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審決分類 審判 全部申し立て   A61B
審判 全部申し立て   A61B
審判 全部申し立て   A61B
管理番号 1005297
異議申立番号 異議1998-72288  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-06 
確定日 1999-09-10 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2553266号「内視鏡湾曲装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2553266号の実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2553266号の請求項1に係る考案は、平成3年9月27日に出願され、平成9年7月11日に設定登録され、その後、実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年1月25日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内には、意見応答がなかったものである。
2.訂正の適否
(訂正明細書の請求項1に係る考案)
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「複数の関節駒を回動自在に連結して湾曲部を形成する一方、前記関節駒に一端を接続した操作ワイヤを手元側の操作部で湾曲操作することにより湾曲部を湾曲させる湾曲装置において、
最先端の関節駒に複数の操作ワイヤにおけるそれぞれの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部全体を所望の方向に湾曲動作させる第1の湾曲部操作手段と、
前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより、前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒から手元側の関節駒に対応する手元側の湾曲部のみを動作させる第2の湾曲部操作手段と、
を具備することを特徴とする内視鏡湾曲装置。」
(引用刊行物記載の考案)
訂正明細書の請求項1に係る考案に対し、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物(実願昭59-149000号(実開昭61-65901号〕)のマイクロフイルム)には、「内視鏡の湾曲管部」(考案の名称)であり、「前記湾曲管部2は先端硬質部1側の第1アングル部10と軟性部3側の第2アングル部20とから構成されている。前記手許操作部Yは後記する第1アングル部10のみを第1図にて上方向に湾曲させる第1アングル部操作ワイヤW_(1)(この種の符号等は第1?5図参照)、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤW_(1)’、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図の表裏方向に湾曲させる他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’、さらに第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤW_(2)を各別に操作するための湾曲操作用摘子4_(1),4_(2),4_(3)(4_(2),4_(3)は図示省略)、接眼部5、鉗子導入口6、送気送水用ボタン7、電源接続部8等を備えている。」(明細書4頁17行?5頁12行)ものであり、「前記湾曲管部2を構成している第1アングル部10と第2アングル部20は、該湾曲管部2を縦断し拡大して図示した第1図に示すように、それぞれ複数個の節輪環10_(1),10_(2),・・・,10_(m)と、節輪環30_(1)及び複数個の節輪環20_(1),20_(2),・・・,20_(n-1),20_(n)(20_(n)は図示省略)にて構成されている。」(明細書5頁13?19行)ものであり、「W_(1)’は第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤであり、W_(2)は第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤであ」る(明細書7頁7行?12行)ものであり、「他の湾曲操作ワイヤW_(3),W_(3)’のいずれかを牽引すると、第9図の平面図に示すように湾曲管部2が牽引した側の方に湾曲する。」(明細書9頁11?13行)ものが記載されている。
(対比・判断)
訂正明細書の請求項1に係る考案と上記刊行物に記載された考案とを対比すると、上記刊行物に記載の「節輪環」、「節輪環10_(1)」、「操作ワイヤW_(1)’及び他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’」、「手許操作部」、「湾曲管部」、「節輪環30_(1)」、「操作ワイヤW_(2)」、「第2アングル部」は、訂正明細書の請求項1に係る考案の「関節駒」、「最先端の関節駒」、「複数の操作ワイヤ」、「手元側操作部」、「湾曲部全体」、「最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒」、「最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に一端を接続した操作ワイヤ」、「手元側の湾曲部」に相当する。
また、上記刊行物に記載の考案においては、操作ワイヤを牽引していない時は、操作ワイヤが弛緩していることは明らかであるから、上記刊行物に記載の考案も、操作ワイヤを牽引弛緩するものに他ならない。
さらに、上記刊行物に記載の考案における、操作ワイヤを各別に操作するための湾曲操作用摘子4_(1),4_(2),4_(3)のうち、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤW_(1)’、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図の表裏方向に湾曲させる他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’を操作する部分、及び第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤW_(2)を操作する部分は、いずれも湾曲部を操作する手段であり、訂正明細書の請求項1に係る考案の第1及び第2の湾曲部操作手段に相当するから、構成上の差異はない。
したがって、両者は「複数の関節駒を回動自在に連結して湾曲部を形成する一方、前記関節駒に一端を接続した操作ワイヤを手元側の操作部で湾曲操作することにより湾曲部を湾曲させる湾曲装置において、
最先端の関節駒に複数の操作ワイヤにおけるそれぞれの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部全体を所望の方向に湾曲動作させる第1の湾曲部操作手段と、
