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審決分類 審判 全部申し立て   E06B
管理番号 1005286
異議申立番号 異議1998-70967  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-20 
確定日 1999-05-26 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2545127号「障子等のサッシのガラスパネル組付け体」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2545127号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 同請求項2に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2545127号は、平成3年4月5日に出願され、平成9年5月2日に実用新案の設定登録がなされ、その後、平松敏広より実用新案登録異議の申立てがなされ、次いで、平成10年7月17日に実用新案登録取消の理由が通知され、その指定期間内に異議意見書の提出がなされたものである。
II.本件請求項1及び請求項2に係る考案
本件請求項1及び請求項2に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】上材、下材および左右の竪材を互いに組付けて主体枠を構成し、該主体枠の前記上下両材の屋外側に前記竪材より突出する係合溝を設け、この保合溝にガラスパネルを係合して前記主体枠で構成する開口部を閉塞した、障子等のサッシのガラスパネル組付け体。
【請求項2】上材、下材および左右の竪材を互いに組付けて主体枠を構成し、該主体枠の前記上下両材の屋外側に、前記竪材より突出する屋外端部片を設け、該屋外端部片と対向して係合溝を構成する前記上下両材の部片の屋外側面に係止溝を設け、該係止溝と、これに連通させて前記左右の竪材の屋外端面に設けた係止溝に先付ビードを係止して屋外方向に突設し、この先付ビードに屋内側面が接触するガラスパネルの上下両端を、上下材に設けた前記係合溝に係合すると共に、ガラスパネルと前記屋外端部片との間に差し込みビードを挾入してガラスパネルを前記上下材に組付ける一方、ガラスパネルと前記屋外端面および先付ビードで構成し、しかも前記竪材に沿って配した縦溝に湿式シール材を充填した、障子等のサッシのガラスパネル組付け体。」
III.実用新案登録異議申し立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人 平松敏広は、甲第1号証(実開昭63-190419号公報)、甲第2号証(実開平1-107723号公報)、甲第3号証(実開平1-138012号公報)を提出し、本件請求項1及び請求項2に係る考案、甲第1号証?甲第3号証に開示された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであり、本件請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。
IV.取消理由の概要
当審で通知した取消理由の概要は以下のものである。
本件請求項1に係る考案は、刊行物(実願昭62-83082号(実開昭63-190419号)のマイクロフィルム)に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。
V.刊行物及び甲各号証記載の事項
刊行物及び甲第1号証?甲第3号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。
〔刊行物〕
『第3図はカーテンウオールの正面図であり、方立1と無目2とで骨組体3を構成していると共に、無目2は隣接する方立1,1間に横架した第1無目4と各方立1,1間に亘って横架した長尺なる第2無目5とより成り、この第2無目5と方立1の前面に亘ってパネル6が装着してある』(第4頁第18行?第5頁第4行)、
『第2無目5は・・・・・上向凹部32と下向凹部33を有している』(第6頁第4?第8行)、
『パネル6を上下に隣接する下向凹部33と上向凹部32とにけんどん式に装着する』(第8頁第13、14行)、
『パネル6を支持する室内側の横シール60とパネル6の側部背面を取付体11に接着するシーラント13とを連続させることができる。』(第10頁第15?第18行)と記載され、
これらの記載及び図面第1図?第4図の記載からみて、刊行物には、
「上下に隣接する第1無目4及び左右に隣接する方立1を互いに組み付けて枠を構成し、該枠の前記上下の第1無目4の屋外側に前記方立1より突出する上向凹部32と下向凹部33を設け、これらの凹部32、33にパネルを装着して前記枠で構成する開口部を閉塞したカーテンウオール。」、及び
「上向凹部32と下向凹部33を有する第2無目5の屋外端部片の屋内側面に係止溝を設け、この係止溝に部材を係止して屋内方向に突設し、この部材に屋外側面が接触するパネル6の上下両端を、上下第2無目5にそれぞれ設けた前記上向凹部32と下向凹部33に係合すると共に、パネル6の屋内側面と第2無目5との間に横シール60を挾入し、パネル6と取付体11との間にシーラント13を挾入している」点が記載されているものと認められる。
〔甲第1号証〕
『方立本体10の室外側に取付体11を取付け方立1とし、第1無目4と長尺なる第2無目5とで無目2とすると共に、該第1無目4を略下向コ字状の本体20を備え、かつ本体20の室外側に被係合部22とボルト挿通孔23を有する形状とし、前記第2無目5をパネル6を収納する上向凹部32と下向凹部33とを有し、かつ室内側に係合部34を有する形状とすると共に、前記第1無目4の本体20を隣接する方立本体10の側板10bに取着した裏板部材40に連結し、前記第2無目5を、その係合部34を各第1無目4の本体20に形成した被係合部22に係合して各方立本体10間に亘って仮配設すると共に、第2無目4と本体20を前記ボルト挿通孔23を挿通するボルト36とナット37で前記裏板部材40に締付け連結し、上下に隣接する第2無目5,5間の室内側に取付体11を配設して方立本体10に固着したことを特徴とするカーテンウォールの骨組体。』(実用新案登録請求の範囲)
〔甲第2号証〕
