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審決分類 審判 全部申し立て   F16H
管理番号 1010542
異議申立番号 異議1999-71029  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-18 
確定日 2000-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2582061号「ボールねじ及びそのシール装置」の請求項1ないし5に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2582061号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)手続の経緯
本件実用新案登録第2582061号に係る出願は、平成4年12月4日に実用新案登録出願され、平成10年7月17日に設定登録がされたものであって、平成11年3月18日に特許異議申立人・廣原 守より実用新案登録異議申立がなされ、平成11年6月1日付けで取消理由が通知され、それに対して平成11年8月23日に訂正請求がされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
イ、訂正の要旨
本件実用新案登録に係る上記手続補正がなされた訂正請求は、願書に添付した明細書(以下、「実用新案登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の欄について、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、以下の▲1▼?▲9▼のとおり訂正しようとするものである。
▲1▼訂正事項1
実用新案登録請求の範囲の記載について、実用新案登録明細書における請求項3を削除するとともに、その請求項1,2,4,5を次の請求項1,2,3,4のとおりに訂正する。
「【請求項1】
ねじ軸の螺旋溝に係合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項2】
ねじ軸の螺旋溝に係合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項3】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。
【請求項4】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。」
▲2▼訂正事項2
明細書の【0003】欄を次のとおりに訂正する。
「【考案が解決しようとする課題】
上記シール装置は、シール部材25をねじ軸21に嵌合した後、ボールナット22に螺着した止めねじ29で固定するものであり、突部25aと螺旋溝21aとの間の嵌合すきまはシール部材25とねじ軸21の寸法関係に依存している。そのため、シール部材25をねじ軸21の寸法誤差によって突部25aと螺旋溝21aとの間に大きなすきまが生じ、使用条件によっては、シール性に不足をきたす場合がある。」
▲3▼訂正事項3
明細書の【0006】欄を次のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】
請求項1に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材を複数部分に軸方向に分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項2に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。」
▲4▼訂正事項4
明細書の【0007】欄を次のとおりに訂正する。
「請求項3に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項4に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。
以上の構成において、前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、前記補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する。」
▲5▼訂正事項5
明細書の【0008】欄を次のとおりに訂正する。
「いずれの考案もシール部材を固形潤滑剤で形成したものであるが、請求項1および請求項3はシール部材自体を分割したもの、請求項2および請求項4はシール部材を部分的に分割したものである。嵌合すきまがゼロ以下とは、嵌合すきまがゼロの状態あるいは締代をもった状態(マイナスすきま)をいう。」
▲6▼訂正事項6
明細書の【0009】欄を次のとおりに訂正する。
「固形潤滑剤で形成したシール部材の突部とボールねじの螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたことにより、両者間の摺接部における摩擦抵抗が低減し、これに伴うトルク損失の減少並びに摩擦による発熱が抑制される。シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材の突部をねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。ねじ軸の螺旋溝の表面に付着した異物は、シール部材の分割面よって掻き取られる。補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのを防止する。シール部材は固形潤滑剤で形成されており、その組織内には潤滑成分が保持されている。ボールねじのトルク伝達時、シール部材の組織内に保持された潤滑成分が、突部と螺旋溝との摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗が低減する。」