前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより、前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒から手元側の関節駒に対応する手元側の湾曲部のみを動作させる第2の湾曲部操作手段と、
を具備することを特徴とする内視鏡湾曲装置。」で一致し、同一である。
以上のとおり、訂正明細書の請求項1に係る考案は、その出願前に頒布された上記刊行物に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
(むすび)
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.特許異議申立てについての判断
(本件考案)
請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。
「複数の関節駒を回動自在に連結して湾曲部を形成する一方、前記関節駒に一端を接続した操作ワイヤを手元側の操作部で湾曲操作することにより湾曲部を湾曲させる湾曲装置において、
最先端の関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部を動作させる第1の湾曲部操作手段と、前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部を動作させる第2の湾曲部操作手段とを具備することを特徴とする内視鏡湾曲装置。」
(引用刊行物記載の考案)
当審が通知した取消理由に引用した刊行物(実願昭59-149000号(実開昭61-65901号)のマイクロフィルム)には、「内視鏡の湾曲管部」(考案の名称)であり、「前記湾曲管部2は先端硬質部1側の第1アングル部10と軟性部3側の第2アングル部20とから構成されている。前記手許操作部Yは後記する第1アングル部10のみを第1図にて上方向に湾曲させる第1アングル部操作ワイヤW_(1)(この種の符号等は第1?5図参照)、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤW_(1)’、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図の表裏方向に湾曲させる他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’、さらに第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤW_(2)を各別に操作するための湾曲操作用摘子4_(1),4_(2),4_(3)(4_(2),4_(3)は図示省略)、接眼部5、鉗子導入口6、送気送水用ボタン7、電源接続部8等を備えている。」(明細書4頁17行?5頁12行)ものであり、「前記湾曲管部2を構成している第1アングル部10と第2アングル部20は、該湾曲管部2を縦断し拡大して図示した第1図に示すように、それぞれ複数個の節輪環10_(1),10_(2),・・・,10_(m)と、節輪環30_(1)及び複数個の節輪環20_(1),20_(2),・・・,20_(n-1),20_(n)(20_(n)は図示省略)にて構成されている。」
(明細書5頁13?19行)ものであり、「W_(1)’は第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤであり、W_(2)は第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤであ」る(明細書7頁7行?12行)ものであり、「他の湾曲操作ワイヤW_(3),W_(3)’のいずれかを牽引すると、第9図の平面図に示すように湾曲管部2が牽引した側の方に湾曲する。」(明細書9頁11?13行)ものが記載されている。
(対比・判断)
本件考案と上記刊行物に記載されて考案とを対比すると、上記刊行物に記載の「節輪環」、「節輪環10_(1)」、「操作ワイヤW_(1)’及び他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’」、「手許操作部」、「湾曲管部又は第2アングル部」、「節輪環30_(1)」、「操作ワイヤW_(2)」は、本件考案の「関節駒」、「最先端の関節駒」、「最先端の関節駒に一端を接続した操作ワイヤ」、「手元側操作部」、「湾曲部」、「最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒」、「最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に一端を接続した操作ワイヤ」に相当する。
また、上記刊行物に記載の考案においては、操作ワイヤを牽引していない時は、操作ワイヤが弛緩していることは明らかであるから、上記刊行物に記載の考案も、操作ワイヤを牽引弛緩するものに他ならない。
さらに、上記刊行物に記載の考案における、操作ワイヤを各別に操作するための湾曲操作用摘子4_(1),4_(2),4_(3)のうち、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図にて下方向へ湾曲させる操作ワイヤW_(1)’、第1アングル部10と第2アングル部20とを一緒に第1図の表裏方向に湾曲させる他の操作ワイヤW_(3),W_(3)’を操作する部分、及び第2アングル部20のみを第1図にて上方向へ湾曲させる第2アングル部操作ワイヤW_(2)を操作する部分は、いずれも湾曲部を操作する手段であり、本件考案の第1及び第2湾曲部操作手段に相当するから、構成上の差異はない。
したがって、両者は「複数の関節駒を回動自在に連結して湾曲部を形成する一方、前記関節駒に一端を接続した操作ワイヤを手元側の操作部で湾曲操作することにより湾曲部を湾曲させる湾曲装置において、
最先端の関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部を動作させる第1の湾曲部操作手段と、前記最先端の関節駒よりも後方に位置する関節駒に操作ワイヤの一端を接続して、この操作ワイヤの後方を手元側操作部に延設して、この操作部にて操作ワイヤを牽引弛緩することにより湾曲部を動作させる第2の湾曲部操作手段とを具備することを特徴とする内視鏡湾曲装置。」で一致し、同一である。
(むすび)
以上のとおり、本件考案は、その出願前に頒布された上記刊行物に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができないものである。
したがって、本件考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 1999-07-27 
出願番号 実願平3-78466 
審決分類 U 1 651・ 856- ZB (A61B)
U 1 651・ 113- ZB (A61B)
U 1 651・ 832- ZB (A61B)
最終処分 取消    
前審関与審査官 江成 克己  
特許庁審判長 松本 邦夫
特許庁審判官 志村 博
伊坪 公一
登録日 1997-07-11 
登録番号 実用登録第2553266号(U2553266) 
権利者 オリンパス光学工業株式会社
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号
考案の名称 内視鏡湾曲装置  
代理人 影井 俊次  

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