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審決分類 審判 全部申し立て   G09B
審判 全部申し立て   G09B
管理番号 1005278
異議申立番号 異議1997-74527  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-09-25 
確定日 1999-09-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2530582号「地図表示装置」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2530582号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2530582号の考案は、平成3年6月21日に実用新案登録出願され、平成8年12月20日にその登録の設定がなされ、その後、杉戸良至、桜井美惠子より登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年11月2日に訂正請求がなされ(その後、平成11年6月16日に当該訂正請求は取り下げられた。)、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内に平成11年2月15日に訂正請求がなされ、その後、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年6月16日に訂正請求がなされたものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の要旨
▲1▼訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むことを特徴とする地図表示装置。」
明細書段落【0008】の内容を「上記の目的を達成するための請求項1記載の地図表示装置は、地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段
と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むものである。」と訂正する。以降の段落番号を繰り上げる。
▲3▼訂正事項b
明細書段落【0019】の「タイマ11」を、「タイマ12」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
▲1▼訂正事項aについて
訂正事項aは、明細書段落【0019】における「図3は表示縮尺の切換えに関する上記制御部4の動作を説明するためのフローチャートである。ステップn1で操作位置A1,A2の操作により表示縮尺の切換え操作が行われると、ステップn2において設定縮尺記憶部11に記憶される縮尺が1段階変化される。」の記載、明細書段落【0020】における「この設定縮尺記憶部11の記憶値の変動に応答してステップn3では、図2において参照符号A3で示す縮尺の表示も変化させられる。さらにステップn4では、タイマ12が起動され、ステップn5では、操作位置A1,A2の操作による再度の縮尺切換え操作が行われたかどうかが判断される。切換え操作が行われたときには、ステップn2に戻る。切換え操作が行われないないときには、ステップn6でタイマ11の計時時間が上記の所定時間Tに達しているかどうかが判断される。そして所定時間Tに達しているときには、読み出すべき地図の縮尺が確定したものとして、当該縮尺の地図の読み出し処理が行われる。上記所定時間Tの経過前であれば、ステップn5に戻る。」の記載、および、明細書段落【0016】における「操作位置A1,A2の操作による1段階ずつの表示縮尺の切換えにより、設定縮尺記憶部11が記憶する縮尺は1段階ずつ変化する。この変化に対応して、図2における参照符号A3で示す縮尺も変化することになる。」に基づくものである。さらに、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、それとの整合を図るために、考案の詳細な説明を訂正するものである。
したがって、訂正事項aは、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とし、また、明細書の明りようでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上、実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
▲2▼訂正事項bについて
訂正事項bは、明細書の誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、上記訂正▲1▼.▲2▼は、特許法の一部を改正する法律(平成5年法律第89号)附則第9条第2項の規定により準用される、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2項乃至第3項の規定に適合する。
3.独立登録要件の判断
