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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02G |
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管理番号 | 1010423 |
審判番号 | 審判1998-3328 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-02-26 |
確定日 | 2000-01-19 |
事件の表示 | 平成3年実用新案登録願第34918号「汎用分岐接続箱」拒絶査定に対する審判事件(平成4年12月2日出願公開、実開平4-131117)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願考案 本願は、平成3年5月17日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年9月24日付の手続補正書により補正された明細書の記載からみて、次のとおりのものと認める。 「ケーシング内に複数の導電部材を互いに並列状に設け、コネクタを受入れる複数の接続開口を接続開口間に亘って延びる導電部材の方向に沿ってケーシングの対向する両面に対称に設け、それぞれの接続開口内では接続ピンを各接続開口同士で導電部材の各列毎に同一位置に、かつ各接続開口内の複数列の導電部材に対し各接続開口同士で複数段、複数個の同一の配列パターンとなるように各列の導電部材に接続し、上記接続開口を、同一形状、同一サイズ、かつ予め内部に所定の接続回路を形成するように配設されている雌の接続端子を上記配列パターンの接続ピンに接続することにより上記接続回路を形成するコネクタを挿入自在に受入れる開口として形成して成る汎用分岐接続箱。」 2.引用刊行物 これに対して、当審における平成11年7月12日付で通知した拒絶の理由に引用した、実願昭60-455号(実開昭61-117477号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、下記の事項が記載されている。 「本考案のワイヤリングハーネスの接続装置の構成を第1図に示す。図はジョイント吸収ボックスの表面カバー部を裏側から見た状態であるが、1aはボックスカバー、1bはボックス本体、2は帯状導電体、3は帯状導電体2の側縁から突設されたピン状ターミナルである。ターミナル3は、カバー1aに設けた孔1cを貫通して表側に突出しているが、そのまわりにはボックスカバー1aと一体にターミナルカバ5が形成されている。 第2図に、本考案のワイヤリングハーネスの接続装置にコネクタを接続した状態を示したが、ワイヤリングハーネス6の端末6aには、雌形コネクタターミナル4aを収容したコネクタハウジング4が設けられている。コネクタハウジング4をターミナルカバー5の内側に挿入することにより雌型コネクタターミナル4aはピン状ターミナル3に接続される結果、並べて設けられた多数のターミナル間の接続が同時に完成し、ワイヤリングハーネス間の接続も達成される。」(第3頁第19行-第4頁第18行) 上記記載と各図から刊行物1には、「ボックスカバー1a及びボックス1b内に複数の帯状導電体を互いに並列状に設け、コネクタハウジング4を受け入れる複数のターミナルカバー5をターミナルカバー5間に亘って延びる帯状導電体の方向に沿って設け、上記ターミナルカバー5内側を雌型コネクタターミナル4aをターミナル3に接続することによりコネクタハウジング4を挿入自在に受け入れるものとして形成して成るワイヤリングハーネスの接続装置。」が記載されていると認められる。 3.対比判断 本願の請求項1に係る考案(以下、「前者」という。)と上記刊行物1記載の考案(以下、「後者」という。)を対比すると、 a.後者の「ボックスカバー1a及びボックス1b」、「帯状導電体及びターミナル3」、「ターミナル3」、「雌型コネクタターミナル4a」は、夫々前者の「ケーシング」、「導電部材」、「接続ピン」、「雌の接続端子」に相当する。 b.後者のコネクタハウジング4やコネクタターミナル4aはコネクタを形成しているから、後者の「コネクタ」は前者の「コネクタ」に対応する。 c.後者の「ターミナルカバー5」は第2図等からみて、接続する開口を形成しているから後者は「接続する開口」を有しており、後者の「接続する開口」は、以下(1)?(3)の点からみて、前者の「接続開口」に相当すると認められる。 (1)刊行物1の第1図ではターミナルカバー5が帯状導電体の延びる方向に複数配置されていると認められ、第5図およびその説明部である第6頁第3行-第6行の記載「また、ピン状ターミナルは帯状導電体の両側縁に設けてもよい。このときは、第5図(a)のように両面型のジョイント吸収ボックスに好適に使用することができ、」では、第1図のワイヤリングハーネス接続装置を第5図のように両面に設けることが記載されているから、後者の「接続する開口」は「コネクタを受け入れる複数の接続する開口を接続する開口間に亘って延びる導電体の方向に沿ってケーシングの対向する両面に対称に設け」たものである。 (2)刊行物1の第1図において、帯状導電体2はボックスカバー1a上に複数並列に設けられているものと認められ、当該複数の帯状導電体2は第4図のロール状の導電体を切断したものが想定されていることから、ターミナルカバー5の内部に突出するターミナル3は各接続する開口ごとに同様に突出しているものと認められる。また、各ターミナルカバー5は図面上同じように記載されているから、それぞれの接続する開口内ではターミナル3を各接続する開口同士で帯状導電体の各列毎に同一位置に、かつ各接続する開口内の複数列のターミナル3に対し各接続する開口同士で複数段、複数個の同一の配列パターンとなるように各列の帯状導電体に設け、上記接続する開口を、同一形状、同一サイズとしたものと認められる。 (3)後者は、コネクタ内部に予め所定の接続回路を形成するように雌型コネクタターミナル4aを配設し、当該雌型コネクタターミナル4aをターミナル3に接続することによって上記接続回路を形成するコネクタを、当該接続する開口に挿入自在に受け入れるものである。 d.後者の「ワイヤリングハーネスの接続装置」は、図面等からみて3つ以上のワイヤリングハーネスに接続されるものであるから分岐接続装置である。また、種々のワイヤリングハーネスに用いることができるものであるから、汎用であることは自明である。よって、後者の「ワイヤリングハーネスの接続装置」は前者の「汎用分岐接続装置」に相当する。 e.以上a?dを総合して判断すると、結局、刊行物1の考案と本願請求項1の考案に格別の相違は認められない。 4.むすび したがって、本願の請求項1に係る考案は、上記刊行物1に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-10-27 |
結審通知日 | 1999-11-09 |
審決日 | 1999-11-25 |
出願番号 | 実願平3-34918 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
WZ
(H02G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 新川 圭二 |
特許庁審判長 |
森田 信一 |
特許庁審判官 |
山本 穂積 鈴野 幹夫 |
考案の名称 | 汎用分岐接続箱 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 鳥居 和久 |
代理人 | 東尾 正博 |