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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G11B
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない G11B
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G11B
管理番号 1010453
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 1998-11-12 
確定日 1999-10-29 
事件の表示 登録第2514540号実用新案「バッテリによる給電回路」に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯
本件審判は、本件実用新案登録第2514540号(平成4年1月30日出願、平成8年8月2日設定登録)に係るものであって、訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内に手続補正書が提出されたものである。
2.補正の適否について
(補正の内容)
実用新案権者は、手続補正書を提出し、平成10年11月11日付審判請求書の「(3)訂正の要旨」に関し、次のとおりの補正を行っている。
(i)「▲1▼訂正事項A」に関して、次の通りに訂正する。
「▲1▼ 訂正事項A:「実用新案登録請求の範囲」の項の「請求項1」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、下記の通りに訂正する。
「【請求項1】モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に再生を行う第2の回路と、前記再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、該電源スイッチのオンにより該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記再生装置を制御し、更に、前記再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御し、前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」」
(ii)「▲2▼訂事項B」に関して、次の通りに訂正する。
「▲2▼ 訂正事項B:「考案の詳細な説明」の項の「産業上の利用分野」を、明りょうでない記載の
釈明を目的として、下記の通りに訂正する。
「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はバッテリによる給電回路に係り、特に再生装置のバッテリによる給電に関する。」」
(iii)訂正事項C:「考案の詳細な説明」の項の「課題を解決するための手段」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通りに訂正する。
「【0009】
【課題を解決するための手段】
図1は本考案の原理構成図を示す。同図中、11はバッテリで、モータ駆動回路24及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路23を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路15と、再生装置が待機状態のときと、作態状態のいずれの場合も動作する第2の回路16とに夫々電源電圧を供給する。この第1の回路及び前記第2の回路により再生が行われる。12は電源スイッチで、バッテリ11からの電源電圧を供給又は遮断する。13はスイッチ回路で電源スイッチ12のオンによりバッテリ11からの電源電圧が第2の回路と共に印加される。14は制御路で、再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路13を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路15に印加するようにスイッチ回路13をスイッチング制御し、作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する。また、この制御回路14は、第1の回路15及び第2の回路16とは別に設け、かつ、再生装置の制御を行う。」
(iv)訂正事項D:「考案の詳細な説明」の項の「作用」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、下記の通りに訂正する。
「【0010】
【作用】
本考案では、再生装置が作動指令を受けない場合は、制御回路14がスイッチ回路13をオフとするため、第1の回路15は電源電圧が供給されず、第2の回路16にだけ電源電圧が供給される。」
(v)訂正事項E:全文訂正明細書中の「考案の詳細な説明」の項の「考案の効果」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次の通りに訂正する。
「【0018】
【考案の効果】
上述の如く、本考案によれば、再生装置が作動指令を受けない待機状態においては、制御回路14がスイッチ回路13をオフとし、第1の回路15への電源電圧の供給を止めるため、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減でき、従ってバッテリ11の寿命を伸ばすことができる。」
(判断)
そこで、上記補正の適否について検討すると、上記(i)の補正は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に「記録及び/又は再生装置」とあるのを、「再生装置」と補正し、さらに、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に、「前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」との要件を追加するものであるところ、「記録及び/又は再生装置」を「再生装置」とする補正は、択一的記載の要素の削除であるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当する。
次に、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に、「前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」との要件を追加する補正について検討するに、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載の制御回路は、「記録及び/又は再生装置を制御し」、さらに、「前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」というものであって、制御回路は、スイッチ回路の制御に関して、スイッチ回路をオンしてバッテリからの電源電圧が第1の回路に印加するように制御するというにとどまり、スイッチ回路をどのようにオフするかについては、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の構成とはなっていない。そして、スイッチ回路を構成要件としている以上、それがオフ動作するという程度のことは常識的なことであるが、上記補正における「前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」といったスイッチ回路のオフ動作は、単純にスイッチ回路がオフするということを越えて、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲におけるスイッチ回路の制御に関し新たな技術内容を追加するものに他ならない。したがって、上記補正は、再度の審理を必要とする、当初の訂正請求された範囲を逸脱するものである。