(1)訂正明細書の請求項1に係る考案
当審における取消理由通知書(平成10年8月13日)による通知後、訂正された訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むことを特徴とする地図表示装置。」
(2)取消理由の引用例
本件考案に対して、当審が通知した取消理由に引用した刊行物は次のとおりである。
(1)実用新案登録異議申立人 杉戸良至の提出
に係る刊行物
刊行物1;特開昭62-153889号公報(甲第1号証)
刊行物2;特開平3-137686号公報(甲第2号証)
刊行物3;特開平2-103584号公報(甲第3号証)
(ii)実用新案登録異議申立人 桜井美惠子の提出に係る刊行物
刊行物1;特開昭63-180991号公報(甲第1号証)
刊行物2;特開昭62-153889号公報(甲第2号証)
刊行物3;特開平2-219083号公報(甲第3号証)
刊行物4;特開平3-137686号公報(甲第4号証)
刊行物5;特開昭61-194467号公報(甲第5号証)
刊行物6;特開昭61-156277号公報(甲第6号証)
刊行物7;特開昭58-186789号公報(甲第7号証)
(a)実用新案登録異議申立人 杉戸良至の提出に係る刊行物1には、「地図情報をデイジタル化して所定の記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体から読み出され、画像信号に変換された該地図情報を表示装置に表示する車両ナビゲーション装置」(第1頁左下欄5行乃至8行を参照。)が記載され、「第1図は本発明の車両ナビゲーション装置のブロック図である。同図において1は記録媒体あるいは記憶媒体としてのCD-ROM(そのドライブ装置を含む)でありデイジタル化された地図情報が記録されている。」(第2頁右上欄14行乃至18行を参照。)が記載され、「一方第2図はキーボード12の構成を示している。同図に示すごとく、各操作キーは表示装置29の外周に配置されている。」(第3頁左上欄13行乃至15行を参照。)が記載され、「縮尺セット時において縮小キー57が操作された場合、表示装置29の画像が1段階下の縮尺の地図に書き換えられるとともに、」(第4頁右上欄18行乃至20行を参照。)が記載され、「拡大キー58が操作された場合、1段階上の縮尺の範囲を示すカーソルが表示される。さらに拡大キー58を操作すると、カーソルが順次小さくなっていく。例えば第23図に示すように、外側に示すカーソルが内側に示す大きさに変化し、さらに操作するとさらに小さくなる・・・カーソルが表示された状態でセットキー55を操作すると、カーソルで表示された範囲がその縮尺で画面上に表示されるとともに、このときカーソルが+字マークに変化する。」(第4頁左下欄9行乃至同頁右下欄2行を参照。)が記載され、「また拡大するとき、目的とする縮尺がセットされた後、セットキー55が操作された時点で後述するメモリへの描画動作(時間がかかる)を開始するので、操作を円滑に行うことができる。」(第5頁左上欄13乃至17行を参照。)が記載されている。
同刊行物2には、「次に、ナビゲーションを動作させる場合について説明する。まず、ファンクションスイッチ(SW1)を押圧操作して、ナビゲーション(11)を作動させる。すると、画面(26a)には・・・道路地図と・・・線図が表示されると共に、・・・現在位置マーク(M)が道路の線図上に表示される。(この表示画面は第11図に示している)。・・・つぎに、上記表示地図を・・・他の縮尺の地図に切替える場合、設定のための上記スイッチパターン・・・(Wl)、(W2)を画面に表示させる必要がある。・・・まず、画面(26a)のどこかを操作のための物体である指でタッチすると、・・・拡大・縮小のスイッチパターン(Wl)、(W2)が表示される。このとき、タイマ(9a)がリセットされて、タイムのカウントが開始される。この後、・・・上記スイッチパターン・・・(Wl)、(W2)がタッチ操作されたか判断される。ここで、タッチ操作があれば、動作が開始される。・・・拡大もしくは縮小のスイッチパターン(Wl)、(W2)の何れかをタッチすると、広域、標準、詳細地図のうち一種が表示される。一方、上記スイッチパターン・・・(Wl)、(W2)がタッチ操作されないとき、予め設定された時間(5秒)が経過したか判断される。ここで、もしその時間内でタッチ操作があった場合には、その時点から再びタッチ操作があるか判断され続けるがタッチ操作のない状態で5秒が経過すると、タイムアップに基づいて上記スイッチパターン・・・(Wl)、(W2)が画面(26a)から消去される。従って、画面(26a)には、第11図に示すように、地図のみ表示される」(第5頁左上欄5行乃至同頁左下欄11行を参照。)が記載されている。
同刊行物3には、「表示地図の隅に直線で目盛の付いたスケールを表示させたり或いは縮尺自体を数字で表示させることが考えられるが、」(第2頁左上欄9行乃至12行を参照。)が記載されている。
(対比・判断)
