ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部申し立て H01R 審判 全部申し立て H01R |
---|---|
管理番号 | 1006261 |
異議申立番号 | 異議1999-70922 |
総通号数 | 6 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-03-12 |
確定日 | 1999-10-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 実用新案登録第2581487号「コネクタ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 実用新案登録第2581487号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.本件実用新案登録第2581487号は、平成5年9月16日の出願であって、平成10年7月10日に設定登録がなされたものであって、その後、畠中亜希子より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成11年8月6日に訂正請求がなされたものである。 2.本件実用新案登録に対し異議申立人畠中亜希子は、甲第1号証として特開平5-2260215号公報を提示し、本件実用新案登録の請求項1に係る考案(以下、「本件登録実用新案」という)は、第1号証に記載されている、又は、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第1項又は第2項の規定に違反して登録されたものである旨主張する。 3.上記訂正請求によって訂正された明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。 「端子金具を装着可能なキャビティと、このキャビティ内に設けられ前記端子金具を一次係止する一次係止手段と、外側面から前記キャビティに連通する開口とを備えたコネクタハウジングと、 前記開口に嵌装されて、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置とこの仮係止位置よりも深く組付けられて前記端子金具を二次係止する本係止位置との二つの係止位置に係止可能とされたリテーナとを備えたコネクタにおいて、 前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、 前記仮係止位置において、前記コネクタハウジングと前記リテーナとは、前記端子金具が前記ガイド面に当接したときの力によって、前記リテーナの前方を上方に押し上げる力に抗するように係止していることを特徴とするコネクタ。」 4.上記訂正請求の適否について判断する。 (1)上記訂正は、願書に添付された明細書(以下、「登録明細書」という。)を、以下のa及びbのとおり訂正するものである。 a.実用新案登録請求の範囲について、 「リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、」を「リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、」と訂正する。 b.考案の詳細な説明について、 段落【0008】8-11行目の「前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、」を「前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、」と訂正する。 (2)上記訂正のうち、 実用新案登録請求の範囲の訂正についてみると、この訂正事項は、登録明細書の請求項1に係る考案について、リテーナが仮係止位置にあるときのリテーナの先端の位置を特定することにより、リテーナの構成を限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当する。 bの訂正事項についてみると、この訂正事項は、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の欄の記載をこれに整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。 そして、訂正された実用新案登録請求の範囲に記載された「リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており」の構成は、登録明細書の段落【0016】4-8行目に記載されているから、登録明細書に直接的かつ一義的に記載されている事項である。 そうすると、上記訂正事項は、いずれも、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。 そして、この訂正によって、考案の目的が変更されるものでもないから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものでもなく、また、変更するものでもない。 (3)次に、独立登録要件について判断する。 実用新案登録異議申立人が提示した甲第1号証には、次の事項が記載されている。 「ハウジングに対して長尺のヒンジ帯で結合されるリヤホルダを仮係止状態においてハウジングに結合しつつ端子金具の挿入を可能とすることにより、リヤホルダがハウジングから遊離した状態での運搬等を回避し、もってリヤホルダの絡み合いによる破損を防止するようにしたものである。(第2欄10-15行目)」、「本発明は、端子の後抜けを二重に係止するりヤホルダを具え、かつリヤホルダを可撓性を有するヒンジ帯でハウジングに連結して成る構造の電気コネクタに関するものである。(第1欄23-26行目)」及び「図1ないし図5において、合成樹脂製コネクタハウジングA″の上面後部において可撓弾性を有するヒンジ帯40によりリヤホルダB″が一体的に設けられ、コネクタハウジングA″の上壁後部にはリヤホルダB″のリヤホルダ主板B_(1)″を収容する浅い収容凹所A_(1)″が形成されている。収容凹所A_(1)″において複数の端子収容室41の上部開口41aが形成され、リヤホルダB″の下面には各開口41aに対応して端子係止突起42が設けられる。端子係止突起42はリヤホルダ主板B_(1)″に対する連結部42aを介してリヤホルダ主板B_(1)″よりも前方へ突出して設けられると共に下端部の両側に仮係止突起43が突設され、両側の仮係止突起43を含めた端子係止突起42の左右方向の巾L_(1)は上記開口41aの左右方向の巾L_(2)より若干大きくなるように形成されており、従って、端子係止突起42を開口41aに圧入して連結部42aがコネクタハウジングA″の上壁44に当接させた状態において仮係止突起43を開口41aの縁に係合させることによりリヤホルダB″をコネクタハウジングA″に対して仮結合状態において予めセットし、仮結合状態において端子収容室41内に端子金具C″を挿入して可撓係止片45により係止する(図4)。次に、リヤホルダB″を傾斜させて端子係止突起42と上壁44との衝合を外しつつ端子係止突起42を斜め下方へ押し入れると共に連結部42aを開口41a内に押し入れ、該連結部42aの後端に形成された本係止突起46を開口41aの端縁に係合させて本結合状態とする(図5)。本結合状態においては、端子係止突起42が端子金具C″の電気接触部47の後方に進入して端子金具C″をその後抜けに対して二重に係止する。(第2欄42行目-第3欄23行目)」と記載され、図4には、リヤホルダを仮結合した状態の断面図が示されている。 (4)訂正考案と前記甲第1号証に記載されたものとを対比すると、甲第1号証には、訂正考案の必須の構成である「リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており」の構成が記載されていない。 そして、甲第1号証に記載されたものは、「リヤホルダがハウジングから遊離した状態での運搬等を回避し、もってリヤホルダの絡み合いによる破損を防止」することを目的とするものであって、端子金具の挿入を効率よく行うことについては何らの言及もされていないことからすれば、前記構成が示唆されているということもできない。 したがって、訂正考案は、前記甲第1号証に記載された考案と同一であるとも、その考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることも、できない。 (5)以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項?第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 5.次に、実用新案登録異議の申立てについて判断する。 (1)本件登録実用新案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであって、上記4で認定したとおりのものである。 (2)しかしながら、本件登録実用新案は、上記4(4)で示したように、甲第1号証に記載された考案と同一であるとも、その考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることもできない。 6.したがって、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に、本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 コネクタ (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】端子金具を装着可能なキャビティと、このキャビティ内に設けられ前記端子金具を一次係止する一次係止手段と、外側面から前記キャビティに連通する開口とを備えたコネクタハウジングと、 前記開口に嵌装されて、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置とこの仮係止位置よりも深く組付けられて前記端子金具を二次係止する本係止位置との二つの係止位置に係止可能とされたリテーナとを備えたコネクタにおいて、 前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、 前記仮係止位置において、前記コネクタハウジングと前記リテーナとは、前記端子金具が前記ガイド面に当接したときの力によって、前記リテーナの前方を上方に押し上げる力に抗するように係止していることを特徴とするコネクタ。