よって、その他の補正事項について検討するまでもなく、上記補正は、旧実用新案法第41条で準用する特許法第131条第2項でいう請求書の要旨の変更に該当し、認められない。
3.訂正の適否について
(訂正の内容)
実用新案登録権者が求める訂正の内容は次のとおりである。
A.実用新案登録請求の範囲の請求項1を、「【請求項1】モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、記録及び/又は再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路と、前記記録及び/又は再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、該電源スイッチのオンにより該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記記録及び/又は再生装置を制御し、更に、前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」と訂正する。
B.考案の詳細な説明の欄の課題を解決するための手段を、「【課題を解決するための手段】図1は本件考案の原理構成図を示す。同図中、11はバッテリで、モータ駆動回路24及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路23を有し、かつ、記録及び/又は再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路15と、記録及び/又は再生装置が待機状態のときと、作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路16とに夫々電源電圧を供給する。この第1の回路及び前記第2の回路により記録及び/又は再生が行われる。12は電源スイッチで、バッテリ11からの電源電圧を供給又は遮断する。13はスイッチ回路で電源スイッチ12のオンによりバッテリ11からの電源電圧が第2の回路と共に印加される。14は制御回路で、記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路13を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路15に印加するようにスイッチ回路13をスイッチング制御する。また、この制御回路14は、第1の回路15及び第2の回路16とは別に設け、かつ、記録及び/又は再生装置の制御を行う。」と訂正する。
(新規事項の有無の判断)
そこで、前記訂正について検討すると、
(a)前記訂正Aにおいて、本件訂正明細書記載の請求項1に係る考案の制御回路は、記録及び/又は再生装置を制御し、更に、前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であるとしているが、願書に添付した明細書又は図面には、制御回路が「記録及び/又は再生装置を制御し、」とする記載はない。そして、制御回路については、記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路に印加するようにスイッチ回路をスイッチング制御する点、及び、CPU17は、作動指令が入力されると、サーボ回路23を制御して、モータ駆動回路によりCD-ROM再生装置のフィードモータ、スピンドルモータ、2次元アクチュエータを駆動し、CD-ROMディスクを回転駆動すると共にピックアップを移動制御するものと記載されているものの、第2の回路を制御することについては記載されていない。したがって、表示回路、音声回路を含む第2回路は、少なくとも上記制御回路によって制御されていないことが明らかであるから、制御回路が、「記録及び/又は再生装置を制御し、」との点は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
なお、実用新案権者は、平成11年4月5日付けの意見書において、制御回路は、再生装置の第1の回路の電源を制御するもので、制御回路は、再生装置を制御する回路であるとの趣旨の意見を述べているが、制御回路が第1の回路を制御するからといって、それは再生装置の一部の回路を専用的に制御するにすぎず、再生装置を制御するということにはならない。再生装置は、通常はドライブ回路や表示装置や読み取ったデータを記憶する記憶装置等を備え、それら回路や装置の制御に関しては、全体を制御する制御回路を備え、その他ドライブ回路を制御する専用の制御回路を備える場合が考えられるところ、願書に添付した明細書、図面に記載の第1の回路に対応するようなドライブ回路の制御回路はドライブ回路を制御するにとどまり、表示装置や記憶装置等を制御するものではないから、ドライブ回路を制御する制御回路を、再生装置を制御する制御回路であるというのは無理である。
(b)前記訂正Aにおいて、「第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路」とあるが、当該記載は、願書に添付した明細書又は図面には記載されておらず、また、第2回路は、願書に添付した明細書又は図面の記載によれば、「デコーダ回路」、「インターフェース回路」、「表示回路」、「音声回路」を示しているところ、「デコーダ回路」は、A/D変換回路のディジタルデータを入力してCD-ROMのデータに変換するものであり、「インターフェイス回路」は、CD-ROMのデータを外部に出力する、あるいは、作動指令を入力するものであり、「音声回路」は、A/D変換されたディジタルをアナログ音声信号に変換するものであり、「表示回路」については説明がないが、「音声回路」と類似した信号に変換する、あるいは、その他の事項を表示をするものと考えられるが、いずれの回路も、第1の回路と共に記録及び/又は再生を行うものではない。また、音声回路、表示回路は、第1の回路で再生した信号に関し、それを加工して出力するものであるが、これら回路が第1の回路で再生した信号の再生を行うものであると解釈した場合であっても、第2の回路の構成要件である「インターフェース回路」は、第1の回路と共に記録及び/又は再生を行うものではない。したがって、「第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路」は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(c)前記訂正Bにおいて、「第1の回路及び第2の回路により記録及び/又は再生が行われる。」としているが、前記(b)と同じ理由で、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(d)前記訂正Bにおいて、「この制御回路14は、第1の回路15及び第2の回路16とは別に設け、かつ、記録及び/又は再生装置の制御を行う。」としているが、このうち、制御回路14が、記録及び/又は再生装置の制御を行うとする点は、上記(a)で述べたと同じ理由で、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
以上のとおりであるから、本件訂正は、平成5年改正法附則第4条第2項において読み替えられた旧実用新案法第39条第1項の規定の要件を満たさない。
(独立要件についての判断)
仮に、本件訂正が願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとしても、本件訂正は旧実用新案法第39条第3項の規定を満たしておらず、当該訂正は認められない。以下、その理由を示す。
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載される次の事項により特定されるとおりのものである。
「モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、記録及び/又は再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路と、前記記録及び/又は再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、該電源スイッチのオンにより該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記記録及び/又は再生装置を制御し、更に、前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」
なお、上記訂正明細書の請求項1に「記録及び/又は再生装置が作動状態のとき」、「記録及び/又は再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も」とあるところ、訂正明細書には、記録及び/又は再生装置が「作動状態のとき」及び「待機状態のとき」について直接的な説明がされていないが、「CD-ROM再生装置が再生を行う前の待機状態においても全ての回路に電源電圧を供給しており・・・問題がある。」(パラグラフ7)、「本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減することにより、・・・目的とする。」(パラグラフ8)、「ACアダプタ32が・・・他の全ての回路に電源電圧が供給され、バッテリ11は作動状態での大きな電力を消費する。」(パラグラフ16)、「このように、・・・待機状態で動作する必要のない各回路への電源電圧の供給を止めるため、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減でき、・・・伸ばすことができる。」(パラグラフ17)との記載を参酌すると、記録及び/又は再生装置が「待機状態のとき」というのは、記録及び/又は再生装置が記録及び/又は再生を行う前の状態であって、第1の回路が動作する前ということであり、記録及び/又は再生装置が「作動状態のとき」というのは、記録及び/又は再生装置が記録及び/又は再生を行っている状態であって、第1の回路が動作しているということを示している。そして、第2の回路については、記録及び/又は再生装置が記録及び/又は再生を行う前、及び、記録及び/又は再生を行っている際においても、電源が供給され、動作しうる状態あるいは動作している(少なくとも、インターフェース回路は、作動指令が入力されると、その作動入力を制御回路に送るよう動作する。また、表示回路、音声回路にも電源が供給されており、第1回路で再生した再生データあるいはその他信号の表示ないし音声を出力しているものと推定される。)から、本件考案の記録及び/又は再生装置においては、「記録及び/又は再生装置が作動状態のとき」であっても、「記録及び/又は再生装置が待機状態のとき」であっても、第2回路は動作している。
当審が訂正拒絶理由通知において示した特開昭59-146324号公報(以下、刊行物1という。)には、マイクロコンピュータ装置が作動状態のときに動作する中央演算処理装置5およびリードオンリメモリ6と、マイクロコンピュータ装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作するランダムアクセスメモリ7とに夫々電源電圧を供給する電池1と、電池1からの電源電圧を供給又は遮断するメインスイッチ2と、メインスイッチ2のオンにより電池1からの電源電圧がランダムアクセスメモリ7と共に印加されるスイッチ回路4と、マイクロコンピュータ装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路4を通して電池1からの電源電圧を中央演算処理装置5およびリードオンリメモリ6に印加するようにスイッチ回路4をスイッチング制御する中央演算処理装置5、キーボード8、キー入力検知回路9、OR回路10、D型フリップフロツプ11およびアドレスデコーダ12とよりなる電池1による給電回路が記載されている。
そして、上記刊行物1に記載の「電池1」、「メインスイッチ2」は、訂正明細書の請求項1に係る考案の「バッテリ」、「電源スイッチ」にそれぞれ相当し、上記刊行物1に記載の「中央演算処理装置5」及び「リードオンリメモリ」は、記録及び/又は再生を行うものではないが、給電の対象という点では、訂正明細書の請求項1に係る考案の「第1の回路」に相当し、上記刊行物1に記載の考案の「ランダムアクセスメモリ7」は、記録及び/又は再生を行うものではないが、給電の対象という点では、訂正明細書の請求項1に係る考案の「第2の回路」に相当し、上記刊行物1に記載の「キーボード8」、「キー入力検知回路9」、「OR回路10」、「D型フリツプフロツブ11」は、訂正明細書の請求項に係る考案の「制御回路」に相当するから、上記刊行物1には、実質的に、「装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバツテリと、バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、電源スイッチのオンによりバッテリからの電源電圧が第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリからの電源電圧を第1の回路に印加するようにスイッチ回路をスイッチング制御する制御回路とよりなり、制御回路は第1の回路及び第2の回路とは別に設けられているバッテリによる給電回路。」の考案が少なくとも記載されていると認められる。
そして、記録及び/又は再生装置は、本件訂正に係る出願前普通に知られており、また、記録及び/又は再生装置が、モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボモータを備えるとすること、及び、制御回路により記録及び/再生装置を制御するといったことは本件訂正に係る出願前周知の技術内容にすぎないから、そのような記録及び/再生装置に上記刊行物1記載のバッテリによる給電回路の技術思想を適用して、訂正明細書の請求項1に係る考案とすることは、当業者が極めて容易になし得ることにすぎない。
また、当審が訂正拒絶理由通知において示した特開昭60-55422号公報(以下、刊行物2という。)には、「第1図に示すような携帯型のデータ処理装置が一般的に提案されている。ここで、1はマイクロプロセッサ等で構成された中央演算処理装置(以下、CPUと称する)、2はフルキーボードやテンキーパッドなどからなる入力装置、3はCRTディスプレイ装置や液晶ディスクプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示出力装置、4はCPU1の制御手順である制御プログラムや各構成要素からのデータ等を格納するICメモリ等の主記憶装置、5はフロッピーディスク装置やハードディスク装置又は磁気バブルメモリ等の補助記憶装置である。さらに、6はCPU1からの制御指令を受けて補助記憶装置5へのデータの書込み及び読出しを制御する補助記憶制御装置、7は主記憶装置4に記憶されたデータの補助記憶装置5への転送、あるいはその逆方向の転送の際に、データの読み書きの同期をとるためのデータを一時記憶するデータラッチである。8は上述の各構成要素1?7に所定の電力を供給する電源であり、一般に電池である。この電池8からプラス電源線8A及びマイナス電源線8Bを通じて補助記憶装置5に比較的大きな所定の電力を供給する。更に、この電池8から他のプラス電源線8Cおよびマイナス電源線8Dを通じて、補助記憶装置5以外の他の構成要素1?4および6,7に対して所定の電力を供給する。