本件考案(以下、「前者」という。)と、刊行物1乃至刊行物3に記載された考案(以下、「後者」という。)とを対比すると、前者は、「縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段」(以下、「特定事項」という。)の点の記載がなく、且つ、上記特定事項は、刊行物1乃至刊行物3の記載からきわめて容易に想到し得ることとも認められない。
そして、前者は、上記特定事項を含む構成より、本件特許明細書に記載された格別顕著な作用・効果を奏するものと認める。
したがって、本件考案は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものあるとは認められない。
(b)実用新案登録異議申立人 桜井美惠子の提出に係る刊行物1には、「13は地図情報等を格納した記憶手段、14は記憶手段13および位置演算手段12等を接続し、本装置の各回路を制御す演算・制御手段、15は演算・制御手段14に制御されて地図及び走行経路(走行軌跡および現在位置)等を表示するCRT等の表示手段である。・・・17は位置入力手段16が連続して操作されたときこれを検出して縮尺指定信号を出力する連続入力検出手段、18は縮尺指定信号の内容に応じた縮尺を予め格納し縮尺指定信号を入力すると対応した縮尺を拡大・縮小命令信号によって演算・御手段14へ出力する拡大縮小命令発生手段、19は記憶手段13から演算・制御手段14に読出された地図情報について拡大・縮小を指定する信号を演算・制御手段14へ出力する拡大縮小命令入力手段である。」(第2頁右上欄13行乃至同頁左下欄10行を参照。)が記載され、「拡大用のスイッチを連続して操作すると、連続入力検出手段17はこの連続操作時間(本実施例では継続操作時間の場合を例示するが、操作回数でもよい。)に応じた縮尺指定信号を拡大縮小命令発生手段18へ出力する。拡大・縮小命令発生手段18は取込んだ縮尺指定信号に応じた縮尺(こ の場合拡大率大の縮尺となる)を取出してこれを拡大縮小信号によって演算.制御手段14へ出力する。」(第2頁右下欄17行乃至第3頁左上欄5行を参照。)が記載されている。
刊行物2には、「第1図は本発明の車両ナビゲーション装置のブロック図である。同図において1は記録媒体あるいは記憶媒体としてのCD-ROM(そのドライブ装置を含む)でありデイジタル化された地図情報が記憶されている。・・・6はインフォメーションプロセッサ(CPU)であり、種々の画像テータ処理を行うとともに・・・設定入力されたデータから現在位置を演算する。・・・メモリ21に記憶された映像信号が・・・D/A変換回路26、27、28によりデイジタル信号からアナログ信号に変換され、CRT等の表示装置29に表示される。」(第2頁右上欄14行乃至同頁右下欄20行を参照。)が記載され、「地図の縮尺としては8種類が用意されており、縮尺セット時において縮小キー57が操作された場合、表示装置29の画像が1段階下の縮尺の地図に書き換えられるとともに、書き換え前の縮尺の範囲を示すカーソルが表示される」(第4頁右上欄17行乃至同頁左下欄1行を参照。)が記載され、「また拡大するとき、目的とする縮尺がセットされた後、セットキー55が操作された時点で後述するメモリへの描画動作(時間がかかる)を開始するので、操作を円滑に行うことができる。」(第5頁左上欄13行乃至17行を参照。)が記載され、「このように表示装置29には、プロセッサ6の制御の下にコントローラ15によりメモリ16、17に描画される画像、又はプロセッサ6がメモリ20に直接描画する画像のいずれかかが択一的に表示可能になっている。」(第8頁左上欄12行乃至16行を参照。)が記載され、
刊行物3には、「第1図において、・・・2はタイマー機能を有するタイマー制御部、・・・4は座標点の集合として表現される地図情報を記憶、再生する地図情報再生部、・・・表示部7は、操作者の指のタッチによる入力操作するためのタッチパネル8と、・・・地図、車両の現在位置、タッチパネル8用のソフトキーの表示を行う表示器9から構成されている。・・・演算処理部3は入力データの処理後、その処理データを表示制御部6を介して表示器9に出力するように接続されている。第2図はソフトキーの表示状態を示す表示例であり、11?16は拡大、縮小、設定等のソフトキー表示で、表示器9の全表示エリアに表示された地図中の隅にある。」(第2頁左下欄6行乃至同頁右下欄10行を参照。)が記載され、「ステップ17では、ソフトキーの表示制御を行なって、第2図に示す表示となる。ステップ18では、タイマー制御部2を動作させ、タイマースタートの制御を実行する。・・・タイマー制御部12からのタイムアップ信号を入力しなければタイムアウトでないのでステップ19に戻り、入力すればタイアムタイムアウトなのでステップ22に進む。」(第3頁右上欄16行乃至同頁左下欄9行を参照。)が記載されている。
