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審決分類 審判 全部申し立て   A01K
管理番号 1009196
異議申立番号 異議1998-75103  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-14 
確定日 1999-11-24 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2569098号「中通し釣竿」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2569098号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 I.手続の経緯
本件登録第2569098号実用新案は、平成5年6月30日に出願された実願平5-41159号の出願の一部を平成9年3月5日に分割して実願平9-1899号としたものであり、平成10年1月23日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人株式会社シマノ及び同申立人堀邦義より実用新案登録異議の申立てがなされ、平成11年5月17日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内に意見書が提出されたものである。
II.本件考案
本件の請求項1及び請求項2に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】釣糸導入部を有する大径竿管に直接に継ぎ合わせられる第1小径竿管が該大径竿管に収納される場合に、釣糸導入部の後方領域にまで収納でき、この収納状態における釣糸導入部から後方領域において、大径竿管内周面と前記第1小径竿管の外周面との間に釣糸の挿通可能な空間を有しており、前記収納状態において、前記第1小径竿管先端部が前記大径竿管よりも突出していることを特徴とする中通し釣竿。」(以下、これを「本件考案1」という)
「【請求項2】各竿管の中で穂先竿の先端部が最も突出している請求項1記載の中通し釣竿。」(以下、これを「本件考案2」という)
III.引用刊行物記載の考案
▲1▼第1引用刊行物
先の取消理由に引用した、この出願前に頒布された刊行物である実願平2-1569号(実開平3-92968号)のマイクロフイルム(以下、これを「刊行物1」という)には、下記の事項が記載されている。
「振出し式中通し竿において、各々の仕舞い竿管先端部分の外周上に凸部材2を装着することにより該仕舞い竿管の外側の仕舞い竿管もしくは元竿7に該仕舞い竿管の外側が陥没しないようにし、かつ竿を仕舞った状態で全ての仕舞い竿管が元竿の釣糸挿入口より先端部で止まる元竿とすることを特徴とする振出し式中通し竿。」(実用新案登録請求の範囲)、
「第1図のように各々の仕舞い竿管先端部分の外周上に凸部材2を装着することにより該仕舞い竿管の外側の仕舞い竿管もしくは元竿に該仕舞い竿管が陥没しないようにし、また竿を仕舞った状態で常に広い釣糸用プール3を確保するために、元竿上の釣糸挿入口4を仕舞い竿管後端と尻栓5の間に設け、かつ元竿7を仕舞い竿より20cm以上長くし、更に握り手部分の直径を大きくした。」(2頁19行?3頁6行)、
「本実施例によればリング状凸部材2により常に広い釣糸プール3が確保され仕舞い竿の出し入れの順を考える必要もなく慣れない人でもトラブルなしに容易に扱うことが出来る。特に釣り竿を仕舞う時も、広い釣糸プール3があるため釣糸のトラブルがなくなり容易で早い。」(3頁16行?4頁1行)。
また、第1図には一実施例が示されており、元竿7内に仕舞い竿管6a,6b,6cが順次収納され、いずれの仕舞い竿管6a,6b,6cもその先端部分の外周上に装着された凸部材2により、該仕舞い竿管の外側の仕舞い竿管もしくは元竿に該仕舞い竿管が陥没しないように収納されていて、仕舞い竿管6aの先端部が元竿7の先端部よりも前方に突出し、かつ、各仕舞い竿管の中で仕舞い竿管6cの先端部が最も前方に突出している状態が示されている。
そうしてみると、これらの記載から刊行物1には、釣糸挿入口4を有する元竿7に直接に継ぎ合わせられる仕舞い竿管6aが該元竿7に収納された状態において、前記仕舞い竿管6a先端部が前記元竿7よりも突出していて、各仕舞い竿管6a、6b、6cの中で仕舞い竿管6cの先端部が最も突出している中通し釣竿、が記載されているということができる。
▲2▼第2引用刊行物
同じく先の取消理由に引用した、この出願前に頒布された刊行物である仏国特許出願公開第2539582号明細書(以下、これを「刊行物2」という)には、内部糸を有するリール付き伸縮式釣竿について記載されており、具体的には以下の事項が記載されている。
「このようにして、釣竿が組み立てられたとき、すなわち釣竿の各部分を互いに引き延ばして入れ子式にはめ込んだとき、リールからの糸は該開口部を通り、次に釣竿の穂先の方向にある該継ぎ口を軸方向に通過する。この位置から、該釣竿部分を互いに釣竿の握りの方に滑らせて釣竿を縮ませると、釣竿の内部の糸は、二つのリブの間にある、該継ぎ口の丸みを帯びた周辺縁にかかり、該周辺縁から釣竿の握りの方に引っ張られる。周辺縁の形は丸くなっているので、糸は劣化しない。さらに、該リブがあるために隣接する竿部分が曲がってはまらないので、糸が押されて、場合によっては隣接する竿部分の外壁と、開口部を含む竿部分の内壁との間で劣化することがない。」(翻訳文3頁14?21行)、