▲7▼訂正事項7
明細書の【0013】欄を次のとおりに訂正する。
「シール部材5の3つの分割部分は、それぞれボールナット2のねじ穴2bに螺着したボールプランジャ8によって内径方向に弾性的に圧迫される。そのため、図1bに拡大して示すように、突部5aと螺旋溝1aの嵌合すきまは、ゼロあるいは僅かにマイナス(締代をもった状態)になっている。尚、シール部材5の各分割部分間には僅かなすきまがある。このように、突部5aが螺旋溝1aに密着して摺接するので、ボールナット2内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、シール部材5の各分割面5bが、螺旋溝1aの表面に付着した異物を掻き取るので、従来のものに比べ、シール性は極めて高い。補助リング6は、この掻き取られた異物が分割面5bを通ってボールナット2内に侵入しようとするのを防止する。さらに、シール部材5がプラスチックグリースで形成されているため、ボールねじのトルク伝達時、シール部材5の組織内に保持された潤滑成分が、突部5aと螺旋溝1aとの摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗を低減する。そのため、このシール装置は、突部5aを螺旋溝1aに密着させているにもかかわらず、トルク損失が少なく、また摺接部における摩擦による発熱も少ない。」
▲8▼訂正事項8
明細書の【0014】欄を次のとおりに訂正する。
「図3および図4に示す実施例は、シール部材5の、ボールナット2の外方側に向いた端面5cから途中部分までを複数の軸方向スリット5dで分割すると共に、これら分割部分をガータスプリング10で内径方向に弾性的に圧迫するようにしたものである。この実施例のシール部材5も、上述したプラスチックグリースで形成されている。上述したシール装置と同様の作用効果を奏する。尚、この実施例において、シール部材5の各分割面5bによって螺旋溝1aの表面から掻き取られた異物は、シール部材5の分割されていないリング部分5eによってボールナット2内への侵入を阻止される。したがって、上述した補助リング6は配置されていない。」
▲9▼訂正事項9
明細書の【0017】欄を次のとおりに訂正する。
「【考案の効果】
本考案によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝にゼロ以下の嵌合すきまをもって密着し、しかも、シール部材を固形潤滑剤で形成してあるため、シール性が向上するのみならず、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗が著しく低減し、これによりトルク損失が減少し、摩擦による発熱も抑制される。また、シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材及びねじ軸の寸法誤差に関係なく、シール部材の突部を常にねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。そのため、ボールナット内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、螺旋満の表面に付着した異物がシール部材の分割面によって掻き取られ、しかも、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのが補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分によって防止されるので、従来のものに比べ、シール性を著しく向上させることができる。」
ロ、訂正の適否
▲1▼,上記訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の請求項1,2記載の考案については、ボールねじのシール装置について、
(a)シール部材が固形潤滑剤で形成されている点。
(b)分割部分が弾性力を加えて圧迫する点。
(c)シール部材の凸部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールする点。
(d)分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取る点。
(e)補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する点。
を追加して記載したものである。
そして、それらの追加して記載された事項は、実用新案登録明細書の請求項1,2の減縮を目的とするものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、それらの訂正事項は実用新案登録明細書の【0012】、【0013】欄並びに願書に最初に添付した明細書の【0012】、【0013】欄に記載されていた事項の範囲内のものと認められる。
また、実用新案登録請求の範囲の請求項3,4記載の考案については、ボールねじについて、上記a,b,c,d,eの各点を追加して記載したものであり、それらの追加して記載された事項は、実用新案登録明細書の請求項4,5を減縮するものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、それらの訂正事項は実用新案登録明細書の【0012】、【0013】欄並びに願書に最初に添付した明細書の【0012】、【0013】欄に記載されていた事項の範囲内のものと認められる。
また、その余の訂正事項2ないし9に係る訂正は、いずれも実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い、考案の詳細な説明の記載を実用新案登録請求の範囲の記載と整合させるものであって明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、実用新案登録明細書並びに願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