刊行物4には、「画面(26a)のどこかを操作のための物体である指でタッチすると(ステップ21)、タッチスイッチ(31)から検知信号が出力される。すると、上記画面(26a)の地図上にスクロールキー(S1)?(S4)や、拡大・縮小のスイッチパターン(Wl)、(W2)が表示される。このとき、タイマ(9a)がリセットされて、タイムのカウントが開始される。拡大もしくは縮小のスイッチパターン(Wl)、(W2)の何れかをタッチ操作すると、広域、標準、詳細地図のうち一種が表示される。・・・ここで、もしその時間内でタッチ操作があった場合には、その時点から再びタッチ操作があるか判断され続けるがタッチ操作がない状態で5秒経過すると、タイムアップに基づいて上記スイッチパターン(S1)?(S4)、(W1)、(W2)が画面(26a)から消去される。」(第5頁右上欄6行乃至同頁左下欄10行を参照。)が記載されている。
同刊行物5には、「画面上に機能操作キー情報が表示されていない状態でその入力を行なう場合に、機能操作キー情報を容易に呼び出し得るようにすることにより、操作性の飛躍的な向上を可能とした画像情報表示装置を提供することを目的とする。」(第2頁左下欄17行乃至同頁右下欄1行を参照。)が記載され、「システムコントローラ18は選択スイッチ装置20からのソース選択情報に応じて各コントローラ10?13をオン/オフ制御する。・・・CRTデイスプレイ14の画面上に、第4図に示す如くTVチューナに関する情報が表示されている状態において、・・・画面上の区分1-aを指でタッチすると、タッチセンサ16がこれを検知し、その検知出力はキー入力回路17でキーコードに変換されてシステムコントローラ18に供給される。システムコントローラ18は、キー情報入力有りと判定し(ステップ1)、例えば8秒のタイマをセットする(ステップ2)。」(第3頁左上欄18行乃至同頁左下欄8行を参照。)が記載されている。
刊行物6には、「CRT等の表示部10が設けられており、この表示部10に所望の地図そして車両の走行軌跡が重ね合わせ表示される。・・・この地図ROM14には同一地域に対して縮尺の異なる複数種の地図データが記憶され、・・・本発明において特徴的なことは、地図の縮尺を任意に変更できるとともに縮尺変更時に画面上に縮尺モード表示を行うことであり、このために縮尺モード表示回路24が設けられるとともに、選択された縮尺と対応した地図データを地図ROM14から読出すために、縮尺選択回路26が設けられている。前記縮尺設定を行うために、・・・操作部28が設けられており、この操作部から通常の地図表示及び縮尺モードの切替信号が供給され、また、縮尺モードにおける縮尺の選択入力が行われる。」(第2頁右下欄19行乃至第3頁右上欄13行を参照。)が記載され、「実施例において、地図と縮尺モードとは別個独立の画面で表示され、縮尺モードが選択された場合には、前記第2図で示した地図表示の代わりに表示部10の画面上には縮尺モードが示され、」(第3頁右下欄11行乃至14行を参照。)が記載されている。
刊行物7には、「縮尺がu_(1)であるかu_(2)であるかはX軸(4a)、Y軸(4b)の距離目盛によって示されているが、更に縮尺がu_(1)の場合をリレー(13)を介し表示灯(14)を点灯することによって表示することができる。」(第3頁左下欄8行乃至11行を参照。)が記載されている。
(対比・判断)
本件考案と、刊行物1乃至刊行物7に記載された考案とを比較すると、刊行物1乃至刊行物7のいずれにも、本件考案の「縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段」の点(以下、「特定事項」という。)の記載がなく、且つ、上記特定事項は、刊行物1乃至刊行物7の記載力からではきわめて容易に想到し得ることとも認められない。
そして、前者は、上記特定事項を含む構成を有しており、かつ、該構成を含む構成により、本件実用新案登録明細書に記載された格別顕著な作用・効果を奏するものと認める。
したがって、本件考案は、上記刊行物1乃至刊行物7に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められない。
(3)登録異議申立についての判断
(a)登録異議申立人 杉戸良至は、甲第1号証乃至甲第3号証としての上記刊行物1乃至刊行物3を提出して、本件考案が実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができない旨主張している。
しかしながら、上記3.(2).(a)で示したとおり、本件考案は、上記刊行物1乃至刊行物3に記載された考案に基ついてきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められないため、申立人の上記主張は採用できない。
(b)登録異議申立人 桜井美惠子は、甲第1号証乃至甲第7号証として上記刊行物1乃至刊行物7提出して、本件考案が実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができない旨主張している。
しかしながら、上記3.(2).(b)で示したとおり、本件考案は、上記刊行物1乃至刊行物7に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められないため、上記主張は採用できない。
