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審決分類 審判 全部申し立て   E04B
審判 全部申し立て   E04B
管理番号 1010540
異議申立番号 異議1998-74140  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-17 
確定日 2000-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2568832号「床構造」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2568832号の実用新案登録を維持する。
理由 [1] 手続きの経緯
実用新案登録第2568832号の請求項1に係る考案は、平成4年10月15日に実用新案登録出願されたものであって、平成10年1月16日に実用新案登録の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人平井英男、及び樫内源次により実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年4月28日に訂正請求がなされたものである。
[2] 訂正の適否
[2-1] 訂正請求について
本件の訂正請求は、実用新案登録第2568832号の明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり、下記a、bのように訂正することを求めるものである。
訂正の内容
a.実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載、
「【請求項1】和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、
前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にしたことを特徴とする床構造」
を、
「【請求項1】和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、 前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
しかも該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にしたことを特徴とする床構造」
と訂正する。
b.実用新案登録明細書の段落【0005】の記載、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にするようにしたものである。」
を、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、しかも、該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にするようにしたものである。」と訂正する。
訂正の適否
上記訂正事項aは、実用新案登録明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1の記載事項、即ち、受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔を、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に限定するもので、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、
上記訂正事項bは、上記訂正事項aによる実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い生じる、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う、明りょうでない記載の釈明に該当する。
これら訂正事項a、bは、実用新案登録明細書の段落【0009】の記載に基づく訂正であるから、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内の訂正と認められ、又、訂正事項a、bは、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された事項によって構成される考案の目的の範囲内のものであり、実質上に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
[2-2]独立登録要件について
当審が通知した取消理由で引用した
刊行物1『「建築知識」1994年4月号「特集 高齢者にやさしい“住まいづくり”入門部分構成要素チェックポイント」 p.94?95参照』には、
「高齢者用住宅の設計ではこうした高齢者の身体特性をよく考慮し、屋内の床面をフラットにする。」旨の記載(第94頁第2段第1?3行の記載参照)があり、
同頁第1図には、フローリングとほぼ同一の厚みの合板上にフローリングを敷設した洋室の床構造が記載(図示)されており、更に、第1図を解説して、
「屋内の床面の段差の解消方法は、?中略?、和室と洋室(廊下)間では束高さで調節する(図1)」(第95頁第11行?同頁2段第2行の記載参照)
旨の記載がある。
すなわち、刊行物1に記載の考案では、和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一とするための床構造は、床パネルの位置は束高さによっており、本件の請求項1に係る考案のように、
