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審決分類 審判 全部申し立て   B60H
管理番号 1009211
異議申立番号 異議1998-71488  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-03-23 
確定日 1999-12-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2549032号「自動車用脱臭器付き冷房装置」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2549032号の実用新案登録を維持する。
理由 (1)手続きの経緯
本件登録実用新案第2549032号は、平成3年10月4日に出願されたもので、平成9年5月30日に設定登録がなされ、その後、異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、指定期間内である平成10年9月10日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由が通知され、指定期間内である平成11年1月7日に訂正請求に対する手続補正がされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア、訂正請求に対する補正の適否について
訂正請求に対する補正は訂正明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1の記載を
「ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインテークドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバボレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバボレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置。」に補正し、併せて、考案の詳細な説明【0005】【0006】【0018】段の記載を補正するものである。
この補正は、請求項1に係る考案を更に限定するものであり、それに伴う考案の詳細な説明の補正であり、訂正の要旨を変更するものではない。
イ、訂正の適否についての判断
i)前記補正された訂正請求は、実用新案登録請求の範囲の減縮と、それに伴う不明瞭な記載の釈明に該当するものである。
ii)前記補正された訂正は願書に最初に添付した明細書【0013】【0014】【0015】【0016】及び同図面図1に記載されていたものである。
iii)前記補正された訂正は実質的に登録された考案を拡張または変更するものではない。
iv)取消理由に引用された刊行物とその記載事項
刊行物1 特開平1-234729号公報
刊行物2 実願昭55-110661号(実開昭57-33513号)のマイクロフィルム
刊行物1には、「空気調和機内に配置され、部屋内で生ずる臭気を除去する、脱臭装置付空気調和機において、前記臭気成分を吸着する吸着剤と、該吸着剤の表面形成され、光により励起されて前記吸着剤に吸着された臭気成分を分解する光触媒層と、該光触媒を励起させる光源を空気調和機に配設させたことを特徴とする空気調和機」(1頁左欄下5行?11行)、「本発明の目的は空気調和中の室内に循環する空気の脱臭、防菌をすることにある」(右下欄11行?12行)、「紫外線の照射は連続照射でも、あるいは間欠照射でも何れを用いてもよく、照射手段としては空気調和機内蔵のタイマを使用したり、除霜運転と同期したり各種の運転モードが考えられる」(3頁左上欄2行?5行)と記載されていて、空気の入口と出口を有するケースに相当する室内ユニット1と空気通路内にある熱交換器2と、光触媒5との間に、光触媒励起光源である紫外線ランプ6を配置した点、空気吸入口から吹出口に向かって送風する送風機3が室内ユニットの中にある点が図示されている。
刊行物2には、「ブロワモータ1にて内気取入口2、外気取入口3より内・外気を取入れ、エバポレータ4を通過させて冷気とし」(1頁10行?12行)、「従来の吸臭、脱臭手段に代えて殺菌灯を使用し、この殺菌灯をエバポレータに付設することによってバクテリア等の雑菌を殺菌することで臭気の根本的な除去を意図している。即ち、この考案は具体的には上記の目的の下で、エバポレータの近傍に殺菌灯を設けた自動車用空気調和装置を提供せんとするものである」(2頁19行?3頁6行)、「殺菌灯をエバポレータの上流側に設けたが、下流側に設けてもよく」(4頁15行?16行)と記載されていて、クーリングケース11、ブロワー1、殺菌灯12、エバポレータ4、内気取入口2、外気取入口3、回転自在のインテークドアが図示されている。
本件補正された訂正請求の請求項1に係る考案と各刊行物記載の事項とを対比すると、前記各刊行物には、補正された訂正請求の請求項1に係る考案である
「室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバボレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射する自動車用脱臭器付き冷房装置」
は記載されておらずまた示唆もされていない。そして、請求項1に係る考案はこの点において、明細書に記載された効果を奏するものである。
