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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B42D
管理番号 1005266
審判番号 審判1999-4838  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-25 
確定日 1999-11-11 
事件の表示 平成3年実用新案登録願第109166号「機械読み取り用隠蔽葉書」拒絶査定に対する審判事件(平成5年7月9日出願公開、実開平5-51679)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は平成3年12月10日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成9年7月14日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「隠蔽情報を表示した重ね合わせ面を剥離可能に接着してなる隠蔽葉書であって、前記重ね合わせ面は、印刷あるいは印字が可能で、かつ、通常では接着せず、一定条件が付与されると接着可能となり、接着後には施された印刷あるいは印字を損なうことなく剥離可能な接着剤によって剥離可能に接着されてなり、前記重ね合わせ面の一方の面には、機械読み取り用の隠蔽情報を表示し、前記重ね合わせ面の他方の面には、機械読み取り用の隠蔽情報に関連する隠蔽情報を表示したことを特徴とする機械読み取り用隠蔽葉書。」
2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した特開平3-10895号(以下、「引用例1」という。)には、
「支持体に・・・熱可塑性樹脂層を設けた・・・再剥離性感熱接着シートの熱可塑性樹脂層上に情報を印刷した後、該層同士を対向させて加熱圧着した葉書。」(特許請求の範囲、第1、2図)、「本発明における再剥離性感熱接着シートの支持体としては、特に限定されるものではないが、従来から使用されている上質紙、各種合成紙等が使用できる。」(第2頁右下欄7?10行)、
「得られたシートの塗布上に活版印刷して情報を印刷した後、ミシン目を入れて第5図の如きZ折り加工をした。次に上記シートの塗布面と原紙面に更に電子写真方式により情報を印刷した後、縦ミシン目を中心として塗布面同士を対向させて加熱圧着用の金属ロール間に通し、横ミシン目で切り離して第2図の如き葉書を得た。4種類の葉書はいずれも接合している互いのシートを容易に剥離することができ、内面の情報を読むことができた。・・・このように、本発明の再剥離性感熱接着シートは、接合しているシートを容易に剥離することができるものである。しかも樹脂塗布面に印刷を施すことができるため、情報に機密保持性を持たすことができ、葉書としての使用が有用である。」(第3頁右上欄14行?同左下欄10行、第5図)、
が記載されている。
同じく原査定の拒絶の理由に引用した実願平I-119623号(実開平3-57070号)のマイクロフイルム(以下、「引用例2」という。)には、
「表面に伝えたい秘密情報に関する文字及びOCR、OHR、バーコードや磁気テープ等の機械読取り情報を設けた葉書用紙と、この葉書用紙の面の所定位置に裏面が剥離不能にまたは剥離可能に密着される透明フィルムと、この透明フィルムの表面に剥離可能に密着される表葉紙とを備えていることを特徴とする葉書。」(実用新案登録請求の範囲)
「葉書用紙面の所定位置に透明または半透明のフィルムを粘着すると共に、このフィルムの上に表葉紙を剥離可能に密着させているので、葉書面上の印字による情報やバーコードや磁気テープ等の機械による読取り情報はフィルムによって覆われるようになる。したがって、葉書面上の情報は、郵送途中における汚れや傷、あるいは雨や雪等による水分による悪影響から保護されるようになる。そして、受取人は葉書を受け取った時表葉紙を剥すことにより、目で印字による情報を読み取ることができるようになるばかりでなく、機械によりバーコードや磁気テープ等の情報を確実に読み取ることができるようになる。」(明細書、第5頁下から2行?第6頁11行)
が記載されている。
3.対比・判断
本願考案と引用例1に記載されたものとを対比すると、引用例1の「葉書」は情報に機密保持性を持たせることができるものであるから、本願考案の「隠蔽葉書」に相当し、また、引用例1の「熱可塑性樹脂層」は、情報が印刷でき、かつ、通常では接着せず、加熱圧着されると接着可能となり、接着後には接合しているシートを容易に剥離することができ、内面の情報を読むことができるものであるので、本願発明の「印刷あるいは印字が可能で、かつ、通常では接着せず、一定条件が付与されると接着可能となり、接着後には施された印刷あるいは印字を損なうことなく剥離可能な接着剤」に相当するから、両者は、「隠蔽情報を表示した重ね合わせ面を剥離可能に接着してなる隠蔽葉書であって、前記重ね合わせ面は、印刷あるいは印字が可能で、かつ、通常では接着せず、一定条件が付与されると接着可能となり、接着後には施された印刷あるいは印字を損なうことなく剥離可能な接着剤によって剥離可能に接着されてなる葉書」で一致し、
本願考案は、該印刷が機械読み取り用の隠蔽情報であり、しかも、重ね合わせ面の一方の面には、機械読み取り用の隠蔽情報を表示し、前記重ね合わせ面の他方の面には、機械読み取り用の隠蔽情報に関連する隠蔽情報を表示しているのに対し、引用例1のものは、重ね合わせ面(両面に)に隠蔽情報を施しているのみで、その隠蔽情報は機械読み取り用のものであるのか、また重ね合わせ面にどのように隠蔽情報を表示しているのか不明である点で相違している。
上記相違点を検討する。
引用例2には、葉書面の情報として機械読み取り情報を用い、該情報を隠蔽することにより、郵送途中における汚れなどの悪影響から保護し、機械による情報の読み取りを確実にする点が記載されているので、上記引用例1のような葉書の隠蔽情報として、機械読み取り用の情報を用いることは、当業者が格別の考案力を要するものとはいえない。そして、引用例1のような情報を表示する面が複数ある葉書において、その複数の面に相互に関連する情報を表示することは通常行われていることである(例えば、実開平1-127783号公報参照)ので、機械読み取り用の隠蔽情報を一面に表示する際、他方の面にその関連する隠蔽情報を表示することは当業者が行う通常の創作能力の発揮程度のことであり、格別なことということはできない。
また、本願考案の効果も上記引用例1、2に記載されたものから当業者であれば当然に予測し得る程度のことである。
4.むすび
したがって、本願考案は、引用例1、2に記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-08-26 
結審通知日 1999-09-14 
審決日 1999-09-22 
出願番号 実願平3-109166 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B42D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 藤井 靖子  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 新井 重雄
日高 賢治
考案の名称 機械読み取り用隠蔽葉書  

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