「竿部分4の上部は、たとえば折り畳み式のガイド17を含み、該ガイド17とキャップ12の間にある縦長ガイド18は竿4の壁にある縦方向の隙間19の範囲を定めることができる。……このようにして、リール15からの糸31は、ガイド17と縦方向の隙間19を通った後で、連続する閉塞物20-24およびガイド30を通り、すなわち竿部分5-8及び穂先9を通り、該穂先9の先端で、スリーブ形の口32から出る(図1、3参照)。」(翻訳文5頁4?12行)、
「糸はその時、竿5の外壁と竿4の内壁の間の入るがリブ37により切れる恐れなく、縦長ガイド18の後端18aの周囲で折れながら釣竿の握り2の方に引かれる。閉塞物20が栓10にあたると、リブ37は糸31が通るに十分な通路を開ける。」(翻訳文5頁27?29行)、
「閉塞物20は、したがって糸31を半径方向および縦方向(軸方向)に保護する。その上、異なる竿5-8および穂先9が互いにはめ込まれても、糸が切れたり劣化する恐れはない。何故なら糸は線状に入り、閉塞物21-24が糸を中央に保つからである。さらに確実に糸31のあらゆる劣化を避けるために、スカート38の壁39の反対側の端に、該複数の竿の底のはめ込みの止めとなる幅広い縁が備えられている。」(翻訳文6頁2?6行)。
また、第6図には、振出式に継ぎ合わせた竿部分5、6、7が竿4の縦長ガイド18の後方にまで収納され、この収納状態における縦長ガイド18から後方領域において、竿4内周面と竿部分5の外周面との間に糸31の挿通可能な空間が形成されていることが示されている。
IV.対比・判断
(1)本件考案1について
本件考案1と刊行物1記載の考案とを比較すると、刊行物1記載の考案の「釣糸挿入口4」「元竿7」及び「仕舞い竿管6a」が、本件考案1の「釣糸導入部」「大径竿管」及び「第1小径竿管」に相当しているから、両者は、釣糸導入部を有する大径竿管に直接に継ぎ合わせられる第1小径竿管が該大径竿管に収納される状態において、前記第1小径竿管先端部が前記大径竿管よりも突出している中通し釣竿の点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点:本件考案1では、「第1小径竿管が該大径竿管に収納される場合に、釣糸導入部の後方領域にまで収納でき、この収納状態における釣糸導入部から後方領域において、大径竿管内周面と前記第1径竿管の外周面との間に釣糸の挿通可能な空間を有して」いるのに対し、刊行物1記載の考案では、仕舞い竿管6aが該元竿7に収納される場合に、釣糸挿入口4の前方領域にまでしか収納されない点。
つぎに、上記相違点について検討する。
前記した「III.▲2▼第2引用刊行物」の項における記載からみて、刊行物2には、竿4(本件考案1の「大径竿管」に相当する)の縦長ガイド18(本件考案1の「釣糸導入部」に相当する)から後方領域において、竿4内周面と竿部分5(本件考案1の「第1小径竿管」に相当する)の外周面との間に糸31の挿通可能な空間を形成し、竿部分5を竿4の縦長ガイド18の後方領域にまで収納できるようにする技術思想が開示されている。
そうすると、刊行物1記載の考案において、元竿7の釣糸挿入口4から後方領域を利用する等のために、刊行物2記載の技術を適用し、元竿7の釣糸挿入口4から後方領域における元竿7内周面と仕舞い竿管6aの外周面との間に釣糸1の挿通可能な空間を形成し、仕舞い竿管6aを元竿7の釣糸挿入口4の後方領域にまで収納できるようにして、本件考案1のように構成することは、当業者であればきわめて容易に想到できることである。
そして、本件考案1の奏する効果は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された考案から予測できる範囲であって格別のものではない。
したがって、本件考案1は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(2)本件考案2について
本件考案2の「各竿管の中で穂先竿の先端部が最も突出している」構成は、刊行物1に記載されているので、本件考案2は、上記「(1)本件考案1について」に記載した理由により、上記刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
V.むすび
以上のとおり、本件考案1及び本件考案2は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案1及び本件考案2は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案1及び本件考案2についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基く、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-09-30 
出願番号 実願平9-1899 
審決分類 U 1 651・ 121- Z (A01K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 木原 裕
佐藤 昭喜
登録日 1998-01-23 
登録番号 実用登録第2569098号(U2569098) 
権利者 ダイワ精工株式会社
東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
考案の名称 中通し釣竿  
代理人 小林 茂雄  
代理人 越智 俊郎  
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