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審決分類 審判 全部申し立て   B42D
管理番号 1006259
異議申立番号 異議1999-70385  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-02-01 
確定日 1999-11-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2577590号「穏蔽情報表示用カード」の請求項1ないし3に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2577590号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2577590号は、平成1年12月22日に出願され、平成10年5月15日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、平成11年2月1日に三菱製紙株式会社により異議の申立てがなされ、次いで、平成11年4月14日付け(平成11年5月18日発送)で取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月19日に意見書提出と共に訂正請求がなされた後、平成11年10月8日付けで訂正拒絶理由が通知され、同日付けで手続補正書が提出されたものである。
2.訂正請求について
2-1.訂正請求に対する補正の適否について
上記手続補正書による訂正請求に対する手続補正は、平成11年7月19日付けの訂正請求書に添付した訂正明細書の明りようでない記載の釈明に該当するものであり、また、訂正請求書に添付した訂正明細書に記載された事項の範囲内の補正であり、訂正請求書に添付した訂正明細書における実用新案登録請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでないから、訂正請求に対する当該補正は訂正請求書の要旨を変更するものでなく、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項の規定によりさらに準用される同法第131条第2項の規定に適合し、当該補正は認められる。
2-2.訂正請求の趣旨及び訂正事項
訂正請求の趣旨は、本件実用新案登録第2577590号の明細書(願書に添付した明細書であって、以下、「登録明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、そして、その訂正事項▲1▼?▲12▼は、上記平成11年10月8日付け手続補正書により補正された以下のとおりのものである。
(a)訂正事項▲1▼
登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1において、「前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されていること」とあるのを、
「前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなること」と訂正する。
(b)訂正事項▲2▼
登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2及び請求項3を削除する。
(c)訂正事項▲3▼
登録明細書第3頁第16行?第4頁第6行(本件公報第2頁第3欄第20行?第29行)における「本考案は、折り部を境にして、隠蔽情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽情報を隠蔽するための隠蔽片とを連接し、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造を設けるとともに、前記隠蔽片の形状、大きさ及び輪郭を前記表示片とは異なって形成したものである。」とあるのを、「本考案の隠蔽情報表示用カードは、折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなることを特徴とする。」と訂正する。
(d)訂正事項▲4▼
登録明細書第4頁第12?14行(本件公報第2頁第3欄第35、36行)における「被覆隠蔽する。この状態で隠蔽片を」とあるのを、「被覆隠蔽するとともに、表示片の輪郭の内側に位置する隠蔽片の輪郭の所望部分から剥離を開始し、隠蔽片を」と訂正する。
(e)訂正事項▲5▼
登録明細書第4頁第18、19行(本件公報第2頁第3欄第40行)における「形成されているので、」とあるのを、「形成され、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(f)訂正事項▲6▼
登録明細書第6頁第12、13行(本件公報第2頁第4欄第18、19行)における「形成されている。」とあるのを、「形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している。」と訂正する。
(g)訂正事項▲7▼
登録明細書第6頁第18、19行(本件公報第2頁第4欄第24行)における「前記表示片4」とあるのを、「前記表示片4の表示情報表示部」と訂正する。
(h)訂正事項▲8▼