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、キャビティに設けた一次係止手段による一次係止とリテーナによる二次係止とより端子金具を二重係止状態にロックするコネクタに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 この種のコネクタとしては、コネクタハウジングの内部に端子金具が挿入されるキャビティを形成すると共に、コネクタハウジングの外側面にキャビティ内と連通する開口を形成し、更にキャビティに弾性ロック片等の一次係止手段を設けた構造になり、開口に嵌装されるりテーナを備えたものがある。 【0003】 このコネクタに端子金具を装着する際には、まず、リテーナを嵌装しない状態において端子金具をキャビティ内に挿入し、一次係止手段により端子金具を一次係止状態に保持する。しかる後、リテーナを開口に嵌装し、リテーナのキャビティ内に突出した部分を端子金具に係合させることによって二次係止する。以上により、端子金具が二重係止状態となってキャビティからの抜け不能に確実にロックされる。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 かかる従来のコネクタでは、端子金具の挿入の際には開口にリテーナが嵌装されていないことから、キャビティの内壁が開口の部分において凹んだ状態となっている。 【0005】 従って、端子金具の挿入時に端子金具の向きが傾いていると、端子金具が正しい挿入進路から外れて開口の内部側へ向かって進み、開口の内壁に突き当たるという恐れがあり、このような場合には、挿入作業をやり直す必要がある。 【0006】 かかる事情は、端子金具の挿入を挿入装置を用いて自動的に行う場合も手作業によって行う場合も同様である。このため、端子金具の挿入作業を正確に効率良く行うためには、端子金具の位置や方向を高い精度で設定するという必要があり、また、作業者には熟練度が要求されるという欠点があった。 【0007】 本考案は上記事情に鑑みて創案されたものであって、端子金具の位置や方向を高い精度で設定しなくても、あるいは、作業者の熟練度が低くても、端子金具の挿入を正確に効率良く行うことのできるコネクタを提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 上記した目的を解決するため請求項1の考案に係るコネクタは、端子金具を装着可能なキャビティと、このキャビティ内に設けられ前記端子金具を一次係止する一次係止手段と、外側面から前記キャビティに連通する開口とを備えたコネクタハウジングと、前記開口に嵌装されて、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置とこの仮係止位置よりも深く組付けられて前記端子金具を二次係止する本係止位置との二つの係止位置に係止可能とされたリテーナとを備えたものにおいて、前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、前記仮係止位置において、前記コネクタハウジングと前記リテーナとは、前記端子金具が前記ガイド面に当接したときの力によって、前記リテーナの前方を上方に押し上げる力に抗するように係止していることを特徴とする。 【0009】 【0010】 【作用】 請求項1の考案によれば端子金具を取り付ける際には、まず、リテーナを仮係止位置でコネクタハウジングの開口に嵌装しておき、端子金具をキャビティ内に挿入する。端子金具が適正な挿入方向に挿入された場合には、端子金具は正規の挿入位置まで押し込まれて一次係止手段により一次係止される。 ところが、端子金具の先端が適正な挿入方向を外れて開口側に向いた場合には、その先端は、開口からキャビティ内に臨んでいるガイド面に当接する。ここで、リテーナとコネクタハウジングとは、端子金具がガイド面に当接したときの力によって、リテーナの前方を上方に押し上げる力に抗するように係止している。このため、端子金具の先端は、ガイド面によって適正な挿入方向に案内される。つまり、端子金具が誤って開口側へ飛び出そうとしても、ガイド面によりキャビティ内を適正な方向に矯正されながら挿入される。こうして、正規の挿入位置に達したところで一次係止手段により一次係止される。 この後、リテーナを仮係止位置から本係止位置に移動させることにより、端子金具が二次係止される。 【0011】 【考案の効果】 上記作用によって説明したように、本考案は、キャビティ内に挿入される端子金具はリテーナのガイドによって適正進路に沿って進むように案内されるから、端子金具の位置や方向を高い精度で設定しなくても、あるいは、作業者の熟練度が低くても、端子金具の挿入を正確に効率良く行うことができるという優れた効果がある。 