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審決分類 審判 全部申し立て   F03G
審判 全部申し立て   F03G
審判 全部申し立て   F03G
管理番号 1009171
異議申立番号 異議1999-70817  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-03 
確定日 1999-08-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2579924号「ゼンマイ動力装置」の請求項1ないし4に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2579924号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を維持する。
理由 第1.手続の経緯
本件実用新案登録第2579924号は、平成3年9月5日に実用新案登録出願され、平成10年6月19日に設定登録がなされ、その後、請求項1?4に係る考案について登録異議の申立てがなされ、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月15日付けで願書に添付した明細書について訂正請求がなされたものである。
第2.訂正の要旨
上記訂正請求は、願書に添付した明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであるが、その要旨は次の▲1▼のとおりのものと認める。
▲1▼考案の詳細な説明の段落【0011】の「【考案の作用・効果】 以上のように、本考案においては、巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。この効果は、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持したとき特に顕著である。これは、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持すると、巻上用ピニオンとゼンマイ巻上軸とは、常に同方向に回転するため、互いに回転を助長する結果となるからである。」(実用新案登録公報第4欄第26?36行参照)を、
「【考案の作用・効果】
以上のように、本考案においては、巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。」と訂正する。
第3.訂正の適否
1.訂正の目的の適否、新規事項及び拡張・変更の存否
上記▲1▼の訂正は、不明瞭な効果の記載を単に削除して明瞭でない記載の釈明を行うものであり、願書に添付した明細書に記載されていない新規な技術事項を加えるものでもなく、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2.独立登録要件について
(1)上記訂正明細書の請求項1?4に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 巻上用ピニオンと、この巻上用ピニオンと噛合する歯車を持つゼンマイ巻上軸と、このゼンマイ巻上軸に設けられた大歯車と、この大歯車に常時噛合する駆動用ピニオンが設けられた駆動軸と、この駆動用ピニオンと一体に形成された平歯車とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオンは、一端部に軸受で支持される回転軸が設けられ、他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされているとともに、前記巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたことを特徴とするゼンマイ動力装置。
【請求項2】 前記巻上用ピニオン支持面は、その何れかの部分が前記巻上用ピニオンの小径端部に対向している少なくとも環状面であることを特徴とする請求項1のゼンマイ動力装置。
【請求項3】 前記支持部材が、前記巻上用ピニオンの歯車と前記大歯車との間に設けられた段部であることを特徴とする請求項1または2のゼンマイ動力装置。
【請求項4】 前記平歯車が、前記支持部材を兼ねていることを特徴とする請求項1または2のゼンマイ動力装置。」
(2)前記取消理由は、明細書の考案の詳細な説明の段落【0011】の「この効果は、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持したとき特に顕著である。これは、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持すると、巻上用ピニオンとゼンマイ巻上軸とは、常に同方向に回転するため、互いに回転を助長する結果となるからである。」との記載について、その理由が不明瞭であるから、明細書の記載が実用新案法第5条第4項に規定する要件を満たしていないとするものであるが、上記訂正請求によりこの記載が削除されたことにより、この取消理由は解消されたものと認める。
(3)登録異議申立人が引用した平成3年(ワ)第4056号実用新案権侵害差止等請求事件に係る判決文及び同別紙第6頁の別紙イ号物件図面(登録異議申立人が提出した甲第1号証、甲第1号証の1。以下、これらを「甲第1号証」という。)、実願昭58-114156号(実開昭60-21980号)のマイクロフィルム(登録異議申立人が提出した甲第2号証。以下、これを「甲第2号証」という。)、実開昭59-191456号公報(登録異議申立人が提出した甲第3号証。以下、これを「甲第3号証」という。)、実公平1-28309号公報(登録異議申立人が提出した甲第4号証。以下、これを「甲第4号証」という。)には、それぞれ、次のものが記載されているものと認める。
