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審決分類 |
審判 全部申し立て H01L |
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管理番号 | 1006262 |
異議申立番号 | 異議1999-72710 |
総通号数 | 6 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-07-13 |
確定日 | 1999-10-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2588524号「基板の純水引上げ乾燥装置」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2588524号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
【1】 手続きの経緯 実用新案登録出願 平成4年2月21日 実用新案登録権設定登録 平成10年10月30日 登録異議の申立て 平成11年7月13日 【2】 本件考案 本件請求項1及び請求項2に係る考案の構成に欠くことができない事項は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 上面が開口した洗浄槽内に収容された純水中に浸漬された基板を純水中から上方へ引き上げる基板昇降機構を備え、その基板昇降機構により純水中から基板を引き上げながら、その基板の表面から純水を蒸発させるようにした基板の純水引上げ乾燥装置において、基板の昇降移動を許容するスリット状開口部が形成された蓋体を、前記洗浄槽の開口面を覆うように配設するとともに、その蓋体の前記スリット状開口部を通して気体を下向きに流動させ、その気体流により、純水液面から発生した水蒸気を蓋体と純水液面との間の空間から排出する水蒸気パージ手段を設けたことを特徴とする基板の純水引上げ乾燥装置。 【請求項2】 基板昇降機構が、複数枚の基板を互いに平行にかつ間隔を設けて支持し、それら複数枚の基板を同時に純水中から引き上げるようにした構成であり、水蒸気パージ手段が、蓋体と純水液面との間の空間の側方に形設された排気口と、この排気口に流路接続された強制排気装置とから構成された請求項1記載の基板の純水引上げ乾燥装置。」 【3】 登録異議の申立てについての判断 登録異議申立人は、登録異議の申立ての理由として、次のものを掲げている。 甲第1号証(特開平1-130771号公報)、甲第2号証(特開平3-220722号公報)、甲第3号証(特開昭57-130580号公報)及び参考資料1(特開平2-185031号公報)を本件実用新案登録に係る出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物として提出して、本件請求項1及び請求項2に係る考案は、これらに記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件請求項1及び請求項2に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものである。 前記理由について検討する。 本件請求項1及び請求項2に係る考案のそれぞれが、基板の昇降移動を許容するスリット状開口部が形成された蓋体を、洗浄槽の開口面を覆うように配設すると共に、その蓋体の前記スリット状開口部を通して気体を下向きに流動させた点を必須の構成要件として具備している。 そして、この構成要件は、次の課題を解決し、所期の目的を達成するために具備しているものである。 すなわち、蓋体のスリット状開口部を通して気体が下向きに高速で流され、かつ、洗浄槽の上部開口面は、基板の昇降移動を許容する程度の狭いスリット状開口部が形成されただけの蓋体によって覆われるので、水蒸気パージ手段により水蒸気が排出されるにあたり、純水液面から発生した水蒸気が蓋体の開口部を通って水蒸気が上昇することは確実に抑えられるばかりでなく、水蒸気の排出が効率良く行われることになり、かつ、蓋体のスリット状開口部を通ってその上方へ移動し乾燥し終わった基板の部分に、気体流によって排出されていく過程の水蒸気が接触することは完全に防止することができるものである。 つぎに、甲第1号証刊行物に記載された考案について検討する。 甲第1号証刊行物には、ハウジング42の基板が昇降移動により通過する開口部について、これが、基板の昇降移動を許容するだけの開口面積のものとする点については記載がない。 すなわち、開口部を基板の昇降移動を許容するスリット状のものとする点については記載がない。 さらに、ハウジング42の開口部は、容器22の表面32と同程度の大きさの開口となっている。 すなわち、ハウジング42は、洗浄槽の開口面を覆うようには配置されていない。 したがって、甲第1号証刊行物に記載された考案は、「層流をなす純度の高い空気を基板12の表面に沿って導き、通路38及び40を経て排出することによって、表面の復水発生の抑制が促進される」ものではあるが、本件請求項1及び請求項2に係る考案のそれぞれが達成できる前記した程度の目的を達成し、効果を奏するものではない。 さらに、甲第2号証刊行物に記載された考案について検討する。 甲第2号証刊行物には、隔壁21の基板が昇降移動により通過する開口部について、これが、基板の昇降移動を許容するだけの開口面積のものとする点については記載がない。 また、水蒸気パージ手段により水蒸気が排出されるにあたり、純水液面から発生した水蒸気を水平方向の気流とするために仕切板26が設けられている。 このことは、隔壁21が、基板の昇降移動を許容する程度の狭いスリット状開口部が形成されただけの洗浄槽の上部開口面を覆うものでないから、水蒸気を水平方向の気流とするために、わざわざ別の手段を設けなければならないこととなったことを示唆するものである。 さらにまた、甲第3号証刊行物に記載された考案について検討する。 甲第3号証刊行物に記載された考案は、洗浄槽を用いた装置ではなく、蓋体に該当するものを具備していない。 また、参考資料1に記載された考案も、蓋体に該当するものを具備していない。 したがって、本件請求項1及び請求項2に係る考案のそれぞれが具備している必須の構成要件は、甲第1号証刊行物ないし甲第3号証刊行物及び参考資料1に記載されておらず、また、このことは、当業者によってきわめ容易に考えることができたものではない。 よって、本件請求項1及び請求項2に係る考案は、甲第1号証刊行物ないし甲第3号証刊行物及び参考資料1に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。 【4】 以上のとおりであるから、登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1及び本件請求項2係る実用新案登録を取り消すことができない。 また、他に本件請求項1及び請求項2に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-09-29 |
出願番号 | 実願平4-17147 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(H01L)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岩本 勉 |
特許庁審判長 |
城戸 博兒 |
特許庁審判官 |
桐本 勲 小関 峰夫 |
登録日 | 1998-10-30 |
登録番号 | 実用登録第2588524号(U2588524) |
権利者 |
大日本スクリーン製造株式会社 京都府京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1番地の1 |
考案の名称 | 基板の純水引上げ乾燥装置 |