• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   B32B
管理番号 1010512
異議申立番号 異議1999-72419  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-10 
確定日 1999-11-17 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2587171号「防炎シート」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2587171号の実用新案登録を維持する。
理由 I.本件考案
本件実用新案登録第2587171号(平成4年9月30日出願、平成10年10月9日設定登録。)の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】ガラス繊維、ロックウール、フェノ一ル系繊維、アラミド繊維よりなる群から選択された1種以上の、ハロゲンを含まない難燃性繊維より成る布体の少なくとも一方の面に、エチレンプロピレン系、ブチル系、SBR.NR、ポリオレフィン系、ウレタン系ゴムの群より選択された1種以上の、ハロゲンを含まない難燃性ゴム層を設けるとともに、前記難燃性ゴム層はゴム成分100重量部に対し、金属水和物を100?500重量部を含み、更にりん酸化合物及びその塩の一種以上を10?100重量部および/またはりん10?50重量部含むことを特徴とする防炎シート。」
II.申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人林國治は、証拠として甲第1号証(特開昭61一290045号公報)、甲第2号証(特開昭61一185814号公報)、甲第3号証(特開平2一47056号公報)、甲第4号証(特開昭54一8643号公報)および甲第5号証(特開平2一182449号公報)を提出し、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証ないし甲第5号証の刊行物に記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものであり、この実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきである旨主張している。
III.実用新案異議申立人が提出した甲各号証刊行物に記載の考案
甲第1号証の刊行物には、難燃性膜体が記載されており、特許請求の範囲には、「無機繊維から成る布帛と有機繊維からなる布帛とを含んでなる基布と、この基布の表面又は表裏両面に難燃性の天然ゴム、合成ゴム又は合成樹脂からなる防水被覆層を有してなる難燃性膜体。」と記載されている。前記の無機繊維としては、ガラス繊維が例示されており(特許請求の範囲第2項)、また有機繊維としては、木綿、レーヨンなどから選ばれること、または有機繊維として、300℃以上の融点または加熱分解点を有する耐熱性有機合成繊維を含むとされ、その例として芳香族ポリアミド繊維が好ましいとしている(第2頁左下欄第15行及び第3頁左欄17?20行)。また、難燃性防水層の材料としては、天然ゴム、ネオプレンゴム、PVC樹脂、エチレン一酢酸ビニルコポリマ-(EVA)樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ、これらの層には難燃剤が含まれていてもよいが、特に好んで用いられるものは,PVC,シリコーン樹脂、弗素樹脂であると記載されており、さらに塩化ビニル樹脂には、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの難燃剤を添加してもよいことが記載されている(第7頁右上欄第14行?第7頁右下欄第10行)。
甲第2号証の刊行物には、地下トンネルなどに埋設される通信ケーブルに捲回してこれを保護するための難燃性テープが記載されており、その特許請求の範囲には、「基布の一方の片面にゴム層を形成したケーブル保護用難燃性テープにおいて、前記ゴム層は、エチレンプロピレンジエンモノマ-にブチルゴムを95?50:5?50の重量比でブレンドしたゴム基材100重量部に対し、水酸化アルミニウムを150重量部以下、水酸化マグネシウムを200?600重量部配合したものであることを特徴とするケーブル保護用難燃性テープ。」と記載されている。基布としては、従来の難燃性テープにおいて使用されている基布、たとえばガラス布であることができる旨記載されている(第2頁右下欄第8?11行)。このテープは、ハロゲンを含んでいないので燃焼時に有毒ガスを発生することがないと、記載されている(第4頁右上欄第20行?同左下欄第1行)。甲第3号証の刊行物には、発泡プラスチックシート上に難燃性のゴム層を積層した難燃性断熱防水シートが記載されている。