垂直部の高さをフローリングと畳の寸法差とした受金物を使用する点、
和室側の床に開口を設け、該開口に受金物を対向状態取り付ける床構造、
についての記載はない。
刊行物2(実公昭52-44353号公報)には、
床開口の端面上部には、係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上辺と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるZ字状の係着金具を用いた床構造であって、Z字状の係着金具への床パネルの取り付け位置を調整することにより床パネルの敷設高さを変更するものであるから、外観的には、本件の請求項1に係る考案の受金物と類似するZ字状の係着金具を用いた床構造に関する考案が記載されているが、単に床面の高さ調節のための考案であって、和洋室間の床面の高さを面一とし、該係着金具の上下水平片間の垂直部の高さを畳みとフローリングの厚さの差に設定のする構成、及び和室側開口面と係着金具の取り付け構造との相関関係についての記載ではない。
刊行物3(特開平2-300453号公報)には、
アングル材を溶着等の結合手段により、」状のものと、「状のものとを適宜の高さに背中合わせに溶着して、一体かつZ字状の支持金具とすることにより、床パネルの敷設高さを調整して床面レベルを自在に変更することができる床構造についての記載はあるが、和室と洋室の床面レベルを面一とするために支持金具を用いる点、及び、該支持金具の構成と和洋室の床部の構成との相関関係についての記載はない。
以上のように、刊行物1?3には、本件の請求項1に係る考案に欠くことのできない事項である、
和洋室間の床面レベルをそろえる目的で、和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設される構成、及び、
該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定された構成、
についての記載、及びそれを示唆する記載はなく、
本件の請求項1に係る考案は、上記刊行物1?3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるとすることはできず、また、他に実用新案登録を受けることができないとする理由も発見できないから、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
[2-3] むすび
したがって、上記訂正請求は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用し、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項の規定においてさらに準用する同法第126条第2?4項の規定に適合するものであり、当該訂正を認める。
[3] 実用新案登録異議の申立について
[3-1] 実用新案登録異議申立人の主張
異議申立人平井英男は、甲第1?4号証を提示し、
実用新案登録第2568832号の請求項1に係る考案は、甲第1?4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない旨の主張(以下、異議理由1という。)をしている。
実用新案登録異議申立人樫内源次は、甲第1?5号証を提示し、
実用新案登録第2568832号の請求項1に係る考案は、
甲第1?3号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない旨の主張、及び、
甲第4号証に記載された考案と同一の考案であり、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当するものであるから、実用新案登録を受けることができない旨の主張をしている(以下、異議理由2という。)。
なお、甲第5号証については、パネル受け金物の取り付け方法が周知技術であることの根拠として提示した旨の主張をしている。
[3-2] 対比・判断
異議理由1について
異議申立人平井英男の提示した甲第1?4号証について検討すると、
甲第1号証『「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」 p.11及び16 「第1章共通事項 1.段差」 財団法人リフォームセンター、財団法人住宅金融普及協会初版平成2年10月発行』には、
つか高さの上げ下げ或いは根太寸法を変えることにより、和室側の床の上面と洋室(廊下)の床の上面とをそろえる構成について図面と共に記載しているが(新設する場合と改良する場合)、前記刊行物1と同様、床パネルの支持を受金物により行う床構造についての記載はない。
甲第2号証は、[2-2]で検討した刊行物2である。
甲第3号証は、[2-2]で検討した刊行物3である。
甲第4号証[実願平2-98753号(実開平4-55915号)のマイクロフィルム]には、
プレキャストコンクリート板或いはALC板からなる床パネルの取り付け装置に関し、梁上に床パネルを載置してボルト止めすることなく、略Z字状の取り付け部材を梁上に取り付け、該取り付け部材上に床パネルを載置固定するものであって、
取り付け強度の低下を防止し、天井スペースを高くし、柱などの梁への取り付けを容易にすることが可能とする技術が記載されているが、本件の請求項1に係る考案のように、和室と洋室の床面のレベルをそろえるための受金物の使用と、該受金物を使用するための床構造についての記載はない。