よって、これらの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項並びに特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。
▲2▼,独立実用新案登録要件の判断
[訂正考案]
訂正後の考案(以下、「訂正考案」という。)は、上記イの▲1▼に記載した訂正後の実用新案登録請求の範囲第1項ないし第4項に記載されたとおりのものである。
[甲各号証記載の考案]
これに対して、実用新案登録異議申立人・廣原 守が提示した、本件に係る出願の出願日前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第5号証には、それぞれ以下の考案が記載されている。
甲第1号証(米国特許第2818745号明細書);
ボールねじのシール装置において、弾性材よりなる掃除セグメント24を複数部分に分割し、該分割部分を嵌合すきまがゼロ以下になるように内径方向に弾圧(図6参照。)する点。
甲第2号証(特開昭55-47045号公報);
断面形状L字形保持部材8にシール部材5を接着したボールねじ軸のシール装置。
甲第3号証(米国特許第2793538号明細書);
ボールねじの防塵のためのワイパーにおいて、外側スリーブ20とその内部に嵌め込んだ内側スリーブ22でワイパーを構成し、当該外側スリーブ20の歯状突起32は、ねじ溝14に接触するとともに複数の軸方向スリットで分割されており、かつ、歯状突起32の弧の直径はねじ溝14の弧の直径よりもやや小さく(図7,8参照)されている点。
甲第4号証(実願昭61-23999号(実開昭62-134957号)のマイクロフィルム);
ボールねじのシール装置において、シール材9を固形潤滑剤で形成した点。
甲第5号証(実公昭41-15219号公報);
ボールねじのシール装置において、シールナット6に斜めに切割7を設け、該シールナット6を輪状弾性材9で内径方向に弾圧し、切割7に喰違状になろうとする傾向を与えてシールナット6をねじ形面に圧接する点。
[本件考案と甲各号証記載の考案との対比・判断]
1,請求項1に係る考案について、
請求項1に係る考案と甲第1号証記載の考案とは、
「シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしている」
点で一致している。
しかし、以下の点で、請求項1に係る考案と甲第1号証記載の考案とには相違がある。
相違点▲1▼;シール部材を固形潤滑剤で形成する点。
相違点▲2▼;補助リングを有し、その補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する点。
相違点▲3▼;ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部は、螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、螺旋溝に密着してボールナット内をシールするとともに、シール部材の各分割部分間には僅かなすきまがあり、分割部分の分割面は螺旋溝に付着した異物を掻き取る点。
そこで、上記相違点▲1▼?▲3▼について検討する。
相違点▲1▼のシール部材を固形潤滑剤で形成する点については甲第4号証に記載があり、ボールねじのシール装置に適用することに困難性はない。
相違点▲2▼については、甲第2号証に記載された、断面形状L字形保持部材8は、単なるシール部材5を保持するもので、シール部材5に異物を掻き取る作用はないから、異物が分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する点を示唆するものではなく、甲第3?5号証にも何ら記載がない。
相違点▲3▼については、甲第3号証に、ボールねじの防塵のためのワイパーにおいて、外側スリーブ20とその内部に嵌め込んだ内側スリーブ22でワイパーを構成し、当該外側スリーブ20の歯状突起32は、ねじ溝14に接触するとともに複数の軸方向スリットで分割されており、かつ、歯状突起32の弧の直径はねじ溝14の弧の直径よりもやや小さく(図7,8参照)されているものが記載されているが、これはシール装置とは別に設けられた防塵装置(ワイパー)であり、異物の掻き取り作用も、請求項1記載の考案のように内径方向に弾性力を加えるものではなく、その図7から明らかなように、軸の長手方向に弾性力を加えるもので異物の掻き取りの作用が異なり、請求項1記載の考案の、シールと、潤滑と、異物の掻き取りと、掻き取られた異物の侵入防止とを同時に図る点を意図したものではない。
さらに、甲第3号証記載の考案は、シール部材を複数部分に軸方向に分割したものではないから、ワイパーがシール部材に相当するとしても、異物掻き取り作用はシール部材の全長に亘って行えるものでもない。
また、甲第5号証には、結果的に内径方向に弾性力を加えるシール装置が記載されているが、異物の掻き取りについて示唆するところはない。
また、相違点▲3▼について、その余の甲各号証に示唆するところはない。
{なお、甲第1号証記載の考案も、シール部材(掃除セグメント24)のフィン31の分割部分(図6における端面部)において僅かなすきまがあり、螺旋溝に付着した異物を掻き取るが、その掻き取る作用は図1から明らかなように薄く形成されたフィン31の僅かな幅部分にすぎす、しかも、掻き取られた異物はフィン31の両脇部分に残留するものであるのに対し、請求項1記載の考案においては、ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部が、螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、螺旋溝に密着してボールナット内をシールする(相違点▲3▼参照)ことによってねじ軸の螺旋溝全体の付着した異物を掻き取ることができるのものであって、フィン31の先端の薄い幅部分と請求項1記載の考案の突部とは同一視できるものではない。}