【0012】 【実施例】 以下、本考案を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。 コネクタハウジング1の内部には、雌側の端子金具30が挿入されるキャビティ2が上下対称に二段に分かれて各段毎に複数室ずつ並んで形成されている。上下に対応するキャビティ2を仕切る隔壁3には、一次係止手段である弾性ロック片4が形成されており、この弾性ロック片4の先端のキャビティ2内に突出する突起5が端子金具30の一次係止孔31に嵌合することにより端子金具30の抜け方向の遊動が阻止されるようになっている。 【0013】 コネクタハウジング1の外側面には、二次係止手段であるリテーナ10を嵌装するための開口6が、各キャビティ2の内部とコネクタハウジング1の外部とを連通させるように形成されている。また、各開口6の口縁の後端にはコネクタハウジング1の外側に面する傾斜面7が形成されており、この傾斜面7は、リテーナ10が仮係止位置と本係止位置との問を移動する際の案内となる。なお、各開口6の口縁の前端にはキャビティ2内に面する面取り部8が形成されている。 【0014】 開口6に嵌装されるりテーナ10は、撓み変形可能なヒンジ11を介してコネクタハウジング1と一体に形成されており、自由状態においては図2及び図6に示すようにヒンジ11が延びてリテーナ10がコネクタハウジング1の外側面から離間している。かかるリテーナ10には、傾斜面7上を摺接すると共に開口6に嵌入される複数の係止部12が並べて突成されている。 【0015】 リテーナ10の左右両端には長孔14の形成された側板13が形成され、一方、コネクタハウジング1の左右両側面には案内凸部15が形成されており、リテーナ10は、側板13の弾性変形を伴いつつ、その長孔14に案内凸部15を相対移動自由に嵌合させることによってコネクタハウジング1に嵌装されるようになっている。コネクタハウジング1に嵌装されたりテーナ10は、長孔14と案内凸部15との嵌合により、仮係止位置と本係止位置との間において傾斜面7と平行に案内される。 【0016】 リテーナ10が仮係止位置にあるときには、図3に示すようにリテーナ10の長孔14の前端に案内凸部15が当接しており、リテーナ10は、コネクタハウジング1からの外れ方向への移動不能となっていると共に本係止位置側への移動は可能となっている。また、仮係止位置においては、リテーナ10が、図6及び図7に示すように、その係止部12に形成した仮係止用凹部16と前記傾斜面7に突成した仮係止用凸部17との係合によって遊動不能に保持されると共に、開口6内にリテーナ10の係止部12が嵌入されてその先端がキャビティ2の内部に突出せずにその内壁の延長面上に位置する状態となる。 【0017】 リテーナ10を仮係止位置から前進させると、側板13が弾性変形しつつ案内凸部15よりも前方の本係止用凸部18を乗り越え、リテーナ10が本係止位置に到達する。本係止位置においては、図4に示すように、本係止用凸部18が長孔14の前端に当接すると共に案内凸部15が長孔14の後端に当接し、図8に示すように、リテーナ10の係止部12の前端が開口6の口縁前端に当接し、これらの当接によってリテーナ10が遊動不能に保持される。 【0018】 このようにリテーナ10が本係止位置に移動すると、図8に示すように、係止部12の先端部がキャビティ2の内部に突出することにより端子金具30の二次係止孔32に嵌入して、この端子金具30のキャビティ2からの抜け方向の遊動を阻止する二次係止状態となり、もって、端子金具30が二重係止されるようになっている。 【0019】 また、リテーナ10の各係止部12には、端子金具30のキャビティ2への挿入を案内するためのガイド面20が形成されている。このガイド面20は、リテーナ10が仮係止位置にある状態において開口6の後部を塞ぐと共にキャビティ2の内側に面するように位置し、キャビティ2の後方から前方へ向かう方向即ち端子金具30の挿入方向に向かってキャビティ2の内部側へ傾斜している。 【0020】 次に、本実施例の作用を説明する。 端子金具30をキャビティ2内に挿入する際には、まず、リテーナ10を図2及び図5に示す自由状態からその係止部12を開口6内に嵌入させるようにして図3、図6及び図7に示す仮係止位置に嵌装し、かかる状態で端子金具30をキャビティ2内に押し込むようにして挿入する。 【0021】 挿入途中においては、端子金具30の進行方向が図6に一点鎖線で示す適正方向に対して開口6側へずれることがあるが、端子金具30の先端がリテーナ10のガイド面20に摺接することによって端子金具30が開口6側へ進入するのが阻止される。 【0022】 また、端子金具30の先端がリテーナ10のガイド面20を通過した後は端子金具30が弾性ロック片4を弾性変形させつつ移動することとなるため、その弾性ロック片4の弾性復元力によって端子金具30にはキャビティ2内から開口6側へ押し出すような力が作用する。