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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1010433
審判番号 審判1998-1836  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-06 
確定日 1999-10-29 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第27203号「遊技場用景品入り景品ケース」拒絶査定に対する審判事件(平成6年11月15日出願公開、実開平6-80686)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.本願考案
本願は、平成5年4月26日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成9年7月7日付手続き補正書により補正された明細書および出願当初の図面の記載からみて、上記平成9年7月7日付手続き補正書の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「ソレノイド等の機構を有する区分け装置によって区分けし、区分けされる同一価格を有する種類毎の所定の厚みを有し、且四辺形状の遊技場用景品入り景品ケースにおいて、
前記景品ケースを構成する左右両側の両面に限定し、または前後側面部の両面に限定して、異なる価値を有する景品を表示する同種類のバーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)を付着せしめたことを特徴とする遊技場用景品入り景品ケース。」
II.引用例の記載
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、実願平1-23635(実開平2-114088号)のマイクロフィルム(以下、引用文献1という)には下記の事項が記載されている。
▲1▼「浅い凹所2を有すると共に、該凹所2の底面に商品収納凹窪部4が形成され、該凹所2の上記底面3の内周縁部近傍に小突条5を備えた全体浅皿状の薄型容器本体1と、
上記小突状5に融着にて、一体施蓋されると共に、その表面にバーコード8が印刷された透明蓋板6と、
を備えたことを特徴とするカード状容器。」
(第1頁第5?12行;実用新案登録請求の範囲).
▲2▼「本考案は、主にパチンコ店等の遊技場に於て、換金等のために使用される景品を収納するカード状容器に関する。」(第1頁第15?17行)
▲3▼「また、非常にコンパクトで扱いやすく、自動販売機等の自動機器にて取扱うことも可能となる。」(第3頁第4?6行)
▲4▼さらに、第2図の記載から、引用文献1におけるカード状容器の形状が「四辺形状」であることが明らかである。
III.対比・判断
ここで、本願請求項1に係る考案(以下、本願考案)と上記引用文献1に記載された考案(以下、引用考案)とを対比する。
上記▲2▼の記載より、引用考案は「遊技場用景品入り景品ケース」に関するものであることが認められ、その形状は上記▲4▼記載のように「四辺形状」である。そして、上記▲1▼に記載されているように、「全体浅皿状の薄型容器」であることから、所定の厚みを有するものであることが認められ、また、該上記▲1▼には蓋の表面に「バーコード」が印刷されていることも記載されている。
したがって、両者は、
「所定の厚みを有し、且四辺形状の遊技場用景品入り景品ケースにおいて、
バーコードを付着せしめた」ものである点で一致し、次の点で相違している。
(1)本願考案の景品ケースが「ソレノイド等の機構を有する区分け装置によって区分けし、区分けされる同一価格を有する種類毎の景品入り景品ケース」であると特定しているのに対し、引用考案においてははそのような特定が明確になされていない点。
(2)本願考案の景品ケースにおいては「バーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)を付着せしめ」る位置を、「景品ケースを構成する左右両側の両面に限定し、または前後側面部の両面に限定して」と特定しているのに対し、引用考案においては、そのような特定がなされていない点。
(3)本願考案においては、バーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)が「異なる価値を有する景品を表示する同種類のバーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)」と特定されているのに対して、引用考案においてはそのような特定がなされていない点。
上記の相違点について検討する。
上記の(1)の相違点については、上記▲3▼の記載から、引用考案においても、「自動機器にて取扱う」ことが示唆されているから、自動機器の一種である「ソレノイド等の機構を有する区分け装置」にて取り扱われる、すなわち、「区分け」されるものとすることに格別の困難性は認められない。そしてその「区分け」をするためには、区分けされる同一価格を有する種類の景品のケースは同じものであることが必要であることは当然のことであるから、「区分けされる同一価格を有する種類毎の景品入り景品ケース」と特定したことに格別の困難性は認められない。
すなわち、上記(1)の相違点の特定は当業者がきわめて容易に想到し得たことと認められる。
上記(2)の相違点については、バーコードをどの面に付けるかは、当業者が必要に応じて適宜設定し得る事項であり、また、側面に付けることも通常なされていることであるから、ケースを積み上げたときに機械(区分け装置)で取り扱いやすいように、すなわち、読み取り機で読み取りやすいように、バーコードの位置を左右側面部または前後側面部と特定したことに格別の困難性は認められない。そして、ランダムに積み上げた場合に、バーコードが片面にだけ付けられているのであれば、該バーコードが付けられている面が必ずしも読み取り機側となるとは限らないことは当然であり、その場合、バーコードが付けられている面が読み取り機側と反対の側となったとき読み取り機で読み取れない不都合が生じることは明らかなことである。このような不都合を取り除くために、読み取られる部材側において側面の両面にマーク(コード等)を付けることは包装一般の種々の技術分野で普通になされることに過ぎないから(この点必要ならば、原査定で引用された実願平1-29992号(実開平2-120418号)のマイクロフィルムの第10頁第14?18行の記載参照)、引用考案においても、上記のような不都合を避けるためにバーコードを付ける面を、左右側面または前後側面の「両面」とすることに格別の困難性は認められない。なお、本願考案においては、「バーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)を付着せしめ」る面を「左右両側の両面に『限定』し、または前後側面部の両面に『限定』して」と限定しているが、該限定により当業者の予測を超える格別の効果が生じるものとも認められないから、この限定は単なる設計的事項と認められる。
すなわち、上記(2)の相違点についても、そのようなバーコードの位置の特定は当業者がきわめて容易に想到し得た事項と認められる。
上記(3)の相違点については、バーコードで何を表示するかは、当業者が適宜設定しうる事項であり、また、バーコードによって「異なる価値を有する」ものを表示することは普通になされている事項に過ぎないから、本願考案において、バーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)が「異なる価値を有する景品を表示する同種類のバーコード表示部またはレーザーカード(レーザーメモリ又は光カード)」と特定したことに格別の困難性は認められない。
すなわち、上記(3)の相違点の特定は当業者がきわめて容易に想到し得た事項と認められる。
したがって、上記3つの相違点はいずれも当業者がきわめて容易に想到し得る事項と認められるから、本願請求項1に係る考案は、上記引用考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得た考案である。
IV.むすび
以上のとおりであるから、この出願の請求項1に係る考案は実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-07-13 
結審通知日 1999-07-30 
審決日 1999-08-18 
出願番号 実願平5-27203 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 佐野 遵  
特許庁審判長 佐藤 久容
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
考案の名称 遊技場用景品入り景品ケース  
代理人 庄司 建治  

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