しかしながら、このような従来装置においては、補助記憶装置5として用いたフロッピーディスク装置やハードディスク装置が、直流モータ(付図示)により重量のある比較的大きな円盤状のテーブル等を常時回転させているので、電力を常時消費し、その消費電力を10数ワット以上にもなる。」(第2頁右上欄第3行?左下欄第16行)、「第2図は・・・ここで、第1図と同様な部分についてはその詳細な説明を省力する。第2図において、9は補助記録装置5と電池8間に接続する電力供給線(電源線)8Aに介在して供給電源の開閉を行うスイッチ(SW)である。・・・。10はスイッチ9の開閉を制御するフリップフロップ(F/F)であり、その出力信号Qを切り変え制御信号としてスイッチ9に送出する。11はCPU1からの制御指令を受けて補助記憶装置5の駆動制御を行う補助記憶制御装置である。さらに、この補助記憶制御装置11は、上述のフリップフロップ10に対してセット信号およびリセット信号Rを交互に送出すると共に、データラッチ7に対しても制御信号を送出する。」(第2頁右下欄第20行?第3頁左上欄第16行)、「電源を投入すると、補助記録制御装置11からのセット信号Sが送出されてフリップフロップ10がセットされ、その出力Qによりスイッチ9が閉成状態となるので、補助記憶装置5に対し電池8から給電される・・・。次いで、CPU1は、補助記憶装置5に格納されている制御プログラムを読み出す旨の指令を補助記録制御装置に与える。この読出し指令に応じて、補助記憶制御装置11は、補助記憶装置5から必要なプログラムデータを読み出し、データラッチ7を介してCPU1のレジスタに転送し、さらに、主記憶装置4にこのプログラムデータを転送する・・・。このプログラムデータの主記憶装置4への転送が完了すると、次に、CPU1は、この転送された制御プログラムにより制御動作を開始する。この制御プログラムによりCPU1は、制御プログラム自身が使用するデータファイルの中で使用頻度の高いデータファイルを、主記憶装置4内に転送させる旨の指令を補助記憶制御装置11に与える。この指令により、補助記憶制御装置11は、高使用頻度のデータファイルを補助記憶装置5から読み出し、データラッチ7を介してCPU1のレジスタに転送する。さらに、このデータファイルは主記憶装置4に転送する・・・。このデータファイルの転送が完了すると、データ処理に必要な制御プログラムおよびデータファイルが主記憶装置4にすべて格納されたことになるので、CPU1は、補助記憶制御装置11に対して補助記憶装置5への給電を停止する旨の指令を送出する。この指令により、補助記憶制御装置11は、リセット信号Rをフリップフロップ10に送出し、このフリップフロップ10の出力Qによりスイッチ9が開放状態となるので、補助記憶装置5への給電を停止する・・・。」(第3頁左上欄第19行?第3頁左下欄第14行)、「主記憶装置4内に転送されていないデータが必要になったときには、補助記憶制御装置11を通じて、再び補助記憶装置5への電力供給の開閉を行うスイッチ9を閉成状態とする。これにより、補助記憶装置5が動作可能となるので、必要なデータファイルを補助記憶装置5から主記憶装置4に転送する・・・。このデータ転送完了後は、上述と同様な動作により、補助記憶装置5への給電を停止する・・・。」(第3頁右下欄第3?12行)、「補助記憶手段への電源供給線に介在させた電源開閉手段を備え、補助記憶手段内から制御プログラムおよび使用頻度の高いデータファイルなどの情報を主記憶手段内から転送させた後は、上述の電源開閉手段を開放するようにし、補助記憶手段に格納された他の情報を必要とするとき以外は、消費電力の比較的大きい補助記憶手段への給電を停止したので、装置全体の消費電力を格段に低減することができ、ひいては小型、軽量化および長寿命化が得られる。さらに、本発明によれば、電源として電池を用いるときには、その容量が小さくしてもよいので、装置全体の小型化、軽量化が達成でき、たとえ従来と同じ容量の電池を使用するときであってもその消費電力が少ないので、ひいては電池の寿命を長くすることもできる。」(第4頁右上欄第3?19行)と記載されている。
そして、
(i)上記刊行物2には、直流モータにより重量のある比較的大きな円盤状のテーブル等を回転させているフロッピーディスク装置やハードディスク装置等の補助記録装置が記載されており、また、このモータをサーボ回路により制御することは、本件訂正に係る出願前周知のことである。そして、上記刊行物2のデータ処理装置は、電源が投入されると、スイッチが閉成状態となり、補助記録装置に電源電圧の供給がなされ、補助記憶装置が動作ないし動作が可能な状態になるから、「データ処理装置」は訂正明細書の請求項1に係る考案の記録及び/又は再生装置に相当し、また、補助記録装置は、訂正明細書の請求項1に係る考案の、モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、記録及び/又は再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路に相当する。
(ii)上記刊行物2には、電源が投入されると動作ないし動作が可能な状態になる表示装置、データラッチ等の構成が記載されており、訂正明細書の考案において、「再生」が「表示」、「音声」等も意味すると解した場合には、これらの構成が訂正明細書の請求項1に係る考案の、「第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路」を備えるとする点に相当する。
なお、例えば、表示回路に電源電圧の供給がなされても、その表示回路は、表示データが入力されその表示のための処理が行なわれるまでは、処理が可能な状態であっても、通常は処理した結果の表示は行わない。また、例えば、高周波アンプが装置に用いられている場合にあって、電源電圧の供給が高周波アンプになされていても、増幅するデータが高周波アンプに入力されていない状態では、高周波アンプが動作が可能な状態であるにしても、高周波アンプが増幅動作をしているわけではない。動作が可能な状態とは、そのような状態を動作が可能な状態と表現した。このことは、上記(i)においても同様である。
(iii)上記刊行物2のデータ処理装置において、電源が投入されると、補助記憶装置を除く装置、回路に電池から電源電圧の供給がなされるようになっており、この電池が訂正明細書の請求項1に係る考案が、「記録及び/又は再生装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリ」を備えるとする点に相当する。
(iv)上記刊行物2のデータ処理装置においては、電源が投入されると、補助記憶装置を除く、スイッチ及びその他装置ないし回路に電源電圧の供給がなされるようになっており、このスイッチが訂正明細書の請求項1に係る考案が、「バッテリからの電源電圧が第2の回路と共に印加されるスイッチ回路」を備えるとする点に相当する。
(v)上記刊行物2のデータ処理装置は、CPU1により全体的に制御されており、また、CPU1よりの制御指令により補助記憶制御装置11はスイッチ9を閉成状態にし、このスイッチ9の閉成により、電池からの電源電圧をフロッピーディスク装置、ハードディスク装置に印加するようにしているから、これらの点は、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「記録及び/又は再生装置を制御し、更に、前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」制御回路を備えるとする点の相当する。また、上記刊行物2のデータ処理装置は、CPU等の制御部とその他被制御の装置、回路とは別に設けられたものであり、これらの点は、訂正明細書の請求項1に係る考案の制御回路が、「第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた」とする点に相当する。