(c)登録異議申立人 桜井美恵子は、甲第8号証(特開平5-216398号公報)の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された発明と同一であり、しかも、本願の考案者が上記甲第8号証の出願に係る発明をした者ではなく、且つ、本願出願時において本願出願人と、上記甲第8号証の出願人とは同一でないことから、本願考案は、実用新案法第3条の2第1項に該当し、実用新案登録を取り消されるべき旨主張している。
しかしながら、甲第8号証には、本件考案の「縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段」が記載されていない。
したがって、本件考案と、甲第8号証に記載された考案とは同一であるものとは認められないため、上記主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおりであり、また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しないから、本件考案は出願の際独立して実用新案登録を受けるものである。
4.訂正の適否のまとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成5年法律第89号)附則第9条第2項の規定により準用される、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する同法第126条第2項乃至4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.むすび
したがって、登録異議申立ての理由および証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
地図表示装置
(57)【実用新案請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示するための表示手段と、
複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、
この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、
1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、
この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、
上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むことを特徴とする地図表示装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、たとえば車両での走行を支援するためのナビゲーション装置などで用いられ、複数種類の縮尺の地図を切り換えて表示することができる地図表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、不案内な土地などでの車両での走行を支援するために、車両の現在位置をその周辺の地図とともにCRTなどの表示装置に表示するようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されて用いられている。このようなナビゲーション装置は、距離センサおよび方位センサからの出力に基づいて車両の現在位置を検出する位置検出部と、CD-ROMなどで構成された地図メモリと、位置検出部で検出された車両の現在位置の近傍の道路地図を地図メモリから読み出して表示装置に表示させる制御部とを有している。
【0003】
道路地図メモリに記憶された地図データには、たとえば1/40万、1/10万、1/2.5万、1/1.25万などの複数種類の縮尺の地図が用意されている。使用者は、これらの縮尺の中から、用途や好みに応じて適当な縮尺を選択して、その縮尺の地図を表示装置に表示させることになる。たとえば、高速道路のインターチェンジの接続状況などを見たい場合には、1/40万のような小縮尺の地図が選択され、都市部の詳細地図が必要な場合などには1/2.5万のような大縮尺の地図が選択される。
【0004】
縮尺の選択は、たとえばCRTや液晶表示素子などからなる表示装置の表示面に設けたタッチパネルの操作や、表示装置に関連して設けたコンソールからのキー入力操作などにより行われる。すなわち、タッチパネルまたはコンソールには、表示させるべき地図の縮尺である表示縮尺を1段階ずつ大きくするためのスイッチ(タッチパネルの場合には該当部分に操作位置が表示される。)と、表示縮尺を1段階ずつ小さくするためのスイッチとが用意されている。操作者は、この一対のスイッチの操作により、表示縮尺を1段階ずつ変化させ、これによって、所望の表示縮尺を選択する。具体的には、たとえば1/40万、1/10万、1/2.5万、1/1.25万の4種類の縮尺の選択が可能な場合には、1回のスイッチの操作によって1/10万から1/40万へ縮尺を変化させたり、1/10万から1/2.5万へ縮尺を変化させたりすることができる。