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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60T |
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管理番号 | 1012710 |
審判番号 | 審判1997-21383 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-12-17 |
確定日 | 2000-02-16 |
事件の表示 | 平成3年実用新案登録願第67014号「センサ付ハブユニット」拒絶査定に対する審判事件(平成5年3月9日出願公開、実開平5-19040)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
本件考案は、平成3年8月23日に実用新案登録出願されたものであって、その請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲の欄に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】車体に固定する車体側部材と、車輪に固定する車輪側部材と、上記車体側部材と車輪側部材との間に配置した複列の転動体と、上記車輪側部材に固定したブレーキディスクと、上記車輪側部材に上記転動体の列と列との間に位置するように取り付けられた磁性体のパルサリングと、上記パルサリングの回転数を検出する磁電変換素子を含む検出部とその検出部からの信号を増巾する増幅器を少なくとも含む信号処理回路部とを有するセンサを備えたセンサ付ハブユニットにおいて、 上記センサは、上記検出部と信号処理回路部とが分離され、上記検出部が車体側部材に固定され、上記検出部と信号処理回路部とがシールドされたケーブルで連結されていることを特徴とするセンサ付ハブユニット。」 これに対して、原査定の拒絶の理由において引用された、実願平1-57254号(実開平2-148469号)のマイクロフィルム(以下、「引用例イ」という。)には、本件考案と同じ技術分野に属するセンサ付ハブユニットにおいて以下の構成を有するものが記載されている。(主に第3図参照。) 「車体に固定する車体側部材(外輪27。以下、かっこ内は引用例の名称を示す。)と、車輪に固定する車輪側部材(ホイールハブ26)と、上記車体側部材と車輪側部材との間に配置した複列の転動体(転動体29)と、上記車輪側部材に上記転動体の列と列との間に位置するように取り付けられた磁性体のパルサリング(パルスリング17)と、上記パルサリングの回転数を検出する磁電変換素子を含む検出部(ホールICを用いたセンサー23)とを有するセンサを備えたセンサ付ハブユニット。」 そこで、本件考案と引用例イ記載の考案とを比較すると、次の点で相違し、その余の点に相違はない。 [相違点A]; 本件考案においては、「車輪側部材に固定したブレーキディスク」が構成要件とされているのに対し、引用例イにはブレーキディスクについて記載がない点。 [相違点B]; 本件考案においては、センサが、「パルサリングの回転数を検出する磁電変換素子を含む検出部とその検出部からの信号を増巾する増幅器を少なくとも含む信号処理回路部とを有するセンサ」であるのに対し、引用例イ記載の考案においては、センサが、「ホールICを用いたセンサー23」であって、磁電変換素子を含む検出部は有すると認められるものの、「ホールIC」の構成が示されておらず、「検出部からの信号を増巾する増幅器を少なくとも含む信号処理回路部」を有するか否か明らかでない点。 [相違点C]; 本件考案においては、「センサは、検出部と信号処理回路部とが分離され、検出部が車体側部材に固定され、上記検出部と信号処理回路部とがシールドされたケーブルで連結されている」ものであるのに対し、引用例イ記載の考案においては、「検出部23が車体側部材に固定」されているものにすぎない点。 そこで、上記相違点Aについて検討すると、原査定の拒絶の理由において引用された、実願昭60-25779号(実開昭61-141165号)のマイクロフィルム(以下、「引用例ロ」という。)には、車輪側部材(車輪軸7)に固定したブレーキディスク(ブレーキディスク8)が記載されている。 なお、センサ(アンチスキッドセンサ11)がブレーキデスク8からの輻射熱により害を受けることを防止する点も記載されている。 そして、車輌においてはブレーキは必須のものであるから、本件考案の車輪側部材にブレーキデスクを固定することは、引用例ロの記載からきわめて容易に想到できるものである。 つぎに、相違点Bについて検討すると、原査定の拒絶の理由において引用された実願昭54-94462号(実開昭56-12831号)のマイクロフィルム(以下、「引用例ハ」という。)には、エンジンのノッキングセンサにおいて、その第2図とその説明の欄(第2頁末行?第4頁第1行)に、エンジンに取り付けるセンサ51と、熱に弱い半導体・IC等で構成する回路本体50とをシールド線で結び、回路本体50は室内に近い方(「室内に近い方」とは、発熱するエンジンから離れた、周囲温度の低い方の意味であることは当業者において明らかである。)に設置する旨の記載がある。 そして、エンジンのノッキングセンサと車輪側部材のパルサリングの回転数を検出するセンサは、同じ車両用のセンサであってきわめて近接した技術分野に属している。 しかも、どちらのセンサも、検出部とその検出部からの信号を増巾する増幅器を少なくとも含む信号処理回路部とを有するセンサであって、検出信号の相違こそあっても、その信号処理のために信号処理回路部を有するという基本的な構成に格別の差違はない。 したがって、引用例イ記載の考案に引用例ロ記載のセンサ51に回路本体50を備える点を適用して検出部と信号処理回路部とからなるセンサとすることに困難性はない。 相違点Cについては、引用例ハに、上記相違点Bについての検討の項で述べたように、回路本体50が熱に弱いためシールド線で発熱体であるエンジンから離して設置するために、「センサは、検出部と信号処理回路部とが分離され、検出部が車体側部材に固定され、上記検出部と信号処理回路部とがシールドされたケーブルで連結」されている点が記載されてから、熱による影響を避けるという共通の課題を解決するため、この点を引用例イ記載の考案に適用することは、上記相違点Bで述べた理由と同様な理由により困難性はない。 以上のとおりであるから、本件考案は、引用例イ、ロ、ハに記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 したがって、本件考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることが出来ない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-29 |
結審通知日 | 1999-12-14 |
審決日 | 1999-12-20 |
出願番号 | 実願平3-67014 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(B60T)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 謙一 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
和田 雄二 鳥居 稔 |
考案の名称 | センサ付ハブユニット |
代理人 | 山崎 宏 |
代理人 | 青山 葆 |