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審決分類 |
審判 全部申し立て B27D |
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管理番号 | 1010532 |
異議申立番号 | 異議1997-75233 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1997-11-04 |
確定日 | 2000-01-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 実用新案登録第2535179号「化粧版」の請求項1ないし2に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 実用新案登録第2535179号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件登録第2535179号実用新案は、平成3年10月11日に出願され、平成9年2月13日に登録実用新案の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人 辰野 隆より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年4月20日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知されたものである。 2.訂正の適否の判断 上記訂正請求は実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載の中の「木目模様を表現するように疑似導管溝凹所が刻設形成され」、及び「疑似導管溝凹所」を、それぞれ「木目模様を表現するエンボス凹所が刻設形成され」、及び「エンボス凹所」に訂正する事項を含むものである。 しかしながら、上記の「エンボス凹所」は、「疑似導管溝凹所」以外の、エンボス加工される凹所をも含む概念であると認められるところ、本件訂正前の願書に添付した明細書及び図面には、木質板の表面に疑似導管溝凹所を刻設形成することによって疑似木目模様を表現するとの記載しかなく(段落【0010】、【0012】参照)、疑似導管凹所とは異なるエンボス凹所によって疑似木目模様を表現することについては記載されておらず、明細書の他の記載又は図面に記載されたものからみても自明な事項とも認められない。 以上のとおり、当該訂正は、前記訂正拒絶理由で指摘したとおり、訂正前の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてする訂正とは認められないので、その他の点について検討するまでもなく、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第120条の4第3項でさらに準用する同法第126条第2項の規定に違反するので、当該訂正は認められない。 3.実用新案登録異議申立てについての判断 (1)本件考案 本件登録第2535179号実用新案に係る考案1、及び2(以下、それぞれ「本件考案1」、及び「本件考案2」という)は、本件実用新案登録明細書及び願書に添付した及び図面の記載からみて、それぞれ本件実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】天然木目を有する木質板の表面に該天然木目と異なる木目模様を表現するように疑似導管溝凹所が刻設形成され、該疑似導管溝凹所が形成されていない木質板の表面部分においては、該木質板の表面導管溝凹所が隠蔽されることなく残されていることを特徴とする化粧板。 【請求項2】上記表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所内にこれら凹所を残した状態で着色塗装が施されることを特徴とする請求項1の化粧板。」 (2)引用例 実用新案登録異議申立人が提出し、当審において取消理由通知で引用した引用刊行物1(特開昭52-96715号公報)には、次の事項が記載されている。 ▲1▼「ラワン合板の表面板31に・・・(中略)・・・求める木目、導管等のエンボス模様35をエンボスロールにて型押しした。」(第4頁右上欄第17行?左下欄第10行) ▲2▼木目、導管等のエンボス凹部35は木目模様状に形成されていること。(第3図(A)参照) ▲3▼木目、導管等のエンボス凹部35が形成されていないラワン合板の表面板31の表面部分においては該ラワン合板の表面板31導管溝凹部33は凹部として残されていること。(第3図(A)参照) ▲4▼「導管着色剤36[・・・(中略)・・・]をリバースコーターにて塗布すると導管溝凹部33及びエンボス凹部35が着色された。」(第4頁左下欄第11?18行) ▲5▼この着色塗装は、導管溝凹部33及び木目、導管等のエンボス模様35内にこれら凹部を残した状態で施されること。(第3図(A)及び(B)参照) ▲6▼「酸硬化型アミノアルキド樹脂塗料39(実施例1に同じ)をフローコーターにて全面に塗装し加熱乾燥すると導管溝凹部33エンボス凹部35及び骨格部38の部分は光沢が低下し(光沢50?60)其の他の部分は光沢80以上を有する全体として光沢差のある美しい仕上げが得られた。」(第4頁右下欄第11?17行) ▲7▼「熱硬化型アミノアルキド樹脂クリヤー塗料[アミノアルキド樹脂ワニス56%、トリオール15%、ブチルアルコール25%、エチルアルコール4%なる配合にパラトルエンスルホン酸3%を添加する]」(実施例1の記載である第3頁右下欄第10から14行) ここで、「木目」は、材木の断面に年輪、繊維、導管、髄線などの木材組織の配列が種々の模様をなして表れているものである(広辞苑、広辞林等参照)ので、ラワン合板の表面板31が導管溝凹部等の木材組織の配列に起因してその断面に表れる天然木目を有することは技術常識であり、また、上記記載事項▲3▼、▲6▼及び▲7▼から導管溝凹部33は隠蔽されることなく残されているといえるので、結局、引用刊行物1には、 「ア.天然木目を有するラワン合板の表面板31の表面に該天然木目と異なる木目模様を表現するように導管のエンボス凹部35が刻設形成され、該導管のエンボス凹部35が形成されていないラワン合板の表面板31の表面部分においては、該ラワン合板の表面板31の導管溝凹部33が隠蔽されることなく残されている化粧板。 イ.上記導管溝凹部33及び導管のエンボス凹部35内にこれら凹部を残した状態で着色塗装が施されること。」が記載されているものと認められる。 (3)対比・判断 ▲1▼本件考案1について 本件考案1と上記引用刊行物1に記載された考案とを対比すると、上記引用刊行物1に記載のものの「ラワン合板の表面板31」、「導管のエンボス凹部35」、及び「導管溝凹部33」は、それぞれ本件考案1の「木質板」、「疑似導管溝凹所」、及び「表面導管溝凹所」に相当するので、両者は、ともに「天然木目を有する木質板の表面に該天然木目と異なる木目模様を表現するように疑似導管溝凹所が刻設形成され、該疑似導管溝凹所が形成されていない木質板の表面部分においては、該木質板の表面導管溝凹所が隠蔽されることなく残されている化粧板。」であって相違するところがない。したがって、本件考案1は、上記刊行物1に記載された考案である。 ▲2▼本件考案2について 本件考案2で限定された、表面導管溝凹所(引用刊行物1に記載のものの導管溝凹部33がこれに相当する)及び疑似導管溝凹所(同導管のエンボス凹部35がこれに相当する)内にこれら凹所を残した状態で着色塗装が施されことも上記2.(2)イ項に示したように上記刊行物1に記載されており、本件考案2も上記刊行物1に記載された考案である。 (4)むすび 以上のとおり、本件考案1及び2は、本件実用新案登録に係る出願の出願前に国内において頒布された刊行物1に記載された考案であり、本件考案に係る実用新案登録は実用新案法第3条第1項の規定に違反してなされたものである。 したがって、本件考案1及び考案2についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。 よって、本件考案は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-11-12 |
出願番号 | 実願平3-91559 |
審決分類 |
U
1
651・
113-
ZB
(B27D)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 前田 建男 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
桐本 勲 鈴木 孝幸 |
登録日 | 1997-02-13 |
登録番号 | 実用登録第2535179号(U2535179) |
権利者 |
株式会社ノダ 東京都台東区浅草橋5丁目13番6号 |
考案の名称 | 化粧板 |
代理人 | 桂木 雄二 |
代理人 | ▲桑▼原 史生 |