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審決分類 |
審判 全部申し立て B65D |
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管理番号 | 1005304 |
異議申立番号 | 異議1997-74526 |
総通号数 | 5 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1997-09-25 |
確定日 | 1999-10-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2530521号「包装容器」の登録について、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2530521号の実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件実用新案登録第2530521号に係る考案は、平成4年7月7日に出願され、平成8年12月20日に設定登録され、その後、申立人武井肇より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年3月23日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 <訂正明細書の請求項1に係る考案> 本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案登録請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「折畳まれて重合する湿式シート材を収納する比較的軟質な合成樹脂材料製の容器本体の上面部に、前記上面部の一部を切り抜かないで連続させてほとんど切り抜かれた部分によって前記湿式シート材を一枚ずつ取出す取出口を設けると共に前記上面部のほとんど切り抜かれた部分を蓋片とし、前記蓋片よりも一回り大きくて下面に粘着剤を塗布した貼着片を前記蓋片の上面に貼着して蓋材を構成し、前記取出口の周縁の前記上面部の上面に比較的硬質な合成樹脂製の補強部分を設け、前記補強部分には前記貼着片の周端部における貼着層を圧着して前記取出口を密閉する蓋材を剥離可能にしてなる包装容器。」 <引用刊行物記載の考案> 訂正明細書の請求項1に係る考案に対し、当審が通知した訂正拒絶理由において引用した刊行物は下記のとおりである。 記 刊行物1実願昭58-128149号(実開昭60-35077号)のマイクロフィルム、 刊行物2特開昭63-152577号公報 刊行物3特開昭60-80405号公報 刊行物1には、アルコール等の薬剤を浸み込ませた紙、布等の湿式シートを収納した取出口付き包装袋について次のように記載されている。 a.実用新案登録請求の範囲 「切取線による開口部を設けた積層フィルムからなる袋本体の前記開口部裏面に、この開口部と同じかわずかに小さい形状の穴を有する固定版を固着し、かつ表面感圧接着剤層を設けた蓋体を貼着してなる取出口付き包装袋。」 b.第2頁第6?12行 「このような袋体としては第1図に示すように袋体の一部に三方が切目からなる開口部を有する袋体があったが、この袋体の開口部は、開封した際、袋体の切目の端部で開封が停止せず、開口部以外の袋本体まで切り裂かれてしまうおそれがあった。本考案は、上記欠点を解消した包装袋であって必要以上の開封を防止できる包装袋である。 c.第2頁第14行?第3頁第1行 「本考案は、第2図および第3図に示すように一面に切取線による開口部(2)を設けた積層フィルムからなる袋本体(1)の前記開口部(2)の裏面にこの開口部(2)と同じかこれよりもわずかに小さい形状の穴(3)を有する固定板(4)を固着し、かつ開口部(2)の表面にこの開口部(2)を被うように感圧接着剤層(5)を設けた蓋体(6)を貼着してなる取出口付き包装袋である。」 d.第3頁第10?12行 「本考案は、このように裏面に固定板を設けているので、開封および再封に際し、開口部の歪みが少ないので、開封および再封が容易である。」 刊行物2及び3には、ウエットティッシュ用の包装袋において、包装袋の上面部の取出口の周縁あるいは近傍に設けられる板状部材(保形部材)あるいはシート片は、包装袋の上面部の上面または裏面のいずれにも固着し得るものであることが記載されている。 <対比・判断> そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案とを対比する。 刊行物1の上記記載からみて、従来の三方が切目からなる開口部を有する袋体においては、この袋体の開口部は、開封した際、袋体の切目の端部で開封が停止せず、開口部以外の袋本体まで切り裂かれてしまうおそれがあったので、この欠点を解消して必要以上の開封を防止できるように、開口部裏面に、この開口部と同じかわずかに小さい形状の穴を有する固定板を固着したものであると解される。 刊行物1には、「切取線による開口部」と「三方が切目からなる開口部」が記載されているけれども、三方が切目からなる開口部を有する袋体についても、開口部裏面に、この開口部と同じかわずかに小さい形状の穴を有する固定板を固着することにより、開封の際に、袋体と固定板との固着力に抗してまで開口部以外の袋本体が切り裂かれてしまうことはないものと解されるから、刊行物1には、三方が切目からなる開口部を有する袋体の開口部裏面に、この開口部と同じかわずかに小さい形状の穴を有する固定板を固着したものも開示されていたものと認められる。 