『複数本の方立と複数本の横材からなる格子状面材支持枠に、室内側に係止部を有する縁枠を四周に固着された複数枚の面材が、互いに隣り合う状態でその各係止部に上記方立及び横材にそれぞれ設けられた取付部材をそれぞれ係止させて、取付けられたカーテンウォールにおいて、上記面材の左右両縦がわ縁枠の係止部が面材の縦側端がわに開口するほぼチャンネル状係止溝に形成され、又上記方立に設けられた縦がわ取付部材が、上記係止溝内に係脱自在の長方形板状体であって、上記方立の室外側面に上記係止溝から離脱した縦位置から該係止溝内に係合する横位置に回転変位可能に取付けられた、カーテンウォールの面材縦がわ取付部構造。」(実用新案登録請求の範囲)
〔甲第3号証〕
『所要左右間隔をあけて互に平行する複数本の縦材と、所要上下間隔をあけて互に平行する複数本の横材とを連結してなる複数の広幅ガラス取付枠を格子状に有するカーテンウォール下地枠における各広幅ガラス取付枠に広幅ガラスをそれぞれ取付けたカーテンウォールにおいて、上記広幅ガラス取付枠が、広幅ガラスの中間部室内側に位置すべき中間縦材を有すると共に、上記広幅ガラスがその中間部室内側面に中間係止部材を予め接着した広幅ガラスであり、上記中間係止部材を有する広幅ガラスの該中間係止部材を取付部材により上記中間縦材に連結した、カーテンウォールにおける広幅ガラスの中間部支持部構造。』(実用新案登録請求の範囲)
VI.対比・判断
〈本件請求項1に係る考案について〉
本件請求項1に係る考案と刊行物に記載の考案とを対比すると、
上記刊行物に記載の「上下に隣接する第1無目4」、「左右に隣接する方立1」、「枠」、「上向凹部32と下向凹部33」、「装着」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における「上材と下材」、「左右の竪材」、「主体枠」、「係合溝」「係合」に相当すると認められ、ガラスはパネルの材料として普通に用いられているものであるから、
両者は、「上材、下材及び左右の竪材を互いに組付けて主体枠を構成し、該主体枠の前記上下両材の屋外側に前記竪材より突出する係合溝を設け、この係合溝にガラスパネルを係合して前記主体枠で構成する開口部を閉塞した」点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。
<相違点>本件請求項1に係る考案は、障子等のサッシのガラスパネル組み付け体に関する技術であるのに対して、上記刊行物に記載の考案は、カーテンウオールにおけるガラスパネル組み付け体に関する技術である点。
そこで、上記相違点について検討すると、本件請求項1に係る考案も上記刊行物に記載の考案も共に、枠で構成する開口部をガラスパネルで閉塞する技術に関するものであり、該技術に関して、サッシとカーテンウオールに共通して用いらる技術があることはよく知られているから(例えば、実願昭60-96605号(実開昭62-7574号)のマイクロフィルム、実願昭60-68367号(実開昭61-184089号)のマイクロフィルム、実願昭53-145647号(実開昭55-61184号)のマイクロフィルム、実願昭52-169535号(実開昭54-95141号)のマイクロフィルム参照)、上記相違点において、上記刊行物に記載の考案を本件請求項1に係る考案の障子等のサッシのガラスパネル組付け体に適用することは、当業者がきわめて容易に想到し得ることと認められる。
したがって、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
〈本件請求項2に係る考案について〉
本件請求項2に係る考案と上記甲第1号証?甲第3号証を対比すると、上記甲第1号証?甲第3号証には、いずれも、本件請求項2に係る考案の「屋外端部片と対向して係合溝を構成する上下両材の部片の屋外側面に係止溝を設け、該係止溝と、これに連通させて左右の竪材の屋外端面に設けた係止溝に先付ビードを係止して屋外方向に突設し、この先付ビードに屋内側面が接触するガラスパネルの上下両端を、上下材に設けた前記係合溝に係合すると共に、ガラスパネルと前記屋外端部片との間に差し込みビードを挾入してガラスパネルを前記上下材に組付ける一方、ガラスパネルと前記屋外端面および先付ビードで構成し、しかも前記竪材に沿って配した縦溝に湿式シール材を充填した、障子等のサッシのガラスパネル組付け体。」に関する記載はなく、本件請求項2に係る考案は、上記構成によって、実用新案登録明細書記載の「先付ビードを主体枠に係止後、係合溝に摺嵌させてガラスパネルを組み付けられるから組み付け作業を簡単に行うことができ、従って、現場へは主体枠とガラスパネルを互いに別体にして運搬しても支障がないので運搬作業上も便利である。」という効果を奏するものである。
したがって、本件請求項2に係る考案は、甲第1号証?甲第3号証に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
VII.むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物に記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件請求項1に係る考案の実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
また、本件請求項2に係る考案の実用新案登録は、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては取り消すことはできず、また、他に本件請求項2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-03-24 
出願番号 実願平3-22014 
審決分類 U 1 651・ 121- ZC (E06B)
最終処分 一部取消    
前審関与審査官 南澤 弘明  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 藤枝 洋
白樫 泰子
登録日 1997-05-02 
登録番号 実用登録第2545127号(U2545127) 
権利者 不二サッシ株式会社
神奈川県川崎市中原区中丸子135番地
考案の名称 障子等のサッシのガラスパネル組付け体  
代理人 江藤 剛  
代理人 土橋 秀夫  

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