甲第5号証[実願昭57-180420号(実開昭59-84123号)のマイクロフィルム]には、
梁鉄骨間にPCパネルのパネルを取り付けるに際し、梁鉄骨の側面部にブラケットを取り付けることなく、梁鉄骨の上側フランジに略Z字状のパネル受け金物を取り付けて、梁鉄骨の側面部の補強を省略したものが記載されているが、本件の請求項1に係る考案のように、高齢者のために、和洋室間の床面のレベルをそろえるための受金物の使用と、該受金物使用のための床構造についての記載はない。
上記したように、甲第1?5号証には、前記[2-2]において既に検討した本件の請求項1に係る考案に欠くことのできない事項である、本件の請求項1に係る考案と前記刊行物1?3との相違点とする構成についての記載、及びそれを示唆する記載はないから、
前記[2-2]において検討したのと同じ理由により、本件の請求項1に係る考案が、甲第1?4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるとすることはできない。
異議理由2について
甲第1号証は、上記[2-2]において検討した刊行物1であり、
甲第2号証は、上記異議理由1において検討した甲第4号証である。
甲第3号証[実願昭61-38808号(実開昭62-151310号)のマイクロフィルム]には、梁から床パネルの突出寸法が小さく、堅牢で、墨打ちを行う必要のない床パネルの取り付け装置に関し、梁上面のフランジ部にボルトナットにより取り付けた略Z字状の床受け材によるコンクリート系床パネルの取付構造に関する技術について図面と共に記載されている。
甲第4号証(住宅金融公庫承認工場生産住宅・高齢化社会対応住宅適合仕様シート集)には、
床パネルの受金物は、I型鋼との固定部である梁鉄骨の側面部から上側フランジに沿う部分と、

該床パネルの受金物は、フローリング面と畳の上面とを面一にするための立ち下がり部を有するものであって、該立ち下がり部は、フローリングの厚さとモルタル層の厚さの和と、和室に敷かれる畳の厚さとの差に設定されているものと認められ、和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置するようにしたものが図示されている。
甲第5号証[実願昭53-73677号(実開昭54-175817号)のマイクロフィルム]には、
基礎上面に取り付けられた略Z字状のパネル取付金物で床パネルの支持を行うパネル取付構造が図面と共に記載されている。
実用新案法第3条第2項違反について
甲第1?3号証には、上記のように、本件の請求項1に係る考案に欠くことのできない事項である、本件の請求項1に係る考案と前記刊行物1?3との相違点とする構成についての記載、及びそれを示唆する記載はないから、甲第5号証に記載されている周知技術の存在を考慮しても、前記[2-2]において検討した結果と同じ理由により、本件の請求項1に係る考案が、甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるとすることはできない。
実用新案法第3条第1項第3号違反について
甲第4号証に記載されている床パネルの受金物に相当する部材の構成が、
本件の請求項1に係る考案とは相違して、躯体側取り付け部が、床開口の端面上部ではなく、I型鋼からなる梁鉄骨の側面部である点、
和洋室間の取り付け構造は図示されているが、床開口の対向端面の取り付け構造は図示されておらず、不明である点、及び、
受金物の躯体側取り付け部上面と床パネル側取り付け部との間隔が、
洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差ではなく、洋室のフローリングと下面のモルタル層との厚さの和と、和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されている点、
で両者の構成が相違するものであり、
甲第5号証に記載されている周知技術の存在を考慮しても、甲第4号証に記載された考案と同一の考案とすることはできない。
[4] むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
床構造
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、
前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
しかも該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にしたことを特徴とする床横造。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パネル工法で建てられる建物においては、同じ階の床パネルはその上面が略面一に敷設される。従って例えば図4に示したように床パネル11の上面に、畳12が敷かれた和室とフローリング13が張られた洋室とが敷居14を挟んで隣接している場合、その敷居14部分に畳12とフローリング13の厚みの差分の段差が生じていた。すなわち、和室の畳12の上面が洋室のフローリング13の上面より一段高くなっていた。
【0003】
一方、近年では高齢者のケアを配慮した住宅が注目されており、上記したような建物内の段差を解消することが重要な課題となっている。