(vi)上記刊行物2のデータ処理装置は、電池給電に係る構成を含むものであり、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「バッテリによる給電回路」であるとする点に相当する。
以上の検討からみて、上記刊行物2には、実質的に、「モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、記録及び/又は再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路と、前記記録及び/又は再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記記録及び/又は再生装置を制御し、更に、前記記録及び/又は再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」の考案が少なくとも記載されていると認められる(以下、刊行物2記載の考案という。)。
そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案と上記刊行物2記載の考案とを対比するに、訂正明細書の請求項1に係る考案と上記刊行物2記載の考案とは、次の点で相違し、その余では一致する。
訂正明細書の請求項1に係る考案は、バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチを備えるとし、また、バッテリからの電源電圧を第2の回路とスイッチ回路へのバッテリからの電源電圧の供給を「電源スイッチのオン」により行うとしているのに対し、上記刊行物2記載の考案にはその記載がない点。
そこで上記相違点について検討するに、上記刊行物2には、「電源を投入すると、補助記録制御装置11からのセット信号Sが送出されてフリップフロップ10がセットされ、その出力Qによりスイッチ9が閉成状態となるので、補助記憶装置5に対し電池8から給電される」(第3頁左上欄第19行?右上欄第3行)と記載されており、この電源の投入を電源スイッチを設けて行うとすることは慣用手段の採用により当業者が適宜なし得ることにすぎず、また、第2の回路とスイッチ回路へのバッテリからの電源電圧の供給をその電源スイッチのオンにより行うとすることは当業者が適宜なし得ることにすぎない。
よって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記刊行物2記載の考案に基づき当業者が極めて容易になし得たものである。
4.その他
仮に訂正明細書に関する補正が、訂正の要旨を変更するものでないとした場合であっても、以下に示すとおり、当該訂正は、平成5年改正法附則第4条第2項において読み替えられた旧実用新案法第39条第1項の規定の要件ないし第2項の規定の要件を満たさない。
(訂正の内容)
実用新案登録権者が求める訂正の内容は次のとおりである。
A.「実用新案登録請求の範囲」の項の「請求項1」を、次のとおりに訂正する。
「【請求項1】モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に再生を行う第2の回路と、前記再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、該電源スイッチのオンにより該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記再生装置を制御し、更に、前記再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御し、前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」
B.「考案の詳細な説明」の項の「産業上の利用分野」を、次のとおりに訂正する。
「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はバッテリによる給電回路に係り、特に再生装置のバッテリによる給電に関する。」
C.「考案の詳細な説明」の項の「課題を解決するための手段」を、次のとおりに訂正する。
「【0009】
【課題を解決するための手段】
図1は本考案の原理構成図を示す。同図中、11はバッテリで、モータ駆動回路24及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路23を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路15と、再生装置が待機状態のときと、作態状態のいずれの場合も動作する第2の回路16とに夫々電源電圧を供給する。この第1の回路及び前記第2の回路により再生が行われる。12は電源スイッチで、バッテリ11からの電源電圧を供給又は遮断する。13はスイッチ回路で電源スイッチ12のオンによりバッテリ11からの電源電圧が第2の回路と共に印加される。14は制御回路で、再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路13を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路15に印加するようにスイッチ回路13をスイッチング制御し、作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する。また、この制御回路14は、第1の回路15及び第2の回路16とは別に設け、かつ、再生装置の制御を行う。」
D.「考案の詳細な説明」の項の「作用」を、次のとおりに訂正する。
「【0010】
【作用】
本考案では、再生装置が作動指令を受けない場合は、制御回路14がスイッチ回路13をオフとするため、第1の回路15は電源電圧が供給されず、第2の回路16にだけ電源電圧が供給される。」
E.全文訂正明細書中の「考案の詳細な説明」の項の「考案の効果」を、次のとおりに訂正する。
「【0018】
【考案の効果】
上述の如く、本考案によれば、再生装置が作動指令を受けない待機状態においては、制御回路14がスイッチ回路13をオフとし、第1の回路15への電源電圧の供給を止めるため、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減でき、従ってバッテリ11の寿命を伸ばすことができる。」
(新規事項等の有無)
そこで、前記訂正について検討すると、
(a)前記訂正Aにおいて、本件訂正明細書記載の請求項1に係る考案の制御回路は、再生装置を制御し、更に、再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であるとしているが、願書に添付した明細書又は図面には、制御回路が「再生装置を制御し、」とする記載はない。そして、制御回路については、再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路に印加するようにスイッチ回路をスイッチング制御する点、及び、CPU17は、作動指令が入力されると、サーボ回路23を制御して、モータ駆動回路によりCD-ROM再生装置のフィードモータ、スピンドルモータ、2次元アクチュエータを駆動し、CD-ROMディスクを回転駆動すると共にピックアップを移動制御するものと記載されているものの、第2の回路を制御することについては記載されていない。したがって、表示回路、音声回路を含む第2回路は、少なくとも上記制御回路によって制御されていないことが明らかであるから、制御回路が、「再生装置を制御し、」との点は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