また、1/2.5万から1/40万へ2段階に渡って表示縮尺を変更したいときには、表示縮尺を小さくするためのスイッチを2回操作することになる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記のようなナビゲーション装置では、1回のスイッチ操作によって、1段階の表示縮尺の変更ができるに過ぎず、1回のスイッチ操作によって2段階以上に渡って表示縮尺を一気に変更させることはできない。このため、たとえば1/2.5万から1/40万へ表示縮尺を変更するときには、縮尺を小さくするためのスイッチを1回操作し、この操作に応答して1/10万の縮尺の地図が表示されるのを待機し、さらにこの地図の表示が完了した後に再度2回目のスイッチ操作を行って、1/40万の地図の表示を行わせる必要がある。ところが、1回の地図の表示のためには、地図メモリからの地図の読み出しと、この読み出した地図の表示とのために、少なくとも2?3秒間の時間が必要である。このため、縮尺を1段階だけ変化させる場合はともかく、2段階以上変化させようとするときには、所望の縮尺の地図が得られるまでの待機時間が長くなり過ぎるという問題がある。
【0006】
その問題を解決するために、各縮尺毎に、縮尺を選択するためのスイッチを設け、1回のスイッチ操作によって任意の縮尺を選択できるようにすることが考えられる。ところが、このようにすると、コンソールに縮尺の選択のための多数のスイッチを設ける必要が生じたり、タッチパネルからの入力のために多数の操作位置を表示領域中に表示させなければならなくなる。これにより、コンソールの構成が複雑化したり、地図の表示のための表示領域が制限されたりするという新たな問題が生じることになる。
【0007】
そこで、本考案の目的は、上述の技術的課題を解決し、スイッチ類の増加などの不具合を招くことなく、縮尺の変更を高速に行うことができるようにした地図表示装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための請求項1記載の地図表示装置は、地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むものである。
【0009】
【作用】
上記の構成によれば、縮尺切換え手段を操作しても、地図メモリから読み出すべき地図の縮尺は直ちには確定せず、計時手段が予め定める時間を計時し終わった時点で確定する。すなわち、制御手段は、縮尺切換え手段の操作後、その後に縮尺切換え手段が上記予め定める時間に渡って操作されなかったために計時手段が出力を導出したときに、これに応答して、その時点で縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を地図メモリから読み出す。このため、縮尺を2段階以上変化させるときには、上記予め定める時間内の間隔で縮尺切換え手段を繰り返し操作すれば、途中の段階の縮尺の地図の読出および表示を行わせることなく、縮尺指定手段が指定する縮尺を次々と変化させることができる。これにより、2段階以上に渡る縮尺の変更を一気に行わせることができる。また、計時手段は、予め定める時間の計時が終了する前に縮尺切換え手段の操作がされたときには、予め定める時間の計時を再度開始するものである。そのため、予め定める時間の計時が終了する前に縮尺切換え手段の操作を行えば、所望の縮尺になるまで継続的に縮尺を変化させることができる。
【0010】
なお、上記縮尺指定手段が指定する縮尺を表示する縮尺表示手段を設ければ、確実に所望の縮尺を選択できる。
【0011】
【実施例】
以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。図1は本考案の一実施例の地図表示装置が適用されるナビゲーション装置の基本的な構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、車両に搭載されて車両での走行を支援するために用いられるもので、CRTや液晶表示素子などで構成した表示部7に、車両の現在位置の周辺の道路地図を表示させるようにしたものである。本実施例では、表示部7は、表示手段および縮尺表示手段として機能する。
【0012】
車両の現在位置の検出は、車両の旋回角速度を検出するジャイロ1と、車両の速度を検出する車速センサ2とに基づいて位置検出部3で行われる。位置検出部3では、ジャイロ1の出力を所定時間に渡って積算することにより車両の方位変化量が求められ、また車速センサ2の出力を所定時間に渡って積算することにより車両の移動距離が求められる。したがって、たとえば車両が発進する前に、車両の正確な現在位置を与えておけば、その後の車両の位置を上記所定時間毎に検出できることになる。
【0013】
位置検出部3が検出した車両の現在位置を表す位置データは、制御部4に与えられる。この制御部4には、CD-ROMなどで構成された地図メモリ5から道路地図を読み出すためのメモリドライブ6、道路地図とともに車両の現在位置を表示する上記の表示部7、および機能の切換えなどの各種の入力を行うためのコンソール8が接続されている。表示部7の表示面には、本実施例において縮尺切換え手段として機能するタッチパネル9が備えられ、このタッチパネル9からも種々の入力操作を行える。