登録明細書第9頁第11行目(本件公報第3頁第5欄第20、21行)における「形成されているので、」とあるのを、「形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(i)訂正事項▲9▼
登録明細書第10頁第3、4行(本件公報第3頁第5欄第32、33行)における「形成されているので、」とあるのを、「形成され、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(j)訂正事項▲10▼
登録明細書第10頁第8行目(本件公報第3頁第5欄第37、38行)における「限らず、表示片4よりも小さいサイズである限り、」とあるのを、「限らず、表示片4よりも小さいサイズであり、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している限り、」と訂正する。
(k)訂正事項▲11▼
登録明細書第11頁第7、8行(本件公報第3頁第6欄第17、18行)における「本考案によれば、隠蔽片を表示片よりも小さいサイズとし、かつ、」とあるのを、「本考案によれば、隠蔽片を表示片よりも小さいサイズとし、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置し、かつ、」と訂正する。
(l)訂正事項▲12▼
登録明細書第11頁第9?12行(本件公報第3頁第6欄第20?22行)における「互いの剥離動作が容易になるとともに、使用者の興味を強く引きつけることができ、カードとしての需要を高めることができるという効果を奏する。」とあるのを、「隠蔽片と表示片の識別、確認が容易に行え、輪郭部の段差部分の存在も一見して認識できるので、剥離興味が高まるとともに、隠蔽片の輪郭の所望部分を任意に選択して指掛け部とすることができるので、剥離動作がスムーズに行え、正確な剥離が行えるという種々の効果を奏する。」と訂正する。
2-3.訂正の要件の適否
2-3-1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項▲1▼は、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された「隠蔽片」の構成を限定するものであり、 訂正事項▲2▼は、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2及び請求項3を削除するものであるから、いずれも実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものと認められ、
上記訂正事項▲3▼?▲6▼、▲8▼?▲12▼は、上記訂正事項▲1▼の実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、対応する考案の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められ、
上記訂正事項▲7▼は、「表示片4」における「隠蔽情報表示部3」と他の表示部を明確にするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、上記訂正事項▲1▼?▲12▼は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものと認められ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるとも認められない。
2-3-2.独立登録要件の判断
(ア)訂正明細書の請求項1に係る考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正請求書に添付された訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1)折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなることを特徴とする隠蔽情報表示用カード。」
(イ)引用刊行物
登録明細書の請求項1、2、3に係る各考案に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物である特開昭64-16692号公報には、以下の事項が記載されていると認められる。
〔引用刊行物記載の考案〕
「折り線を境にして、通信文等所要事項を表示するための通信文等所要事項表示部を有する第一葉と、この第一葉の前記通信文等所要事項表示部に表示された通信文等所要事項を隠蔽するための第二葉とが連接され、前記第二葉には、前記折り線で前記第一葉に折り重ねられたときに少なくとも前記第一葉の通信文等所要事項表示部に対接する部分に、前記通信文等所要事項表示部に対して剥離可能に接着するための擬似接着積層体が設けられるとともに、第一葉と第二葉の剥離操作を容易とするために、第二葉は、第一葉に比べて、縮小されている通常はがき材。」の考案が記載されていると認められ、
「擬似接着積層体」の具体的構成として、「2枚の極薄の透明フィルムを擬似接着層を介して剥離可能に密着させてなり、その各フイルムが第一葉及び第二葉の各対向裏面と感熱又は感圧強粘着による接着層を介して接着される」点が記載されていると認められる。
(ウ)対比・判断
当審が取消理由を通知した、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2、3に係る各考案のうち、請求項2、3に係る各考案は、訂正請求により削除され、判断する必要はなくなったので、訂正明細書の請求項1に係る考案について検討する。