したがって、補正された訂正請求の請求項1に係る考案は、前記各刊行物に記載されたことに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは言えなくなったので、補正された訂正明細書に記載された請求項1に係る考案は、独立して実用新案登録を受けることができるものである。
ウ 以上のとおりであるから、この訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項により準用する特許法第120条の4第2項、及び第3項においてさらに準用する同法第126条第2項乃至第4項の規定に適合するので、この訂正を認める。
(3)実用新案登録異議の申立てについて
登録異議申立人は前記刊行物1、刊行物2、及び甲第3号証として特開昭59-230815号公報(以下刊行物3という)を引用して、本件登録実用新案請求項1に係る考案が前記各刊行物に記載された事項からきわめて容易に考案ができる旨主張している。
刊行物3には「太陽電池と、エバポレータの近傍に配置された殺菌灯と、前記エバポレータに空気を送る送風機と、該送風機及び前記殺菌灯に前記太陽電池からの電力を供給する電力供給手段とを具備することを特徴とする自動車用空調装置」(1頁左欄9行?13行)、「前記エバポレータ11の近傍には、空調ケース4に固定された殺菌灯13が配置されており、該殺菌灯13は、内部に低圧水銀が封入され、紫外線を発する等の公知のものである」(2頁右上欄8行?11行)と記載されている。
しかしながら、前記したように請求項1に係る考案が訂正され、前記したように刊行物1と刊行物2に記載された事項から、請求項1に係る考案がきわめて容易に考案することができたものとは言えなくなったし、又刊行物1乃至刊行物3に記載された事項から、請求項1に係る考案がきわめて容易に考案をすることができるものとも言えない。
したがって、登録異議申立人の主張は採用できない。
また、他に前記請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
(4)よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
自動車用脱臭器付き冷房装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインテークドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、自動車室内の空気から異臭を除去すると共に脱臭した空気の温度を補助的に調節するようにした自動車用脱臭器付き冷房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車室内には、煙草の煙や粉塵等の微粒子が浮遊しており、このような微粒子は乗員に不快感を与えることが少なくないため、近年の自動車用空気調和装置には空気清浄フィルタが取り付けられたもの(実開昭50-59,750号公報)、実開昭63-43,930号公報)や、静電気を利用して微粒子を除去し空気を清浄化する空気清浄器を備えたもの(実開昭62-90,818号公報)がある。
【0003】
この種の空気清浄器は、図3に示すように、上下ケース2,3からなるケース本体4を有し、上ケース2の側面には車室内空気を吸入する吸入口5と、上面には清浄化した空気を車室内に吐出する吹出口6とが形成されている。ケース本体4内には吸入口5と吹出口6との間に空気通路7が形成され、この空気通路7内にモータ8により駆動する多翼型遠心ファン9が設けられている。そして、この多翼型遠心ファン9によって吸入口5から導入された空気は空気通路7に導かれた後に吹出口6から吐き出されるようになっている。また、空気通路7内には、吸入した空気を清浄化するための静電フィルタ10と活性炭フィルタ11とが内蔵されている。この静電フィルタ10は、吸入口5に近接した位置に設けられており、微粒子をコロナ放電で負電圧に帯電させ、この帯電した微粒子を電気的に吸着することによって集塵するものである。一方、活性炭フィルタ11は、静電フィルタ10の下流側に設けられており、活性炭による吸着作用により吸入空気に含有された臭気を除去するものである。さらに、ケース本体4内にはモータ8の駆動電力および静電フィルタ10のコロナ放電用電力を供給するアンプ12が組み込まれており、このアンプ12は、上ケース2の上部に設けたスイッチ13に接続されて、このスイッチ13で空気清浄器のON/OFF操作や空気量の強弱の調整等を行っている。このような空気清浄器は車室内のりヤパッケージトレイ上などに設置されている。なお、図中符号「15」は、吹出口6の近傍に取り付けられた陰イオン発生器を示している。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、空気清浄器は季節を問わず1年を通して使用されるものであることから、除湿機能を有している(実開昭62-90,818号公報)だけでは不十分である。また、冷房・除湿を行う場合に用いられるエバポレータは、異臭の原因となるため、この対策も必要となる。
本考案は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、脱臭機能および冷房機能を備え、脱臭効率が高く、しかも耐久性に富んだ脱臭器付き冷房装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本考案は、ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインテークドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置である。