したがって、訂正後の請求項1に係る考案は、甲各号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
2,請求項2に係る考案について、
請求項2に係る考案と甲第3号証記載の考案とは、
「シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分に弾性力を加えて圧迫し、
螺旋溝に嵌合する突部は、前記螺旋溝に対応したやや曲率半径の小さい形状及び寸法を有し、螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間にはすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取る」
点で一致している。
しかし、以下の点で、請求項2に係る考案と甲第3号証記載の考案とには相違がある。
相違点▲1▼;シール部材を固形潤滑剤で形成する点。
相違点▲2▼;スリットからなる分割部分に内径方向に弾性力を加えて圧迫する点。
相違点▲3▼;ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部は、螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、螺旋溝に密着してボールナット内をシールするとともに、シール部材の各分割部分間には僅かなすきまがあり、分割部分の分割面は螺旋溝に付着した異物を掻き取る点。
相違点▲4▼;シール部材の分割されていないリング部分は、掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する点。
そこで、上記相違点▲1▼?▲4▼について検討する。
相違点▲1▼のシール部材を固形潤滑剤で形成する点については甲第4号証に記載があり、ボールねじのシール装置に適用することに困難性はない。
相違点▲2▼については、甲第3号証記載の考案においては分割部分に弾性力を加えて圧迫を加えている点では一致しているものの内径方向の弾性力ではなく、その図7から明らかなように、軸の長手方向に弾性力を加えるもので異物の掻き取りの作用が異なり、請求項2記載の考案の、シールと、潤滑と、異物の掻き取りと、掻き取られた異物の侵入防止とを同時に図る点を意図したものではない。
また、甲第3号証記載の考案は、シール部材に相当するとも認められる外側スリーブ20の先端部(図1で左側)のみに歯状突起32があるから、異物掻き取り作用はシール部材の全長に亘って行えるものでもない。
また、甲第1,5号証記載の考案には、相違点▲2▼について、分割部分に内径方向に弾性力を加えて圧迫する点について記載があるものの、これを甲第3号証記載の考案に適用しても、上記のとおり、甲第3号証記載の考案は内径方向の弾性力を利用したものではないから、相違点▲2▼が導き出せるものでもない。
さらに、甲第2号証には、相違点▲2▼について示唆するところはない。
相違点▲3▼については、上記請求項1記載の考案における相違点▲3▼について検討したものと同じ理由により甲各号証から導き出せる事項ではない。
相違点▲4▼については、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割したシール装置が前提となり、さらに、シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することにより生じる相違点であるが、このような技術思想自体他の甲各号証に示唆するところはない。
したがって、訂正後の請求項2に係る考案は、甲各号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
3,請求項3に係る考案について、
請求項3に係る考案は、請求項1に係る考案のシール装置をボールねじに適用したものと認められるから、上記1で示した、請求項1に係る考案についての理由と同じ理由により、甲各号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
4,請求項4に係る考案について、
請求項4に係る考案は、請求項2に係る考案のシール装置をボールねじに適用したものと認められるから、上記2で示した、請求項2に係る考案についての理由と同じ理由により、甲各号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認めることができない。
[独立実用新案登録要件についてのむすび]
以上のとおりであるから、訂正された請求項1?4に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることのできるものである。
よって、本件に係る訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
ニ、訂正の適否についてのむすび
以上のとおりであるから、本件に係る訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項並びに特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するものである。当該訂正を認める。
(3)実用新案登録異議申立についての判断
イ、申立の理由の概要
実用新案登録異議申立人・廣原 守は、実用新案登録明細書に記載された請求項1ないし5に係る考案は、本件に係る出願の出願前に頒布された刊行物である上記甲第1号証ないし甲第5号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、この実用新案登録は取り消されるべき旨主張している。
ロ、実用新案登録異議申立についての判断