訂正明細書の請求項1に係る考案と上記引用刊行物に記載の考案とを対比すると、
後者の実施例3において、第二葉は、第一葉に比べて、角部の三角形部分だけ縮小されているので、第二葉は、第一葉よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記第一葉とは異なって形成されているといえるものであり、
後者の「折り線」、「通信文等所要事項」、「通信文等所要事項表示部」、「第一葉」、「第二葉」、「擬似接着積層体」、「通常はがき材」は、それぞれ前者の「折り部」、「隠蔽すべき情報」、「隠蔽情報表示部」、「表示片」、「隠蔽片」、「接着構造」、「隠蔽情報表示用カード」に相当するものと認められるから、
両者は、「折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなることを特徴とする隠蔽情報表示用カード。」である点で一致するが、「隠蔽片を表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなる」点で相違すると認められる。
そして、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記相違点により、訂正明細書記載の「隠蔽片と表示片の識別、確認が容易に行え、輪郭部の段差部分の存在も一見して認識できるので、剥離興味が高まるとともに、隠蔽片の輪郭の所望部分を任意に選択して指掛け部とすることができるので、剥離動作がスムーズに行え、正確な剥離が行える」という効果を奏するものと認められる。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記引用刊行物に記載された考案であるとも、上記引用刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるともいえない。
また、訂正明細書の請求項1に係る考案は、他に独立して実用新案登録を受けることができないとする理由も発見しないから、出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-3-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項?第4項の規定に適合し、当該訂正は認められる。
3.異議申立てについて
3-1.異議申立ての理由の概要
異議申立人は、甲第1号証(上記引用刊行物)を提出し、登録明細書の請求項1、2、3に係る各考案は、甲第1号証に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定により、また、甲第1号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、登録明細書の請求項1、2、3に係る各考案の実用新案登録は、取り消すべきものである旨主張している。
3-2.当審の判断
本件請求項1に係る考案は訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりものであり、異議申立人が実用新案登録を取り消すべきと主張した、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2、3に係る各考案のうち、請求項2、3に係る各考案は、訂正請求により削除され判断する必要はなくなった。そして、本件請求項1に係る考案について判断すると、異議申立人が主張する取消理由及び提出した甲第1号証は、当審が通知した取消理由及び引用した刊行物と同じであるから、上記「2-3-2.(ウ)対比・判断」で述べたように、本件請求項1に係る考案は、上記甲第1号証に記載された考案であるとも、上記甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることもできない。
3-3.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
隠蔽情報表示用カード
(57)【実用新案登録請求の範囲】
(1)折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなることを特徴とする隠蔽情報表示用カード。
【考案の詳細な説明】
産業上の利用分野
本考案は、折り部を境にして、隠蔽すべき情報(以下、隠蔽情報という)を表示するための表示片と、この表示片に表示された隠蔽情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片における前記表示片との対接面には、剥離可能に接着するための接着構造が設けられた隠蔽情報表示用カードに関する。
従来の技術
従来からこの種の隠蔽情報表示用カードは様々な構造のものが知られているが、一般的には、表示片と隠蔽片とは同一形状で同一大に形成されている。また、隠蔽片が表示片の隠蔽情報表示部分のみを隠蔽し得るように、前記隠蔽片を前記表示片よりも小さく形成したものもあるが、その形状は同一名称の形状、例えば表示片が四角形であれば隠蔽片も四角形に形成されている。
考案が解決しようとする課題