【0006】
【作用】
このように構成した本考案にあっては、車室内の臭気レベルが一定値以上であり、かつ、エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合には、インテークドア(23)を内気モードに設定する。つぎに、紫外線ランプ(29)を照射して送風機(25)を作動させる。この紫外線が光励起触媒フィルタ(27)に照射されることにより励起して活性酸素が発生する。この活性酸素が、内気吸入口(22)から導入された室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解する。また、これと同時に紫外線はエバポレータ(26)にも照射されることから、エバポレータに付着したビールスやバクテリアを殺菌する。これにより、エバポレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、こうして異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタ(27)による脱臭がきわめて効果的に行われる。その結果、吹出口(24)からは無臭の調和空気を室内に供給することになる。
【0007】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本考案の一実施例を示す模式図、図2は同実施例の制御を説明するフローチャートである。
【0008】
まず、本実施例に係る脱臭器付き冷房装置のケース20には、車室外空気を導入する外気吸入口21と、車室内空気を導入する内気吸入口22とが開設されており、これら外気吸入口21と内気吸入口22とを選択的に開閉するインテークドア23がケース20に回動自在に取り付けられている。このインテークドア23の回動軸にはリンク等を介してアクチュエータ30が連結されており、PBRなどによりインテークドア23の回動位置を検出して制御手段31に出力すると共に、制御手段31からの指令信号に基づいてインテークドア23を所定の角度だけ回動させるように結線されている。また、インテークドア23の回動位置によって吸入モードが決定されるが、この吸入モードは、外気吸入口21を全閉する内気モードと内気吸入口22を全閉する外気モードの2種類であっても、また、これに加えて外気吸入口21と内気吸入口22とをそれぞれ半開する内外気モードの3種類の設定であっても良い。
【0009】
この外気吸入口21および内気吸入口22の下流側には、これら吸入口21,22から導入した空気を下流側に送風するための送風機25が設けられている。送風機25はファン32と、当該ファン32を所定の回転数で回転させるモータ33とからなり、制御手段31からの指令信号によってモータ33の作動/停止、および作動時におけるモータの回転数が決定するように結線されている。
【0010】
送風機25の下流側には、冷房サイクルの冷媒が循環するエバポレータ26が内設されており、送風機25によって流下した空気がこのエバポレータ26を通過する際に冷媒と熱交換を行うことにより所定の温度に冷却される。エバポレータ26への冷媒の循環は車室内に設けられたコントローラのエアコンスイッチのON/OFFによって行われ、エアコンスイッチがONしたときは図示しないコンプレッサのマグネットクラッチをONすることによりエバポレータ26に冷媒が循環する一方で、エアコンスイッチをOFFしたときはマグネットクラッチをOFFしてエバポレータ26への冷媒の循環を停止する。なお、冷房サイクルは、冷媒を断熱圧縮して高温高圧のガス冷媒としてこれを循環させるコンプレッサと、この圧縮冷媒を凝縮するコンデンサと、この凝縮により液化した液体冷媒の一部を貯溜するためのリキッドタンクと、この高圧液体冷媒を断熱膨張せしめて低温低圧の液体冷媒とする膨張弁と、上述したエバポレータ26とから構成される。 エバポレータ26の下流側の空気通路28には、長波長光の照射により励起して活性酸素を発生する光励起触媒からなる光励起触媒フィルタ27が設けられている。この光励起触媒フィルタ27は、エバポレータ26との間に設けられた紫外線ランプ29の照射によって励起し活性酸素を発生し、この活性酸素が異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解する。
【0011】
本実施例に係る紫外線ランプ29は、エバポレータ26と光励起触媒フィルタ27との間の空気通路28に設けられ、エバポレータ26および光励起触媒フィルタ27の両面に長波長光である紫外線を照射するようになっている。光励起触媒フィルタ27への紫外線の照射は上述したように異臭物質を酸化分解するという脱臭効果を有しているが、一方、エバポレータ26に紫外線を照射するとエバポレータに発生したビールスやバクテリアなどを殺菌することができる。
【0012】
光励起触媒フィルタ27の下流側には、取り入れ空気中に含まれるオゾンを除去するための金属触媒からなる金属触媒フィルタ34が設けられている。これは、オゾンは臭気があり、毒作用が強く、濃度が高いと呼吸器を侵し、また微量であっても長持間吸入すると極めて有毒だからであるが、本考案の脱臭器付き冷房装置は省略することもできる。
【0013】