本件の実用新案登録明細書に記載された請求項1ないし5に係る考案は、上記訂正により請求項3については削除され、請求項1,2,4,5をそれぞれ請求項1,2,3,4とする訂正請求がなされたものである。
そして、当該訂正請求は、上記(2)に記載したとおりの理由で認められたものである。
さらに、訂正が認められた請求項1?4に係る考案は、上記(2)▲2▼1?4で検討したように、甲第1?5号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。
さらに、他に訂正が認められた請求項1?4に係る考案に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
ボールねじ及びそのシール装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項2】
ねじ軸の螺旋溝に嵌合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項3】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を奪複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。
【請求項4】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は固形潤滑剤で形成したシール装置を具備するボールねじに関するもので、より詳しくは、そのシール装置を改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
ボールねじは、ねじ軸の外周面に設けた螺旋溝と、ボールナットの内周面に設けた螺旋溝との間に複数のボールを配し、ねじ軸(又はボールナット)の回転動力をボールを介してボールナット(又はねじ軸)の推力に変換するものであるが、ボールナットの内部に充填した潤滑剤の洩出および外部からの異物の侵入を防止するため、図5に示すように、ねじ軸21の螺旋溝21aに嵌合する突部25aを有するラビリンス形のシール部材25を、ボールナット22の両端部に装着するようにしている。シール部材25は、樹脂材あるいはフッ素ゴム等のゴム材をリング状に成形したものであり、ボールナット22のねじ穴22bに螺着した止めねじ29等で固定される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記シール装置は、シール部材25をねじ軸21に嵌合した後、ボールナット22に螺着した止めねじ29で固定するものであり、突部25aと螺旋溝21aとの間の嵌合すきまはシール部材25とねじ軸21の寸法関係に依存している。そのため、シール部材25とねじ軸21の寸法誤差によって突部25aと螺旋溝21aとの間に大きなすきまが生じ、使用条件によっては、シール性に不足をきたす場合がある。
【0004】
そこで、本出願人は、シール性の向上を図るべく、リング状のシール部材を複数部分に軸方向に分割すると共に、各分割した部分を内径方向に弾圧することにより、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたシール装置等について既に出願している(実願平4-45435号、実願平4-45436号)。これらシール装置によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝に密着して摺接し、しかも、螺旋溝の表面に付着した異物がシール部材の分割面によって掻き取られ、ボールナット内に侵入しにくくなるので、従来構成に比べ、シール性の著しい向上を図ることができた。
【0005】
本発明は、上記出願に関わるシール装置のさらなる改良を目的とするもので、具体的には、突部と螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗の低減、これに伴うトルク損失の減少並びに摩擦による発熱の抑制を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材を複数部分に軸方向に分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項2に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。
【0007】
請求項3に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項4に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。
以上の構成において、前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、前記補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する。
【0008】
いずれの発明もシール部材を固形潤滑剤で形成したものであるが、請求項1および請求項3はシール部材自体を分割したもの、請求項2および請求項4はシール部材を部分的に分割したものである。嵌合すきまがゼロ以下とは、嵌合すきまがゼロの状態あるいは締代をもった状態(マイナスすきま)をいう。
【0009】
固形潤滑剤で形成したシール部材の突部とボールねじの螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたことにより、両者間の摺接部における摩擦抵抗が低減し、これに伴うトルク損失の減少並びに摩擦による発熱が抑制される。シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材の突部をねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。ねじ軸の螺旋溝の表面に付着した異物は、シール部材の分割面によって掻き取られる。補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのを防止する。シール部材は固形潤滑剤で形成されており、その組織内には潤滑成分が保持されている。ボールねじのトルク伝達時、シール部材の組織内に保持された潤滑成分が、突部と螺旋溝との摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗が低減する。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。