しかし、このような弾性ロック片4からの力が作用しても、端子金具30の外面がガイド面20の前端部で抑えられることにより、端子金具30は開口6側へ進入するのが阻止される。 【0023】 なお、このときに端子金具30がキャビティ2との間隙のために開口6側を向く姿勢に傾いたとしても、端子金具30の先端が開口6の前端の面取り部8に摺接することによってキャビティ2内に導かれるため、端子金具30が開口6の内壁の前端に突き当たる恐れはない。 【0024】 このようにして、端子金具30はキャビティ2内を適正進路に沿って進み、図7に示す最終挿入位置に到達する。これと同時に、端子金具30の一次係止孔31に弾性ロック片4の突起5が嵌入して一次係止状態となる。 【0025】 しかる後、リテーナ10を前進させることにより本係止位置に移動させると、これに伴ってキャビティ2内に突出した係止部12の先端が端子金具30の二次係止孔32に嵌入し、二次係止状態となる。以上により、端子金具30が二重係止されることとなり、キャビティ2内からの抜け不能に確実にロックされた状態に装着される。 【0026】 このように、本実施例においては、端子金具30の挿入時に、端子金具30が適正進路に沿って案内されるようになっているから、端子金具30が開口6の口縁内壁に突き当たるという恐れがない。従って、端子金具30の挿入を挿入装置を用いて自動的に行う場合においては端子金具30の挿入位置及び方向を高い精度で設定しなくても、また、挿入を手作業で行う場合においては非熟練者が作業したとしても、端子金具30の挿入を簡単且つ確実に行うことができる。 【0027】 なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することも可能である。 (イ)上記実施例においては、リテーナ10がコネクタハウジング1にヒンジ11によって一体に連結されたタイプのコネクタについて説明したが、本考案は、リテーナがコネクタハウジングとは別体をなすタイプのコネクタにも適用することができるものである。 (ロ)上記実施例においては、雌側の端子金具30が装着されるコネクタに適用した場合について説明したが、本考案は雄側の端子金具が装着されるコネクタにも適用することができるものである。 【0028】 その他、本考案は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 斜視図である。 【図2】 リテーナの成形状態の側面図である。 【図3】 リテーナが仮係止位置にある状態の側面図である。 【図4】 リテーナが本係止位置にある状態の側面図である。 【図5】 リテーナの成形状態の断面図である。 【図6】 リテーナが仮係止位置にあって端子金具の挿入途中の状態を示す断面図である。 【図7】 リテーナが仮係止位置にあって端子金具の挿入が完了した状態を示す断面図である。 【図8】 リテーナが本係止位置にある二重係止状態の断面図である。 【符号の説明】 1…コネクタハウジング 2…キャビティ 4…弾性ロック片(一次係止手段) 6…開口 10…リテーナ 11…ヒンジ 20…ガイド面 30…端子金具 |
訂正の要旨 |
a.実用新案登録請求の範囲について、 「リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、」を「リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており」と、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として訂正する。 b.考案の詳細な説明について、 段落【0008】8-11行目の「前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、」を「前記リテーナには、前記仮係止位置において前記開口から前記キャビティ内に臨んで前記端子金具の挿入時に端子金具の先端が適正な挿入方向から外れて前記開口側に向いた場合に、その先端を適正な挿入方向側に案内するガイド面が設けられているとともに、前記リテーナの先端は、前記仮係止位置において前記キャビティの内壁の延長面上に位置する状態とされており、」と、明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 |
異議決定日 | 1999-09-29 |
出願番号 | 実願平5-55259 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(H01R)
U 1 651・ 113- YA (H01R) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
和泉 等 梅辻 幹男 |
登録日 | 1998-07-10 |
登録番号 | 実用登録第2581487号(U2581487) |
権利者 |
住友電装株式会社 三重県四日市市西末広町1番14号 |
考案の名称 | コネクタ |
代理人 | 後呂 和男 |
代理人 | 高木 芳之 |
代理人 | 高木 芳之 |
代理人 | 後呂 和男 |