「35」は温度センサであって、エバポレータ26の表面温度を検出して制御手段31に測定データを出力するように結線されている。また、「36」は臭いセンサであって室内空気の臭気レベルを測定し、この測定データを制御手段31に出力するように結線されている。なお、「37」はファンスイッチである。
【0014】
次に図2を参照しながら作用を説明する。
臭いセンサ36により検出された臭気レベルが一定値X以上であり、かつ、温度センサ35により検出されたエバポレータ26の表面温度が、15?50℃である場合には、インテークドア23のアクチュエータ30に取り付けられたPBRによってインテークドア23の回動位置を確認し内気モードに設定する(ステップ1?4)。エバポレータ26の温度を15℃以上とするのは、低温の場合には比較的異臭を感じ難く、しかも低温では紫外線ランプを照射しても脱臭効率が低いからである。
【0015】
つぎに、紫外線ランプ29を照射して送風機25を作動させる(ステップ5?6)。この紫外線が光励起触媒フィルタ27に照射されることにより励起して活性酸素が発生する。この活性酸素が、内気吸入口22から導入された室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解する。また、これと同時に紫外線はエバポレータ26にも照射されることから、エバポレータ26に付着したビールスやバクテリアを殺菌する。これにより、エバポレータ26から発生する異臭の元をも事前に除去することができ、こうして異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタ(27)による脱臭がきわめて効果的に行われる。その結果、吹出口24からは無臭の調和空気を室内に供給することになる。また、この光励起触媒フィルタ27を通過した空気は金属触媒フィルタ34を通過する際に、当該空気中に含まれるオゾンが除去され、さらに清浄な空気となって室内に供給される。
【0016】
このようにして室内空気中の異臭を除去しつつ所定の温度に冷却しながら臭気レベルが一定値X以下になり、かつエバポレータ26の表面温度が15℃未満あるいは50℃より高くなると、紫外線ランプ29の照射を停止すると共に送風機25を停止してインテークドア23を外気モードに設定して本実施例の制御を終了する(ステップ7?11)。
【0017】
このように本実施例の脱臭器付き冷房装置によれば、室内空気の脱臭と同時に冷房に使用されるエバポレータの殺菌をも行ない、その結果、異臭を発生する原因がなくなるから、無臭で、しかも所定の温度に冷却された空気を室内に供給することができる。
【0018】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、ケースに室外空気を取り入れる外気吸入口と室内空気を取り入れる内気吸入口とを開設すると共に、これら外気吸入口と内気吸入口とを選択的に開閉するインテークドアを回動自在に設け、外気吸入口あるいは内気吸入口から導入した空気をケースに開設した吹出口に向かって送風する送風機をケースに設け、取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータと、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタとをケース内の空気通路に設け、エバポレータと光励起触媒フィルタとの間に紫外線ランプを設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサとエバポレータの表面温度を検出する温度センサとを設置し、前記臭いセンサにより検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサにより検出されたエバポレータの表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口をインテークドアにより全閉して内気吸入口から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプにより紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータに向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタに向けて照射するようにしたので、室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解して脱臭するだけでなく、エバポレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、すなわち異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタによる脱臭をきわめて効果的に行うことが可能となる。このように室内空気の脱臭と同時に冷房に使用されるエバポレータの殺菌をも行ない、その結果、異臭を発生する原因がなくなるから、無臭で、しかも所定の温度に冷却された空気を室内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本考案の一実施例を示す模式図である。
【図2】は同実施例の制御を説明するフローチャートである。
【図3】は従来の空気清浄器を示す断面図である。
【符号の説明】
20…ケース、 21…外気吸入口、
22…内気吸入口、 23…インテークドア、
24…吹出口、 25…送風機、
26…エバポレータ、 27…光励起触媒フィルタ、