【0011】
図1に示すように、ねじ軸1の外周面に設けた螺旋溝1aと、ボールナット2の内周面に設けた螺旋溝2aとの間に複数のボール3が配されている。ねじ軸1(又はボールナット2)が回転すると、その回転動力がボール3を介してボールナット2(又はねじ軸1)に伝達され、ボールナット2(又はねじ軸1)が軸方向に移動する。ボールナット2の内径面両端部には凹部が形成され、凹部にシール部材5と補助リング6とが装着されている。
【0012】
シール部材5は、固形潤滑剤例えばプラスチックグリースで形成されている。プラスチックグリースは、例えば、ポリエチレン1?95重量%、好ましくは30重量%以上と石鹸又は非石鹸増稠の潤滑グリース99?5重量%との混合物を加熱して固形化したものである。あるいは、上記成分に、油の滲み出しを抑制するための添加物を1?50重量%加える場合もある(詳細については、特公昭63-23239号公報参照)。シール部材5は、このプラスチックグリースを所定のリング形状に固化・成形した後、図2に示すように、これを円周等配位置の3箇所で軸方向に分割したものである。シール部材5は、内径方向に突出した突部5aを有し、この突部5aは、ねじ軸1の螺旋溝1aに対応した形状・寸法を有する。
【0013】
シール部材5の3つの分割部分は、それぞれ、ボールナット2のねじ穴2bに螺着したボールプランジャ8によって内径方向に弾性的に圧迫される。そのため、図1bに拡大して示すように、突部5aと螺旋溝1aの嵌合すきまは、ゼロあるいは僅かにマイナス(締代をもった状態)になっている。尚、シール部材5の各分割部分間には僅かなすきまがある。このように、突部5aが螺旋溝1aに密着して摺接するので、ボールナット2内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、シール部材5の各分割面5bが、螺旋溝1aの表面に付着した異物を掻き取るので、従来のものに比べ、シール性は極めて高い。補助リング6は、この掻き取られた異物が分割面5bを通ってボールナット2内に侵入しようとするのを防止する。さらに、シール部材5がプラスチックグリースで形成されているため、ボールねじのトルク伝達時、シール部材5の組織内に保持された潤滑成分が、突部5aと螺旋溝1aとの摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗を低減する。そのため、このシール装置は、突部5aを螺旋溝1aに密着させているにもかかわらず、トルク損失が少なく、また摺接部における摩擦による発熱も少ない。
【0014】
図3および図4に示す実施例は、シール部材5の、ボールナット2の外方側に向いた端面5cから途中部分までを複数の軸方向スリット5dで分割すると共に、これら分割部分をガータスプリング10で内径方向に弾性的に圧迫するようにしたものである。この実施例のシール部材5も、上述したプラスチックグリースで形成されている。上述したシール装置と同様の作用効果を奏する。尚、この実施例において、シール部材5の各分割面5bによって螺旋溝1aの表面から掻き取られた異物は、シール部材5の分割されていないリング部分5eによってボールナット2内への侵入を阻止される。したがって、上述した補助リング6は配置されていない。
【0015】
尚、図1に示す構成と図3に示す構成とを併用するようにしても良い。
【0016】
以上説明した実施例は、実願平4-45435号に関わるシール装置の改良に関するものであるが、本考案は実願平4-45436号に関わるシール装置についても同様に適用可能である。ちなみに、実願平4-45436号に関わるシール装置は、本願の図1あるいは図3に示す構成において、シール部材の各分割面を、軸線に対して螺旋溝のねじれ方向に傾斜させ、さらに、ボールネットの内方側に傾斜させたものであるが、その詳細については省略する。
【0017】
【考案の効果】
本考案によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝にゼロ以下の嵌合すきまをもって密着し、しかも、シール部材を固形潤滑剤で形成してあるため、シール性が向上するのみならず、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗が著しく低減し、これによりトルク損失が減少し、摩擦による発熱も抑制される。また、シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材及びねじ軸の寸法誤差に関係なく、シール部材の突部を常にねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。そのため、ボールナット内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、螺旋溝の表面に付着した異物がシール部材の分割面によって掻き取られ、しかも、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのが補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分によって防止されるので、従来のものに比べ、シール性を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の実施例を示す断面図(図a)、図aにおける部分拡大断面図(図b)である。
