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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1009131
審判番号 審判1998-16411  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-21 
確定日 2000-01-14 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第68230号「溶器の中蓋」拒絶査定に対する審判事件(平成6年4月26日出願公開、実開平6-32353)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年9月30日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成10年11月19日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。
【請求項1】容器の口部に装着する合成樹脂製の本体1;該本体1に垂直方向に形成された外筒2、内筒3、及び該両筒2、3の上端を水平方向に接続する上壁2aにより前記口部を挟持するように形成された取付部4;該取付部4の内側に形成された、無端状の裂溝6を有する口壁5;該裂溝6の内側でかつ口壁5上に設けられた裂取部材7;前記外筒2の内側に形成された、前記口壁外周の凹状の係合部に係止する凸状の係止部8;該外筒2の一部に形成された摘み17を有する欠如部10;該欠如部10に接して上下方向に形成され、上方には前記係止部8を超えて延伸し、前記垂直方向の外筒2と水平方向の上壁2aの交叉する角部2bに亘って形成された弱化ライン11;から成るととを特徴とする容器の中蓋。
II.引用発明
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平4-27505号(特開平5-201458号)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には以下の点が記載されている。
a)「摘みにより注出口を開口するガラス容器中栓において、周壁にその下端から縦方向2箇所の切り込みを設け、この切り込みに沿って周壁の一部を切り裂き可能としたことを特徴とする中栓」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
b)「中栓はガラス容器に内容物を充填した後、機械的に強い力で上方から一挙に打栓されるが、これが回収に際しては、ガラス容器から分離することは人力では極めて困難であり、ガラス容器を破壊するか、中栓をナイフ等で切断するかしなければ分離できなかった。したがって、分別して回収することは不可能であり、リサイクルや資源として再利用されることは少なかった。」(【0003】【本発明が解決しようとする課題】)
c)「本発明は、摘みにより注出口を開口するガラス容器中栓において、ガラス容器から中栓を分離し得るものとするため、中栓周壁の一部に、機械打栓および容器の密封性を保持する範囲内で切り込みを設け、・・・容器および中栓の回収にあたって、両者を分別し得るごとく構成した中栓に係わるものであり、第1に、周壁にその下端から縦方向2箇所の切り込みを設け、この切り込みに沿って周壁の一部を切り裂き可能としたことを特徴とする中栓に係わり」(【0004】【課題を解決するための手段】)
d)「図1?図5は、本発明の中栓1に関する。中栓1の周壁2には外栓を螺着するための螺条3、4、5、6があり、注出口壁7に囲まれた中央部にリング状摘み8があり、これを引っ張ることにより注出口片9が切り取られ開口する。周壁2の正面下端には切欠10、11があり、これから上方に向かって周壁内側にそれぞれ切り込み12、13がある。切欠10、11から切り込み12、13に沿って周壁2を指で切り裂くことにより、中栓1は容易に図示しない容器口から離脱する。切り込みは、図3等に示すごとく、周壁の他部分より肉厚を薄く形成し、容易に切断できるようにしてある。」(【0006】【実施例】、【0007】、図1?5参照。)
III.対比・判断
本願請求項1に係る考案と先願明細書に記載された発明とを対比すると、両者は共に容器の中栓に関するものであり、後者の「中栓1」、「周壁2」、「注出口片9」、「リング状摘み8」、「切欠10、11」、「切り込み12、13」はそれぞれ前者の「本体1」、「外筒2」、「口壁5」、「裂取部材7」、「欠如部10」、「弱化ライン11」に相当する。そして、図1を参酌すると、後者には前者の「内筒」、「上壁」、「取付部」、「裂溝」、「係止部」、「摘み」に相当する構成部材が備わっていることが明らかであり、後者の「切り込み12、13」は前者の「凸状の係止部」に相当する部材を超えて上方に延伸していることも明らかであるから、両者は「容器の口部に装着する合成樹脂製の本体1;該本体1に垂直方向に形成された外筒2、内筒3、及び該両筒2、3の上端を水平方向に接続する上壁2aにより前記口部を挟持するように形成された取付部4;該取付部4の内側に形成された、無端状の裂溝6を有する口壁5;該裂溝6の内側でかつ口壁5上に設けられた裂取部材7;前記外筒2の内側に形成された、前記口壁外周の凹状の係合部に係止する凸状の係止部8;該外筒2の一部に形成された摘み17を有する欠如部10;該欠如部10に接して上下方向に形成され、上方には前記係止部8を超えて延伸し、形成された弱化ライン11;から成ることを特徴とする容器の中蓋。」で一致し、弱化ラインの上方が、前者では「垂直方向の外筒と水平方向の上壁の交叉する角部に亘って」形成されているのに対し、後者では切り込みが「中栓周壁の一部」に形成されていると記載されており、「交叉する角部に亘って」形成されているとの記載がない点で一応相違する。
以下、相違点について検討すると、先願明細書に記載された発明は容器と中栓の分別回収を可能にするために(先願明細書bの記載)、中栓周壁に切り込みを形成し、周壁の一部の切り裂きを容易にして中栓を分離除去可能とするもの(先願明細書cの記載)であって、本願考案と課題およびその解決手段を同じくするものである。そして、その切り込みは中栓周壁の下端部から上方に向かい、係止部を越えて少なくとも上端部の手前まで連続して形成されているのであり(図1?5参照)、また、切り裂き長さが長い程、中栓の除去が容易であることは技術常識でもあって、「交叉する角部に亘って」弱化ラインを設けても、それ以上の効果を奏するものではないから、上記相違点は課題解決のための具体的手段における微差にすぎないものである。
IV.むすび
したがって、本願請求項1に係る考案は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された上記特願平4-27505号の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明であると認められ、しかも、本願考案の考案者が上記先願発明の発明者と同一の者であるとも、この出願の時において、その出願人が上記出願の出願人と同一の者であるとも認められないので、実用新案法第3条の2第1項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-10-20 
結審通知日 1999-11-05 
審決日 1999-11-12 
出願番号 実願平4-68230 
審決分類 U 1 8・ 161- Z (B65D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 渡邊 豊英  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
考案の名称 容器の中蓋  
代理人 斎藤 秀守  
代理人 斎藤 侑  
代理人 伊藤 文彦  

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