28…空気通路、 29…紫外線ランプ
訂正の要旨 本件訂正請求の要旨は、登録実用新案第2549032号の明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正しようとするもので、その訂正の内容は下記(1)?(4)のとおりである。
(1)実用新案登録請求の範囲の
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインデータドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、当該紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置。」
の記載を、
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインデータドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置。」
と訂正する。
(2).明細書の段落【0005】の
「【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本考案は、ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインテークドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、当該紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置である。」
の記載を、
「【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本考案は、ケース(20)に室外空気を取り入れる外気吸入口(21)と室内空気を取り入れる内気吸入口(22)とを開設すると共に、これら外気吸入口(21)と内気吸入口(22)とを選択的に開閉するインテークドア(23)を回動自在に設け、外気吸入口(21)あるいは内気吸入口(22)から導入した空気をケース(20)に開設した吹出口(24)に向かって送風する送風機(25)をケース(20)に設け、前記取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータ(26)と、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタ(27)とをケース(20)内の空気通路(28)に設け、前記エバポレータ(26)と光励起触媒フィルタ(27)との間に紫外線ランプ(29)を設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサ(36)と前記エバポレータ(26)の表面温度を検出する温度センサ(35)とを設置し、前記臭いセンサ(36)により検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサ(35)により検出された前記エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口(21)をインテークドア(23)により全閉して内気吸入口(22)から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプ(29)により紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータ(26)に向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタ(27)に向けて照射することを特徴とする自動車用脱臭器付き冷房装置。」
と訂正する。
(3)明細書段落【0006】の
「【0006】
【作用】このように構成した本考案にあっては、車室内の臭気レベルが一定値以上であり、かつ、エバポレータ(26)の表面温度が所定温度域内である場合には、インテークドア(23)を内気モードに設定する。エバポレータの温度を所定温度域内とするのは、低温の場合には比較的異臭を感じ難く、しかも低温では紫外線ランプを照射しての脱臭効率が低いからである。次に、紫外線ランプ(29)を照射して送風機(25)を作動させる。この紫外線が光励起触媒フィルタ(27)に照射されることにより励起して活性酸素が発生する。この活性酸素が、内気吸入口(22)から導入された室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解する。また、これと同時に紫外線はエバポレータ(26)にも照射されることから、エバボレータに付着したビールスやバクテリアを殺菌する。これにより、エバポレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、こうして異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタ(27)による脱臭がきわめて効果的に行われる。その結果、吹出口(24)からは無臭の調和空気を室内に供給することになる。」
の記載を、
「【0006】