【図2】
図1におけるシール部材を示す正面図(図a)、側面図(図b)である。
【図3】
本考案の他の実施例を示す断面図である。
【図4】
図3におけるシール部材を示す正面図(図a)、側面図(図b)である。
【図5】
従来のシール装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸
1a 螺旋溝
2 ボールナット
2a 螺旋溝
5 シール部材
5a 突部
5d スリット
6 補助リング
8 ボールプランジャ
10 ガータスプリング
訂正の要旨 訂正の要旨
願書に添付した明細書(以下、「実用新案登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の欄について、実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、以下の▲1▼?▲9▼のとおり訂正する。
▲1▼訂正事項1
実用新案登録請求の範囲の記載について、実用新案登録明細書における請求項3を削除するとともに、その請求項1,2,4,5を次の請求項1,2,3,4のとおりに訂正する。
「【請求項1】
ねじ軸の螺旋溝に係合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項2】
ねじ軸の螺旋溝に係合する突部を有するリング状のシール部材を、ボールナットの端部に装着してボールナット内をシールするものにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじのシール装置。
【請求項3】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着し、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記補助リングは、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。
【請求項4】
内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、
前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、
前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、
前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、
前記シール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止することを特徴とするボールねじ。」
▲2▼訂正事項2
明細書の【0003】欄を次のとおりに訂正する。
「【考案が解決しようとする課題】
上記シール装置は、シール部材25をねじ軸21に嵌合した後、ボールナット22に螺着した止めねじ29で固定するものであり、突部25aと螺旋溝21aとの間の嵌合すきまはシール部材25とねじ軸21の寸法関係に依存している。そのため、シール部材25をねじ軸21の寸法誤差によって突部25aと螺旋溝21aとの間に大きなすきまが生じ、使用条件によっては、シール性に不足をきたす場合がある。」
▲3▼訂正事項3
明細書の【0006】欄を次のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】
請求項1に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材を複数部分に軸方向に分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項2に係るシール装置は、固形潤滑剤で形成したシール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割すると共に、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。」
▲4▼訂正事項4
明細書の【0007】欄を次のとおりに訂正する。
「請求項3に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材を複数部分に軸方向に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にし、かつ、前記シール部材よりもボールナットの内方側に補助リングを装着したものである。
請求項4に係るボールねじは、内周面に螺旋溝を有するボールナットと、該ボールナットを貫通して延在し外周面に前記ボールナットの螺旋溝に対応する螺旋溝を有するねじ軸と、前記両螺旋溝間に転動自在に介在する多数のボールとで構成され、前記ねじ軸の螺旋溝と嵌合する突部を有するリング状のシール部材を前記ボールナットの端部に装着して前記ボールナット内をシールしたボールねじにおいて、前記シール部材を固形潤滑剤で形成すると共に、前記シール部材の、ボールナットの外方側に向いた端面から途中部分までを複数の軸方向スリットで分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、前記突部と前記螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたものである。
以上の構成において、前記突部は、前記螺旋溝に対応した形状及び寸法を有し、前記螺旋溝に密着してボールナット内をシールし、前記各分割部分間には僅かなすきまがあり、前記分割部分の分割面は、前記螺旋溝に付着した異物を掻き取り、前記補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、前記掻き取られた異物が前記分割面を通ってボールナット内に侵入するのを防止する。」
▲5▼訂正事項5
明細書の【0008】欄を次のとおりに訂正する。