そこで上記の如く洋室と和室とが隣接している場合には、例えば図5に示したように洋室側の床パネル11とフローリング13との間に畳12とフローリング13の厚みの差分の桟木15を所定の間隔で介在させて、畳12の上面とフローリング13の上面とを略面一にすることが行われている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、洋室側の床パネル11とフローリング13との間に、畳12とフローリング13の厚みの差分の桟木15を介在させる方法は、洋室側の床パネル11全面に桟木15を配置しなければならず、手間がかかるうえ、桟木15と桟木15との問においてフローング13が撓む等してきしみ音が生じるという問題があった。
本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、和室と洋室の境界部分の段差を解消することができると共に、洋室側のフローリングのきしみ音の発生を防止することができる床構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、しかも該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にするようにしたものである。
【0006】
【作用】
本考案の床構造によれば、和室側の床パネルの上面を洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置して、前記和室側の床パネルの上面に敷かれる畳の上面と前記洋室側の床パネルの上面に張られるフローリングの上面とを略面一にするので、前記和室と洋室との境界部分に段差が生じない。しかも、前記洋室のフローリングは該洋室側の床パネルの上面に直接張られるので、きしみ音が発生することがない。
【0007】
【実施例】
以下、本考案に係る床構造の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本考案の床構造の一実施例を示した概略断面図であり、紙面に対して手前及び/又は奥に洋室が配置されている場合の和室の床構造を示したものである。また、図2は図1に示した和室とこれに隣接する洋室との境界部分を示した模式図である。
【0008】
図中20は所定の間隔で設置された基礎であり、和室側の床には例えばこの基礎20により床開口21が設けられている。また洋室側には、従来と同様に基礎20上に床パネル40が敷設されており、床パネル40の上面にはフローリング13が張られている。
上記した和室側の床開口21の端面21aには、例えば図3に示した如く和室の床の一辺の長さを有する受金物30が対向状態で取り付けられており、受金物30間には床パネル22が敷設されている。
【0009】
すなわち受金物30は、上片31aが上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部31と、躯体側取り付け部31の下端から上片31aと反対方向に、かつ上片31aに略平行に延出された床パネル側取り付け部32とから構成され、躯体側取り付け部31の高さは洋室のフローリング13の厚さと和室に敷かれる畳12の厚さの差と略等しい寸法に形成されている。また躯体側取り付け部31の上片31a及び床パネル側取り付け部32にはそれぞれ、複数個のボルト孔33、34が所定の間隔で穿設されている。そして躯体側取り付け部31は、その上片31aを床開口21の端面21a上部、つまりここでは基礎20の天端に係止させ、かつ上片31aのボルト孔33に後述するアンカーボルト26を挿通させることにより床開口21の端面21aに取り付けられている。
【0010】
一方、受金物30の床パネル側取り付け部32には床パネル22の端部がボルト24によって取り付けられている。つまり、床パネル22の端部には所定の間隔で中心にボルト孔23aが設けられた座堀23が形成されており、このボルト孔23aと床パネル側取り付け部32のボルト孔34にボルト24を挿通させることによって床パネル側取り付け部32に床パネル22が取り付けられ、各受金物30間に床パネル22が敷設された状態となっている。
このように和室側の床パネル22は、基礎20の天端と略等しいレベル位置にある上片31aよりフローリング13の厚さと畳12の厚さの差分下方に形成された床パネル側取り付け部32に取り付けられているので、和室側の床パネル22の上面は洋室側の床パネル40よりもフローリング13の厚さと畳12の厚さの差分下位に敷設される。
【0011】
そして上記のようなレベル位置に敷設された和室側の床パネル22の上面には、従来と同様に畳12が敷かれる。
従ってこの畳12の上面は、従来よりも洋室のフローリング13の厚さと和室の畳12の厚さの差分下がった位置に置かれることとなり、図2に示したように畳12の上面とフローリング13の上面は略面一になる。
【0012】
なお、本実施例においては受金物30が取り付けられた一方の基礎20上には、土台27を介して壁パネル28が設置されており、受金物30の上片31a、土台27及び壁パネル28はアンカーボルト26によって基礎20に固定されている。また受金物30が取り付けられた他方の基礎20上には、隣室の床パネル25の端部及び半割材29が配置され、さらにこれらの上面には壁パネル28が設置されており、床パネル25、半割材29及び壁パネル28は同じくアンカーボルト26によって基礎20に固定されている。従って、受金物30の上片31aは土台27と基礎20、あるいは床パネル25及び半割材29と基礎20に挟まれた状態で固定されているので、受金物30は和室側の床パネル22を確実に支持する。
【0013】
