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審決分類 審判 全部申し立て   H01L
審判 全部申し立て   H01L
管理番号 1007619
異議申立番号 異議1998-75765  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-18 
確定日 1999-07-26 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2571571号「半導体素子収納用パッケージ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2571571号の実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
本件実用新案登録第2571571号の請求項1に係る考案〔平成3年9月12日に出願され、平成10年2月20日設定登録〕は、本件明細書および図面の記載からみて、次の事項をその構成とするものと認める。
容器内部に金属板を介して半導体素子を取着収容する半導体素子収納用パッケージにおいて、前記金属板は上下両面にニッケル膜を接合させたモリブデン板を打ち抜いたものが使用され、且つ打ち抜き終了面が半導体素子側となっていることを特徴とする半導体素子収納用パッケージ。
II.申立理由の概要
申立人日本特殊陶業株式会社は、甲第1号証〔実願昭54-148537号(実開昭56-65653号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和56年6月1日特許庁発行)〕、甲第2号証(特開平2-28962号公報)、甲第3号証(特開平3-104148号公報)、甲第4号証(特開昭59-94449号公報)及び甲第5号証〔実願平1-74670号(実開平3-13743号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(平成3年2月12日特許庁発行)〕を提出し、本件考案は、甲第1号証に記載されたものに基づいて、甲第2及び3号証に記載されたものに基づいて、甲第1若しくは2号証に記載されたものと甲第4若しくは5号証に記載されたものに基づいて、当業者が極めて容易に考案することができたものであるから、その実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたもの(以下、「理由1」という。)であり、取り消されるべきである旨主張すると共に、本件明細書の実用新案登録請求の範囲の記載は、「前記金属板」より前の記載中に「金属板」の記載がない等の点で不明確であるから、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第5条第5項第2号の規定を満たしていない出願に対してなされたもの(以下、「理由2」という。)であり、取り消されるべきである旨主張する。
III.判断等
理由1について
(甲各号証の記載)
甲第1号証には、「この考案は素子取付基板と半導体素子とを中間金属板を介在して半田付けしてなる半導体装置に関する。」(1頁11?13行)、
「この考案は・・・中間金属板の両主面のみにメッキ層を形成し、側面部にはメッキ層を形成しないことを特徴とする。」(3頁13?16行)、「この考案の一実施例を図面により説明すると、第4図において、10は銅や銅合金または鉄や鉄合金などの熱膨張係数の大きい金属よりなるステム、リードフレーム等の素子取付基板で、その上に半田11を介して中間金属板12が固着されている。この中間金属板12はモリブデン、タングステン等よりなる芯板13の表裏両主面のみにニッケル、銀等の半田の濡れ性の良いメッキ層14,15が形成され、側面部は素地が露出しており半田の濡れ性が悪くなっている。この中間金属板12の上には半田16を介してシリコン等の熱膨張係数の小さい材料より半導体素子17が固着されている。
以上の構成によれば、半田11および16を多量に用いても、中間金属板12の側面部の半田濡れ性が悪いので、溶融半田が側面部まで流れず、この側面部で半田11および16が合流一体化することがなく、したがって合流一体化した半田が表面張力で内部の半田11あるいは16を吸い出すことがなくなり、半田11あるいは16の厚さが小さくなったり不均一となることがなく、半導体素子17の割れや剥離を確実に防止することができる。
なお、この考案に用いる中間金属板12は例えば次のようにして製作することができる。第5図に示すように、モリブデン等よりなる大面積の板状芯材料130の表裏両面に銀等のメッキ層140,150を形成し、プレス機で所定の寸法に打ち抜く。すると、表裏両主面のみにメッキ層14,15が形成され、側面に素地が露出した中間金属板12が得られる。」(3頁17?5頁7行)と記載されている。
甲第2号証には、モリブデン又はタングステンの素地金属部と該素地金属部の上面と下面にのみ設けたニッケルと金のメッキ層とよりなる半導体素子用ヒートシンク材料を介して半導体チップをステムに取着してなるもの(以下、「組立体」という。)が記載され、また上記ヒートシンク材料は上下両面に上記メッキ層を接合させたモリブデン板を打ち抜いたものと認められれる。
甲第3号証には、「半導体チップをリードフレームの載置部に載置し樹脂封止して形成され、この封止樹脂体から外部に延びた外部リードを実装基板表面に半田付けして固定される半導体集積回路用パッケージにおいて、
前記外部リードは、前記実装基板と半田付けされる側の表面に段差部を設けることによりその肉厚が薄く形成された先端部を有していることを特徴とする半導体集積回路用パッケージ」が記載されている。