(i).甲第1号証
甲第1号証において「第二請求原因」中「五被告製品の構造」を記載した同号証第11頁第3行?第12頁第8行に、
「右の被告製品の構成を分説すると、
a 巻上用ピニオン5と、
b 同ピニオン5と歯合する歯車6とをもつゼンマイ巻上軸7と、
c 同ゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、
d 同大歯車8と常時歯合する駆動用ピニオン9と、
e 同駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20と
f を備えたゼンマイ動力装置において、
g 前記ゼンマイ巻上軸7の歯車6と大歯車8との間に歯車6より径の大きな段部10を形成し、
h この段部10と前記平歯車20とで前記巻上用ピニオン5の一端を支持する、(なお、段部10と平歯車20と巻上用ピニオン5の位置関係が動くため、『段部10』のみで『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合、『平歯車20』のみで『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合、『段部10』と『平歯車20』とで同時に『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合がある。)
i 中間仕切枠を省略した
j ゼンマイ動力装置。」
との記載があり、
また、別紙第4頁?第5頁のイ号物件の「物件目録」には、
「a 巻上用ピニオン5と、
b 同ピニオン5と噛合する歯車6をもつゼンマイ軸7と、
c 同ゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、
d 同大歯車8と常時噛合する駆動用ピニオン9と
e 同駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20と
f を備えたゼンマイ動力装置において、
g 前記ゼンマイ巻上軸7の歯車6と大歯車8との間に歯車6より大きな径の段部10を形成し、
h この段部10と前記平歯車20とで前記巻上用ピニオン5の一端を支持する、
段部10と平歯車20と巻上用ピニオン5の位置関係が動くため、
『段部10』のみで『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合、『平歯車20』のみで『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合、『段部10』と『平歯車20』とで同時に『巻上用ピニオン5の一端』が支持される場合がある、
i 中間の仕切枠を省略した
j ゼンマイ動力装置」
との記載があり、
さらに、別紙第4頁の「符号の説明」を参照して第6頁の「別紙イ号物件図面」の「第3図」をみると、
巻上用ピニオン5の一端の回転軸100が右の枠体12に形成された長穴軸受4に支持されている点、及び
巻上用ピニオン5は、回転軸100が形成されていない側の端部において、中心部分に凹部が形成されている点
が示されており、
判決の理由中被告製品の構成hについて記載した甲第1号証第35頁第8?9行には、
「右1によれば、被告製品の構成hは、『段部10のみで前記巻上用ピニオン5の一端を支持する』ものと認められる。」
との記載があるものと認める。
これら甲第1号証の記載から、「被告製品」は次の構成をもつものと認められる。
“巻上用ピニオン5と、同ピニオン5と噛合する歯車6とをもつゼンマイ巻上軸7と、同ゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、同大歯車8と常時噛合する駆動用ピニオン9と、同駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオン5は一端部に長穴軸受4で支持される回転軸100が設けられ、前記ゼンマイ巻上軸7の歯車6と大歯車8との間に歯車6より径の大きな段部10を形成し、この段部10のみで前記巻上用ピニオン5の他端部を支持し、中間仕切枠を省略したゼンマイ動力装置。”
(ii).甲第2号証
スリップ歯車1を支持する軸4の先端を尖形となし、該軸4をフレームの凹部により回転自在に支持する点
(iii).甲第3号証
フライホイール11の回転軸12の先端部を尖形先端とする点
(iv).甲第4号証
「巻上用ピニオン5と、同ピニオン5と歯合する歯車6ともつゼンマイ巻上軸7と、同ゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、同大歯車8と常時歯合する駆動用ピニオン9と、同駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20とを備えたゼンマイ動力装置に於いて、前記ゼンマイ巻上軸の歯車6と大歯車8との間に歯車6より径の大きな段部10を形成し、この段部10と前記駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20とで前記巻上用ピニオン5の一端を支持し、中間の仕切枠を省略したことを特徴とするゼンマイ動力装置。」(実用新案登録請求の範囲第1項)、「前記段部10と前記平歯車20の支持部に、リング状の凸部14,15を形成し、この凸部で前記巻上用ピニオン5を支持した実用新案登録請求の範囲第1項または第2項に記載のゼンマイ動力装置。」(実用新案登録請求の範囲第3項)、「ゼンマイ巻上軸の段部10と平歯車20とに接する巻上用ピニオン5の当接面中央には、円形の凹部23が形成され、またこの凹部と当接する前記段部10及び前記平歯車20の支持面にもそれぞれリング状凸部14,15が形成されている。これは歯車同士の接触面積を少なくし、歯車の回転に際して摩擦を少なくする為であるが、これは必ずしもこのようでなくてもよく、歯車が支障なく回転し得るなら他の手段によってもよい。」(第3欄第42行?第4欄第6行)との記載があるものと認める。これらの記載及び図面等を参照すると、甲第4号証には、
