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審決分類 審判 全部申し立て   H01G
審判 全部申し立て   H01G
管理番号 1005295
異議申立番号 異議1998-70295  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-01-16 
確定日 1999-09-01 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2542128号「金属化フィルムコンデンサ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2542128号の実用新案登録を取り消す。
理由 (1)手続きの経緯
実用新案登録2542128号の考案は、昭和63年2月29日に実用新案登録出願され、平成9年4月25日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、異議申立人・株式会社指月電機製作所により実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年9月14日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由通知がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
1)訂正明細書の請求項1に係る考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1) 金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子とし樹脂外装を設けた金属化フィルムコンデンサにおいて、伸びが40%以上でかつ100%未満の樹脂によりコンデンサ素子を被覆し、全ての面で表面まで形成した樹脂外装を設けることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。」
2)引用刊行物記載の考案
刊行物1:実願昭58-165969号(実開昭60-76023号)のマイクロフィルム
刊行物1には、亀裂を防止するという訂正明細書の請求項1に係る考案と同一の課題を達成するために、次の事項が記載されている。
イ)「1は金属化プラスチックフィルムを巻回し、その両端にリード線を取付けた公知のコンデンサ素子で、この素子1に先ず、・・・樹脂を・・・被覆して樹脂層とし、その外側に・・・可撓性樹脂を・・・被覆して可撓性樹脂層3を形成した。・・・可撓性樹脂3は・・・伸び率100?150%の特性を有するものである」(2頁14行?3頁11行)。
ロ)「比較例Bとしてコンデンサ素子1を前記可撓性樹脂層3のみで被覆したもの」(4頁末行?5頁2行)。
したがって、刊行物の記載事項を訂正明細書の請求項1に係る考案に倣って分節すると、次のとおりの考案が開示されている
「金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子とし樹脂外装を設けた金属化フィルムコンデンサにおいて、伸び率が100?150%の樹脂によりコンデンサ素子を被覆し、全ての面で表面まで形成した樹脂外装を設けることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。」
3)対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1に記載された考案とを対比すると、伸び(伸び率)について、訂正明細書の請求項1に係る考案は、「40%以上でかつ100%未満」であるのに対し、刊行物1に記載された考案は「100?150%」である点で両者は相違する。
しかしながら、伸び(伸び率)を、訂正明細書の請求項1に係る考案の「40%以上でかつ100%未満」と限定した効果と、刊行物1に記載された考案の「100?150%」と限定した効果とは、亀裂を防止するという同質の効果であり、訂正明細書の請求項1に係る考案の効果が訂正明細書および図面をみても、際立って優れた効果を有するものでない。また、訂正明細書および図面には、刊行物1に記載された考案が有する効果とは異質な効果が何も示されていない。したがって、伸び(伸び率)を訂正明細書の請求項1に係る考案の如く「40%以上でかつ100%未満」と限定することは、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することになり、当業者の通常の創作能力の発揮であり、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
4)むすび
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
以上のとおりであるから、この訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4第3項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
(3)特許異議の申立てについて
1)本件考案
実用新案登録2542128号の請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1) 金属化フィルムを巻回してコンデンサ素子とし樹脂外装を設けた金属化フィルムコンデンサにおいて、伸びが40%以上の樹脂によりコンデンサ素子を被覆し、全ての面で表面まで形成した樹脂外装を設けるこを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。」
2)実用新案法第3条第2項違反について
当審が平成10年6月29日に通知した取消理由において引用した刊行物1には、上記(2)2)に記載のとおりの考案が記載されている。
本件の請求項1に係る考案と刊行物1に記載された考案とを対比すると、伸び(伸び率)について、本件の請求項1に係る考案は、「40%以上」であるのに対し、刊行物1に記載された考案は「100?150%」である点で両者は相違する。
しかしながら、伸び(伸び率)を、本件の請求項1に係る考案の「40%以上」と限定した効果と、刊行物1に記載された考案の「100?150%」と限定した効果とは、亀裂を防止するという同質の効果であり、本件の請求項1に係る考案の効果が実用新案登録明細書および図面をみても、際立って優れた効果を有するものでない。また、実用新案登録明細書および図面には、刊行物1に記載された考案が有する効果とは異質な効果が何も示されていない。したがって、伸び(伸び率)を本件の請求項1に係る考案の如く「40%以上」と限定することは、実験的に数値範囲を最適化又は好適化することになり、当業者の通常の創作能力の発揮であり、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
したがって、本件の請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
3)むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項1に係る考案の実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 1999-07-02 
出願番号 実願昭63-26413 
審決分類 U 1 651・ 113- ZB (H01G)
U 1 651・ 121- ZB (H01G)
最終処分 取消    
前審関与審査官 山崎 慎一  
特許庁審判長 鈴木 康仁
特許庁審判官 吉見 信明
鈴木 朗
登録日 1997-04-25 
登録番号 実用登録第2542128号(U2542128) 
権利者 日立エーアイシー株式会社
東京都品川区西五反田一丁目31番1号
考案の名称 金属化フィルムコンデンサ  

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