また、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載によれば、制御回路は、スイッチ回路の制御に関して、スイッチ回路をオンしてバッテリからの電源電圧が第1の回路に印加するように制御するというにとどまり、スイッチ回路をどのようにオフするかについては、その構成とはなっていない。そして、スイッチ回路を構成要件としている以上、それがオフ動作するという程度のことは常識的なことであるが、「前記作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する」といったスイッチ回路のオフ動作は、単純にスイッチ回路がオフするということを越えて、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたスイッチ回路の制御に関し新たな技術内容を追加するものであって、実質上実用新案登録請求の範囲を変更するものである。
(b)前記訂正Aにおいて、「第1の回路と共に再生を行う第2の回路」とあるが、当該記載は、願書に添付した明細書又は図面には記載されておらず、また、第2回路は、願書に添付した明細書又は図面の記載によれば、「デコーダ回路」、「インターフェース回路」、「表示回路」、「音声回路」を示しているところ、「デコーダ回路」は、A/D変換回路のディジタルデータを入力してCD-ROMのデータに変換するものであり、「インターフェイス回路」は、CD-ROMのデータを外部に出力する、あるいは、作動指令を入力するものであり、「音声回路」は、A/D変換されたディジタルをアナログ音声信号に変換するものであり、「表示回路」については説明がないが、「音声回路」と類似した信号に変換する、あるいは、その他の事項を表示をするものと考えられるが、いずれの回路も、第1の回路と共に記録及び/又は再生を行うものではない。また、音声回路、表示回路は、第1の回路で再生した信号に関し、それを加工して出力するものであるが、これら回路が第1の回路で再生した信号の再生を行うものであると解釈した場合であっても、第2の回路の構成要件である「インターフェース回路」は、第1の回路と共に記録及び/又は再生を行うものではない。したがって、「第1の回路と共に記録及び/又は再生を行う第2の回路」は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(c)前記訂正Cにおいて、「14は制御回路で、再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路13を通してバッテリ11からの電源電圧を第1の回路15に印加するようにスイッチ回路13をスイッチング制御し、作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する。」、「第1の回路及び第2の回路により再生が行われる。」としているが、前記(a)、(b)と同じ理由で、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(d)前記訂正Cにおいて、「この制御回路14は、第1の回路15及び第2の回路16とは別に設け、かつ、再生装置の制御を行う。」としているが、このうち、制御回路14が、再生装置の制御を行うとする点は、上記(a)で述べたと同じ理由で、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
仮に、上記訂正が願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるとしても、上記訂正は旧実用新案法第39条第3項の規定を満たしておらず、当該訂正は認められない。以下にその理由を示す。
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載される次の事項により特定されるとおりのものである。
「モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に再生を行う第2の回路と、前記再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、該電源スイッチのオンにより該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記再生装置を制御し、更に、前記再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御し、前記作動指令が所定時間入力されない場合には前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」
なお、上記訂正明細書の請求項1に「再生装置が作動状態のとき」、「再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も」とあるところ、訂正明細書には、再生装置が「作動状態のとき」及び「待機状態のとき」について直接的な説明がされていないが、「CD-ROM再生装置が再生を行う前の待機状態においても全ての回路に電源電圧を供給しており・・・問題がある。」(パラグラフ7)、「本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減することにより、・・・目的とする。」(パラグラフ8)、「ACアダプタ32が・・・他の全ての回路に電源電圧が供給され、バッテリ11は作動状態での大きな電力を消費する。」(パラグラフ16)、「このように、・・・待機状態で動作する必要のない各回路への電源電圧の供給を止めるため、待機状態でのバッテリ11の電力消費を低減でき、・・・伸ばすことができる。」(パラグラフ17)との記載を参酌すると、再生装置が「待機状態のとき」というのは、再生装置が再生を行う前の状態であって、第1の回路が動作する前ということであり、再生装置が「作動状態のとき」というのは、再生装置が再生を行っている状態であって、第1の回路が動作しているということを示している。そして、第2の回路については、再生装置が再生を行う前、及び、再生を行っている際においても、電源が供給され、動作しうる状態あるいは動作している(少なくとも、インターフェース回路は、作動指令が入力されると、その作動入力を制御回路に送るよう動作する。また、表示回路、音声回路にも電源が供給されており、第1回路で再生した再生データあるいはその他信号の表示ないし音声を出力しているものと推定される。)から、本件考案の再生装置においては、「再生装置が作動状態のとき」であっても、「再生装置が待機状態のとき」であっても、第2回路は動作している。
当審が訂正拒絶理由通知において示した特開昭59-146324号公報(以下、刊行物1という。)には、マイクロコンピュータ装置が作動状態のときに動作する中央演算処理装置5およびリードオンリメモリ6と、マイクロコンピュータ装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作するランダムアクセスメモリ7とに夫々電源電圧を供給する電池1と、電池1からの電源電圧を供給又は遮断するメインスイッチ2と、メインスイツチ2のオンにより電池1からの電源電圧がランダムアクセスメモリ7と共に印加されるスイッチ回路4と、マイクロコンピュータ装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路4を通して電池1からの電源電圧を中央演算処理装置5およびリードオンリメモリ6に印加するようにスイッチ回路4をスイッチング制御する中央演算処理装置5、キーボード8、キー入力検知回路9、OR回路10、D型フリップフロツプ11およびアドレスデコーダ12とよりなる電池1による給電回路が記載されている。