【作用】このように様成した本考案にあっては、車室内の臭気レベルが一定値以上であり、かつ、エバポレータ(26)の表面温度が15?50℃である場合には、インテークドア(23)を内気モードに設定する。つぎに、紫外線ランプ(29)を照射して送風機(25)を作動させる。この紫外線が光励起触媒フィルタ(27)に照射されることにより励起して活性酸素が発生する。この活性酸素が、内気吸入口(22)から導入された室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解する。また、これと同時に紫外線はエバポレータ(26)にも照射されることから、エバボレータに付着したビールスやバクテリアを殺菌する。これにより、エバボレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、こうして異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタ(27)による脱臭がきわめて効果的に行われる。その結果、吹出口(24)からは無臭の調和空気を室内に供給することになる。」
と訂正する。
(4)明細書段落【0018】
「【0018】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、ケースに室外空気を取り入れる外気吸入口と室内空気を取り入れる内気吸入口とを開設すると共に、これら外気吸入口と内気吸入口とを選択的に開閉するインテークドアを回動自在に設け、外気吸入口あるいは内気吸入口から導入した空気をケースに開設した吹出口に向かって送風する送風機をケースに設け、取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータと、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタとをケース内の空気通路に設け、エバポレータと光励起触媒フィルタとの間に紫外線ランプを設け、当該紫外線ランプにより紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータに向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタに向けて照射するようにしたので、室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解して脱臭するだけでなく、エバポレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、すなわち異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタによる脱臭をきわめて効果的に行うことが可能となる。このように室内空気の脱臭と同時に冷房に使用されるエバポレータの殺菌をも行ない、その結果、異臭を発生する原因がなくなるから、無臭で、しかも所定の温度に冷却された空気を室内に供給することができる。」
の記載を、
「【0018】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、ケースに室外空気を取り入れる外気吸入口と室内空気を取り入れる内気吸入口とを開設すると共に、これら外気吸入口と内気吸入口とを選択的に開閉するインテークドアを回動自在に設け、外気吸入口あるいは内気吸入口から導入した空気をケースに開設した吹出口に向かって送風する送風機をケースに設け、取り入れ空気を所定温度に冷却するエバポレータと、長波長光により励起して活性酸素を発生する光励起触媒フィルタとをケース内の空気通路に設け、エバポレータと光励起触媒フィルタとの間に紫外線ランプを設け、室内空気の臭気レベルを検出する臭いセンサとエバポレータの表面温度を検出する温度センサとを設置し、前記臭いセンサにより検出された臭気レベルが一定値以上であり、かつ、前記温度センサにより検出されたエバポレータの表面温度が15?50℃である場合に、外気吸入口をインテークドアにより全閉して内気吸入口から室内空気を導入する内気モードに設定した上で、前記紫外線ランプにより紫外線を空気の流れの下流側からエバポレータに向けて照射しつつ同時に光励起触媒フィルタに向けて照射するようにしたので、室内空気に含まれた異臭を放つ物質を臭うことがなくなる極低濃度の被酸化性化合物まで酸化分解して脱臭するだけでなく、エバポレータから発生する異臭の元をも事前に除去することができ、すなわち異臭の元を少なくした上で、残存する異臭に対して光励起触媒フィルタによる脱臭をきわめて効果的に行うことが可能となる。このように室内空気の脱臭と同時に冷房に使用されるエバポレータの殺菌をも行ない、その結果、異臭を発生する原因がなくなるから、無臭で、しかも所定の温度に冷却された空気を室内に供給することができる。」
訂正する。
異議決定日 1999-11-24 
出願番号 実願平3-80790 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B60H)
最終処分 維持    
前審関与審査官 中田 誠二郎  
特許庁審判長 大槻 清壽
特許庁審判官 岡田 和加子
歌門 恵
登録日 1997-05-30 
登録番号 実用登録第2549032号(U2549032) 
権利者 カルソニック株式会社
東京都中野区南台5丁目24番15号
考案の名称 自動車用脱臭器付き冷房装置  
代理人 斉藤 悦子  
代理人 野上 敦  
代理人 奈良 泰男  
代理人 大貫 和保  
代理人 齋藤 悦子  
代理人 八田 幹雄  
代理人 八田 幹男  
代理人 野上 敦  
代理人 小竹 秋人  
代理人 奈良 泰男  

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