以上の如く本実施例の床構造においては、和室側の床パネル22が洋室側の床パネル40のレベル位置よりも、洋室のフローリング13の厚さと和室の畳12の厚さの差分下がった位置に敷設され、和室の畳12の上面と洋室のフローリング13の上面を略面一とすることができるので、和室と洋室の境界にある敷居14部分での段差をほぼなくすことができる。従って、敷居14でつまづいたりする危険性が少なく高齢者のケアを配慮したものとなる。
また洋室のフローリング13は床パネル40の上面に直接張られており、フローリング13が撓むことがないので、きしみ音の発生を防止することができる。
【0014】
なお、本実施例では受金物30として図1及び図2に示した形状のものを用いた場合について述べたが、受金物30は上片31aが上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部31と躯体側取り付け部31の下端から上片31aと反対方向に、かつ上片31aに略平行に延出された床パネル側取り付け部32とからなるものであれば良く、その他従来用いられている金物を用いることもできるのは言うまでもない。
【0015】
【考案の効果】
以上説明したように本考案の床構造によれば、和室側の床パネルが洋室側の床パネルのレベル位置よりも、洋室のフローリングの厚さと和室の畳の厚さの差分下がった位置に敷設され、和室の畳の上面と洋室のフローリングの上面を略面ーとすることができるので、和室と洋室の境界部分での段差をほぼなくすことができる。従って、境界部分でつまづいたりする危険性が少なく高齢者のケアを配慮したものとなる。
また洋室のフローリングは床パネルの上面に直接張られており、フローリングが撓むことがないので、きしみ音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の床構造の一実施例を示した概略断面図である。
【図2】
和室とこれに隣接する洋室との境界部分を示した模式図である。
【図3】
受金物と床パネルの取り付け部分を示した分解斜視図である。
【図4】
従来の床構造の一例を示した模式図である。
【図5】
従来の床構造の他の例を示した模式図である。
【符号の説明】
12 畳
13 フローリング
21 床開口
21a 端面
22 床パネル
30 受金物
31 躯体側取り付け部
31a 上片
32 床パネル側取り付け部
40 床パネル
訂正の要旨 本件訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮及び、明りょうでない記載の釈明を目的として実用新案登録明細書及び図面を下記a、bのように訂正するものである。
a.実用新案登録請求の範囲の記載、
「【請求項1】和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、
前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にしたことを特徴とする床構造」
を、
「【請求項1】和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、
前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
しかも、該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にしたことを特徴とする床構造」と訂正する。
b.実用新案登録明細書の段落【0005】の記載、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にするようにしたものである。」
を、
「【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案は、和室の隣室に洋室が配置され、前記和室側の床パネルの上面に畳が敷かれると共に、前記洋室側の床パネルの上面にはフローリングが張られる床構造において、
前記和室側の床パネルは、該和室側の床に開口を設け、その床開口の端面に対向状態で取り付けた受金物間に敷設されるものであって、
該受金物は、前記床開口の端面上部に係止される上片が上端に形成された側面視略逆L字状の躯体側取り付け部と、その躯体側取り付け部の下端から前記上片と反対方向に、かつ該上片に略平行に延出された床パネル側取り付け部とからなるもので、
しかも、該受金物の躯体側取り付け部上片と床パネル側取り付け部との間隔が、洋室のフローリングの厚さと和室に敷かれる畳の厚さの差に設定されており、
その床パネル側取り付け部に前記和室側の床パネルを取り付けて、該和室側の床パネルの上面を前記洋室側の床パネルの上面よりも下位に配置することにより、前記和室の畳の上面と前記洋室のフローリングの上面とを略面一にするようにしたものである。」と訂正する。
異議決定日 1999-12-17 
出願番号 実願平4-78439 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (E04B)
U 1 651・ 113- YA (E04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 忠夫  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 鈴木 公子
外山 邦昭
登録日 1998-01-16 
登録番号 実用登録第2568832号(U2568832) 
権利者 ミサワホーム株式会社
東京都杉並区高井戸東2丁目4番5号
考案の名称 床構造  
代理人 土井 清暢  
代理人 土井 清暢  
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