【0014】
地図メモリ5には、たとえば1/40万、1/10万、1/2.5万、1/1.25万などの複数段階の縮尺の道路地図が記憶されており、使用者は、たとえば高速道路のインターチェンジの接続状況を見たい場合には1/40万の小縮尺の地図を選択したり、また都市部の路地などを走行する場合には1/2.5万の大縮尺の地図を選択したり、または好みに応じて適当な縮尺の地図を選択したりというように、用途や好みに応じて縮尺を選択する。この縮尺の゜選択は、タッチパネル9からの入力操作により行うことができる。
【0015】
図2は、表示部7での表示例を簡略化して示す図である。すなわち、表示部7には道路地図が表示されるとともに、表示させるべき地図の縮尺である表示縮尺を1段階だけ小さくするための「広域」と表示された操作位置A1と、表示縮尺を1段階だけ大きくするための「詳細」と表示された操作位置A2とが表示されている。さらに、参照符号A3で示すように、表示中の道路地図の縮尺も同時に表示されている。操作者は、操作位置A1,A2の位置のタッチパネル9(図2では図示が省略されている。)に触れることにより、表示縮尺を切り換えることができる。なお、以下の説明では操作位置A1,A2の部分のタッチパネル9を操作することを、「操作位置A1,A2を操作する」などという。
【0016】
制御部4には、図1に示すように、読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段である設定縮尺記憶部11が設けられており、さらに操作位置A1,A2の操作による縮尺切換え操作に応答して起動されるタイマ12が設けられている。このタイマ12は、所定時間T(たとえば2秒)を計時することにより所定出力を導出するものである。操作位置A1,A2の操作による1段階ずつの表示縮尺の切換えにより、設定縮尺記憶部11が記憶する縮尺は1段階ずつ変化する。この変化に対応して、図2における参照符号A3で示す縮尺の表示も変化することになる。
【0017】
制御部4は、位置検出部3から与えられる位置データに基づき、設定縮尺記憶部11に記憶された縮尺の地図を、地図メモリ5内のデータから検索して読み出し、この読み出した地図とともに、車両の現在位置を表示部7に表示させる。この場合において、制御部4は、操作位置A1,A2の操作により表示縮尺の切換えが指示されて設定縮尺記憶部11に新たな縮尺が記憶されたときでも、上記タイマ12が上記の所定時間Tの計時を完了して出力を導出する以前の期間には、地図の読み出しを行わない。また、操作位置A1,A2の操作の後、所定時間T内の期間に再度操作位置A1,A2が操作されたときには、ダイマ12が再起動されて、上記所定時間Tの計時が新たに開始される。したがって、操作位置A1,A2が最後に操作されてから、上記所定時間Tが経過した時点で始めて読み出すべき地図の縮尺が決定し、この縮尺の地図が地図メモリ5から読み出されることになる。
【0018】
図3は表示縮尺の切換えに関する上記制御部4の動作を説明するためのフローチャートである。ステップn1で操作位置A1,A2の操作により表示縮尺の切換え操作が行われると、ステップn2において設定縮尺記憶部11に記憶される縮尺が1段階だけ変化される。すなわち、たとえば表示縮尺が1/2.5万の状態から操作位置A1を操作すれば1/10万の縮尺に対応した情報が記憶され、操作位置A2を操作すれば1/1.25万の縮尺に対応した情報が記憶される。
【0019】
この設定縮尺記憶部11の記憶値の変動に応答して、ステップn3では、図2において参照符号A3で示す縮尺の表示も変化させられる。さらにステップn4では、タイマ12が起動され、ステップn5では、操作位置A1,A2の操作による再度の縮尺切換え操作が行われたかどうかが判断される。切換え操作が行われたときには、ステップn2に戻る。切換え操作が行われないときには、ステップn6でタイマ12の計時時間が上記の所定時間Tに達しているかどうかが判断される。そして所定時間Tに達しているときには、読み出すべき地図の縮尺が確定したものとして、当該縮尺の地図の読み出し処理が行われる。上記所定時間Tの経過前であれば、ステップn5に戻る。
【0020】
このような処理によって、操作位置A1,A2の操作後所定時間T以内に再度操作位置A1,A2を操作すれば、設定縮尺記憶部11の記憶値を変動させることができ、また、操作位置A1,A2の操作後所定時間Tに渡って縮尺切換え操作を行わないことにより表示縮尺を確定させることができる。したがって、たとえば、1/1.25万の縮尺の地図を表示させているときでも、所定時間T以内の間隔で3回に渡って操作位置A1を操作することによって、途中の1/2.5万、1/10万の縮尺の地図の読出および表示を行わせることなく、一気に1/40万の広域地図を読み出させて表示させることができる。これにより、従来技術に比較して、目的とする縮尺の地図を表示させるまでに、2種類の縮尺の地図の読出および表示の時間を削減することができる。このように、一気に複数段階の縮尺の変更が可能となった結果、所望の地図を速やかに呼び出すことができるようになり、ナビゲーション装置の操作性が格段に向上されるようになる。