“巻上用ピニオン5と、同ピニオン5と歯合する歯車6ともつゼンマイ巻上軸7と、同ゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、同大歯車8と常時歯合する駆動用ピニオン9と、同1駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20とを備えたゼンマイ動力装置に於いて、前記巻上用ピニオン5は一端部に軸受4で支持される回転軸が設けられ、前記ゼンマイ巻上軸の歯車6と大歯車8との間に歯車6より径の大きな段部10を形成し、この段部10と前記駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車20とで前記巻上用ピニオン5の他端部を支持し、前記段部10と前記平歯車20の支持部に、リング状の凸部14,15を形成し、ゼンマイ巻上軸の段部10と平歯車20とに接する巻上用ピニオン5の当接面中央には、円形の凹部23を形成して、歯車同士の接触面積を少なくし、歯車の回転に際して摩擦を少なくするとともに、中間の仕切枠を省略したゼンマイ動力装置”
が記載されているものと認める。
(4)訂正明細書の請求項1に記載された考案と上記甲第1号証に記載された被告製品とを対比すると、
両者は、
「巻上用ピニオンと、この巻上用ピニオンと噛合する歯車を持つゼンマイ巻上軸と、このゼンマイ巻上軸に設けられた大歯車と、この大歯車に常時噛合する駆動用ピニオンが設けられた駆動軸と、この駆動用ピニオンと一体に形成された平歯車とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオンは、一端部に軸受で支持される回転軸が設けられ、該巻上用ピニオンの他端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたゼンマイ動力装置」
である点で一致するものの、
上記被告製品は、訂正明細書の請求項1に係る考案の構成に欠くことができない事項である
▲1▼「他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされている」点、
▲2▼「巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面」の点
を備えていない。
また、訂正明細書の請求項1に記載された考案と上記甲第4号証に記載されたものとを対比すると、
両者は、
「巻上用ピニオンと、この巻上用ピニオンと噛合する歯車を持つゼンマイ巻上軸と、このゼンマイ巻上軸に設けられた大歯車と、この大歯車に常時噛合する駆動用ピニオンが設けられた駆動軸と、この駆動用ピニオンと一体に形成された平歯車とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオンは、一端部に軸受で支持される回転軸が設けられ、該巻上用ピニオンの端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたゼンマイ動力装置」
である点で一致するものの、
上記甲第4号証に記載されたものは、訂正明細書の請求項1に係る考案の構成に欠くことができない事項である
▲1▼「他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされている」点、
▲2▼「巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面」の点
を備えていない。
そして、上記甲第2号証及び甲第3号証には、回転軸の先端を小径端部とすることは記載されているが、これらは、ゼンマイ動力装置の巻上用ピニオンに関するものではなく、また、「他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされているとともに、前記巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたこと」は記載されていない。
したがって、上記甲第1?4号証に記載されたものは、いずれも、訂正明細書の請求項1に係る考案の構成に欠くことができない事項である「他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされている」点及び「前記巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面」を備えていない。
そして、甲第1号証に記載された被告製品及び甲第4号証に記載されたものにおいては、いずれも、巻上用ピニオンは、回転軸が形成されていない側の端部において中心部分に凹部が形成されており、回転中心軸において支持されるものではなく、したがって、回転中心軸に対向して巻上用ピニオンの支持面が存在するものでもないから、甲第2,3号証に記載されるように回転軸の先端を小径端部とすることが本件出願前に周知の事項であるとしても、巻上用ピニオンを、「他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされている」構成とし、「小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する」構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得るものとすることはできない。