そして、上記刊行物1に記載の「電池1」、「メインスイッチ2」は、訂正明細書の請求項1に係る考案の「バッテリ」、「電源スイッチ」にそれぞれ相当し、上記刊行物1に記載の「キーボード8」、「キー入力検知回路9」、「OR回路10」、「D型フリツプフロツブ11」は、訂正明細書の請求項に係る考案の「制御回路」に相当し、上記刊行物1に記載の「中央演算処理装置5」及び「リードオンリメモリ」は、再生を行うものではないが、給電の対象という点では、訂正明細書の請求項1に係る考案の「第1の回路」に相当し、上記刊行物1に記載の考案の「ランダムアクセスメモリ7」は、再生を行うものではないが、給電の対象という点では、訂正明細書の請求項1に係る考案の「第2の回路」に相当するから、上記刊行物1には、実質的に、「装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバツテリと、バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチと、電源スイッチのオンによりバッテリからの電源電圧が第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリからの電源電圧を第1の回路に印加するようにスイッチ回路をスイッチング1制御する制御回路と、前記スイッチ回路の遮断を前記第1の回路により制御するようにしたバッテリによる給電回路。」の考案が少なくとも記載されていると認められる。
そして、再生装置、及び、再生装置がモータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボモータを備えるとすること、並びに、制御回路により再生装置を制御するといったことは、上記訂正に係る出願前普通に知られており、また、装置が一定時間動作しない場合に、その装置(ないし部分の)電源を制御システム(制御回路)によりオフすることは、上記訂正に係る出願前周知の技術である(必要ならば、例えば、特開昭64-59413号公報、特開平3-63965号公報参照)から、再生装置に、上記刊行物1記載のバッテリによる給電回路の技術思想を適用し、かつその際に、スイッチ回路のオフ動作を制御回路により行うように変更して、本件訂正明細書の請求項1に係る考案とすることは、当業者が極めて容易になし得ることにすぎない。
また、当審が訂正拒絶理由通知において示した特開昭60-55422号公報(以下、刊行物2という。)には、「第1図に示すような携帯型のデータ処理装置が一般的に提案されている。ここで、1はマイクロプロセッサ等で構成された中央演算処理装置(以下CPUと称する。)、2はフルキーボードやテンキーパッドなどからなる入力装置、3はCRTディスプレイ装置や液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示出力装置、4はCPU1の制御手段である制御プログラムや各構成要素からのデータ等を格納するICメモリ等の主記憶装置、5はフロッピーディスク装置やハードディスク装置又は磁気バブルメモリ等の補助記憶装置である。さらに、6はCPU1からの制御指令を受けて補助記憶装置5へのデータの書込み及び読出しを制御する補助記憶制御装置、7は主記憶装置4に記憶されたデータの補助記憶装置5への転送、あるいはその逆方向の転送の際に、データの読み書きの同期をとるためのデータを一時記憶するデータラッチである。8は上述の各構成要素1?7に所定の電力を供給する電源であり、一般に電池である。この電池8からプラス電源線8A及びマイナス電源線8Bを通じて補助記憶装置5に比較的大きな所定の電力を供給する。更に、この電池8から他のプラス電源線8Cおよびマイナス電源線8Dを通じて、補助記憶装置5以外の他の構成要素1?4および6,7に対して所定の電力を供給する。しかしながら、このような従来装置においては、補助記憶装置5として用いたフロッピーディスク装置やハードディスク装置が、直流モータ(付図示)により重量のある比較的大きな円盤状のテーブル等を常時回転させているので、電力を常時消費し、その消費電力を10数ワット以上にもなる。」(第2頁右上欄第3行?左下欄第16行)、「第2図は・・・ここで、第1図と同様な部分についてはその詳細な説明を省力する。第2図において、9は補助記録装置5と電池8間に接続する電力供給線(電源線)8Aに介在して供給電源の開閉を行うスイッチ(SW)である。・・・。10はスイッチ9の開閉を制御するフリップフロップ(F/F)であり、その出力信号Qを切り変え制御信号としてスイッチ9に送出する。11はCPU1からの制御指令を受けて補助記憶装置5の駆動制御を行う補助記憶制御装置である。さらに、この補助記憶制御装置11は、上述のフリップフロップ10に対してセット信号およびリセット信号Rを交互に送出すると共に、データラッチ7に対しても制御信号を送出する。」(第2頁右下欄第20行?第3頁左上欄第16行)、「電源を投入すると、補助記録制御装置11からのセット信号Sが送出されてフリップフロップ10がセットされ、その出力Qによりスイッチ9が閉成状態となるので、補助記憶装置5に対し電池8から給電される・・・。次いで、CPU1は、補助記憶装置5に格納されている制御プログラムを読み出す旨の指令を補助記録制御装置に与える。この読出し指令に応じて、補助記憶制御装置11は、補助記憶装置5から必要なプログラムデータを読み出し、データラッチ7を介してCPU1のレジスタに転送し、さらに、主記憶装置4にこのプログラムデータを転送する・・・。このプログラムデータの主記憶装置4への転送が完了すると、次に、CPU1は、この転送された制御プログラムにより制御動作を開始する。この制御プログラムによりCPU1は、制御プログラム自身が使用するデータファイルの中で使用頻度の高いデータファイルを、主記憶装置4内に転送させる旨の指令を補助記憶制御装置11に与える。この指令により、補助記憶制御装置11は、高使用頻度のデータファイルを補助記憶装置5から読み出し、データラッチ7を介してCPU1のレジスタに転送する。さらに、このデータファイルは主記憶装置4に転送する・・・。このデータファイルの転送が完了すると、データ処理に必要な制御プログラムおよびデータファイルが主記憶装置4にすべて格納されたことになるので、CPU1は、補助記憶制御装置11に対して補助記憶装置5への給電を停止する旨の指令を送出する。この指令により、補助記憶制御装置11は、リセット信号Rをフリップフロップ10に送出し、このフリップフロップ10の出力Qによりスイッチ9が開放状態となるので、補助記憶装置5への給電を停止する・・・。」(第3頁左上欄第19行?第3頁左下欄第14行)、「主記憶装置4内に転送されていないデータが必要になったときには、補助記憶制御装置11を通じて、再び補助記憶装置5への電力供給の開閉を行うスイッチ9を閉成状態とする。これにより、補助記憶装置5が動作可能となるので、必要なデータファイルを補助記憶装置5から主記憶装置4に転送する・・・。このデータ転送完了後は、上述と同様な動作により、補助記憶装置5への給電を停止する・・・。」(第3頁右下欄第3?12行)、「補助記憶手段への電源供給線に介在させた電源開閉手段を備え、補助記憶手段内から制御プログラムおよび使用頻度の高いデータファイルなどの情報を主記憶手段内から転送させた後は、上述の電源開閉手段を開放するようにし、補助記憶手段に格納された他の情報を必要とするとき以外は、消費電力の比較的大きい補助記憶手段への給電を停止したので、装置全体の消費電力を格段に低減することができ、ひいては小型、軽量化および長寿命化が得られる。さらに、本発明によれば、電源として電池を用いるときには、その容量が小さくしてもよいので、装置全体の小型化、軽量化が達成でき、たとえ従来と同じ容量の電池を使用するときであってもその消費電力が少ないので、ひいては電池の寿命を長くすることもできる。」(第4頁右上欄第3?19行)と記載されている。
そして、
(i)上記刊行物2には、直流モータにより重量のある比較的大きな円盤状のテーブル等を回転させているフロッピーディスク装置やハードディスク装置等の補助記録装置が記載されており、また、このモータをサーボ回路により制御することは、本件訂正に係る出願前周知のことである。そして、上記刊行物2のデータ処理装置は、電源が投入されると、スイッチが閉成状態となり、補助記録装置に電源電圧の供給がなされ、補助記憶装置が動作ないし動作が可能な状態になるから、「データ処理装置」は訂正明細書の請求項1に係る考案の記録及び/又は再生装置に相当し、また、補助記憶装置は、訂正明細書の請求項1に係る考案の、モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路に相当する。
