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審決分類 |
審判 H01H |
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管理番号 | 1010473 |
審判番号 | 審判1999-3239 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-25 |
確定日 | 2000-02-28 |
事件の表示 | 平成 1年実用新案登録願第107681号「ガス開閉器の放圧構造」拒絶査定に対する審判事件〔平成 8年 3月 6日出願公告実公平 8- 8500 平成 3年 4月30日出願公開、実開平 3- 46937 請求項の数1〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の考案は、実用新案登録すべきものとする。 |
理由 |
【1】[1-1]本願は、平成1年9月13日の出願(実願平1-107681号)であって、平成8年3月6日に出願公告(実公平8-8500号)されたところ、平成8年4月26日付けで日本高圧電気株式会社より登録異議の申立てがなされ、その後、平成10年12月8日付けで上記登録異議の申立てにおいて甲第1号証として提示された実開昭60-94748号公報、甲第2号証として提示された実開昭61-76643号公報そして甲第3号証として提示された実公昭59-43627号公報を証拠として採用し、『この登録異議の申立は、理由があるものと決定する。』との登録異議の決定がなされ、同日付けで『この出願は、登録異議の決定に記載した理由によって拒絶をすべきものと認める。』との拒絶査定(謄本発送日:平成11年1月26日)がなされたものである。 [1-2]そして、本願考案の要旨は、出願公告された明細書および図面の記載並びに平成9年2月14日付けでなされた明細書についての補正の内容からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、 「【請求項1】 開閉器ケース壁面に放圧孔(2)を透設し、前記放圧孔(2)に挿入配置される放圧蓋(7)を、有底の筒状部と同筒状部の周縁に張り出し形成された係合フランジ(7a)と、同係合フランジ(7a)の張り出し平面に沿うように同係合フランジ(7a)から一体に突設されるとともに前記開閉器ケース壁面側に沿うようにクランク状に折曲形成された折曲部(8a)を備えた複数個の取付片(8)とから形成し、 前記放圧孔(2)の内周面と放圧蓋(7)の筒状部外周面間を密接配置し、さらに前記放圧蓋(7)を前記取付片(8)に透設した長孔(9)を介して開閉器ケース(1)にボルト(6)により締付け、前記放圧孔(2)を密閉したことを特徴とするガス開閉器の放圧構造。」 にあるものと認める。 【2】これに対して、 [2-1]上記実開昭60-94748号公報(以下、「甲第1号証」という。)には、その実用新案登録請求の範囲および図面の簡単な説明の記載内容そして第1?3図の図示内容からみて、 開閉器ケース1(本願考案の「開閉器ケース」に相当する。以下、括弧内は本願考案の相当部分を示す。)壁面に放圧孔2(放圧孔)を透設し、前記放圧孔2(放圧孔)に挿入配置される放圧蓋6(放圧蓋)を、有底の筒状部と同筒状部の周縁に張り出し形成されたフランジ状部分6a(係合フランジ)と、同フランジ状部分6a(係合フランジ)の張り出し平面に沿うように同フランジ状部分6a(係合フランジ)から一体に突設された複数個の取付片8(取付片)とから形成し、 前記放圧孔2(放圧孔)の内周面と放圧蓋6(放圧蓋)の筒状部外周面間を密接配置し、さらに前記放圧蓋6(放圧蓋)を前記取付片8(取付片)に透設した長孔9(長孔)を介して開閉器ケース1(開閉器ケース)に取付ボルト5(ボルト)により締付け、前記放圧孔2(放圧孔)を密閉した密閉型開閉器(ガス開閉器)の放圧構造、 が記載されているものと認められる。 [2-2]また、実開昭61-76643号公報(以下、「甲第2号証」という。)