「いずれの考案もシール部材を固形潤滑剤で形成したものであるが、請求項1および請求項3はシール部材自体を分割したもの、請求項2および請求項4はシール部材を部分的に分割したものである。嵌合すきまがゼロ以下とは、嵌合すきまがゼロの状態あるいは締代をもった状態(マイナスすきま)をいう。」
▲6▼訂正事項6
明細書の【0009】欄を次のとおりに訂正する。
「固形潤滑剤で形成したシール部材の突部とボールねじの螺旋溝との嵌合すきまをゼロ以下にしたことにより、両者間の摺接部における摩擦抵抗が低減し、これに伴うトルク損失の減少並びに摩擦による発熱が抑制される。シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材の突部をねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。ねじ軸の螺旋溝の表面に付着した異物は、シール部材の分割面よって掻き取られる。補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分は、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのを防止する。シール部材は固形潤滑剤で形成されており、その組織内には潤滑成分が保持されている。ボールねじのトルク伝達時、シール部材の組織内に保持された潤滑成分が、突部と螺旋溝との摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗が低減する。」
▲7▼訂正事項7
明細書の【0013】欄を次のとおりに訂正する。
「シール部材5の3つの分割部分は、それぞれ、ボールナット2のねじ穴2bに螺着したボールプランジャ8によって内径方向に弾性的に圧迫される。そのため、図1bに拡大して示すように、突部5aと螺旋溝1aの嵌合すきまは、ゼロあるいは僅かにマイナス(締代をもった状態)になっている。尚、シール部材5の各分割部分間には僅かなすきまがある。このように、突部5aが螺旋溝1aに密着して摺接するので、ボールナット2内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、シール部材5の各分割面5bが、螺旋溝1aの表面に付着した異物を掻き取るので、従来のものに比べ、シール性は極めて高い。補助リング6は、この掻き取られた異物が分割面5bを通ってボールナット2内に侵入しようとするのを防止する。さらに、シール部材5がプラスチックグリースで形成されているため、ボールねじのトルク伝達時、シール部材5の組織内に保持された潤滑成分が、突部5aと螺旋溝1aとの摺接部に滲み出して油膜を形成し、摺接部における摩擦抵抗を低減する。そのため、このシール装置は、突部5aを螺旋溝1aに密着させているにもかかわらず、トルク損失が少なく、また摺接部における摩擦による発熱も少ない。」
▲8▼訂正事項8
明細書の【0014】欄を次のとおりに訂正する。
「図3および図4に示す実施例は、シール部材5の、ボールナット2の外方側に向いた端面5cから途中部分までを複数の軸方向スリット5dで分割すると共に、これら分割部分をガータスプリング10で内径方向に弾性的に圧迫するようにしたものである。この実施例のシール部材5も、上述したプラスチックグリースで形成されている。上述したシール装置と同様の作用効果を奏する。尚、この実施例において、シール部材5の各分割面5bによって螺旋溝1aの表面から掻き取られた異物は、シール部材5の分割されていないリング部分5eによってボールナット2内への侵入を阻止される。したがって、上述した補助リング6は配置されていない。」
▲9▼訂正事項9
明細書の【0017】欄を次のとおりに訂正する。
「【考案の効果】
本考案によれば、シール部材の突部がねじ軸の螺旋溝にゼロ以下の嵌合すきまをもって密着し、しかも、シール部材を固形潤滑剤で形成してあるため、シール性が向上するのみならず、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との摺接部における摩擦抵抗が著しく低減し、これによりトルク損失が減少し、摩擦による発熱も抑制される。また、シール部材を複数部分に分割し、これら分割部分を内径方向に弾性力を加えて圧迫することにより、シール部材及びねじ軸の寸法誤差に関係なく、シール部材の突部を常にねじ軸の螺旋溝に密着して摺接させることができ、シール部材の突部とねじ軸の螺旋溝との間にゼロ以下の嵌合すきまが維持される。そのため、ボールナット内の潤滑剤が外部に洩れにくく、また外部から異物が侵入しにくい。さらに、螺旋満の表面に付着した異物がシール部材の分割面によって掻き取られ、しかも、この掻き取られた異物が分割面を通ってボールナット内に侵入しようとするのが補助リング又はシール部材の分割されていないリング部分によって防止されるので、従来のものに比べ、シール性を著しく向上させることができる。」
異議決定日 1999-12-10 
出願番号 実願平4-83704 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (F16H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山下 喜代治  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 舟木 進
鳥居 稔
登録日 1998-07-17 
登録番号 実用登録第2582061号(U2582061) 
権利者 エヌティエヌ株式会社
大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号
考案の名称 ボールねじ及びそのシール装置  
代理人 江原 省吾  
代理人 江原 省吾  
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