甲第4号証の刊行物には、電子部品および電子機器に主として使用される難燃性接着剤が記載されており、その特許請求の範囲の第1項には、「熱可塑性樹脂からなるベース樹脂に、このベース樹脂100重量部に対して水酸化アルミニウムを40?150重量部、赤リンを5?40重量部、トリフェニルフオスフエ-トを5?15重量部の割合で添加したことを特徴とする難燃性接着剤。」と記載されている。そして、熱可塑性樹脂としてEVA樹脂を用いることが、記載されている(特許請求の範囲第5項)。また、この接着剤は、燃焼時および分解時においては発煙をおさえて人体などに有害な成分を発生しない無公害性にすぐれた接着剤であることが記載されている(甲第4号証第1頁右下欄第7?9行)。
甲第5号証の刊行物には、金属板の上に、ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン層を設けた建材用樹脂被覆金属板が記載されており、ポリオレフィンとしては、低、中、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-α-オレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体、エチレンープロピレンージエンエラストマー等が挙げられると記載されている(第2頁右上欄第9?17行)。また、ノンハロゲン難燃性ポリオレフィン層は、ポリオレフィンに金属水和物を加えた組成物からなり(特許請求の範囲第3項)、金属水和物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が代表的なものであり、その添加量はポリオレフイン100重量部に対して50?200重量部が好ましいと記載されている(第2頁右上欄第18行?同左下欄第6行)。
さらに、組成物に必要に応じて添加される難燃助剤としては、赤りん、カーボンブラック等が代表的なものであり、その添加量はポリオレフイン100重量部にて対し、夫々赤りん10重量部以下、カーボンブラック50重量部以下が好ましいと記載されている(第2頁右下欄第1?2行、同第15?17行)。
IV.対比・判断
本件請求項1に係る考案と甲各号証の刊行物に記載された考案とを対比すると、後者は、材料の難燃化に関するものである点で、前者とそれぞれ関連を有するものであるが、後者の各考案は、ハロゲンを含まない難燃性繊維層と難燃性ゴム層を積層し、後者の層に特定の難燃剤を特定量添加することについては、記載も示唆もされていない。
すなわち、甲第1号証の刊行物には、基布にガラス繊維布を用い、これと共に有機繊維からなる基布を用いるものであり、有機繊維としては300℃以上の融点、または加熱分解点を有する耐熱性有機繊維を含むと記載されているが、木綿や麻などの天然繊維からも選択しうるとも記載されているところから、有機繊維としては特に難燃性繊維を使用することを意図するものでないことは明らかである。また、難燃性被服層には天然ゴム等のハロゲンを含まないゴムの防水層の材料に難燃材が含まれていてもよいとされているが、添加する難燃剤については具体的に記載されていない。
甲第2号証の刊行物には、通信ケーブル保護用のテープの難燃性被服層としてハロゲンを含まない合成ゴムに水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを特定量添加することにより、燃焼時に有毒なガスを発生させないことが記載されているものの、同号証には、ハロゲンを含まない合成ゴムを被覆層として使用する際に、特定量の金属水和物と特定量のりん酸化合物あるいは特定量のりんとの組み合わせ組成物をこれに配合することは、示唆されていない。
甲第3号証の刊行物に記載された考案は、シートではあるが、難燃ゴムシートとして具体的に記載されているのはクロロスルホン化ポリエチレンゴムであって、ハロゲンを含まない難燃性ゴム層に特定の難燃剤を特定量添加することについては、記載も示唆もされていない。
甲第4号証の刊行物に記載された考案は、電子部品用の接着剤であるし、甲第5号証の刊行物に記載された考案は、建材用の金属板の樹脂被覆層である。
そして、本件請求項1に係る考案は、前記の構成により、柔軟性があり、かつハロゲンを含まない難燃性繊維よりなる布体および難燃性ゴム層より成り、後者に特定の難燃剤を特定量含むものであるため、消火時などに有毒ガスを生じることがないという優れた効果を奏すると認めることができる。
それゆえ、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証ないし甲第5号証の刊行物に記載された考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとは認められない。
V.むすび
したがって、実用新案登録異議申立ての理由および証拠によっては、本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-09-30 
出願番号 実願平4-73532 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平井 裕彰野村 康秀  
特許庁審判長 石橋 和美
特許庁審判官 喜納 稔
石井 克彦
登録日 1998-10-09 
登録番号 実用登録第2587171号(U2587171) 
権利者 藤倉ゴム工業株式会社
東京都品川区西五反田2丁目11番20号
考案の名称 防炎シート  
代理人 草間 攻  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