には、その実用新案登録請求の範囲および図面の簡単な説明の記載内容そして第1,2,4,5図の図示内容からみて、 開閉器の本体ケース1(開閉器ケース)壁面に放圧孔2(放圧孔)を透設し、前記放圧孔2(放圧孔)に挿入配置される放圧蓋6(放圧蓋)を、有底の筒状部と同筒状部の周縁に張り出し形成された係合フランジ7(係合フランジ)と、同係合フランジ7(係合フランジ)の張り出し平面に沿うように同係合フランジ7(係合フランジ)から一体に突設された複数個の取付片8(取付片)とから形成し、 前記放圧孔2(放圧孔)の内周面と放圧蓋6(放圧蓋)の筒状部外周面間を密接配置し、さらに前記放圧蓋6(放圧蓋)を前記取付片8(取付片)に透設した長孔8a(長孔)を介して開閉器の本体ケース1(開閉器ケース)にボルト9(ボルト)により締付け、前記放圧孔2(放圧孔)を密閉した密閉型開閉器(ガス開閉器)の放圧構造、が記載されているものと認められる。 [2-3]さらに、実公昭59-43627号公報(以下、「甲第3号証」という。)には、その実用新案登録請求の範囲の記載内容、公報第1頁第2欄第18?27行の『1はタンク3の開口部を閉塞する蓋で、・・・・・さらに周縁部にはU字状押え金具2の孔9とともに締付ボルト5を挿通して締付けるための締付金具10が固定されている。』における記載内容、そして第1?4図の図示内容等からみて、 開閉器を収納するタンク3(開閉器ケース)底部に開口部(放圧孔)を開設し、前記開口部(放圧孔)を閉塞すべく配置される蓋1(放圧蓋)を、有底の角筒状部と同角筒状部の底部に角筒状部の外周から張り出すように固設された複数個のU字状押え金具2とから形成し、 前記開口部(放圧孔)の開口端と蓋1(放圧蓋)の角筒状部開口端間を密接配置し、さらに前記蓋1(放圧蓋)を前記U字状押え金具2に透設した孔9を介して開閉器を収納するタンク3(開閉器ケース)の開口部周縁に固設された締付金具10に締付ボルト5により締付け、前記開口部(放圧孔)を密閉した開閉器(ガス開閉器)の放圧装置(放圧構造)、 が記載されているものと認められる。 【3】本願考案と上記甲第1号証乃至甲第3号証に記載されたもの(以下、「甲第1?3号証のもの」という。)とを比較すると、甲第1?3号証のものは、何れも、本願考案における必須の構成要件である 「放圧蓋を、有底の筒状部と同筒状部の周縁に張り出し形成された係合フランジと、同係合フランジの張り出し平面に沿うように同係合フランジから一体に突設されるとともに前記開閉器ケース壁面側に沿うようにクランク状に折曲形成された折曲部を備えた複数個の取付片とから形成し」た構成、 を備えていない。 そして、本願発明は、上記の構成を備えていることにより、 『この考案は、内部短絡等に起因して開閉器ケースの内圧が上昇した際には、長孔が許容する滑り変形による開度量と、取付片の折曲部及び係合フランジの外方への延び変形による開度量との合計分が放圧孔と放圧蓋との間隙形成に寄与し、放圧孔と放圧蓋との間隙を大きくすることができる。 この結果、機器全体が爆発する危険を防止することができるとともに、放圧をスムーズにかつ確実に行うことができる。 又、放圧時に形成される放圧孔と放圧蓋との間隙の調整は、予め長孔の長さ及び取付片の折曲げ量を設定するだけでできるため、取付片の配置個所等の設計を容易に行うことができる。 さらに、取付片を係合フランジの張り出し平面に沿うように、一体に突設し、かつ開閉器ケースの壁面に沿うように折曲部にて折曲形成したことにより、放圧構造全体の高さを低くすることができるため、限られたスペースにも容易に放圧構造を設けることができる。 しかも、仮に取付片が長孔によりスムーズに滑動しなくても、係合フランジ及び折曲部が外方へ延びるように変形して間隙を形成するため、確実に放圧を行うことができる。』(平成9年2月14日付け手続補正書第2頁第23行?第3頁第9行参照。) という明細書に記載の作用、効果を奏するものと認められる。 したがって、本願考案は、当業者が甲第1?3号証のものに基いてきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることができない。 【4】以上述べたとおり、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2000-02-01 |
出願番号 | 実願平1-107681 |
審決分類 |
U
1
80・
121-
WY
(H01H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 秀夫、江畠 博、山崎 達也 |
特許庁審判長 |
岡田 幸夫 |
特許庁審判官 |
和泉 等 長崎 洋一 |
考案の名称 | ガス開閉器の放圧構造 |
代理人 | 恩田 博宣 |