そして、訂正明細書の請求項1に係る考案は、「巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。」等の訂正明細書に記載された作用効果を期待できるものである。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記甲第1号証に記載された被告製品及び甲第2?4号証に記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。また、訂正明細書の請求項2?4に係る考案は、同請求項1に係る考案の構成に欠くことができない事項を悉く備えるものであるから、同請求項1に係る考案と同様の理由により、上記甲第1号証に記載された被告製品及び甲第2?4号証に記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
また、他に、同明細書の請求項1?4に係る考案が、本件実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由を発見しない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用する特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項の規定により準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第4.登録異議の申立てについて
1.登録異議申立人は、
▲1▼本件考案の作用効果として記載された「巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持すると、巻上用ピニオンとゼンマイ巻上軸とは、常に同方向に回転するため、互いに回転を助長する結果となるからである。」(実用新案公報第4欄第33?36行参照)との記載は、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸で支持したからといって常に同方向に回転するとは限らず、しかも、仮に同方向に回転したとしてもこれが互いの回転を助長する結果になるとは理解不能な記載であるとして、本件明細書の記載は実用新案法第5条第4項及び第5,6項に規定する要件を満たしていない、
▲2▼本件実用新案登録の請求項1?4に係る考案は、上記甲第1号証に記載された被告製品、甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである、旨主張する。
2.登録異議申立てについての判断
上記訂正により、登録異議申立人が主張する上記▲1▼の記載の不備は解消されたものと認められ、また、「第3.訂正の適否について」の「2.独立登録要件について」に記載したとおり、訂正明細書の請求項1?4に係る考案は、登録異議申立人が提出した上記甲第1号証に記載された被告製品、甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
3.むすび
以上のとおりであるから、登録異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件請求項1?4に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に、本件請求項1?4に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
ゼンマイ動力装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 巻上用ピニオンと、この巻上用ピニオンと噛合する歯車を持つゼンマイ巻上軸と、このゼンマイ巻上軸に設けられた大歯車と、この大歯車に常時噛合する駆動用ピニオンが設けられた駆動軸と、この駆動用ピニオンと一体に形成された平歯車とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオンは、一端部に軸受で支持される回転軸が設けられ、他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされているとともに、前記巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたことを特徴とするゼンマイ動力装置。
【請求項2】 前記巻上用ピニオン支持面は、その何れかの部分が前記巻上用ピニオンの小径端部に対向している少なくとも環状面であることを特徴とする請求項1のゼンマイ駆動装置。
【請求項3】 前記支持部材が、前記巻上用ピニオンの歯車と前記大歯車との間に設けられた段部であることを特徴とする請求項1または2のゼンマイ動力装置。
【請求項4】 前記平歯車が、前記支持部材を兼ねていることを特徴とする請求項1または2のゼンマイ動力装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ゼンマイ動力装置に関し、更に詳細には、走行玩具等に用いるゼンマイ動力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車輪を床面に接触させて走行体を後退させることによりゼンマイを巻き、その解弾力により走行させる玩具には、その動力源として、ゼンマイ動力装置が汎用されている。
【0003】
ところが、従来のこれらゼンマイ動力装置は、図6に示すように、車輪1に設けたピニオン2と、このピニオン2と噛合する平歯車3と、同平歯車3と常時噛合し長穴軸受4aにより移動自在に軸受される巻上用ピニオン5aと、同ピニオン5aと噛合する歯車8aをもつゼンマイ巻上軸7aと、同ゼンマイ巻上軸7aに設けられた大歯車8aと、同大歯車8aと常時噛合し、長穴軸受22aにより移動自在に軸受された駆動用ピニオン9aと、同駆動用ピニオン9aと一体に設けた平歯車20aと、これら歯車を軸受する左右の側枠体11a,12aと、その中間に挾持される仕切枠13とを備えてなるものが使用されていた。