甲第4号証には、半導体基板を一方の表面の周辺にバリが存在する金属板よりなるタブの上記表面側に固着し、半導体基板を樹脂で封止した半導体装置であって、上記バリと上記半導体基板の側面とが近接されていることによって上記バリの近くの樹脂に加わる応力が緩和されることを特徴とする半導体基板全体を樹脂でモールドしたIC、LSI等の半導体装置が記載されている。
甲第5号証には、「本考案の目的は、絶縁基体と蓋部材との間の気密性を改善することができる電子部品用パッケージを提供することにある。」(3頁15?17行)、
「本考案の電子部品用パッケージは、電子部品を収容し、基盤に配置するためのものである。
この電子部品用パッケージは、電子部品を収容する絶縁基体と、絶縁基体上に配置された電子部品を気密封止する蓋部材を備えている。そして、蓋部材は、セラミックグリーンシートを所定形状に裁断した後焼成することにより得られる板状の本体部と、該本体の一方の主面の周縁部に形成された金属層と、セラミックグリーンシートを金属層側から裁断することにより本体部の周縁に金属層を有する面取部とを備えている」(3頁19行?4頁9行)、
「〔実施例〕
本考案の一実施例に係る電子部品用パッケージを第1図に示す。なお、第1図は、蓋部材と絶縁基体とを固定させることにより電子部品を気密封止した状態を示している。
パッケージ10は、主に電子部品を収容するための絶縁基体12と絶縁基体12上に載設される蓋部材13とを備えている。
絶縁基体12は概ね正方形の板状の部材であり、セラミックにより構成されている。絶縁基体12の主面12cの概ね中央部分には、第1の凹部12aが形成されている。この第1の凹部12aの中央部分には、さらに第2の凹部12bが形成されている。第2の凹部12bの底面には、金メッキが施されており、この金メッキ上には樹脂、ガラス、ロウ材等の接着剤を介して半導体素子等の電子部品11が装着されている。・・・・・・・・・・・・。」(5頁6行?8頁18行)と記載されている。
(対比・判断)
本件考案を甲第1?5号証記載のものと対比し検討する。
甲第1号証記載の半導体装置では、中間金属板(本件考案でいう「金属板」に相当する。)を介して半導体素子を取着し、また中間金属板として上下両面にニッケル膜を接合させたモリブデン板を打ち抜いたものが使用されているが、上記半導体装置は、半導体チップを樹脂モールドした形式のものであるに過ぎない。
また、甲第2号証に記載の組立体では、ヒートシンク材料(本件考案でいう「金属板」に相当する。)を介して半導体チップを取着し、またヒートシンク材料として上下両面にニッケル膜を接合させたモリブデン板を打ち抜いたものが使用されているが、同甲号証には、半導体素子収納用パッケージに関する記載はない。
また、甲第3号証に記載の技術は、「半導体集積回路用パッケージ」に関するものであるが、上記パッケージは容器内部に半導体素子を取着収容したものでない。
甲第4号証に記載の技術は半導体装置に関するものであるが、上記半導体装置は容器内部に半導体素子を取着収容したものでない。
甲第5号証に記載の「電子部品用パッケージ」は、「第2の凹部12b」内部に半導体素子を収容するようにしてなるもの、つまり容器内部に半導体素子を収容するようにしてなるものであるが、容器内部に金属板を介して半導体素子を取着収容するようにしてなるものでない。
すなわち、甲第1?5号証のいずれにも、「容器内部に金属板を介して半導体素子を取着収容する半導体素子収納用パッケージ」に関する記載はなく、この種のパッケージにおいて、上記金属板を上下両面にニッケル膜を接合させたモリブデン板を打ち抜いたものとし、且つ打ち抜き終了面が半導体素子側となっているようにすることは、甲第1?5号証に記載のものにより示唆されるものでない。
そして、本件考案に係る半導体素子収納用パッケージは、有用なものである。
したがって、本件考案は、甲第1号証に記載されたものに基づいて、甲第2及び3号証に記載されたものに基づいて、甲第1若しくは2号証に記載されたものと甲第4若しくは5号証に記載されたものに基づいて、当業者が極めて容易に考案することができたものといえない。
理由2について
「金属体」が「金属板」の誤記であることは、「容器内部に金属体を介して半導体素子を取着収容する半導体素子収納用パッケージにおいて、」の後の「前記金属板は」の記載、「図1」、「図2」及び本件考案の上記図に基づく説明の記載(【0009】?【0026】)等から明らかであるから、実用新案登録請求の範囲の記載は不明確でなく、本件考案の実用新案登録は、実用新案法第5条第5項第2号の規定を満たしていない出願に対してなされたものでない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録異議申し立ての理由及び証拠によっては本件考案に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-06-30 
出願番号 実願平3-73486 
審決分類 U 1 651・ 534- Y (H01L)
U 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持    
前審関与審査官 川真田 秀男  
特許庁審判長 中嶋 清
特許庁審判官 池田 正人
富永 正史
登録日 1998-02-20 
登録番号 実用登録第2571571号(U2571571) 
権利者 京セラ株式会社
京都府京都市伏見区竹田烏羽殿町6番地
考案の名称 半導体素子収納用パッケージ  

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