そして、刊行物1記載の固定板は、開封及び再封に際し開口部の歪みを少なくするものであることからみて、開口部を補強する部材とみることができるから、訂正明細書の請求項1に係る考案における補強部分に対応するものと認められる。また、一般に三方が切目から成る開口部を有す袋体にあっては、開封の際に切目に沿って切り離されたシート片は、袋体と繋がったままであるので、シート片に貼着した開閉蓋はその開き具合が制限され、従って開閉蓋を袋体に固着しなくともよい(刊行物3の第4頁左上第9行?同頁右上欄第3行参照)ものであることからみて、刊行物1記載の「蓋体」は、訂正明細書の請求項1に係る考案における「貼着片」に相当するものと認められる。さらに、刊行物1記載の「開口部」は、その機能からみて訂正明細書の請求項1に係る考案における「取出口」に相当するものと認められる。 してみると、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1に記載された考案と対比して、次の点において相違し、その他の点において一致しているものと認められる。 (1)訂正明細書の請求項1に係る考案においては、開口部を有する補強部分が、包装容器の上面部の上面に設けられ、その補強部分に貼着片が圧着されるものであるのに対して、刊行物1記載の考案においては、開口部を有する補強部分が、包装容器の上面部の下面に設けられ、包装容器の上面部の上面に貼着片が圧着されるものである点。 次に、この相違点について検討する。 この種の包装体において、取出口の周縁あるいはその近傍に設けられる板状部材(保形部材)あるいはシート片は、包装体の上面部の上面あるいは裏面のいずれにも設け得るものであることは、刊行物2及び3にみられるように、本件出願の出願前周知の事項である。 ところで、刊行物1記載の考案において、補強部分を、包装容器の上面部の裏面に設けることが、必然的な事項であるとする根拠は見当たらない。また、刊行物3の第9?12図にみられるように、シート片を包装容器の上面部の上面に設けるに当たっては包装容器の上面部の上面と開閉蓋の間に介在させている。 したがって、これらの事項を勘案すると、刊行物1記載の考案について、補強部分を、包装容器の上面部の裏面に設けることに代えて、包装容器の上面部の上面に設けること、すなわち、包装容器の上面部と蓋材を構成する貼着片との間に介在させることは、当業者がきわめて容易に想到し得る程度のことと認められる。 以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。 <むすび> それ故に、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用される、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項の規定によりさらに準用される特許法126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。 3.実用新案登録異議申立てについての判断 <本件請求項1に係る考案> 本件請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「折畳まれて重合する湿式シート材を収納する比較的軟質な合成樹脂材料製の容器本体の上面部に、前記湿式シート材を一枚ずつ取出す取出口を設けると共に、該取出口の周縁の前記上面部の上面に比較的硬質な合成樹脂製の補強部分を設け、更に、該補強部分に圧着されて前記取出口を密閉する蓋材を剥離可能に設けてなる包装容器。」 <引用刊行物> 当審が通知した取消理由において引用した刊行物は、当審が通知した上記訂正拒絶理由において引用した刊行物1?3と同一のものである。 <対比・判断> 上記訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の減縮後の考案であるから、本件請求項1に係る考案は、上記訂正明細書の請求項1に係る考案を包含するものである。 したがって、本件請求項1に係る考案は、上記訂正拒絶理由通知において示した理由と同様の理由により、上記刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 <むすび> 以上のとおりであるから、請求項1に係る実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。 したがって、本件請求項1に係る考案についての実用新案登録は拒絶査定をしなければならない実用新案登録出願に対してなされたものと認める。 よって、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定に基づく、平成7年政令第205号第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1998-09-10 |
出願番号 | 実願平4-53161 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
ZB
(B65D)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小菅 一弘 |
特許庁審判長 |
佐藤 久容 |
特許庁審判官 |
高木 彰 祖山 忠彦 |
登録日 | 1996-12-20 |
登録番号 | 実用登録第2530521号(U2530521) |
権利者 |
中村物産株式会社 大阪府大阪市都島区都島北通1丁目2番16号 大一紙工株式会社 静岡県富士市大渕2848番地の6 |
考案の名称 | 包装容器 |
代理人 | 福田 賢三 |
代理人 | 福田 伸一 |
代理人 | 福田 武通 |