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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02B |
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管理番号 | 1012715 |
審判番号 | 審判1998-12032 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2000-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-08-05 |
確定日 | 2000-02-16 |
事件の表示 | 平成4年実用新案登録願第11260号「汚濁拡散防止装置」拒絶査定に対する審判事件(平成5年8月13日出願公開、実開平5-61222)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成4年1月23日の出願であって、本願の請求項1に係る考案は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「シート状膜とネット状膜とを上端部において一体化し、且つ前記上端部にフロートを設け、さらに前記シート状膜とネット状膜のそれぞれの下端部に重錘を設けたことを特徴とする汚濁水の拡散防止および清澄化装置。」(以下、「本願考案」という。) II.引用文献 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された実公昭60-24740号公報(以下、「引用例」という。)には、例えば、次のような記載がある。 ▲1▼「シートの両面に網状、スダレ状等からなる水中付着物除去部材を設け、それらの上端部を一対の半割りフロートにて挟着合体させ、且つ前記水中付着物除去部材の下端部に錘を設けたことを特徴とする汚泥拡散防止水中膜。」公報第1頁左欄実用新案登録請求の範囲。 ▲2▼「本考案は第1図に示すようにシート1の両面に網状、すだれ状等からなる水中付着物除去部材2を設け、その上端部においてシート1と一体に設け、且つ水中付着物除去部材2にはその下端部に錘3を設けてなるものである。このシート1と水中付着物除去部材2とを一体に設ける手段として例えば第2図に示すように水中付着物除去部材2とシートとを支持パイプ4に巻きつける。これを第3図に示すように半割体の中空密閉された一対のフロート5につて前記水中付着物除去部材2とシート1を巻きつけた支持パイプ4を挟着するように重ね合せ、且つ該フロート5の両端部を前記支持パイプ4を貫通させる穴が設けられたカップ6を嵌着させる。」公報第1頁左欄?第1頁右欄。 前記▲1▼及び▲2▼の記載事項と図面の記載からみて、引用例には、シートと網状の水中付着物除去部材とを上端部において一体化し、且つ前記上端部にフロートを設け、網状の水中付着物除去部材の下端部に錘を設けた汚泥拡散防止水中膜が記載されたいる。 III.対比 本願考案と引用例記載の考案を対比する。 引用例記載の考案における、「シート」、「網状の水中付着物除去部材」、「錘」及び「汚泥拡散防止水中膜」は、本願考案における、「シート状膜」、「ネット状膜」、「重錘」及び「汚泥水の拡散防止装置」にそれぞれ対応するものであるから、本願考案と引用例記載の考案は、次の一致点で両者の構成は一致し、次の相違点1,2で両者の構成は相違する。 一致点 シート状膜とネット状膜とを上端部において一体化し、且つ前記上端部にフロートを設け、さらにネット状膜の下端部に重錘を設けたことを特徴とする汚濁水の拡散防止装置。 相違点1:本願考案においては、シート状膜の下端部に重錘を設けたのに対して、引用例記載の考案においては、シート状膜の下端部に重錘を設けるとの記載がない点。 相違点2:本願考案においては、汚濁水の拡散防止および清澄化装置としたのに対して、引用例記載の考案においては、汚濁水の拡散防止装置とした点。 IV.判断 前記相違点について検討する。 先ず、相違点1について検討する。 本願考案において、シート状膜の下端部に重錘を設ける技術的意義について、明細書の【0003】及び【0004】段落中の【考案が解決しようとする課題】と【課題を解決するための手段】の「潮の干満による潮流の速いところなどではシート状膜が潮流によって吹き流された状態(傾斜状態)となるためであった。」及び「本考案はシ一ト状膜とネット状膜とを上端部において一体化し、前記シート状膜およびネット状膜の下端部にそれぞれ重錘を設けてなる汚濁拡散防止および清澄化装置(以下防止装置という)である。」という記載からみて、シート状膜が潮流等の流れによって傾斜状態になることを防止するためであることは明らかである。 しかし、汚濁水の拡散防止装置において、流れによるシート状膜の傾斜防止のために、シート状膜の上端部をフロートに連結し、シート状膜の下端部に重錘を設けることは、周知(例、実公昭56-15237号公報等)であり、引用例記載の考案に、前記周知事項を適用して、前記相違点1にあげた本願考案のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。 次に、相違点2について検討する。 本願考案において、シート状膜及びネット状膜に関しての具体的構成に関する記載はなく、汚濁水の清澄化がどのようにしてなされるのかについては明確ではない。 しかし、引用例記載の考案においても、本願考案と同様に、ネット状膜とシート状膜の上端部を一体化してフロートに連結する構成を有するものであるから、本願考案と同様に汚濁水の拡散防止と同時に汚濁水の清澄化の作用を有するものと認められ、前記相違点2にあげた両者の構成に実質的差違は認められない。 V.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-29 |
結審通知日 | 1999-12-14 |
審決日 | 1999-12-21 |
出願番号 | 実願平4-11260 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小野 忠悦 |
特許庁審判長 |
片寄 武彦 |
特許庁審判官 |
斎藤 利久 宮崎 恭 |
考案の名称 | 汚濁拡散防止装置 |