【0004】
上記したように従来のゼンマイ動力装置は、仕切枠13を具備しているが、これは巻上用ピニオン5aの一端と、駆動用ピニオン9aの一端を軸受するためである。この仕切枠を省略出来れば、組み立てにも手数を要せず、またコストの低減をも計ることが出来るので望ましいこと明らかである。
【0005】
この仕切枠を省くには、前記巻上用ピニオン5aと、駆動用ピニオン9aとを、左右の側枠体11a,12aで軸受しなければならないが、これは、必然的に歯車同士がぶつかることになるので、不可能であった。
【0006】
この問題を解決するため、実公平1-28309号において、図7に示されているように、駆動用ピニオン9bを、左右の側枠体11b、12bで支持するとともに、ゼンマイ巻上軸7bの歯車6bと大歯車8bとの間に歯車6bより径の大きな段部10bを形成し、この段部10bと平歯車20bとで巻上用ピニオン5bの一端を支持し、中間の仕切枠を省略したゼンマイ動力装置が提案された。
【0007】
上記従来のゼンマイ動力装置によれば、中間の仕切枠を有効に省略することができるが、巻上用ピニオンが上記のように、段部10bと平歯車20bの両方で支持されているため、構成部材すなわち歯車等を比較的精度よく製作すると、摩擦力が大きくなり、回転トルクが大きく減少するという問題があった。また、上記実公平1-28305号においては、段部10bと平歯車20bの巻上用ピニオン支持面および巻上用ピニオン5bの一端面に突起や凹部を設けて摩擦力を低減する試みがなされているが、これであっても、最低にみても4点の接触があり、あまり摩擦力の低減を行うことができなかった。
【0008】
そこで、本考案は、巻上用ピニオンの支持摩擦力を従来のものに比べて極めて小さくすることのできる巻上用ピニオン支持構造を備えたゼンマイ動力装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案は、巻上用ピニオンと、この巻上用ピニオンと噛合する歯車を持つゼンマイ巻上軸と、このゼンマイ巻上軸に設けられた大歯車と、この大歯車に常時噛合する駆動用ピニオンが設けられた駆動軸と、この駆動用ピニオンと一体に形成された平歯車とを備えたゼンマイ動力装置において、前記巻上用ピニオンは、一端部に軸受で支持される回転軸が設けられ、他端部が少なくとも先端をその回転中心軸において本体の径より極めて小さくされた小径先端部とされ、全体として、マッシュルーム形あるいは独楽形にされているとともに、前記巻上用ピニオンの前記小径端部に対向して延在する巻上用ピニオン支持面を有する支持部材を前記ゼンマイ巻上軸もしくは駆動軸に直接もしくは間接的に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
前記巻上用ピニオン支持面は、その何れかの部分が前記巻上用ピニオンの小径端部に対向している少なくとも環状面であることが望ましい。前記支持部材は、前記巻上用ピニオンの歯車と前記大歯車との間に設けられた段部として構成することが望ましい。更に、前記平歯車が、前記支持部材を兼ねるように構成することもできる。
【0011】
【考案の作用・効果】
以上のように、本考案においては、巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。
【0012】
【実施例】以下、添付図面を参照しつつ、本考案の好ましい実施例によるゼンマイ駆動装置について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本考案の実施例1のゼンマイ駆動装置の水平断面図、図2は、図1の線II-IIに沿う縦断面図、図3は、図2の線III-IIIに沿う断面図である。
【0014】
本考案の実施例1のゼンマイ動力装置は、車輪1に設けたピニオン2と、このピニオン2に噛合する平歯車3と、この平歯車3と常時噛合し、一方の外側端部に設けられた回転軸が枠10に形成された長穴軸受4により移動自在に軸受される巻上用ピニオン5と、このピニオン5と噛合する歯車6をもつゼンマイ巻上軸7と、このゼンマイ巻上軸7に設けられた大歯車8と、枠11、12に形成された長穴軸受13、14により移動自在に軸受された駆動軸10に設けられ、上記大歯車8と常時噛合している駆動用ピニオン9と、この駆動用ピニオン9に一体に設けられた平歯車15とを備えている。上記平歯車3には、これと一体に形成され、ピニオン2と常時噛合するピニオン16が設けられている。上記ゼンマイ巻上軸7の歯車6と大歯車8との間には、歯車6より径の大きな段部20が形成されている。この段部10の巻上用ピニオン5側の端部には、フランジ21が設けられており、このフランジ21は、巻上用ピニオン5へ対向できる位置まで延びており、その巻上用ピニオン5側の面が巻上用ピニオン支持面22とされている。したがって、この段部20、フランジ21は、巻上用ピニオン支持部材を構成している。
【0015】
一方、上記巻上用ピニオン5は、その内側端部の径が徐々に細くされた小径端部23とされており、全体形状としてマッシュルームあるいは独楽の形状となっており、この小径端部23において上記段部20のフランジ21の巻上用ピニオン支持面22に回転自在に支持されている。本ゼンマイ動力装置においては、このように、巻上用ピニオン5が、その小径端部23において上記段部20のフランジ21の巻上用ピニオン支持面22に回転自在に支持されているので、その回転に対しての摩擦力が極めて低減され、ゼンマイの戻りにより発生する駆動トルクのロスが極めて低減される。
【0016】
なお、上記フランジ21は、段部20を設けることなく、ゼンマイ巻上軸7の歯車6と一体に形成してもよいし、あるいはゼンマイ巻上軸7から直接延びるように形成してもい。