(ii)上記刊行物2には、電源が投入されると動作ないし動作が可能な状態になる表示装置、データラッチ等の構成が記載されており、訂正明細書の考案において、「再生」が「表示」、「音声」等も意味すると解した場合には、これらの構成が訂正明細書の請求項1に係る考案の、「第1の回路と共に再生を行う第2の回路」を備えるとする点に相当する。
なお、例えば、表示回路に電源電圧の供給がなされても、その表示回路は、表示データが入力されその表示のための処理が行なわれるまでは、処理が可能な状態であっても、通常は処理した結果の表示は行わない。また、例えば、高周波アンプが装置に用いられている場合にあって、電源電圧の供給が高周波アンプになされていても、増幅するデータが高周波アンプに入力されていない状態では、高周波アンプが動作が可能な状態であるにしても、高周波アンプが増幅動作をしているわけではない。動作が可能な状態とは、そのような状態を動作が可能な状態と表現した。このことは、上記(i)においても同様である。
(iii)上記刊行物2のデータ処理装置において、電源が投入されると、補助記憶装置を除く装置、回路に電池から電源電圧の供給がなされるようになっており、この電池が訂正明細書の請求項1に係る考案が、「再生装置が待機状態のときと作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリ」を備えるとする点に相当する。
(iv)上記刊行物2のデータ処理装置においては、電源が投入されると、補助記憶装置を除く、スイッチ及びその他装置ないし回路に電源電圧の供給がなされるようになっており、このスイッチは、訂正明細書の請求項1に係る考案が、バッテリからの電源電圧が第2の回路と共に印加されるスイッチ回路を備えるとする点に相当する。
(v)上記刊行物2のデータ処理装置は、CPU1により全体的に制御されており、また、CPU1よりの制御指令により補助記憶制御装置11はスイッチ9を閉成状態にし、このスイッチ9の閉成により、電池からの電源電圧をフロッピーディスク装置、ハードディスク装置に印加するようにし、また、データファイルの転送が終了すると、CPU1よりの制御指令により補助記憶制御装置11は、スイッチ9を開放状態としており、これらの点は、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「再生装置を制御し、更に、前記再生装置が作動指令を受けたときのみスイッチ回路を通してバッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御し」、かつ、「前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路を制御する」制御回路を備えるとする点の相当する。
また、上記刊行物2のデータ処理装置は、CPU等の制御部とその他被制御の装置、回路とは別に設けられたものであり、これらの点は、訂正明細書の請求項1に係る考案の制御回路が、「第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた」とする点に相当する。
(vi)上記刊行物2のデータ処理装置は、電池給電に係る構成を含むものであり、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「バッテリによる給電回路」であるとする点に相当する。
以上の検討からみて、上記刊行物2には、実質的に、「モータ駆動回路及びモータ駆動回路を制御するサーボ回路を有し、かつ、記再生装置が作動状態のときに動作する第1の回路と、該第1の回路と共に再生を行う第2の回路と、前記再生装置が待機状態のときと上記作動状態のいずれの場合も動作する第2の回路とに夫々電源電圧を供給するバッテリと、該バッテリからの電源電圧が前記第2の回路と共に印加されるスイッチ回路と、前記再生装置を制御し、更に、前記再生装置が作動指令を受けたときのみ該スイッチ回路を通して該バッテリからの電源電圧を前記第1の回路に印加するように該スイッチ回路をスイッチング制御し、前記第1の回路に対する該バッテリからの電源電圧を遮断するように該スイッチ回路をスイッチング制御する回路であって、前記第1の回路及び前記第2の回路とは別に設けた制御回路とよりなることを特徴とするバッテリによる給電回路。」の考案が少なくとも記載されていると認められる(以下、刊行物2記載の考案という。)。
そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案と上記刊行物2記載の考案とを対比すると、訂正明細書の請求項1に係る考案と上記刊行物2記載の考案とは、次の点で相違し、その余では一致する。
(a)訂正明細書の請求項1に係る考案は、バッテリからの電源電圧を供給又は遮断する電源スイッチを備えるとし、また、バッテリからの電源電圧を第2の回路とスイッチ回路へのバッテリからの電源電圧の供給を「電源スイッチのオン」により行うとしているのに対し、上記刊行物2記載の考案にはその記載がない点
(b)訂正明細書の請求項1に係る考案の制御回路は、作動指令が所定時間入力されない場合に第1の回路に対するバッテリからの電源電圧を遮断するようにスイッチ回路をスイッチング制御するとしているのに対し、上記刊行物2記載の考案においてはそのようになっていない点
そこで上記相違点について検討するに、上記刊行物2には、「電源を投入すると、補助記録制御装置11からのセット信号Sが送出されてフリップフロップ10がセットされ、その出力Qによりスイッチ9が閉成状態となるので、補助記憶装置5に対し電池8から給電される」(第3頁左上欄第19行?右上欄第3行)と記載されており、この電源の投入を電源スイッチを設けて行うとすることは慣用手段の採用により当業者が適宜なし得ることにすぎず、また、第2の回路とスイッチ回路へのバッテリからの電源電圧の供給をその電源スイッチのオンにより行うとすることは当業者が適宜なし得ることにすぎない。
また、装置が一定時間動作しない場合に、その装置(ないし部分の)電源を制御システム(制御回路)によりオフすることは、本件訂正に係る出願前周知の技術にすぎない(必要ならば、例えば、特開昭64-59413号公報、特開平3-63965号公報参照)から、本件訂正明細書の請求項1に係る考案のように、作動指令が所定時間入力されない場合に前記第1の回路に対するバッテリからの電源電圧を遮断するように制御することは、当業者が極めて容易になし得ることにすぎない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記刊行物2記載の考案に基づき、周知技術を参酌して、当業者が極めて容易になし得たものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-23 
結審通知日 1999-07-06 
審決日 1999-08-16 
出願番号 実願平4-3056 
審決分類 U 1 41・ 121- Z (G11B)
U 1 41・ 856- Z (G11B)
U 1 41・ 841- Z (G11B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 相馬 多美子  
特許庁審判長 川名 幹夫
特許庁審判官 今井 義男
犬飼 宏
登録日 1996-08-02 
登録番号 実用登録第2514540号(U2514540) 
考案の名称 バッテリによる給電回路  
代理人 伊東 忠彦  

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