このため、従来にあっては、互いに接着された状態にある隠蔽片を表示片から引き剥がす際に、前記隠蔽片の端縁に指を掛けにくいので前記隠蔽片を捲り上げにくいという不都合があった。また、隠蔽情報表示用カードの外観が単調であり、使用者の興味を強く引きつけることができないという不都合があった。この第2の不都合は、隠蔽情報表示用カードが単なる事務的情報の伝達に使用される場合にはさほど問題とはならないが、グリーティングカードのように個人的情報を伝達する場合には、隠蔽情報表示用カードの選択にあたって多大の影響を及ぼすものである。
本考案はこのような不都合を解消した隠蔽情報表示用カードを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
上記目的を達成するために、本考案の隠蔽情報表示用カードは、折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなることを特徴とする。
作用
表示片の隠蔽情報表示部に所望の隠蔽情報を表示した後、前記表示片に対して前記隠蔽片を折り部で折り重ねることにより、前記隠蔽片に設けた接着構造によって前記両片を剥離可能に接着し、表示片に表示した隠蔽情報を隠蔽片で被覆隠蔽するとともに、表示片の輪郭の内側に位置する隠蔽片の輪郭の所望部分から剥離を開始し、隠蔽片を表示片から捲り上げると、接着構造は剥離可能であるから前記両片は剥離され、隠蔽されていた隠蔽情報を視認可能となるものである。この際、前記隠蔽片の形状、大きさ及び輪郭が、前記表示片とは異なって形成され、前記隠蔽片の前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置しているので、前記隠蔽片の端縁に指を掛けやすく、容易に捲り上げられる。
実施例
以下、本考案を年賀葉書に適用した場合の好適な実施例について、添付図面に基づき詳細に説明する。
ここにおいて、第1図は表示片と隠蔽片とを開いた状態の隠蔽情報表示面側を示す隠蔽情報表示用カードたる年賀葉書の平面図、第2図はそのA-A線断面図、第3図は剥離紙を剥がして表示片と隠蔽片とを折り部で折り重ね互いに剥離可能に接着した状態の表示片における隠蔽情報表示面とは反対側の郵送情報表示面側を示す平面図、第4図は同状態の隠蔽情報表示面側を示す平面図、第5図はそのB-B線断面図、第6図は表示片から隠蔽片を剥離して隠蔽情報を視認可能にした状態を示す平面図、第7図はそのC-C線断面図である。
第1図及び第2図に示すように、隠蔽情報表示用カードたる年賀葉書1は、折り部たる折り用ミシン目2を境にして、隠蔽情報を表示するための隠蔽情報表示部3を有する表示片4と、この表示片4の前記隠蔽情報表示部3に記載された隠蔽情報を被覆隠蔽するための隠蔽片5とを連接してなる。前記隠蔽情報表示部3と前記隠蔽片5とは同一形状、同一大で輪郭も同一に形成され、前記隠蔽片5を折り用ミシン目2で表示片4に折り重ねると、前記隠蔽情報表示部3に重なり合い、この部分を被覆隠蔽することになる。すなわち、前記隠蔽片5は、楕円形を長軸方向で2等分したような形状であり、その大きさは表示片4よりは小さく、また、その輪郭は直線と曲線で構成されており、前記表示片4の四角形の形状、大きさ及び直線のみで構成される輪郭とは異なって形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している。
また、第1図で明らかなように、表示片4の隠蔽情報表示部3には、メッセージ記入欄3aが設けられるとともに、「あけましておめでとう」の言葉と、凧及び独楽の図が隠蔽情報3bとしてあらかじめ印刷されている。さらに、前記表示片4の表示情報表示部には、一部が前記隠蔽情報表示部3に位置する状態で太陽の図があらかじめ印刷されている。一方、第6図で理解できるように、隠蔽片5の折り用ミシン目2で表示片4に折り重ねたときに隠蔽情報表示部3に対接する面には、同じく隠蔽情報3bである「午」及び「平成2年元旦」の文字があらかじめ印刷されている。
第2図に示すように、隠蔽片5における前述した折り用ミシン目2で表示片4に折り重ねたときに隠蔽情報表示部3に対接する面には、前記隠蔽情報表示部3に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられている。この接着構造は、前記隠蔽片5の前記対接面上に、透明な接着力の強い粘着剤6によって、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂製の透明フィルム7が剥離不能に接着され、この透明フィルム7上には同じくポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂製の透明フィルム8が、不完全な溶着、接着力の弱い粘着剤等の適宜な手段によって剥離可能に接着され、さらに前記透明フィルム8上には、透明な接着力の強い粘着剤9が設けられて構成されている。そして、前記粘着剤9は剥離紙10によって被覆されている。前記剥離紙10には、第1図及び第2図で明らかなように、剥離動作を容易に行うためのスリット11が設けられている。
なお、第3図に示すように、表示片4の隠蔽情報表示面とは反対側の面は、年賀葉書1の宛名人及び差出人の住所、氏名を記載するための郵送情報表示面12となっている。また、第4図で明らかなように、隠蔽片5の隠蔽情報表示部3に対接する面とは反対面側には、その先端部分に「ここから剥がして下さい」という表示があらかじめ印刷されている。
続いて、上述の如く構成した本実施例の使用方法について説明する。
