接され他端に異なる磁極同志が対向し対をなすように構成されそれぞれ2個の磁極部(4a)(4b)及び(5a)(5b)を有する磁極片であって、」(2頁左上欄4行乃至12行)との記載、「また、第6図はこの発明の他の実施例を示すもので、各磁極部(4a)?(4d)及び(5a)?(5d)間を各磁性体(1a)?(1c)に対して電気角で270度ずつずらして配設することによって、各コイル(6a)(6b)、(7a)(7b)、(10a)(10b)及び(11a)(11b)には第7図に示すようなe_(1)、e_(4)、e_(3)及びe_(2)の電圧が誘起するので、それぞれe_(3)及びe_(4)の向きを変えることによって、e_(1)e_(3)及びe_(2)e_(4)がそれぞれ同相で相互間に90度の位相差を有する電圧が得られる。なお、上記第6図に示す実施例において各磁極部間を270度としているが、この角度以外であっても同相の出力電圧を得ることができる。」(2頁左下欄8行乃至18行)との記載、及び第6図、第7図の記載によれば、引用例には「所定の直径を有し、円周全縁に所定ピッチと寸法で歯を形成した円盤を回転自在に軸支した歯車に沿って永久磁石を所定位置に配設し、該永久磁石の両側にコイルを嵌合した磁極片を該コイルを前記歯車に向けて装着し、該コイル出力信号によって前記円盤の回転速度を検出するようにした多出力速度発電機において、前記各磁極片は歯車に設けた歯のピッチと寸法に対応して所定の形状と寸法で夫々にコイルを嵌合した4本の磁極部を設け、上記永久磁石左右夫々の各磁極片の磁極部に嵌合装着する各4個のコイルのうち所定の1個から上記歯車を回転することによって誘導出力する交流信号の位相を基準にして、他のコイルから誘導出力される交流信号を90度の位相差を有するように歯車の歯と該コイルを嵌合する磁極部との位置関係を形成し、上記歯車を回転することによって誘導出力する交流信号が夫々同一位相で90度の位相差を有するように、各磁極部の位置寸法を形成した多出力速度発電機。」との考案が開示されていると認めることができる。
III.対比・判断
本願考案と引用例考案とを対比するに、まず、両者に使用されている用語につきそれらの技術的意味乃至機能の観点から考えると、引用例考案の「歯」、「歯車」、「磁極部」は本願考案の「凹凸」、「誘導子」、「磁極」に相当するものといえる。
そうすると、両者は「所定の直径を有し、円周全縁に所定ピッチと寸法で凹凸を形成した円盤を回転自在に軸支した誘導子に沿って永久磁石を所定位置に配設し、該永久磁石の両側にコイルを嵌合した磁極片を該コイルを前記歯車に向けて装着し、該コイル出力信号によって前記円盤の回転速度を検出するようにした多出力速度発電機において、前記各磁極片は歯車に設けた歯のピッチと寸法に対応して所定の形状と寸法で夫々にコイルを嵌合した複数本の磁極を設け、上記永久磁石左右夫々の各磁極片の磁極に嵌合装着する各複数個のコイルのうち所定の1個から上記歯車を回転することによって誘導出力する交流信号の位相を基準にして、他のコイルから誘導出力される交流信号を90度の位相差を有するように歯車の歯と該コイルを嵌合する磁極部との位置関係を形成し、上記歯車を回転することによって誘導出力する交流信号が夫々同一位相で90度の位相差を有するように、各磁極部の位置寸法を形成した多出力速度発電機。」の点で一致し、
(1)永久磁石の配設に関し、本願考案が誘導子の外縁に沿って設けた凹凸のピッチと寸法に対応した所定の寸法の永久磁石であるのに対し、引用例考案がそのような構成を備えていない点、
(2)永久磁石左右夫々の各磁極片の磁極及び該磁極に嵌合装着されるコイルが本願考案では各2個であるのに対し、引用例考案は各4個である点、
(3)同一位相で90度の位相差を有する交流信号を得るのに本願考案が永久磁石に対する対称位置の磁極に嵌合する各コイル同士から得るのに対し、引用例考案はそのような構成を備えていない点、で相違する。
そこで、前記各相違点について検討する。
1.相違点(1)について
引用例には前示の記載の他に、「さらに第8図はこの発明の他の実施例を示したもので、各磁極部(4a)(4b)及び(5a)(5b)の各間隔を電機角で180度ずらして磁性体(1)の移動方向に配列したものである。」(2頁左下欄20行乃至右下欄3行)との記載があり、この記載は第4図に示されている歯の側面に磁極部(4a)(5a)及び(4b)(5b)に配置することに変えて第8図に示されているいるように永久磁石を歯車の外縁に沿って設け、その寸法を歯のピッチと寸法に対応した所定のものとする構成を示すものであって、当業者であればこの例に倣い、第6図に示された歯と磁極部との配置関係、すなわち、永久磁石を同様に歯車の外縁に沿って設け、その寸法を歯のピッチと寸法に対応した所定のものとすることは容易に推測できるものというべきであるから、本願考案の相違点(1)に係る構成は当業者がきわめて容易に想到できたものである。
2.相違点(2)について
引用例考案が磁極部を(4a、5a)(4b、5b)(4c、5c)(4d、5d)の対として配置し各磁極部にコイルを巻回し直列接続したのは高い出力電圧を得るためであるといえるところ、速度発電機として必要な限度での出力電圧を得るためには磁極部を対にすることなく4個の磁極部で複数の出力電圧(e_(1)、e_(2)、e_(3)、e_(4))を得るように磁路を形成してできることも当業者が技術常識として理解できることであり、また、この4個の磁極を前示の相違点(1)で検討した両側に磁極片を有する永久磁石の配置において、それぞれの磁極片に2個ずつ設けることに技術的にみて格別に困難な点が存在するものともいえないから、本願考案の相違点(2)に係る構成は当業者がきわめて容易に想到できたものである。
3.相違点(3)について
4個の磁極に嵌合する各コイルのうち、どのコイルを基準としてそれとは同一位相で90度の位相差を有する交流信号を他のコイルから得るようにするかは、円盤に所定ピッチと寸法で形成した凹凸と、磁極及びコイルとの関係において当業者が任意に選択できる事項であり、永久磁石左右計2個の磁極片の夫々永久磁石に対する対称位置の磁極に嵌合する各コイル同士から同一位相で90度の位相差の交流信号を得ることも当業者の前記選択事項の範囲内のものというべきであるから、本願考案の相違点(3)に係る構成は当業者がきわめて容易に想到できたものである。
そして、本願考案が奏する作用効果は引用例考案から当業者が予測できる範囲のものである。
IV.むすび
以上のとおり、本願考案は実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-09-30 
結審通知日 1999-10-15 
審決日 1999-10-27 
出願番号 実願平4-23915 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀本 孝  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 吉村 宅衛
岩本 正義
考案の名称 多出力速度発電機  
代理人 斎藤 春弥  
代理人 藤本 礒  
代理人 後藤 武夫  
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