【0021】
しかも、スイッチや表示部7に表示される操作位置の数が従来技術に比較して増大しないので、構成の複雑化を招来したり、表示部7の表示領域中において地図の表示のための領域が減少したりすることもない。なお、本考案は上記の実施例に限定されるものではない。たとえば、上記の実施例では、タッチパネル9を縮尺切換え手段として用いているが、コンソール8からのキー入力により縮尺の切換えを行う構成としてもよい。また、上記の実施例では、表示部7の表示領域中に縮尺を表示させることとしているが、表示部7とは別に縮尺表示手段を設けてもよい。さらに、上記の実施例では、ナビゲーション装置を例にとって説明したが、本考案は複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリから任意の縮尺の地図を読み出して表示させるようにした地図表示装置に対して広く実施することができるものである。その他、本考案の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0022】
【考案の効果】
以上のように本考案の地図表示装置によれば、縮尺切換え手段からの切換え操作を計時手段で計時される予め定める時間以内の間隔で複数回行うことにより、途中の段階の縮尺の地図の読出および表示を行わせることなく、一気に縮尺を2段階以上変化させることができる。これにより、速やかに所望の縮尺の地図を表示させることができるようになり、地図表示装置の操作性が格段に向上される。しかも、スイッチ類の増加などを招くこともない。また、計時手段により予め定める時間の計時は再度開始されるので、ユーザに縮尺の切換え操作のための時間的余裕を与えることができ、所望の縮尺になるまで継続的に縮尺を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例の地図表示装置が適用されるナビゲーション装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】
表示部における表示例を簡略化して示す図である。
【図3】
動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ジャイロ
2 車速センサ
3 位置検出部
4 制御部
5 地図メモリ
7 表示部(表示手段、縮尺表示手段)
8 コンソール
9 タッチパネル(縮尺切換え手段)
10 設定縮尺記憶部(縮尺指定手段)
12 タイマ(計時手段)
訂正の要旨 訂正の要旨
▲1▼訂正事項a
実用新案登録請求の範囲の請求項1を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むことを特徴とする地図表示装置。」
明細書段落【0008】の内容を「上記の目的を達成するための請求項1記載の地図表示装置は、地図を表示するための表示手段と、複数段階の縮尺の地図を記憶した地図メモリと、この地図メモリから読み出すべき地図の縮尺を指定する縮尺指定手段と、1操作毎に上記縮尺指定手段が指定する縮尺を1段階変化させる縮尺切換え手段と、この縮尺切換え手段の操作に応答して起動し、予め定める時間の計時が終了したときに出力を導出するとともに、上記予め定める時間の計時が終了する前に上記縮尺切換え手段が操作されたときには上記予め定める時間の計時を再度開始する計時手段と、上記縮尺切換え手段の操作に応答して切換えられた縮尺を表示手段に表示させ、かつ、この計時手段の出力に応答して、上記縮尺指定手段が指定する縮尺の地図を上記地図メモリから読み出して上記表示手段に上記切換えられた縮尺とともに表示させる制御手段とを含むものである。」
と訂正する。以降の段落番号を繰り上げる。
▲3▼訂正事項b
明細書段落【0019】の「タイマ11」を、「タイマ12」と訂正する。
異議決定日 1999-08-24 
出願番号 実願平3-46728 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (G09B)
U 1 651・ 161- YA (G09B)
最終処分 維持    
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 小澤 和英
特許庁審判官 平瀬 博通
信田 昌男
登録日 1996-12-20 
登録番号 実用登録第2530582号(U2530582) 
権利者 住友電気工業株式会社
大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号
考案の名称 地図表示装置  
代理人 中野 稔  
代理人 佐野 健一郎  
代理人 中野 稔  
代理人 上代 哲司  
代理人 上代 哲司  
代理人 佐野 健一郎  

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