表示片4のメッセージ記入欄3aに所望の隠蔽情報、例えば「今年も元気でがんばろう」なる文を記載し、また、郵送情報表示面12に宛先及び差出元を記載した後(第3図参照)、剥離紙10を剥がして粘着剤9を露出させ、前記表示片4に対して隠蔽片5を折り用ミシン目2で折り重ねると、第4図及び第5図に示すように、前記粘着剤9によって前記両片4,5を剥離可能に接着することができる。そして、この状態において、表示片4の隠蔽情報表示部3に表示した各隠蔽情報は、隠蔽片5で被覆隠蔽され、外部からは視認不能な状態となり、第4図に示すように、太陽が山の端から昇りつつある図柄となる。ここで切手を貼付すれば、年賀葉書1は通常の葉書と同様に投函可能となる。
この状態で年賀葉書1を受領した宛名人は、隠蔽片5の形状、大きさ及び輪郭が、表示片4とは異なって形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、興味を引かれることになる。そして、宛名人が、前記隠蔽片5にある「ここから剥がして下さい」という表示にしたがって、前記隠蔽片5を前記表示片4から捲り上げると、第7図に示すように、各透明フィルム7,8の接着面が離反して、前記透明フィルム8は表示片4に残る一方、前記透明フィルム7は隠蔽片5とともに表示片4から剥離される。したがって、第6図で明らかなように、表示片4及び隠蔽片5の各隠蔽情報3bは、それぞれ各透明フィルム7,8を透して視認可能になる。
この剥離動作に際しては、前記隠蔽片5の形状、大きさ及び輪郭が、前記表示片4とは異なって形成され、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、前記隠蔽片5の端縁に指を掛けやすく、容易に剥離することができる。
なお、本考案は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば、隠蔽片5の形状、大きさ及び輪郭は上述の如きものに限らず、表示片4よりも小さいサイズであり、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している限り、人物、動物、植物等を形どったものでもよい。また、表示片4の形状、大きさ及び輪郭も種々変更可能であり、これら表示片4と隠蔽片5の組み合わせとしては、例えば、表示片4が人物で隠蔽片5が動物、表示片4が三角形状で隠蔽片5が円形等、各種の組み合わせが可能である。さらに、隠蔽情報表示部3や隠蔽片5の対接面に隠蔽情報たる文や図柄をあらかじめ表示しておく必要はない。またさらに、隠蔽情報表示部3にはメッセージ記入欄3aのような記入部を必ずしも設ける必要はない。さらにまた、折り部は折り用ミシン目2のほか折り線でもよい。さらに加えて、接着構造の構成は、透明フィルム7,8を用いず、表示片4と隠蔽片5とを接着力の弱い粘着剤を用いて直接、剥離可能に接着するものでもよい。また、本考案は年賀葉書1をはじめとする葉書以外の各種カードにも適用可能なことはもちろんである。
効果
以上説明したところで明らかなように、本考案によれば、隠蔽片を表示片よりも小さいサイズとし、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置し、かつ、表示片と隠蔽片の形状及び輪郭を異ならせることによって、隠蔽片と表示片の識別、確認が容易に行え、輪郭部の段差部分の存在も一見して認識できるので、剥離興味が高まるとともに、隠蔽片の輪郭の所望部分を任意に選択して指掛け部とすることができるので、剥離動作がスムーズに行え、正確な剥離が行えるという種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
図は本考案を年賀葉書に適用した場合の好適な実施例を示し、第1図は表示片と隠蔽片とを開いた状態の隠蔽情報表示面側を示す年賀葉書の平面図、第2図はそのA-A線断面図、第3図は剥離紙を剥がして表示片と隠蔽片とを折り部で折り重ね互いに剥離可能に接着した状態の郵送情報表示面側を示す平面図、第4図は同状態の隠蔽情報表示面側を示す平面図、第5図はそのB-B線断面図、第6図は表示片から隠蔽片を剥離して隠蔽情報を視認可能にした状態を示す平面図、第7図はそのC-C線断面図である。
1…年賀葉書 2…折り用ミシン目 3…隠蔽情報表示部 3a…隠蔽情報記入部 3b…隠蔽情報 4…表示片 5…隠蔽片 7,8…透明フィルム 10…剥離紙
訂正の要旨 本件実用新案登録第2577590号の訂正事項は、以下のとおりである。
〔I〕実用新案登録請求の範囲の訂正
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1において、
「前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されていること」とあるのを、
「前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなること」と訂正し、
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2及び請求項3を削除する。
〔II〕考案の詳細な説明の訂正
上記実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、対応する考案の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的として、