【0017】
【作動】
つぎに、上記のように構成された本ゼンマイ動力装置の作動を説明する。
車軸1を走行と反対方向に駆動させることにより、平歯車3、巻上用ピニオン5を介して、ゼンマイ巻上軸7の歯車6を回転させ、ゼンマイを巻上る。この状態で、巻上用ピニオン5は、小径端部23において上記フランジ21の巻上用ピニオン支持面22で支持されているが、平歯車3の回転をゼンマイ巻上軸の歯車6に支障なく伝えているばかりでなく、巻上用ピニオン5とフランジ21の回転方向が同一方向であるので、回転をむしろ助長している。そして、ゼンマイが巻き上がると、ゼンマイの解ける力により、大歯車8は回転するが、この回転によって上記巻上用ピニオン5は長穴軸受4を移動して、フリーとなる。したがって、大歯車8を支持しているゼンマイ巻上軸7の回転が巻上用ピニオン5側に伝達されるようなことがない。上記大歯車8の回転は、上記駆動用ピニオン9、この駆動用ピニオン9と一体に設けた平歯車15、上記平歯車3と一体に設けたピニオン16を介して、ピニオン2に伝達され、その結果、車軸1を前進駆動方向に回転させる。この回転力の伝達機能自体は、従来のこの種装置と同じであるが、ゼンマイの力が大歯車8から車軸1に伝達される際の巻上用ピニオン5によるトルクロスが極めて低減されている。
【0018】
なお、フランジ21のサイズは、巻上用ピニオン5が上記のように長穴軸受4内を移動しても、該フランジ21から外れないような大きさに設定する必要がある。
【0019】
次に、図4を参照して、本考案の実施例2のゼンマイ動力装置について説明すると、このゼンマイ動力装置においては、上記実施例1の平歯車15と同じ作用を成すが、それより大きな径の平歯車30が設けられており、この平歯車30の巻上用ピニオン5側の面が、巻上用ピニオン支持面31とされている。また、この実施例においては、段部10が完全に不要となるので、それが省略されている。実施例2のゼンマイ動力装置は、これらの差異を除いては、実施例1と同様の構成を有しているので、これ以上の説明は省略する。
【0020】
以上説明した実施例においては、巻上用ピニオンをマッシュルームあるいは独楽状のものとして説明したが、先端の径が小さくなっているものであるならば、どのような構造のものであってもよく、例えば、図5に示したように、実施例1の小径端部23に相当する小径端部40がピン状のものであってもよい。
【0021】
いずれにせよ、小径端部23、40の小径先端は、巻上用ピニオン5の回転軸上に配されるようにする。
【0022】
以上のように、本考案においては、巻上用ピニオン5が、その回転軸状に配された小径端部で支持されるようになっているので、その回転にロスが無いとともに、他の部材の回転を阻害するようなことがなく、走行玩具等に用いて極めて良好な駆動力元となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の実施例1によるゼンマイ動力装置の水平断面図である。
【図2】
図1の線II-IIに沿う縦断面図である。
【図3】
図2の線1II-IIに沿う断面図である。
【図4】
本考案の実施例2によるゼンマイ動力装置の水平断面図である。
【図5】
ゼンマイ動力装置の巻上用ピニオンの変形例を示す平面図である。
【図6】
従来のゼンマイ動力装置の水平断面図である。
【図7】
他の従来のゼンマイ動力装置の水平断面図である。
【符号の説明】
1 車軸
5 巻上用ピニオン
6 歯車
7 ゼンマイ巻上軸
8 大歯車
15 平歯車
20 段部
21 フランジ
22 巻上用ピニオン支持面
23 小径端部
訂正の要旨 ▲1▼考案の詳細な説明の段落【0011】の「【考案の作用・効果】 以上のように、本考案においては、巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。この効果は、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持したとき特に顕著である。これは、巻上用ピニオンをゼンマイ巻上軸側で支持すると、巻上用ピニオンとゼンマイ巻上軸とは、常に同方向に回転するため、互いに回転を助長する結果となるからである。」(実用新案登録公報第4欄第26?36行参照)を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「【考案の作用・効果】
以上のように、本考案においては、巻上用ピニオンを小径端部において1つの部材で、かつ1点で支持することができるので、その支持のための摩擦力が極めて減少し、ゼンマイの駆動力のロスが極めて小さくなり、自動車玩具に設置した場合、従来のものに比べて、格段の走行能力を得ることができるようになる。」と訂正する。
異議決定日 1999-07-30 
出願番号 実願平3-79411 
審決分類 U 1 651・ 534- YA (F03G)
U 1 651・ 121- YA (F03G)
U 1 651・ 531- YA (F03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金澤 俊郎  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 山口 直
清田 榮章
登録日 1998-06-19 
登録番号 実用登録第2579924号(U2579924) 
権利者 ギアテック株式会社
東京都台東区台東2丁目6番6号
考案の名称 ゼンマイ動力装置  
代理人 武田 正彦  
代理人 武田 正彦  
代理人 川崎 仁  
代理人 村瀬 一美  
代理人 川崎 仁  
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