(1)実用新案登録明細書第3頁第16行?第4頁第6行(本件公報第2頁第3欄第20行?第29行)において、
「本考案は、折り部を境にして、隠蔽情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽情報を隠蔽するための隠蔽片とを連接し、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造を設けるとともに、前記隠蔽片の形状、大きさ及び輪郭を前記表示片とは異なって形成したものである。」とあるのを、
「本考案の隠蔽情報表示用カードは、折り部を境にして、隠蔽すべき情報を表示するための隠蔽情報表示部を有する表示片と、この表示片の前記隠蔽情報表示部に表示された隠蔽すべき情報を隠蔽するための隠蔽片とが連接され、前記隠蔽片には、前記折り部で前記表示片に折り重ねられたときに少なくとも前記表示片の隠蔽情報表示部に対接する部分に、前記隠蔽情報表示部に対して剥離可能に接着するための接着構造が設けられるとともに、前記隠蔽片は、前記表示片よりも小さいサイズで、かつ、その形状及び輪郭が前記表示片とは異なって形成されてなるとともに、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、前記隠蔽片の輪郭は表示片の輪郭の内側に位置してなることを特徴とする。」と訂正する。
(2)実用新案登録明細書第4頁第12?14行(本件公報第2頁第3欄第35、36行)において、
「被覆隠蔽する。この状態で隠蔽片を」とあるのを、
「被覆隠蔽するとともに、表示片の輪郭の内側に位置する隠蔽片の輪郭の所望部分から剥離を開始し、隠蔽片を」と訂正する。
(3)実用新案登録明細書第4頁第18、19行(本件公報第2頁第3欄第40行)において、
「形成されているので、」とあるのを、
「形成され、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(4)実用新案登録明細書第6頁第12、13行(本件公報第2頁第4欄第18、19行)において、
「形成されている。」とあるのを、
「形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している。」と訂正する。
(5)実用新案登録明細書第9頁第11行目(本件公報第3頁第5欄第20、21行)において、
「形成されているので、」とあるのを、
「形成されており、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(6)実用新案登録明細書第10頁第3、4行(本件公報第3頁第5欄第32、33行)において、
「形成されているので、」とあるのを、
「形成され、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置しているので、」と訂正する。
(7)実用新案登録明細書第10頁第8行目(本件公報第3頁第5欄第37、38行)において、
「限らず、表示片4よりも小さいサイズである限り、」とあるのを、
「限らず、表示片4よりも小さいサイズであり、隠蔽片5を表示片4の隠蔽情報表示部3に折り重ねた際に、隠蔽片5の輪郭が表示片4の輪郭の内側に位置している限り、」と訂正する。
(8)実用新案登録明細書第11頁第7、8行(本件公報第3頁第6欄第17、18行)において、
「本考案によれば、隠蔽片を表示片よりも小さいサイズとし、かつ、」とあるのを、
「本考案によれば、隠蔽片を表示片よりも小さいサイズとし、前記隠蔽片を前記表示片の隠蔽情報表示部に折り重ねた際に、隠蔽片の輪郭が表示片の輪郭の内側に位置し、かつ、」と訂正する。
(9)実用新案登録明細書第11頁第9?12行(本件公報第3頁第6欄第20?22行)において、
「互いの剥離動作が容易になるとともに、使用者の興味を強く引きつけることができ、カードとしての需要を高めることができるという効果を奏する。」とあるのを、
「隠蔽片と表示片の識別、確認が容易に行え、輪郭部の段差部分の存在も一見して認識できるので、剥離興味が高まるとともに、隠蔽片の輪郭の所望部分を任意に選択して指掛け部とすることができるので、剥離動作がスムーズに行え、正確な剥離が行えるという種々の効果を奏する。」と訂正する。
明りょうでない記載の釈明を目的として、
(10)実用新案登録明細書第6頁第18、19行(本件公報第2頁第4欄第24行)において、
「前記表示片4」とあるのを、
「前記表示片4の表示情報表示部」と訂正する。
異議決定日 1999-10-25 
出願番号 実願平1-148118 
審決分類 U 1 651・ 113- YA (B42D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 藤井 靖子  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 白樫 泰子
平瀬 博通
登録日 1998-05-15 
登録番号 実用登録第2577590号(U2577590) 
権利者 トッパン・フォームズ株式会社
東京都千代田区神田駿河台1丁目6番地
考案の名称 隠蔽情報表示用カード  
代理人 高橋 寛  

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